【2023.12】事業再構築補助金の交付申請とは?申請方法と必要書類、書き方を解説!

事業再構築補助金は、新規事業にかかる経費が様々補助されかなり幅広く活用できます。しかし、事業再構築補助金が採択されて給付されるまでには交付申請や実績報告などのプロセスを経て1年ほどかかります。
今回は、採択後に行わなければいけない交付申請について解説をします。「見積依頼書は必要?」「いつまでに何を用意すれば良い?」などの不安もあるでしょう。交付申請を行う際にはぜひ記事を参考にしてみてくださいね。
交付申請から交付決定までの流れ
初めに事業再構築補助金全体における交付申請の位置づけを確認していきたいと思います。
事業再構築補助金は採択された直後に給付されるわけではない
給付金や融資と異なり、事業再構築補助金は採択後にすぐ給付されるわけではありません。補助金を申請して交付申請を行い、その後に事業を行いそれらを報告しなければ実際に給付はされません。これらはよく誤解されるポイントなので、「いつから?」「いつまで?」のスケジュール感についても詳細に解説をしてきたいと思います。
交付申請を含めた事業再構築補助金全体の流れ

経済産業省中小企業庁が工業している事業再構築補助金の概要という資料内では上の図のように事業再構築補助金の流れが説明されています。この全体の流れは、以下に示すようなSTEPに分解することができます。

事業再構築補助金の申請から交付申請まで
事業再構築補助金はまず補助金を申請した後、いつまでに結果が分かるのかというと、約3ヶ月で結果が判明します。しかし、ここではあくまでも事業計画が承認されただけで、他の項目などに関してはまだ事務局の審査は行われていません。そのため、交付申請で詳細な項目の審査を依頼する必要があります。
交付申請から実績報告まで
では、給付金はいつまでに給付されるのでしょうか。それは、交付申請した後、書類の不備など事務局から修正事項を伝えられます。
何回か事務局とやりとりを行った後、事業再構築補助金の交付決定通知書が送られてきます。交付申請、交付決定、その次に補助事業を行い経費報告をして補助金が給付されるという流れになります。
事業再構築補助金の交付申請はjグランツを利用
交付申請は経費の審査
まず、交付申請とは何かを説明していきます。交付申請とは、経費の審査のことです。事業再構築補助金で採択発表がなされると思いますが、それはあくまでも事業再構築補助金の事業計画が審査通過したにすぎません。そのため、事業再構築補助金で採択されていても、交付申請の段階で一部経費が認められないことがあります。
見積書・見積依頼書などは交付申請の際に必要
事業再構築補助金の申請の際には特段見積書・見積依頼書などは不要ですが、交付申請の際には見積書・見積依頼書など価格の妥当性がわかる書類が数多く必要になります。
また各経費によって交付申請に必要な書類が全く異なり、事務局の案内に記載がない書類も場合によっては交付申請で必要になりますので、不備なく1回で交付決定されるケースは少ないです。可能であれば、早い段階で見積書・見積依頼書の準備ができると良いですね。
jグランツを活用して交付申請を実施
交付申請は事業再構築補助金の申請と同様に、書類を準備しJグランツで申請を行います。書類は数多く必要なため、補助事業の手引きを読み込みながら申請を行う必要があります。以下で事業再構築補助金の交付申請に必要な書類を解説していきます。
交付申請の期間
交付申請は採択から30日が目安となっていますが、30日以内の申請に間に合わなくてもペナルティはありません。しかし、事業実施期間が事業再構築補助金が採択されてから14ヶ月、交付決定から12ヶ月のいずれか早い期間vとなっています。事前着手承認がなされていない場合、交付決定をしなければ事業を行うことはできませんので事業実施期間が短くなってしまいます。そのため、交付申請はなるべく早めに行うと良いでしょう。
交付申請の必要書類

全ての事業者が交付申請時に必要な書類
- 交付申請書別紙1
- 見積書と見積依頼書
交付申請書別紙1というのは、事業再構築補助金で申請した内容がエクセルファイルになっている書類のことです。経費割合の変更や事業実施場所の変更は別紙1を編集して再度提出をすれば問題ないです。また、50万円以上(税抜き)の経費を交付申請する際は、2社以上の会社から見積書を同条件で取得する必要があります。見積書の内訳の項目が異なると交付申請で不備になる可能性があるので注意しましょう。
交付申請書別紙1のダウンロード方法
交付申請書別紙1は、事業再構築補助金の結果が記載されているJグランツの画面からダウンロードできます。

法人が交付申請の際に必要な書類
- 直近の決算書
- 3ヶ月以内に発行された履歴事項全部証明書
法人は直近の決算書類が必要になりますが、応募時点で提出をしていた場合は、交付申請では再度添付する必要はありません。しかし、申請から交付申請までの間に決算期を跨いでいて、新たに決算書を申告している場合は最新の決算書が必要になります。また、3ヶ月以内に発行された履歴事項全部証明書も併せて提出する必要があります。
個人事業主が交付申請の際に必要な書類
- 2期分の確定申告書第一表
- 青色申告決算書または白色申告書
個人事業主の場合、2期分の確定申告書第一表と青色申告決算書(または白色申告書)が必要になります。こちらも応募時点で提出をしていた場合は、交付申請で再度添付する必要はありません。しかし、申請から交付申請までの間に確定申告を行った場合は、最新の書類が必要になります。
各補助対象経費の交付申請で必要な書類
交付申請では各経費の証明書類の提出が必要となりますが、必要な書類は対象経費の項目ごとに異なるので注意が必要です。

建物費(改修の場合)の交付申請に必要な書類
- 見積書と見積依頼書
- 建物の見取図
- 補助対象経費により改修する建物に係る宣誓・同意書<参考様式20-2>
建物費で改修を行う場合は、見積書と見積依頼書、建物の改装箇所がわかるような見取図の提出が必要になります。見取図に関しては事業計画書に記載をしているケースがあると思いますが、交付申請でも矢印を引っ張り改装箇所が分かるような書類が必要になります。
また、補助対象経費により改修する建物に係る宣誓・同意書は建物費を計上している事業者は提出が必要になります。第3回以降の採択事業者は、交付申請書別紙1に含まれております。
建物費(建設の場合)の交付申請に必要な書類
- 見積書と見積依頼書
- 設計書等
- 補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書<参考様式20-2>
また、新しく建物を建設する場合は、見積書・見積依頼書のほかに設計書が必要になります。交付申請では建築確認申請で使うような必要な細かい設計図までは不要ですが、建築士が作成した概算の設計図程度のものは必要になります。そのため、事業再構築補助金が採択された時点で建築士に簡単な設計図の作成は依頼しておいた方が良いでしょう。
また、建設を行う場合も補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書が必要になります。第3回以降の採択事業者は、交付申請書別紙1に含まれております。建物費に関しては以下の記事でも解説していますのでぜひご覧下さい。

機械装置、システム構築費の交付申請に必要な書類
- 見積書と見積依頼書
- 価格が記載されているパンフレットなど
交付申請に必要な見積書と見積依頼書は他の経費項目と同様ですが、パンフレットや仕様書が必要になります。パンフレットや仕様書には、機械装置やシステム構築の費用が記載されている必要があります。パンフレットには複数の機械が掲載されている場合があるかと思いますが、交付申請を行う際はパンフレットに購入する物品を赤線などでわかりやすくしておきましょう。
海外渡航費用の交付申請に必要な書類
- 海外渡航計画書
卒業枠、グローバルV字回復枠などで事業再構築補助金を申請した場合は、海外旅費を補助対象経費として計上するケースがあります。その際は、交付申請時に事業再構築補助金事務局ページの採択者向け資料の中にある海外渡航計画書<参考様式12>を提出する必要があります。海外渡航計画書を交付申請の際に合わせて提出しましょう。
該当する場合のみ交付申請の時に必要な書類
50万円以上の補助対象経費には相見積もりを交付申請で提出
多くの事業者は事業再構築補助金を申請する際に50万円以上(税抜き)の補助対象経費を申請していると思われます。そのため、多くの事業者が交付申請で相見積もりが必要となるでしょう。また、相見積もりは単価ですので、仮に単価10万円の商品を10個購入する場合などは相見積もりは不要です。また上述しましたが、相見積もりは3社同条件でとなっていますので、3社で見積書の経費項目まで交付申請時には合わせておく必要があります。
見積書が出せない場合は交付申請時に理由書を提出
発注する業者以外その機械を販売していないなど、2社で見積が取れない場合もあると思います。その際は、選定理由を明らかにした理由書、業者選定理由書を交付申請時に提出しましょう。また、2社で見積もりを取って高い方を発注する場合も高い方を発注する理由を書き、交付申請時に理由書を提出すれば問題ないです。しかし、以下のようなケースは合理的な理由としては認められません。
- 相見積もりを出してくれる企業がない
- 昔から取引を行っている
事前着手承認されたことが確認できる書類を交付申請時に添付
交付決定前に経費を支出するために事前着手申請を行った事業者もいると思います。2021年10月28日より後に事前着手申請した場合は、交付申請の際に作成日が確認できる通知文書の提出が必要です。なお、通知文書はJグランツからダウンロードできます。
また、2021年10月28日以前よりも前に事前着手申請を行った場合は事務局から事前着手承認のメールが届いていますので、メールのスクリーンショットを交付申請では添付するようにしましょう。
ECサイトで購入する場合の交付申請
事業再構築補助金で申請した物品をAmazonや楽天などのECサイトで購入することもできます。たまに誤解されますが、見積書が出せない場合補助対象経費として交付申請できないと言う方がいますが全く問題ありません。事務局は交付申請に関して多くのケースを想定していて、事業者に合わせて柔軟に審査を行っています。
AmazonなどのECの場合も、購入先が他社よりも値段が安いことをスクリーンショットなどで示すことができれば問題ありません。ただし、状況が変わっている可能性もあるため、個別の案件は事務局に電話をして確認をした方が良いでしょう。
中古品を購入する際は交付申請時に見積もりが3社以上必要
中古品を購入する場合、交付申請時に見積もりは3社以上に行わなければいけません。また、注意しなければいけないのは、製造年月日や性能が同程度である必要があります。また、交付申請に必要な見積書は型式や年式が記載されている必要があります。そのため、項目が少しでも見積書同士で異なってしまうと交付申請で不備として戻ってくる可能性が高いです。
事業計画の内容を変更する場合は交付申請時に再度事業計画の修正が必要
事業計画書に経費の詳細が記載されている場合、経費項目を変更した際には交付申請書別紙1だけでなく、事業計画の修正も必要になります。
交付申請で提出する事業計画書には、変更した部分を赤文字で修正して変更した旨も冒頭に記載するなど行うことをお勧めします。できるだけ審査員にわかりやすく伝えるようにしましょう。交付申請は他の提出書類も多く、意外と見落としがちな部分ですので気をつけましょう。
交付申請書別紙2が必要なケース
以下の補助対象経費を計上する場合は交付申請時に提出が必要になります。交付申請書別紙2には、各補助対象経費の発注先と業務内容や指導内容を記述します。業務内容に関しては専門家などの発注先に確認をして交付申請しましょう。
- 技術導入費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
交付申請の見積書の書き方

交付申請で提出する見積書には振り込み手数料は記載しない
事業再構築補助金では、事業実施にかかる振込手数料は対象外となっています。そのため、交付申請を行う際に必要な見積書でも振り込み手数料に関しては合計金額に含まないようにしましょう。
また、割引分も記載しない方が無難です。約数百円という細かい数字にはなりますが、振り込み手数料が記載されていたことにより交付申請が不備になったケースもあるので注意しましょう。
建物費に管理手数料などの項目は交付申請時に記載しない
また、特に建物費を交付申請する際に発生することが多いのですが、建物の管理手数料などの項目の詳細がよく分からない経費に関しては対象外となっています。そのため、交付申請の見積書に記載されている経費項目は補助対象経費であることが審査員に分かりやすい形で記載しましょう。
交付申請で必要な見積書は発注先の押印が必要
中小企業庁が運営しているものづくり補助金や事業再構築補助金、持続化補助金など全て共通なのですが、交付申請に必要な見積書は全て発注先の押印が必要になります。
特段印鑑の指定はされていませんので、デジタル印でも問題ありません。押印がされていない場合も交付申請の不備対象になってしまうため、見積書の作成を依頼する際は注意しましょう。
提出書類が交付申請で差し戻しされるケース

提出書類の誤り
交付申請で提出しなければいけない書類はかなり多いです。そのため、事業再構築補助金事務局のコールセンターが必要書類を誤っているケースや支援機関が間違えている可能性もあります。そのため、補助事業の手引きで必要書類をしっかりと確認するようにしましょう。
相見積もりが不足
事業再構築補助金の交付申請では、相見積もりが50万円以上の経費には合計で3社の見積が必要になります。また、中古品の場合も3社以上の見積もりが必要になります。もし必要な見積書の数がわからない場合は、相見積もりを取れるだけ取って提出しましょう。多い分には特段何も言われません。
見積書の有効期間が短い
一番発生するケースなのですが、事業再構築補助金の交付申請の期間は長く平均で3ヶ月ほど交付決定までかかってしまいます。そのため、見積書も交付決定の期間有効である必要があります。見積書の有効期間が2週間や1ヶ月などですと交付申請の間に見積書の有効期間が切れてしまうので、最低でも3ヶ月、長くて半年ほどの有効期限がある見積書にしましょう。
交付申請が差し戻しになった時の対処法

事務局に交付申請が差し戻しになった理由を聞く
事業再構築補助金の事務局は、申請者や採択者の情報を保有しています。そのため、申請者番号を事務局に伝えることで、交付申請が差し戻しされている理由も回答をしてくれます。その際には、担当者の名前と時刻をメモしておくと良いでしょう。また、事務局がわからないケースは後日折り返しの電話をしてもらうようお願いできますので複雑な場合はそのような形にしましょう。
交付申請に関して専門家に相談
事業再構築補助金の申請をサポートしてくれた専門家に相談することも一つの手であると考えています。その理由として、事務局はあくまでも補助事業の手引きに記載されている内容以外に回答しないケースがほとんどであるため、過去交付申請を数多くサポートしているコンサルタントに質問をしても良いでしょう。ただし、コンサルタントによっては採択までのサポートで交付申請からは有料であるケースも多いです。あらかじめ、コンサルタントにどこまでサポートしてくれるか聞いておくと良いでしょう。
交付申請の必要書類は事業者によって異なる
交付申請はかなり難しい
事業再構築補助金の交付申請は見積書や見積依頼書など必要な書類が多岐に渡ります。また、交付申請の書類を案内している補助事業の手引きに記載されていない書類が必要になるケースもあります。
現に、事業再構築補助金を活用してECサイトで物品を購入する際に他製品のキャプチャーが必要であることなどは一言も述べられていませんでした。柔軟に運用しているとはいえ、必要書類が何かわからなければ交付申請することすらできません。
交付申請のサポートを依頼する場合平均で30万円以上
交付申請だけを外部のコンサルに依頼する場合、平均で20万円から30万円、中には採択額の3%かかるケースもありました。交付申請は実際見積書等を入手するのは事業者になるため、コンサルに別途で依頼して30万円ほど取られてしまうのはかなり高いというのが正直な感想です。事業再構築補助金の実績報告まで対応してもらえる場合はかなり安いですが、そうではないケースがほとんどです。
まとめ
今回は事業再構築補助金の交付申請に関して、いつまでに何が必要なのかなどについて解説をしました。事業再構築補助金の申請を考えている方、またはもうすでに通った方などぜひ本記事を参考にしてみてください。
現在合同会社INUでは、事業再構築補助金の無料相談を行っています。税理士や会計士、中小企業診断士や宅建士など各分野のエキスパートが、お客様に合わせて事業再構築補助金のサポートを行っています。現在事業再構築補助金の無料相談を受け付けておりますので、下記リンクからお気軽にお問い合わせください。