【2025.2】中小企業成長加速化補助金の専門家経費について|使い方や注意点を解説

中小企業成長加速化補助金の専門家経費について|使い方や注意点を解説

中小企業成長加速化補助金では、経営戦略、マーケティング支援、IT導入、補助金申請サポートなどにかかる 「専門家経費」が対象経費になることが決定しています。

しかし専門家経費は適用条件や上限額の制約があり、正しく理解して活用することが重要です。

適切な専門家を選び、補助金の要件を満たしながら事業を成長させるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?本記事では、適切な専門家を選び、補助金の要件を満たしながら事業を成長させるためのポイントを解説します。

この記事を読むと
  • 中小企業成長加速化補助金の専門家経費の概要がわかる
  • 専門家経費を活用するときの注意点がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

中小企業成長加速化補助金の趣旨や基本内容

中小企業成長加速化補助金の趣旨や基本内容

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す中小企業を対象に、大規模な設備投資を支援する新たな補助金制度です。本補助金を活用することで、企業は大規模な設備投資を行い事業規模の拡大や生産性向上を実現することが可能になります。

ただし、申請要件や審査基準は厳しく、事業計画の具体性や成長戦略の明確化が求められるでしょう。

以下で本補助金についてさらに詳しく説明します。

中小企業成長加速化補助金の趣旨、目的

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す中小企業の成長戦略を後押しすることを目的とした制度です。これまでの中小企業向け補助金と比較しても、より規模の大きな設備投資や事業拡大を支援する仕組みとなっている点が特徴です。

現時点で発表されている情報をもとに、本補助金の目的を以下に記載します。

  1. 成長志向型企業への支援
    本補助金は、売上高100億円という明確な目標を掲げる中小企業が対象です。単なる事業運営の支援ではなく、「企業の規模拡大」や「市場競争力の強化」を目指す企業の挑戦を支えることを目的としています。
  2. 事業規模の拡大と生産性向上の促進
    日本の中小企業の多くは、成長のための投資資金を確保することが課題となっています。本補助金は、大規模な設備投資や新技術導入を後押しすることで、生産性の向上や事業規模の拡大を実現することを目指しています。
    例えば、製造業での最新の自動化機械の導入、物流業での大型拠点の整備、IT企業でのクラウドシステム開発などが補助の対象となる可能性があります。これにより、企業が成長のための投資を行いやすくなり、国内市場だけでなく海外市場への展開や新規事業の立ち上げなど、さらなる発展が期待されます。
  3. 持続的な賃上げと雇用創出
    補助金の活用により、企業の収益性が向上することで、従業員の賃上げや新規雇用の創出にもつながることが期待されています。特に、補助金を活用する企業には 一定の賃上げ要件が求められる見込みであり、 成長とともに従業員の待遇改善も実現することが補助金趣旨の一つとなっています。
  4. デジタル化・DXの推進
    本補助金では、最新のデジタル技術を活用した事業展開も積極的に支援する方針が示されています。例えば、AIやIoTを活用した 業務効率化、データ活用による市場分析、サプライチェーンの最適化などが補助の対象となる可能性があります。

上記に示した通り、中小企業成長加速化補助金は、単なる資金支援ではなく「企業の成長を加速させるための投資」を強く後押しする制度となっています。申請を検討する企業は、 自社の成長ビジョンを明確にし、どのような投資が事業拡大につながるのかを具体的に整理することが重要です。

中小企業成長加速化補助金の申請要件

中小企業成長加速化補助金を活用するには、一定の申請要件を満たす必要があります。

本補助金は、成長志向の強い企業を対象としており、特に 事業規模の拡大や生産性向上を目的とした投資 を推進する企業に向けた支援制度です。現時点では詳細な要件は未定ですが、現在までの既出情報とこれまでの類似補助金の傾向を踏まえた上で申請要件を確認していきましょう。

【対象となる企業の規模】

本補助金の対象となるのは、一定の 中小企業・中堅企業 に限定される見込みです。具体的には、以下のような企業規模の要件が設定される可能性があります。

  • 製造業・建設業・運輸業 :資本金3億円以下または従業員300人以下
  • 卸売業 :資本金1億円以下または従業員100人以下
  • サービス業 :資本金5,000万円以下または従業員100人以下
  • 小売業 :資本金5,000万円以下または従業員50人以下

また、成長促進を目的とする補助金であるため、 売上拡大や市場展開を計画している企業 であることが重要な要件となる可能性があります。

【事業内容に関する要件】

事業内容に関する要件は以下の通りです。

  • 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費)
  • 「売上高100億円を目指す宣言」を行っていること

中小企業成長加速化補助金を申請するには、国が推進する「売上高100億円を目指す宣言」を行い、自社の成長ビジョンを明確に示すことが求められます。

「売上高100億円を目指す宣言」とは、売上高100億円を超える企業への成長を目指し、そのための戦略や具体的な取り組みを公表する制度です。 宣言を行った企業は、令和7年春頃に開設予定のポータルサイト上で、自社の成長計画を公開することになります。宣言内容には、企業の現状や売上成長目標、成長を実現するための具体的な施策(設備投資、生産増強、海外展開、M&Aなど)、実施体制、経営者のコミットメントなどが含まれます。

「売上高100億円を目指す宣言」を行うと「宣言」マークの活用が可能になり、認定企業としてのロゴマークを使用することで、企業の成長戦略や取り組みのPRや、経営者ネットワークへの参加ができるという複数のメリットがあります。

【賃上げ要件】

中小企業成長加速化補助金の申請においては、最新の発表で賃上げ要件が設定されました。近年、多くの補助金制度では、企業の成長支援と同時に従業員の待遇向上を目的とした賃上げの義務化が求められており、本補助金でも同様の要件が盛り込まれることが予想されます。想定される賃上げ要件を以下にまとめます。

  • 基本給の引き上げ :一定期間内に従業員の給与を○%以上増額
  • 賃上げの維持 :補助金交付後も一定期間、給与水準を維持
  • 報告義務 :実施状況を定期的に報告

賃上げ要件を満たす企業には、補助率の優遇補助上限額の増加などのメリットがある可能性も。補助金を活用する際は、事業成長とともに従業員の待遇向上にも取り組むことが求められるでしょう。次の 「補助上限金額と補助率」 では、具体的な補助額や企業が受けられる支援の範囲について詳しく解説していきます。

中小企業成長加速化補助金の補助上限金額と補助率

本補助金の補助上限金額は5億円、補助率は1/2 で設定されています。補助対象となる経費の詳細は今後の発表を待つ必要がありますが、過去の補助金制度の傾向から以下のような投資が想定されます。

  • 設備投資(機械導入・工場拡張など)
  • 業務効率化のためのシステム導入(DX・RPA・ERPなど)
  • 新規事業展開に必要な設備や研究開発

また、賃上げ要件を満たす企業には、補助率の引き上げや優遇措置 が適用される可能性も考えられます。

今後、募集要領の詳細は 令和7年3月頃 に公表予定であり、申請開始は令和7年5月頃を予定しています。中小企業成長加速化補助金を利用するためには、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要となるため、早めに準備を進めることが推奨されます。最新情報を随時チェックしながら、事前準備を進めておくことが重要です。
参考:中小企業成長加速化補助金 – 飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を補助します!

中小企業成長加速化補助金の専門家経費について

中小企業成長加速化補助金の専門家経費について

中小企業成長加速化補助金では、事業の成長を支援するために外部専門家を活用する費用が補助対象と発表されています。具体的な公募要領はまだ公表されていませんが、事業再構築補助金などの他の補助金制度における専門家経費の扱いを参考にすると、事業遂行に必要な技術指導や経営戦略の助言などに関連するコンサルティング費用が対象となることが考えられます。

これまでの補助金制度の傾向を踏まえると、専門家経費は以下のような用途に使える可能性があります。

【専門家経費の主な用途(予想)】

  • 経営戦略の策定支援 :事業計画の立案、マーケット分析、資金調達アドバイス
  • デジタル化・DX推進支援 :ITシステム導入や業務効率化のための専門的アドバイス
  • 海外展開のサポート :輸出戦略、現地法人設立支援、海外市場調査
  • M&Aアドバイザリー :事業拡大に向けたM&A戦略策定やデューデリジェンス支援
  • 専門家による技術指導 :新規事業における製造技術や品質管理のアドバイス

事業再構築補助金の公募要領を参考にすると、本補助金においても専門家経費には一定の要件や上限額が設けられる可能性があります。

  1. 対象となる専門家
    • 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士などの専門家
    • 中小企業診断士、技術士、ITコーディネータなどのビジネス支援専門家
    • 兼業・副業の専門家、フリーランスなど
  2. 謝金の上限額(参考)
    • 大学教授、弁護士、公認会計士など:1日 5万円以下
    • 准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータなど:1日 4万円以下
    • 上記以外の専門家:1日 2万円以下
  3. 補助対象外となる可能性のある経費
    • 補助金申請時に必要な事業計画作成の支援費用
    • 事業計画策定を担当した外部支援者に対する報酬
    • 技術導入費や外注費と併せて同じ対象者に支払う費用
    • 旅費については、事務局が定める基準に基づくことが必要

本補助金の詳細なルールは今後の公募要領で明らかになる予定ですが、申請を検討する企業は専門家を活用することで、どのような成果を期待するのかを数値なり図やグラフなりで明確に示すことが審査において重要です。

また、適切な専門家の選定と費用の妥当性を証明するために、複数の見積書を取得するなどの準備を進めることが望まれます。
参考:事業再構築補助金 公募要領

専門家経費の具体的な使い方

専門家経費の具体的な使い方

中小企業成長加速化補助金では、外部専門家の活用を通じて事業の成長を支援する費用が補助対象となることが発表されています。

専門家経費は、過去の補助金制度の採択事例を参考にすると、以下のような活用方法が期待できます。

① 経営戦略策定支援(製造業)補助金を活用し、事業拡大に向けたマーケット分析と事業計画策定を専門家に依頼。外部の中小企業診断士と連携し、競合分析や価格戦略を強化。新製品の市場投入を加速し、売上向上を目指す。
② デジタル化・DX推進支援(卸売業)補助金を活用し、業務のデジタル化を推進。専門家のアドバイスを受けながら、クラウド型在庫管理システムを導入し、リアルタイムでの在庫確認や自動発注を実現。業務効率化により、従業員の負担軽減とコスト削減を達成。
③ 海外展開サポート(食品加工業)海外進出を目指し、輸出戦略や現地市場調査を専門家とともに実施。海外販路開拓のノウハウを持つコンサルタントの助言を受け、海外向け商品仕様の見直しや現地パートナー企業との商談を円滑に進める体制を構築する。
④ M&Aアドバイザリー(自動車部品製造業)事業拡大のため、同業他社とのM&Aを検討。補助金を活用し、公認会計士や弁護士を交えたデューデリジェンスを実施。事業シナジーを最大化する買収スキームを策定し、成長戦略を強化する。
⑤ 技術指導による新製品開発(精密機械メーカー)新規事業での製造技術向上を目的に、技術士を招聘し、新製品の試作開発を支援。品質管理や生産工程の最適化について専門的な助言を受け、業界基準を満たす高精度製品を市場投入。

上記の事例は、事業再構築補助金における専門家経費の活用例として報告されています。中小企業成長加速化補助金においても、同様の専門家活用が認められる可能性があります。

ただし、具体的な要件や対象経費は今後の公募要領で明らかになるため、最新の情報を確認し、適切な専門家の活用計画を立てることが重要です。

中小企業成長加速化補助金で専門家経費を使う際の注意

中小企業成長加速化補助金で専門家経費を使う際の注意

中小企業成長加速化補助金において専門家経費を活用する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。過去の類似補助金の事例を参考にしながら、細かいルールを把握しておくことが重要です。

以下に注意点をまとめていきます。

1億円以上の投資額要件の中に専門家経費を含めることはできない

中小企業成長加速化補助金では、1億円以上の投資が申請要件の一つです。しかし1億円以上の投資額には専門家経費を含めることはできないと明記されています。補助金の趣旨として、事業の成長を支援するための設備投資やシステム導入などの実質的な事業拡大に関連する支出が対象となるため、専門家への謝金やコンサルティング費用はこの投資要件にカウントされない可能性が高いです。

そのため、申請企業は事業計画を立案する際に、設備投資やデジタル化推進のための費用を1億円以上にすることを前提に予算を組む必要があります。仮に、専門家経費を含めて1億円の要件を満たそうとしても、要件を満たさないと判断され、補助金の申請が受理されない可能性があるため注意が必要です。

今後公募要領で、具体的な補助対象経費の内訳が明確になると考えられますが、現時点では、事業の成長に必要な設備・機械装置・システム導入などの投資を1億円以上に設定し、別枠で専門家経費を申請する形で計画を進めることが望ましいでしょう。

補助金自体の申請代行等にかかったお金は対象にならない

中小企業成長加速化補助金では、補助金申請の代行費用やコンサルタントへの報酬は補助対象外となる可能性が高いです。これは、過去の補助金制度でも同様の取り扱いがされており、補助金の目的が企業の成長や事業拡大に必要な投資を支援することにあるためです。

例えば、事業再構築補助金では、申請書の作成や申請代行を行う外部支援者に支払う報酬は補助対象外とされていました。これと同様に、本補助金においても、補助金の申請支援やコンサルティング費用は自己負担となる可能性が高いでしょう。

日当等に上限がある可能性がある

中小企業成長加速化補助金の専門家経費を活用する際、専門家に支払う日当や報酬に上限が設定される可能性があります。

例えば、事業再構築補助金では、大学教授や弁護士、公認会計士などの専門家への日当は最大5万円、准教授や技術士、中小企業診断士などは最大4万円、その他の専門家は2万円までといった具体的な上限が設けられていました。

同様に、本補助金においても、専門家の資格や役職によって異なる上限が設定される可能性が高いです。特に、上限額を超える部分は自己負担になるため、専門家への依頼内容と報酬額を慎重に検討する必要があります。

利用例を必ず確認しておく

公募要領や過去の補助金の利用例を確認することで、対象外の経費を誤って申請するミスを防ぐことができます。 補助金ごとに適用条件や制限が異なるため、事前に確認し、自社の計画が補助対象に適合するかを慎重に検討することが重要です。

特に、申請対象外となる経費(補助金申請代行費用など)が含まれていないかを確認し、適切に専門家経費を活用できるよう準備を進めましょう。

 中小企業成長加速化補助金に関するご相談なら株式会社補助金プラスへ

中小企業成長加速化補助金の専門家経費の活用を検討している企業の皆様は、ぜひ株式会社補助金プラスにご相談ください。

補助金の申請では、専門家経費だけでなく、建物費・機械装置費・システム導入費・外注費など、他の対象経費についても適切に申請することが重要です。どの経費が対象となるのか、どのように計画を立てれば採択されやすいのか、専門家が丁寧にアドバイスいたします。

株式会社補助金プラスでは、オンラインでの相談対応が可能なため、遠方にお住まいの方や多忙な事業者の方も、手軽に専門家のサポートを受けられます。また、補助金の採択後には実績報告などのサポートをオプションで提供し、補助金を最大限に活用できる体制を整えています。

これまでに90%という高い採択実績を誇り、さまざまな補助金支援に対応してきた経験から、企業ごとの成長戦略に適した補助金活用プランを提案することが可能です。

初めて補助金申請をする企業の方も安心できるよう、初回相談は無料で実施しています。補助金の活用を検討されている方は、ぜひ株式会社補助金プラスにご相談ください。貴社の成長を加速させるための最適なサポートを提供いたします。

まとめ

中小企業成長加速化補助金では、専門家経費を活用することで、事業の成長を加速させるためのコンサルティングや技術支援を受けることが可能です。ただし、補助対象となる経費には制限があり、補助金申請代行費用は対象外であることや、日当の上限が設けられる可能性があるため、事前に詳細を確認することが重要です。

また、1億円以上の投資額要件には専門家経費を含めることができないため、補助金を最大限活用するには、他の対象経費(建物費、機械装置費、システム導入費、外注費など)と合わせた計画を立てる必要があります。

株式会社補助金プラスでは、専門家経費の活用方法を含めた補助金全般の相談を受け付けており、オンライン対応や採択後のサポートも提供しています。補助金の活用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。