今回は特にご質問の多い建物費について解説していきます。建物費はものづくり補助金や持続化補助金などでは対象にできない事業再構築補助金唯一の経費になっていますので、申請する方はぜひ参考にしてみてくださいね。
事業再構築補助金の建物費とは?

建物の建設やリフォーム、リノベーションにかかる費用のこと
建物費とは、建物の建築、リフォーム、リノベーション、修繕、撤去にかかる費用のことです。用途としては事務所や工場、セントラルキッチン、倉庫などかなり幅広いものとなっています。事業計画の中に建物費が必要な理由を記載することで対象にすることができます。
事業再構築補助金で申請した事業以外に活用することはできない
事業再構築補助金の公募要領には建物費について以下のように記載されています。
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
事業再構築補助金 公募要領
建物費に関しては専ら補助事業のために使用される建物等と記載をされているため、事業再構築補助金で申請した建物は事業計画以外の用途には活用ができないと解釈して良いでしょう。

建物費の対象・金額は?

建物の改修工事がメイン
第6回の公募から、新築である合理的な理由がない限り、新築の建設費は原則補助対象外となりました。第6回以降は事業再構築補助金の建物費は、建物のリノベーションやリフォームなどの改修工事が主な用途となっています。
建物費の申請最大金額は事業者の規模と応募枠で異なる
事業再構築補助金の申請金額が事業者の規模や応募枠によって大きく異なります。事業再構築補助金を申請する際にはどの枠に当てはまるのかを調べ、それにあった金額で申請することをおすすめします。事業者の応募が1,000件以上になると予想されるは通常枠、回復応援再生枠、緊急対策枠になりますので、それらの申請枠3つは少なくとも目を通しておきましょう。
通常枠(下限100万円)
従業員 | 最大補助額 | 補助率 |
20人以下 | 2,000万円 | 中小企業者等 3分の2 中堅企業等 2分の1 |
21人から50人 | 4,000万円 | 中小企業者等 3分の2 中堅企業等 2分の1 |
51人から100人 | 6,000万円 | 中小企業者等 3分の2 中堅企業等 2分の1(4,000万円超は3分の1) |
101人以上 | 8,000万円 | 中小企業者等 3分の2(6,000万円超は2分の1) 中堅企業等 2分の1(4,000万円超は3分の1) |
回復・再生応援枠(下限100万円)
従業員 | 最大補助額 | 補助率 |
5人以下 | 500万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
6人から20人 | 1,000万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
21人以上 | 1,500万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
原油価格・物価高騰等緊急対策枠(下限100万円)
従業員 | 最大補助額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円 | 中小企業者等 4分の3(500万円超は3分の2) 中堅企業等 3分の2(500万円超は3分の2) |
6人から20人 | 2,000万円 | 中小企業者等 4分の3(1,000万円超は3分の2) 中堅企業等 3分の2(1,000万円超は3分の2) |
21人から50人 | 3,000万円 | 中小企業者等 4分の3(1,500万円超は3分の2) 中堅企業等 3分の2(1,500万円超は3分の2) |
51人以上 | 4,000万円 | 中小企業者等 4分の3(1,500万円超は3分の2) 中堅企業等 3分の2(1,500万円超は3分の2) |
大規模賃金引上枠(下限8,000万円)
従業員 | 最大補助額 | 補助率 |
101人以上 | 1億円 | 中小企業者等 3分の2(6,000万円超は2分の1) 中堅企業等 2分の1(4,000万円超は3分の1) |
最低賃金枠
従業員 | 最大補助額 | 補助率 |
5人以下 | 500万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
6人から20人 | 1,000万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
21人以上 | 1,500万円 | 中小企業者等 4分の3 中堅企業等 3分の2 |
グリーン成長枠(下限100万円)
企業の種類 | 最大補助額 | 補助率 |
中小企業等 | 1億円 | 2分の1 |
中堅企業等 | 1.5億円 | 3分の1 |

建物費のポイント

相見積もりが必要
建物費は、入札や相見積もりを必ず行わなければいけません。他の補助対象経費では、可能な範囲において相見積りを取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定をする、すなわち相見積もりができない場合は行わなくても良いと記載されています。しかし、建物費は最低2社の同一条件での見積もりが必須となっています。ただし、理由があって相見積もりを提出できない場合は、選定理由を明らかにした説明書と価格の妥当性を示す書類を用意しなければいけません。
また、補助事業は補助事業実施期間中にすべての手続を完了させなければなりません。特に、建物費にあるような建物の建設や改修には時間がかかるため、見積書などはなるべく早めに準備するのが良いでしょう。
撤去や補修のみへの使用は不可能
これは、主に設備・店舗の撤去・縮小が伴う非製造業の業態転換における経費として利用できます。しかしながら、先述した通り、建物費はあくまでも改修がメインであるため、撤去費用や賃貸契約解除の際の原状回復費用のみの申請は認められていません。
原則減価償却期間内は処分ができない
全ての経費項目に該当するものではありますが、資産性を有するもの(建物やシステムなど減価償却を計上する項目)に関しては税抜きで50万円以上の支出をした場合、原則として処分ができないと記載をされています。どうしても処分しなければいけない場合は、事務局に届出を提出することで処分や売却はできますが、その際に残存している減価償却分は国に返還する必要が出てきてしまいます。ですので、すぐに売却する予定のものを事業再構築補助金で申請して付加価値をつけるのはあまりおすすめできません。
建物費の新築の注意点

原則は改修
何度も述べていますが、建物費用としては原則は建物の改修費用が想定をされています。改修の場合であれば金額も少額になりますし、自社物件やすでに賃貸している場所をリノベーションする場合は保有しているリソースがバリューアップするため、会社の保有している資産の価値も上がり、投資対効果が上がるため、事業計画の点数も高くなりやすいです。
新築は真に必要性が認められたものに限る
それでも新築である必要がある場合は審査事務局になぜ新築でなければならないのかを説明することで認められる場合があります。事業計画に記載することはもちろんですが、別途で新築の必要性に関する説明書が必要になります。wordファイルは公開されていますので下のリンクの中からダウンロードしてみてください。
新築の必要性に関する説明書では主に建物を新築することが補助事業の実施に必要不可欠であることと、既存の建物等を改築する等の代替手段がないことの2項目について説明をする必要があります。説明書も審査項目に含まれますので、申請する際は慎重に検討しましょう。

まとめ
この記事では事業再構築補助金における建物費と申請する際の注意点について説明してきました。合同会社INUでは不動産のプロである宅建士や税理士、中小企業診断士などが様々な観点から事業計画の立案をサポートいたします。また、新築の必要性に関する説明書の記載内容等のご相談も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。

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