【2025.2】中小企業成長加速化補助金の外注費を徹底解説!何をした時に使える経費?

2025年3月末に第1回公募要領が公開される「中小企業成長加速化補助金」には、対象経費に外注費が存在します。外注をうまく活用すれば、自社対応だけでは難しい事業策定もできるようになり、規模や効果がより大きくなる補助事業の実施が可能です。
ただし、これまでの補助金制度の外注費には適用範囲や利用割合について一定の決まりがあり、逸脱すると事業計画の採択が受けられませんでした。中小企業成長加速化補助金でも同じく、外注費の使い方には注意が必要です。
本記事では、中小企業成長加速化補助金の外注費の具体的な使い方や使うときの注意点を解説します。
中小企業成長加速化補助金に関して

中小企業成長加速化補助金とは、2025年より新設された、中堅企業・中小企業向けの補助金制度です。IT導入補助金やものづくり補助金などと比較して最低・最高補助金額が高く、大規模な事業投資を計画する事業者にとっては非常に有用な資金調達になりえるでしょう。
ただし、中小企業成長加速化補助金は補助金の目的や最低投資額などを見ると、申請や採択難易度が高めの補助金だと予想されます。本補助金の採択を受けるには、外注費の使い方を始めとする中小企業成長加速化補助金の基本を理解しておくことが大切です。
以下では、中小企業成長加速化補助金の対象者、補助金額、予想採択率などを解説します。
参考:中小企業庁「中小企業成長加速化補助金」
中小企業成長加速化補助金に関して
中小企業成長加速化補助金の対象者
2025年2月時点で判明している中小企業成長加速化補助金の対象者は、「売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業」です。工場や物流拠点などの新設・増設や、イノベーション創出用の設備導入、自動化などへの投資を支援します。
具体的には、以下の補助事業の要件を満たす必要があります。
- 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
- 「売上高100億円を目指す宣言」を行っていること
- その他、賃上げ要件など
中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査」によると、中小企業の1企業あたり平均売上高は2.1億円です。最低投資額1億円、売上高100億円目標のハードルがいかに高いかがわかります(現時点では宣言だけであり、実際に売上高100億円を達成が要件ではないと推測される)。
上記の事実から、中小企業成長加速化補助金の実質的な対象者は、すでにある程度の規模かつ投資に回せる資金力がある中小企業や、成長市場にてこれから一気にシェアを広げようとしているベンチャー企業などになると予想されます。
また、ほかにも「大企業およびみなし大企業」「暴力団とかかわりがあるなど公序良俗に反する事業者」「過去に補助金で不正受給をした者」などは、申請対象外になるでしょう。
参考:中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査速報」
中小企業成長加速化補助金の補助金額
中小企業成長加速化補助金の補助金額は、最大で5億円です。補助率が1/2であるため、10億円以上の投資を行う事業計画なら、5億円を受け取れます。一方で最低投資額1億円と考えると、最低でも5,000万円は支給される予定です。
IT導入補助金やものづくり補助金などの数百万円~数千万円の補助と比較して、補助金額は非常に高額だと言えます。逆に言えば、億円レベルの投資ができる中小企業が補助対象になります。
中小企業成長加速化補助金の採択率
2025年1月時点ではまだ公募が始まっていないため、中小企業成長加速化補助金の採択率は判明していません。しかし、「補助金額が高く採択1件分だけでも予算から大幅に支出があること」「おおよそ3回実施のうち全体で600者のみに交付されること」を考慮すると、ほかの補助金と比較して採択率は低くなると予想されます。補助金の財源は無限ではなく、組まれた予算がなくなれば原則として交付が終了となるからです。
たとえば中小企業成長加速化補助金と類似する「中堅・中小企業成長投資補助金」の採択率は15%未満とほかの補助金と比べて低めです。IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金はおおよそ50%前後で推移しています。
一方で、本補助金への申請は1億円以上の投資が必要になることから、ほかの補助金と比べて申請する事業者は少なくなると推測されます。
中小企業成長加速化補助金の外注費はどんな経費?

中小企業成長加速化補助金の対象となる経費は、現時点で外注費、建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、専門家経費の5つが公表されています。公募要領が出るのが3月末の予定であるため、1月時点ではまだ詳細な内容が出ていません。
これまでの補助金の傾向を考えると、中小企業成長加速化補助金の対象経費の大枠はほかの国の補助金とそこまで大差ないと予想できます。つまり外注費も、ほかの国の補助金の内容を参考にできる可能性が高いです。ほかの補助金だと、外注費の定義は「補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費」とされています。
逆に、過去の傾向から外注費の対象とならないと予想されるケースを紹介します。
- 企画のみを担当し、ほかのすべてを外注したケース
- 書面による締結がない契約
- 外注先が本事業遂行のために必要な設備を購入した場合の費用
- 外部に販売する量産品を外注する場合の費用
- 機械装置・システム構築費(機械装置等費に分類される可能性が高い)
- 建物関係の費用(建物費に分類される可能性が高い)
外注費の具体的な使い方

中小企業成長加速化補助金の採択事例はまだないものの、過去の採択事例から本補助金で利用できそうな外注費を予想できます。以下では、採択事例を基に中小企業成長加速化補助金の外注費の具体的な使い方を考察します。
なお実際に外注費に該当するかは事務局の判断にもよるため、参考程度にご覧ください。詳細に確認したいときは、事前に専門家へ相談するのがよいでしょう。
外注費の具体的な使い方
改装工事関係
店舗改装、トイレ改装、水道・廃棄工事、従業員の作業スペース改装、バリアフリー化工事など、建物の新築・増改築というより建物の改装工事関係に該当するものは、外注費の対象になる可能性が高いです。
事務費のうち委託・外注費に該当するもの
事務費のうち、補助事業に関するホームページ作成、マーケティングに利用するWebコンテンツ製作、ロゴマークデザイン、WebサービスのUI設計などは委託・外注費に該当する可能性があります。
パンフレット、チラシ、ポスターなどのデザイン費は、広告費や販売促進費として計上すると思われます。
中小企業成長加速化補助金で外注費を使う際の注意

中小企業成長加速化補助金を申請する際、外注費の支出が予定されている場合は、外注費の使い方について事前に注意点を確認しておきましょう。誤った外注費の使い方を事業計画に盛り込むと、事務局からの採択を受けられません。以下では、中小企業成長加速化補助金で外注費を使う際の注意点をまとめました。
中小企業成長加速化補助金で外注費を使う際の注意
投資額要件である1億円以上の中に外注費は含まれない
中小企業成長加速化補助金の申請要件にある投資額1億円以上には、外注費や専門家経費を含めてはなりません。機械装置等費、建物費、ソフトウェア費のみで投資額1億円以上を達成する必要があります。
たとえば建物費7,000万円、外注費4,000万円で合計投資額1億円以上となっても、建物費は1億円未満であるため投資額要件を満たせていないと判断されます。
建物費1億円、外注費4,000万円なら、合計1億円以上かつ建物費のみで1億円以上を達成しているので、合計1億4,000万円を補助対象経費として申請できます。
どんな外注費が対象なのか必ず確認する
建物費や機械装置等費などを比較すると、外注費には具体的な対象や要件が提示されていないケースが珍しくありません。そのため、外注費と外注費にならないものの判断が難しくなります。
中小企業成長加速化補助金の事業計画書に外注費を含めるときは、補助金コンサルティング会社や中小企業診断士、商工会議所・商工会などの専門家に、支出予定の費用が外注費に該当するかを確認してもらうのがよいでしょう。
外注費が高くなりすぎないようにする必要がある
提出する事業計画書における経費の内訳は、外注費が高くなりすぎないよう注意が必要です。外注費の割合が多いと事業者が主体的に補助事業を企画・実施するとはみなされず、不採択となる可能性が出てくるからです。
事業の大部分を外注することはできない場合がある
仮に自社が主体的に補助事業を企画・実施する事業計画書だったとしても、事業の大部分を外注する場合だと、審査する事務局側からの印象はよくはならないでしょう。事業の大部分を外注するのではなく、必要な部分を必要なだけ外注するように計画を策定することが大切です。
また中小企業成長加速化補助金では、事業実施体制として「事業全体の企画および立案ならびに根幹にかかわる執行管理部分の委託・外注をしていないか」と指定されています。また、事務費に対する委託・外注費の合計の割合が50%を超えているときは、相当の理由が求められます。
外注先の設備投資には利用できない可能性が高い
補助事業実施のために外注する場合でも、外注先が依頼に対応するために支出した設備投資は原則として対象経費にはなりません。たとえば補助事業に必要な新しい機械の製作について外注した際、外注先がその新しい機械を制作するための専用機器を1,000万円で購入する場合でも、1,000万円は補助対象外です。
外注先との契約は書面で残しておく
中小企業成長加速化補助金の外注費を計上するには、外注先との契約に関するものは書面として締結しましょう。外注費が本当かどうかを、事務局は書面で確認するからです。もし書面で契約内容を残していないと、外注した事実が証明できず、補助経費として認められない可能性が高くなります。
事前に見積もりを取得しておくのが便利
外注費の見積もりは、事前に取得しておくのが便利です。補助事業実施する際に見積もりを取得しておけば、すぐに発注や納入などに進めます。補助金の補助事業は実施期間が決まっている場合が多いため、事前に見積りを取得して、少しでも早めに取り掛かって期間内に終わらせられるようにしましょう。
また事前に見積りを取得しておけば、事業計画書との経費額の差異確認や事業計画書の提出前の見直し用に利用できます。
なお中小企業成長加速化補助金では、委託・外注を行う業務ごとに、最低2枚の見積書または選定理由書の添付が提出書類として求められています。
販売、レンタルするための量産品の加工の外注はできないことがある
原則として、販売、レンタルするための量産品の加工の外注は外注費の対象になりません。これらの経費は、補助事業のための経費ではなく、生産に必要なコストだと判断されるケースがほとんどだからです。
株式会社補助金プラスでは外注費の利用方法についてのご相談を受付中
弊社「株式会社補助金プラス」は、中小企業成長加速化補助金の事業計画や申請などについてコンサルティングサービスを提供しています。株式会社補助金プラスは、事業再構築補助金やものづくり補助金など、さまざまな補助金申請をサポートしてきた補助金申請のエキスパートです。
<株式会社補助金プラスの強み>
- 事業再構築補助金(現新事業出身補助金)や、ものづくり補助金の補助金の採択率90%
- オンライン対応で全国の事業者様のサポート
- オプションで採択後にある実績報告等もサポート
- 公認会計士といった各業種ごとに特化した専門家が対応
- 着手金10万円、成功報酬10%と補助金申請コンサル業界の最安値でサービスを提供
補助金プラスなら、「外注費か否かの判断」「事業のための効果的な外注費の使い方」「補助対象経費として計上可能な外注費のバランス調整」など、中小企業成長加速化補助金の外注費に関するあらゆる面での相談を受け付けています。
また補助金プラスでは、中小企業成長加速化補助金に申請すべきかといったスタートの部分のご提案を含めて、初回無料相談での受付が可能です。まずはお気軽に無料診断等からご利用ください。
まとめ
中小企業成長加速化補助金の外注費は、ほかの補助金と同じような扱い方になると予想されます。事業計画に外注費を組み込むときは、以下の点に注意しましょう。
- 外注費や専門家経費以外の経費で投資額要件の1億円以上を達成すること
- 外注費を適切に抑えて、事務局から主体性なく事業をしているとマイナスイメージを持たれないようにすること
- 外注費の対象内・対象外について公募要領や専門家の意見を確認すること
- 外注先との契約は書面で残したり見積もりは早めに取得したりなどを意識すること
中小企業成長加速化補助金の申請では、外注費をうまく活用して事務局の採択を受けられる事業計画書を作成しましょう。