【2024.4】IT導入補助金ではいくら補助される?補助率や補助額について徹底解説!

IT導入補助金 いくら

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の労働生産性を上げることを目的に、業務効率化やDX化に向けたITツール導入を補助してくれる制度です。

補助金を活用すればいくらまで補助してもらえるのか、気になっている方も多いでしょう。本記事では、IT導入補助金の補助額や補助率について補助金の概要も含めて解説します。

この記事を読むと
  • IT導入補助金の概要がわかる
  • IT導入補助金の具体的な補助率、補助額がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次
IT導入補助金

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは?

IT導入補助金の概要について、まずは以下で説明します。

IT導入補助金とは?

ITツールの導入を支援してくれる補助金

IT導入補助金とは、中小企業、小規模事業者を対象に労働生産性を上げることを目的とした業務効率化、DX化を進めることのできるITツールの導入費用の一部を補助してくれる補助金制度です。以下が公式の2024年度版事務局サイトです。
IT導入補助金2024

申請枠が4つあり、それぞれ目的や導入できるツールが異なるので、事業者の持つ経営課題に合わせて枠を選ぶことができます。

複数社連携IT導入枠以外で申請できるツールは、事務局の審査を事前に通過しているものに限られます。またそれらの申請枠では、申請〜受給後の報告まで、IT導入補助金の活用をサポートしてくれる「IT導入支援事業者」をパートナーシップを結び、共同で行う必要があります。

IT導入補助金を活用するには申請後に採択される必要があり、誰でも活用できるわけではありません。補助金を活用してどのように自社の業務効率化やDX化に取り組んでいくのかをしっかり示し、採択される必要があります。

IT導入補助金の4つの申請枠

IT導入補助金の申請枠は以下の4つです。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

インボイス枠のみ2つの類型に分かれています。年度ごとに申請枠の種類や類型は異なりますが、2024年は上記の申請枠、類型が設置されています。

詳しくは後述しますが、申請枠ごとに補助率や補助額が異なります。自分の申請したい申請枠ではいくら補助してもらえるのか、しっかり確認してから申請しましょう。

IT導入補助金の対象経費

IT導入補助金の対象経費も、申請枠ごとに異なります。基本的にはITツールの導入費が対象経費ですが、その他オプション等や申請枠によってはハードウェアの購入費にも使えます。具体的には以下のとおりです。

  • 通常枠
補助対象詳細
ソフトウェアソフトウェア購入費
クラウド利用料(最大2年分)
導入関連費(オプション)機能拡張やデータ連携ツールの導入
セキュリティ対策実施に係る費用
導入関連費(役務の提供)導入コンサルティング
導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポートに係る費用
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
補助対象詳細
ソフトウェア(必須)インボイス制度に対応し、「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するソフトウェア
オプション機能拡張
データ連携ツール
セキュリティ
役務導入コンサルティング
導入設定 / マニュアル作成 / 導入研修
保守サポート
ハードウェアPC / タブレット / プリンター / スキャナ / 複合機
POSレジ / モバイルPOSレジ / 券売機
※ハードウェアを補助対象として申請する場合は、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること。
  • インボイス枠(電子取引類型)
補助対象詳細
受発注ソフトインボイス制度に対応した受発注の機能を有しているものであり、
かつ取引関係における発注側の事業者としてITツールを導入する者が、
当該取引関係における受注側の事業者に対してアカウントを無償で発行し、
利用させることのできる機能を有するクラウド型のソフトウェア
クラウド利用料(最大2年分)
  • セキュリティ対策推進枠
補助対象詳細
ITツールの導入費用及び、サービス利用料(最大2年分)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスをメインのITツールとした申請
サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト
  • 複数社連携IT導入枠
補助対象詳細
基盤導入経費ITツール:「会計・受発注・決済」の機能を保有するソフトウェアと
そのオプション、役務およびそれらの使用に資するハードウェア
消費動向等分析経費異業種間の連携や地域における
人流分析・商取引等の面的なデジタル化に資するソフトウェアと
そのオプション、役務、ハードウェア
その他経費参画事業者のとりまとめに係る事務費、専門家費

引用:IT導入補助金2024

それぞれの申請枠の補助対象経費や目的等をしっかり確認し、適切な枠で申請しましょう。

IT導入補助金の採択率

IT導入補助金を活用するなら、審査に通過する必要があるということは先述したとおりです。では、どれほどの事業者が採択されているのでしょうか。

2023年のIT導入補助金の採択率は、55〜80%程度です。申請枠によって開きがありますが、大体2社に1社は採択されているようです。

以下に2023年の申請者数や交付決定者数が掲載されています。自分の申請する枠はどの程度の人数が採択されるのか確認しておくのがおすすめです。
IT導入補助金2023 交付決定事業者一覧

IT導入補助金の申請方法・スケジュール

IT導入補助金の申請、受給には以下の手順を踏まなくてはなりません。

  • gBizIDプライムアカウントを取得する
  • SECURITY ACTIONの宣言をする
  • みらデジ経営チェックを行う
  • 導入するITツールとIT導入支援事業者を決定する
  • IT導入支援事業者と共同で申請書類を準備・作成し提出する
  • 採択される
  • 補助事業を開始する
  • 事業実績報告をする
  • 補助金の交付を受ける
  • 事業実施効果報告をする

申請時にはgBizIDプライムアカウントの取得やSECURITY ACTIONの宣言など、やらなくてはならないことがたくさんあります。特にgBizIDプライムアカウントは取得までに2週間程かかるため、早めに準備をしておきましょう。

また、注意したいのがIT導入補助金は採択後にすぐ受け取れるわけではないということです。採択後に補助事業を開始し、事業実績報告をしたあとに初めて補助金の交付を受けることができます。補助金の受取時期を事前によく確認しておきましょう。

現在、複数社連携IT導入枠以外は2次締切分の申請を受け付けています(3/27現在)。2次締切分のスケジュールは以下のとおりです。

締切日(2次締切分)交付決定日事業実施期間事業実績報告期限
通常枠4月15日 (月) 17:005月27日 (月) (予定)交付決定~
11月29日 (金) 17:00
11月29日 (金) 17:00
インボイス枠
(インボイス対応類型)
3月29日 (金) 17:005月8日 (水) (予定)交付決定~
10月31日 (木) 17:00
10月31日 (木) 17:00
インボイス枠
(電子取引類型)
4月15日 (月) 17:005月27日 (月) (予定)交付決定~
11月29日 (金)
11月29日 (金)
セキュリティ対策推進枠4月15日 (月) 17:005月27日 (月) (予定)交付決定~
11月29日 (金) 17:00
11月29日 (金) 17:00
参照:IT導入補助金2024 事業スケジュール

複数社連携IT導入枠のみ、1次締切分を募集中です。以下のスケジュールです。

締切日(2次締切分)交付決定日事業実施期間事業実績報告期限
複数社連携IT導入枠4月15日 (月) 17:005月27日 (月) (予定)交付決定~
11月29日 (金) 17:00
11月29日 (金) 17:00
参照:IT導入補助金2024 事業スケジュール

申請する際は、必ず事前にスケジュールを確認して遅れないように準備しましょう。

IT導入補助金の補助額と補助率

IT導入補助金の補助額と補助率

では、IT導入補助金では結局いくら補助してもらうことができるのでしょうか。以下で補助額と補助率について詳しく説明します。

IT導入補助金の補助額と補助率

補助額と補助率は申請枠・類型ごとに異なる

先述したとおり、補助額と補助率は申請枠や類型ごとに異なります。また、申請枠によってはハードウェアなど購入するものによって補助額、補助率が変わることもあります。

①通常枠の補助率・補助額

通常枠では、導入するITツールの持つプロセス数によって補助額が変わります。具体的には以下のとおりです。

必要なプロセス数1以上4以上
補助率1/2以内1/2以内
補助額5万円以上150万円未満150万円以上450万円以下
引用:IT導入補助金2024

プロセス数とは、ITツールを活用して生産性や効率を上げる業務工程のことを指します。4つ以上のより多いプロセス数を持つITツールを導入するなら、最大450万円の補助額を受け取ることができます。

2023年までは通常枠も類型によって分かれており、A類型とB類型がありました。その二つの類型で受け取れる補助額やプロセス数も異なっていたのですが、2024年は類型はなくなり、プロセス数によって補助額に違いが出ています。補助率はどちらも1/2以内です。

②インボイス枠(インボイス対応類型)の補助率・補助額

次に、インボイス枠のうちのインボイス対応類型の補助額、補助率について説明します。

まず、必須であるインボイス制度に対応した会計、受発注、決済のソフトウェアの導入費については以下のような補助額、補助率になっています。

補助率3/4以内(中小企業)、4/5以内(小規模事業者)2/3以内
補助額50万円以下50万円超〜350万円以下
引用:IT導入補助金2024

補助率が通常枠よりもインボイス枠(インボイス対応類型)のほうが大きくなっています。

補助額が3/4以内(中小企業)、4/5以内(小規模事業者)の場合の補助額50万円以下については、導入するソフトに会計、受発注、決済のうちの1機能以上が入っていることが要件です。また、補助率2/3以内の場合の補助額について、50万円以下分については補助率3/4(小規模事業者は4/5)、50万円を超える分については補助率2/3となります。こちらは会計、受発注、決済のうちの2機能以上を備えたソフトの導入が必要です。

次に、導入したソフトウェアを使用するためのハードウェアも補助金で購入する際は、以下のような補助額、補助率です。

PC・タブレット等レジ・券売機等
補助率1/2以内1/2以内
補助額10万円以下20万円以下
引用:IT導入補助金2024

ハードウェアの導入は必須ではないですが、もしも導入する際は上記のような補助額を受け取ることができます。

③インボイス枠(電子取引類型)の補助率・補助額

インボイス枠のうち、電子取引類型の補助率と補助額は以下のようになっています。

補助率2/3以内(中小企業、小規模事業者等)1/2以内(その他事業者等)
補助額〜350万円以下(下限なし)〜350万円以下(下限なし)
引用:IT導入補助金2024

対象になるのは、インボイス制度に対応した受発注システムです。

例として、もしも2年間の利用料が300万円のITツールを導入し、受注側のアカウントを5つ契約、そのうちの4つを中小企業もしくは小規模事業者に共有した場合の補助対象経費、補助額は以下のようになります。

補助対象経費:300万円 × 4 / 5 = 240万円

補助額:240万円 × 2 / 3以内 = 160万円以下

つまり、160万円以下の補助金を受け取ることができます。

もし、申請者(補助事業者)が中小企業、小規模事業者ではなくその他の事業者に該当する場合、上記の例だと補助額が以下のように変わります。

補助額:240万円 × 1 / 2以内 = 120万円以下

このように、インボイス枠の電子取引類型の補助率は事業者の種類によって違います。

④セキュリティ対策推進枠の補助率・補助額

セキュリティ対策推進枠の補助率、補助額は以下の通りです。

補助率1/2以内
補助額5万円以上100万円以下
引用:IT導入補助金2024

セキュリティ対策推進枠で導入できるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているもののうち、IT導入支援事業者が提供しているもので、かつ事務局から事前に登録されているものに限られます。自分でツールを選ぶことはできないので注意しましょう。

⑤複数社連携IT導入枠の補助率・補助額

複数社連携IT導入枠の補助率、補助額は補助対象経費ごとに細かく異なります。

まず、以下は補助経費のうち基盤導入経費の補助率と補助額です。

  • 基盤導入経費
ソフトウェアソフトウェアハードウェア(PC・タブレット等)ハードウェア(レジ・券売機等)
補助率3/4以内(中小企業)、4/5以内(小規模事業者)2/3以内1/2以内1/2以内
補助額50万円以下×グループ構成員50万円超〜350万円以下×グループ構成員10万円以下×グループ構成員20万円以下×グループ構成員
引用:IT導入補助金2024

ソフトウェアの補助率について、50万円以下については補助率は3/4以内(中小企業)、4/5以内(小規模事業者)となりますが、50万円を超える額は補助率2/3以内になります。

以下は消費動向等分析経費の補助率、補助額です。

  • 消費動向等分析経費
補助率2/3以内
補助額50万円以下×グループ構成員
引用:IT導入補助金2024

なお、基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計額は3000万円が上限と定められています。

その他の経費は以下のような補助率、補助額です。

  • その他の経費
補助率2/3以内
補助額200万円以下
引用:IT導入補助金2024

その他の経費の上限額は、基盤導入経費と消費動向等分析費の合計額×10%×2/3(補助率)または200万円のいずれか小さい額と定められています。

インボイス対応類型の補助額は「補助金シミュレーター」で算出可能

上記のように、申請枠ごとに補助してもらえる金額は変わりますしどんなソフトを導入するかによっても金額はことなります。そのため、実際はいくら補助してもらえるのかあまり検討がつかないという方も多いでしょう。

そんなときに便利なのが、IT導入補助金事務局の補助金シュミレーターです。補助金シュミレーターでは、インボイス対応類型に限り補助申請可能額をシュミレーションできる機能です。

導入する予定のソフトウェアについている機能や補助対象経費、ハードウェアの購入費用を入力すると、補助申請可能額を確認することができます。もしも、インボイス対応類型に申請を考えている方がいたら一度シュミレーションで補助額を出してみるとイメージがつきやすいでしょう。

IT導入補助金2024 補助金シュミレーター

INU株式会社ではIT導入補助金申請の支援を行なっています

INU株式会社では、IT導入補助金を申請する方に向けた申請サポート、支援を行なっています。これまでに多くの事業者様のサポートをしてきた実績があり、その採択率はなんと90%と他社ではない数値です。事業者様の現状をしっかりヒアリングし、強みを生かして採択されやすい書類の作成などをお手伝いします。

また、基本的にオンラインで対応するので、全国どこの事業者様の相談にものることができます。現在、初回の無料相談も受け付けています。

もしもIT導入補助金の申請を考えている事業者様がいたら、お早めにINU株式会社にご相談ください。採択につながるサポートをさせていただきます。

まとめ

IT導入補助金は会社のDX化や業務効率化に使用するソフトウェア導入をサポートしてくれる補助金制度です。いくらもらえるか、補助率などは申請枠や導入するソフトウェアによって変わります。申請前に、申請予定の枠でいくら補助してもらうことができそうか事前に確認しておくのをおすすめします。

これから自社のDX化に向けてソフトウェア等を導入したいと考えている方は、ぜひIT導入補助金の活用を検討してみてください!

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