【2025.10】新事業進出補助金で一貫生産体制実現！新事業のためのスムーズな資金調達方法

新事業進出補助金を活用して一貫生産体制を構築したいと考えている方も多いでしょう。

この記事では、新事業進出補助金の概要から申請方法、活用事例、そして補助金以外の資金調達方法まで、一貫生産体制実現のための資金調達をスムーズに進めるための情報を網羅的に解説します。補助金の対象となる事業や補助金額、補助率はもちろん、申請に必要な書類や注意点、採択率を高めるポイントなども具体的に説明します。

ぜひ本記事を参考に、新事業進出補助金を最大限に活用し、目標とする一貫生産体制を実現させてください。

一貫生産体制構築にも使える新事業進出補助金とは？

新事業進出補助金は、中小企業などが新たな事業展開を図る際に、設備投資や人材育成等に必要な経費の一部を補助する制度です。 事業の多角化や新分野進出を促進し、経済の活性化を目的としています。

補助対象となる事業は幅広く、革新的な技術やサービスの開発、新たな市場への参入など、多様な事業展開を支援します。

新事業進出補助金の概要

新事業進出補助金は、中小企業庁が運営している補助金制度で、2025年から募集開始します。

補助金の交付は、公募方式で行われ、審査を経て採択された事業者が補助対象となります。 補助金には交付要件があり、事業計画の妥当性や実現可能性、地域経済への波及効果などが評価されます。補助金の申請はかなり複雑で難しいので、事前の準備が重要です。

新事業進出補助金の対象者

新事業進出補助金の対象者は、中小企業基本法に定める中小企業者です。 具体的には、資本金の額または出資の総額が３億円以下の会社、常時使用する従業員の数が300人以下の会社などが該当します。

 個人事業主なども対象になると考えられています。 ただし、大企業の子会社や関連会社などは対象外となるケースもありますので、詳細は公募要項を確認しておきましょう。

新事業進出補助金の対象事業

新事業進出補助金の対象事業は、新規性、独創性、成長性のある事業であることが求められます。 例えば、新製品・新サービスの開発、新たな販路開拓、生産プロセスの革新などが該当します。 単なる既存事業の拡張や設備の更新などは対象外となります。 

また、地域経済への貢献や雇用創出効果なども評価の対象となります。 具体的な対象事業は、各年度の公募要項で確認する必要があります。

新事業進出補助金の補助金額と補助率

新事業進出補助金の補助金額と補助率は、事業の内容や規模、対象者によって異なります。 一般的には、補助率は1/2で、補助金額は750万円〜9,000万円です。 公募回によっては、補助率や補助金額が変わる可能性があります。

新事業進出補助金を活用して一貫生産体制を作り上げるメリットとデメリット

一貫生産体制とは、製品の原材料調達から製造、販売までを一貫して行う体制のことです。この体制には、メリットとデメリットの両方があります。事業計画を立てる際には、両方を理解した上で、自社にとって最適な体制を選択することが重要です。

一貫生産体制のメリット

一貫生産体制には、主に以下の3つのメリットがあります。

コスト削減

中間マージンの削減により、コスト削減効果が期待できます。原材料の調達から販売までを一社で行うため、中間業者を介する必要がなくなり、その分のコストを削減できます。また、生産工程の効率化や在庫管理の最適化もコスト削減に繋がります。

品質管理の向上

全工程を自社で管理することにより、品質管理を徹底できます。生産工程全体を把握できるため、品質問題発生時の原因究明や対策が迅速に行えます。また、各工程での品質基準を統一することで、製品全体の品質向上に繋がります。

納期短縮

社内での連携がスムーズになり、納期短縮が可能になります。各工程間の情報伝達が迅速に行われるため、生産リードタイムを短縮できます。また、顧客のニーズに合わせた柔軟な生産体制を構築することで、より迅速な納品を実現できます。

一貫生産体制のデメリット

一貫生産体制には、主に以下の2つのデメリットがあります。

初期投資の大きさ

設備投資や人材育成に多額の初期投資が必要になります。原材料調達から販売までの全ての工程を自社で行うためには、各工程に必要な設備を導入し、人材を育成する必要があります。そのため、初期投資の負担が大きくなる可能性があります。

需要変動への対応の難しさ

需要の変動に柔軟に対応することが難しい場合があります。一貫生産体制では、生産量が需要に左右されやすいため、需要が減少した場合には、過剰在庫を抱えるリスクがあります。また、需要が急増した場合には、生産能力が追いつかず、機会損失に繋がる可能性があります。そのため、需要変動のリスクを考慮した事業計画を策定することが重要です。

項目	メリット	デメリット
コスト	中間マージンの削減	初期投資の大きさ
品質	全工程の自社管理による品質向上	–
納期	社内連携による納期短縮	–
需要変動	–	需要変動への対応の難しさ

これらのメリット・デメリットを踏まえ、自社の事業内容や経営資源、市場環境などを考慮し、一貫生産体制を導入するかどうかを判断する必要があります。新事業進出補助金などを活用することで、初期投資の負担を軽減し、一貫生産体制の構築をスムーズに進めることができるでしょう。

補助金を活用した一貫生産体制構築事例

補助金を活用して、一貫生産体制を構築した企業の事例を具体的に紹介します。これらの事例は、補助金の活用方法や事業計画作成のヒントとして参考になるでしょう。

事例1 食品製造業A社（埼玉県）

埼玉県で豆腐を製造・販売するA社は、これまで大豆の仕入れから加工、包装、出荷まで外部委託していました。しかし、品質管理の難しさやコスト高騰に悩まされていたため、補助金を活用し、自社工場を建設して一貫生産体制を構築しました。補助金により最新の豆腐製造設備を導入したことで、製造工程におけるロスを削減し、高品質な豆腐を安定供給できるようになりました。また、製品の付加価値を高めることで、売上増加にも繋がっています。

項目	補助金活用前	補助金活用後
生産体制	外部委託	自社一貫生産
品質管理	委託先依存	自社管理
コスト	高	低
売上	低い	高い

事例2 機械製造業B社（愛知県）

愛知県で自動車部品を製造するB社は、これまで部品の切削、研磨、塗装をそれぞれ別の業者に委託していました。しかし、納期管理の煩雑さやコスト高騰が課題となっていました。そこで、補助金を活用し、切削から塗装までを一貫して行える最新鋭の設備を導入。これにより、リードタイムを大幅に短縮し、顧客ニーズへの迅速な対応が可能になりました。また、品質管理の徹底により、不良品発生率も大幅に減少しました。結果として、顧客からの信頼獲得、受注増加に成功しています。

項目	補助金活用前	補助金活用後
生産体制	外部委託	自社一貫生産
納期	長	短
品質	不安定	安定
顧客満足度	低い	高い

これらの事例のように、補助金を活用することで、一貫生産体制の構築による様々なメリットを享受できます。自社の状況に合わせて、効果的な活用方法を検討することが重要です。

新事業進出補助金で一貫生産体制を構築する際の申請方法と注意点

新事業進出補助金の申請は、事業計画の策定から始まり、申請書類の提出、審査、交付決定といった流れで行われます。補助金の交付を受けるためには、適切な申請手続きと綿密な事業計画の立案が不可欠です。ここでは、申請に必要な書類、申請の流れ、そして申請における注意点について詳しく解説します。

申請に必要な書類

申請に必要な書類は、事業計画書をはじめ、収支計画書、登記事項証明書など多岐にわたります。以下に主な書類をまとめました。

事業計画書は、新事業の内容、市場分析、競合分析、収益性などを記載した計画書で、最も重要な書類です。事業の成功可能性を具体的に示す必要があります。

収支計画書は、売上計画、費用計画、資金計画などを記載した計画書で、事業の収益性を示す重要な書類です。現実的な数値を根拠に基づいて記載する必要があります。

登記事項証明書は、法人の登記内容を証明する書類で、法務局で取得できます。

定款は、会社の目的や組織などを定めた書類で、変更がある場合は最新版を提出します。

直近の決算書は、会社の財務状況を示す書類で、会社の経営状況を把握するために必要です。

金融機関による確認書は、金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合に必要な書類です。金融機関等からの資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する場合は提出不要です。

上記以外にも、補助金の種類や事業内容によっては追加で書類が必要となる場合があります。必ず公募要領を確認し、必要な書類を漏れなく準備しましょう。

申請の流れ

新事業進出補助金の申請は、以下の流れで行われます。

1. 公募：第2回公募は令和7年9月12日（金）から令和7年12月19日（金）18:00まで（厳守）となっています。
2. 申請（電子申請）：電子申請システムを利用して申請書類を提出します。
3. 補助金交付候補者の採択通知：審査結果が通知されます。
4. 交付申請：採択された場合、交付申請を行います。
5. 交付決定：補助金額が確定します。
6. 補助事業実施期間（状況報告）：交付決定日から14か月以内（ただし採択発表日から16か月以内）に補助事業を実施します。
7. 実績報告：事業完了後、実績報告書を提出します。
8. 確定検査（交付額の確定）：実績報告に基づき、交付額が確定します。
9. 補助金の請求：確定検査後、補助金を請求します。
10. 補助金の支払：補助金が支払われます。
11. 事業計画期間 事業化状況報告等報告（5年間）：補助事業終了後、5年間にわたり事業化状況を報告します。

申請から交付決定までには数ヶ月かかる場合もあります。スケジュールに余裕を持って準備を進めることが重要です。また、補助金の交付は事業完了した後になるので注意しましょう。

新事業進出補助金申請の注意点

新事業進出補助金の申請においては、いくつかの注意点があります。これらの注意点を理解しておくことで、採択率を高めることができます。

事業計画の具体性

事業計画は、審査における最も重要なポイントです。新事業の内容、目標、市場分析、競合分析、収益性などを具体的に記載する必要があります。あいまいな表現や根拠のない数値は避け、実現可能性の高い計画を立てましょう。

新事業進出要件の理解

新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義を正しく理解することが重要です。製品等の新規性要件として、事業により製造等する製品等が事業を行う中小企業等にとって新規性を有するものであること、市場の新規性要件として、事業により製造等する製品等の属する市場が事業を行う中小企業等にとって新たな市場であること、新事業売上高要件として、事業計画期間最終年度において新たに製造等する製品等の売上高または付加価値額が応募申請時の総売上高の10％または総付加価値額の15％を占めることが見込まれることが必要です。

既存の製品等の製造量または提供量を増大させる場合、過去に製造していた製品等を再製造等する場合、単に既存の製品等の製造方法を変更する場合などは、製品等の新規性要件に該当しません。また、既存の製品等と対象とする市場が同一である場合、既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合、既存の製品等が対象であって単に商圏が異なるものである場合などは、市場の新規性要件に該当しません。

付加価値額要件と賃上げ要件

補助事業終了後3～5年の事業計画期間において、付加価値額（または従業員一人当たり付加価値額）の年平均成長率が4.0％以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要です。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

また、賃上げ要件として、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させるか、または給与支給総額の年平均成長率を2.5％以上増加させることが求められます。目標値を従業員等に対して表明し、事業計画期間最終年度においていずれかの目標値を達成する必要があります。目標値未達の場合、補助金返還義務があります。

事業場内最賃水準要件とワークライフバランス要件

補助事業終了後3～5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。目標値未達の場合、補助金返還義務があります。

また、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していることが求められます。応募申請時までに、一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」に申請締切日時点で有効な計画を公表する必要があります。

採択率を高めるポイント

採択率を高めるためには、以下のポイントに注意しましょう。

新規性・独創性：補助事業で取り組む新規事業により製造または提供する新製品等のジャンル・分野の社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか、または同一のジャンル・分野の中で高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであることを明確に示す。

成長性：補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか、成長が見込まれる市場かを示す。

地域貢献：地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、大規模な雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できることを示す。

実現可能性：事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証し、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当であることを示す。最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できることも重要です。

公的補助の必要性：川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業であることを示す。補助事業として費用対効果が高いことも評価されます。

政策面：経済社会の変化に伴い、今後より市場の成長や生産性の向上が見込まれる分野に進出することを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか、先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国の経済成長・イノベーションを牽引し得るかを示す。

加点項目の活用：パートナーシップ構築宣言、くるみん認定、えるぼし認定、アトツギ甲子園出場、健康経営優良法人2025認定、技術情報管理認証制度認証、成長加速マッチングサービス登録、再生事業者、特定事業者など、加点項目に該当する場合は積極的にアピールする。

減点項目の回避：加点項目要件未達事業者、過剰投資、他の補助事業の事業化が進展していない事業者、容易に製造等が可能な新製品等を製造等する場合などは減点対象となるため注意する。

これらのポイントを踏まえ、審査員に事業の魅力を効果的に伝えることが重要です。また、公募要領を熟読し、求められている内容を的確に理解することも大切です。

一貫生産体制を行う際の新事業進出補助金以外の資金調達方法

新事業進出補助金以外にも、新たな事業を始めるにあたって活用できる資金調達方法は複数存在します。それぞれのメリット・デメリットを理解し、事業の特性や状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。資金調達方法を検討する際には、返済の必要性の有無、金利負担の有無、審査の難易度、調達スピードなどを総合的に判断しましょう。

補助金以外の資金調達方法

補助金以外の資金調達方法として、代表的なものをご紹介します。

資金調達方法	概要	メリット	デメリット	向いている事業
日本政策金融公庫	政府系金融機関であり、新規事業や中小企業の資金調達を支援しています。	低金利	審査が比較的厳格	成長性が見込まれる事業、創業間もない事業
信用保証協会	民間金融機関からの融資を受ける際に保証人となり、企業の資金調達をサポートします。	融資を受けやすくなる	保証料が発生する	担保が少ない事業、創業間もない事業
民間金融機関（銀行等）	融資による資金調達を提供しています。	スピーディーな融資が可能	金利が比較的高め	実績があり、返済能力の高い事業
ベンチャーキャピタル	未上場企業に対して出資を行う投資会社です。	多額の資金調達が可能	経営への関与が生じる	高い成長性が見込まれる事業、イノベーション性の高い事業
クラウドファンディング	インターネットを通じて、不特定多数の人々から資金を募る方法です。	資金調達と同時にPR効果も期待できる	目標金額に達しない場合、資金調達できない	社会貢献性の高い事業、革新的な製品・サービス開発

資金調達方法の選び方

最適な資金調達方法は、事業の規模や成長性、経営状況、資金使途などによって異なります。以下のポイントを考慮して選択しましょう。

• 必要な資金の規模：小規模な資金であれば、日本政策金融公庫や信用保証協会の利用を検討し、大規模な資金であれば、民間金融機関やベンチャーキャピタルの出資を検討する。
• 返済能力：安定した収益が見込める場合は、融資による資金調達を検討し、返済能力に不安がある場合は、補助金や助成金の活用を検討する。
• 事業の成長性：高い成長性が見込まれる場合は、ベンチャーキャピタルの出資を検討する。
• 資金使途：設備投資には長期の融資、運転資金には短期の融資、研究開発には補助金や助成金など、資金使途に合わせた調達方法を選択する。

複数の資金調達方法を組み合わせることも有効です。例えば、設備投資の一部を補助金で賄い、残りを融資で調達するといった方法も考えられます。専門家（金融機関、コンサルタント等）に相談することで、より適切な資金調達方法を選択できるでしょう。

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まとめ

この記事では、新事業進出補助金を活用して一貫生産体制を構築する方法について解説しました。新事業進出補助金は、新規事業への進出を支援する国の補助金制度です。補助対象となる事業は幅広く、一貫生産体制の構築に必要な設備投資や人材育成にも活用できます。

一貫生産体制を構築することで、コスト削減、品質管理の向上、納期短縮といったメリットが期待できますが、初期投資の大きさや需要変動への対応の難しさといったデメリットも存在します。そのため、事業計画を綿密に立て、補助金を効果的に活用することが重要です。補助金以外にも、日本政策金融公庫や信用保証協会、民間金融機関といった資金調達方法も検討し、自社の状況に合った最適な方法を選択しましょう。新事業進出補助金を活用し、計画的に一貫生産体制を構築することで、事業の成功確率を高めることが期待できます。