【2024.5】個人事業主もIT導入補助金を活用できます!申請時の注意点を6つ解説!

IT導入補助金 ECサイト

IT導入補助金は中小企業や小規模事業者に向けた補助金制度ですが、個人事業主でも申請したいと考えている方は多いでしょう。

IT導入補助金は、個人事業主でも活用することができるのです。

本記事では、IT導入補助金の概要や個人事業主が申請する際の注意点を解説します。

この記事を読むと
  • IT導入補助金は個人事業主も申請できることがわかる
  • IT導入補助金に個人事業主が申請する際の必要書類がわかる
  • IT導入補助金に個人事業主が申請する際の注意点がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

IT導入補助金

個人事業主も申請できるIT導入補助金とは?

個人事業主も申請できるIT導入補助金とは、どのような補助金制度なのでしょうか。以下で詳しく解説します。

業務効率化、DX化を進めるためのITツール導入費を補助してくれる制度

IT導入補助金は、中小企業、小規模事業者が労働生産性をアップできるように業務効率化、DX化を進めることができるITツールの導入費用を補助してくれるものです。事業者が抱えるそれぞれの経営課題をITツール導入によって解決し、業務効率化やDX化を進める目的があります。

導入することができるツールは、事前にIT導入補助金事務局の審査を通過し、ホームページに公開されているものが対象です(複数社連携IT導入枠は除く)。導入費用の他、サポート費用、クラウドサービスの利用料も補助してもらうことができます。

補助金に申請する際は、補助金の申請〜活用をサポートしてくれるIT導入支援事業者と協力しながら手続きを行なっていくことになります。

さまざまなITツールが登録されているので、事業をデジタル化したい個人事業主も活用しやすい補助金と言えるでしょう。また、返済不要な補助金である点も大きな魅力です。

IT導入補助金の4つの申請枠と対象経費

IT導入補助金には以下の4つの申請枠があります。インボイス枠はインボイス対応類型、電子取引類型の2つの類型に分かれています。

申請枠概要補助対象
通常枠自社の課題やニーズに合わせてITツール導入を補助してくれる申請枠。
運営から指定されている業務プロセスを1つ以上保有するITツールを導入することが可能。
顧客対応、決済、会計など定められた業務プロセスのうち1種類以上を保有するソフトウェアの導入費やオプション費用、それに伴う導入関連費。
インボイス枠
(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した取引のデジタル化を目的とし、会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアの導入経費の一部を補助してくれる申請枠。インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済機能を持つソフトウェア導入費とオプション、役務の費用。また、ソフトウェアを活用するためのハードウェアの導入も補助対象になる。
インボイス枠
(電子取引類型)
企業間取引における発注者側の企業がインボイス制度に対応した受発注システムを導入し、受注した中小企業・小規模事業者にそのシステムを無償で利用させる際、システム導入費用の一部を補助してくれる申請枠。インボイス制度に対応した受発注の機能を持ち、かつ取引における発注者が受注者にアカウントを無償で付与することができるクラウド型ソフトウェアの利用料(最大2年分)。
セキュリティ対策推進枠サイバーインシデントにより引き起こされるリスク対処のため、中小企業・小規模事業者がサイバーセキュリティソフトを導入する際にサービス利用料を補助してくれる申請枠。サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提携していて、かつ事務局に事前認定されているツールのサービス利用料(最大2年分)。
複数社連携IT導入枠同じ業種や特定の地域で事業を行う事業者同士が地域DXの実現、生産性向上のためにITツールを導入する際、導入費用やそれに伴う専門家相談費等を補助してくれる申請枠。基盤導入経費として会計・受発注・決済機能を持つソフトウェア導入費とオプション、役務、またソフトウェアを使用するハードウェア導入費用。また消費動向等分析経費として異業種間の連携、地域の人流分析等のデジタル化を進めることができるソフトウェアとそのオプション、役務、ハードウェア、その他事務費、専門家費も対象となる。
参照:IT導入補助金 2024

それぞれ、ITツールの導入目的に応じて分かれているので、どのような課題が自社にあってどのようなツールを導入したいかを確認し、適切な申請枠を選択しましょう。

IT導入補助金の補助率と補助額

IT導入補助金の補助率、補助額は申請枠ごとに以下のようになっています。

申請枠補助率補助額
通常枠1/2以内5万円以上150万円未満(1プロセス以上の場合)、150万円以上450万円以下(4プロセス以上の場合)
インボイス枠
(インボイス対応類型)
3/4以内(中小企業)、4/5以内(小規模事業者)
もしくは2/3以内
50万円以下(補助率は中小企業が3/4以内、小規模事業者が4/5以内)、
50万円超〜350万円以下(補助率は2/3以内)
インボイス枠
(電子取引類型)
2/3以内(中小企業、小規模事業者等)、
1/2以内(その他事業者等)
〜350万円以下(下限なし)
セキュリティ対策推進枠1/2以内5万円以上100万円以内
参照:IT導入補助金2024

複数社連携IT導入枠の補助率、補助額は補助対象経費によって異なります。詳しくは以下をご確認ください。
IT導入補助金 2024 複数社連携IT導入枠

IT導入補助金の採択率

IT導入補助金の2023年の採択率は、平均で55〜80%程度でした。申請枠、類型にもよりますが、比較的採択率の高い申請枠もあります。

申請するときはこれまでの申請数等も参考に、採択率から審査の難易度傾向なども確認するのがおすすめです。2023年の採択結果は以下から詳しく確認できます。
IT導入補助金2023 交付決定事業者一覧

2024年3月8日に更新された2023年度のIT導入補助金の最終締切分で採択された個人事業主数は申請枠別に以下のとおりです。

申請枠申請者数採択者数個人事業主の採択者数採択者のうち
個人事業主が占める割合
通常枠 A類型(10次締切分)3,3302,5312379%
通常枠 B類型(10次締切分)714225%
セキュリティ対策推進枠(10次締切分)302015%
デジタル化基盤導入枠 デジタル化基盤導入類型(17次締切分)8,8786,31490014%
デジタル化基盤導入枠 複数社連携IT導入類型(5次締切分)1100%
参照:IT導入補助金2024 交付決定事業者一覧及び交付申請件数2023(後期事務局)

※法人番号のない採択者を個人事業主として計算
※2023年と2024年では申請枠に一部変更あり

上記のように、個人事業主が占める割合は決して高くはありませんが、それでも複数名の採択者がいることがわかります。自分の申請する枠ではどれくらいの個人事業主が採択されているのか、事前に確認して採択の難易度の指標とするのも良いでしょう。

IT導入補助金の申請方法とスケジュール

IT導入補助金に申請する際は、いくつかの手順を踏まなくてはなりません。

  • gBizIDプライムアカウントを取得する
  • SECURITY ACTIONの宣言をする
  • みらデジ経営チェックを行う
  • 導入するITツールとIT導入支援事業者を決定する
  • IT導入支援事業者と共同で申請書類を準備・作成し提出する

また、採択された後も補助金の交付を受けるまでに以下の手続きが必要です。

  • 採択された後に補助事業を開始する
  • 事業実績報告をする
  • 補助金の交付を受ける
  • 事業実施効果報告をする

フローそれぞれの具体的な内容については以下の記事を参考にしてください。

また、IT導入補助金の締切が一番近い1次締切のスケジュールは以下の通りです(2024年3月14日現在)。

締切日交付決定日事業実施期間事業実績報告期限
通常枠 1次締切2024年
3月15日
17:00
2024年
4月24日
(予定)
交付決定〜
2024年10月31日
17:00
2024年
10月31日
17:00
インボイス枠
(インボイス対応類型)
1次締切
2024年
3月15日
17:00
2024年
4月24日
(予定)
交付決定〜
2024年10月31日
17:00
2024年
10月31日
17:00
インボイス枠
(電子取引類型)

1次締切
2024年
3月15日
2024年
4月24日
(予定)
交付決定〜
2024年10月31日
2024年
10月31日
セキュリティ対策推進枠
1次締切
2024年
3月15日
17:00
2024年
4月24日
(予定)
交付決定〜
2024年10月31日
17:00
2024年
10月31日
17:00
複数社連携IT導入枠
1次締切
2024年
4月15日
17:00
2024年
5月27日
(予定)
交付決定〜
2024年11月29日
17:00
2024年
11月29日
17:00
引用:IT導入補助金2024 事業スケジュール

申請等が遅れてしまうと不採択になってしまうので、必ず事前にスケジュールを確認し、余裕を持って準備をしましょう。

IT導入補助金は個人事業主も申請できる

IT導入補助金は個人事業主でも申請することができる補助金です。以下で詳しく解説します。

個人事業主は基本的に小規模事業者として申請できる

IT導入補助金の対象事業者は、中小企業や小規模事業者です。先述した通り資本金、従業員数の規定が決まっていて、規定以下の中小企業や小規模事業者が補助金に申請することができます。

小規模事業者の要件は以下のとおりです。

業種定義
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)従業員数5人以下の会社及び個人事業主
サービス業のうち宿泊業・娯楽業従業員数20人以下の会社及び個人事業主
製造業その他従業員数20人以下の会社及び個人事業主
引用:IT導入補助金2024 通常枠 公募要領

上記の要件以外に、IT導入補助金に申請する際は日本国内で法人登記されて事業を行っていること、賃金がその地域の最低賃金以上であること等の条件があります。これらを満たす個人事業主は、小規模事業者としてIT導入補助金に申請することができます。

個人事業主にこそIT導入補助金がおすすめ

IT導入補助金は、個人事業主におすすめの補助金と言われています。

まず、IT導入補助金は返済不要の補助金です。もちろん、補助してもらえるのは基本的にITツール導入費等の何割かですが、それでもDX化や業務効率化等に必要なITツールの大部分を補助してもらうことができます。ITツールの中には導入に大きな費用が必要なものもあり、費用を補助してもらえるのは個人事業主にとって大きなメリットと言えるでしょう。

また、IT導入補助金を活用してITツールを導入することによって業務効率が上がり、収益が増加する可能性もあります。値段が高く、なかなか導入できないツールでも、補助金を利用すれば導入することができます。それまでの経費が削減できて、事業が安定することもあるでしょう。高品質の商品、サービスを提供できるようになれば、市場での競争力を上げることもできます。

これらの理由から、個人事業主として今後も事業を拡大していきたい事業者にとってはIT導入補助金がおすすめなのです。

個人事業主が申請する場合に必要な書類

IT導入補助金を交付申請する際の必要書類は、法人の場合と個人事業主の場合では異なります。以下では、個人事業主がIT導入補助金に申請する際に必要な書類について説明します。

個人事業主が申請する場合に必要な書類

本人確認書類

まず、必要になるのが本人確認書類です。有効期限内の運転免許証か運転経歴証明書、発行から3ヶ月以内の住民票が本人確認書類として認められています。

本人確認書類を含めた必要書類について、原則マイナンバーや保険者番号等の個人情報が記載されていない書類を提出しましょう。もしも個人情報が載っている場合は黒塗りにする等判別できないようにしておく必要があります。

直近の納税証明書

直近の納税証明書も必要書類の一つです。税務署から直近分の所得税の納税証明書を発行してもらいましょう。

納税証明書その1もしくはその2の提出が必要です。その1とその2では証明する内容が異なりますが、どちらを提出しても書類として認めてもらえます。納税した領収書では認められないため注意しましょう。

直近の確定申告書の控え

直近の確定申告書も補助金申請に必要です。必ず確定申告書は税務署が受領したものの控えを提出しましょう。

税務署が受領したものかどうかは、以下のいずれかで確認されます。

①「確定申告書 第一表の控え」に収受日付印が押印されていること。
②「確定申告書 第一表の控え」に受付番号と受付日時が印字されていること。
③「確定申告書 第一表の控え」と「受信通知(メール詳細)」が添付できること。
引用:IT導入補助金2024 公募要領

また、2023年(令和5年)分の提出が必要です。ただし、やむを得ず2023年分が提出できない場合は2022年(令和4年)分を提出することも可能です。

個人事業主がIT導入補助金に申請する際の6つの注意点

個人事業主がIT導入補助金を申請する際はいいくつかの注意点があります。以下で説明します。

①ハードウェア導入だけの事業計画はNG

IT導入補助金を活用するなら、ソフトウェアの導入が条件です。パソコンやレジ等のハードウェア
だけの導入はできないので注意しましょう。インボイス枠(インボイス対応類型)や複数社連携IT導入枠など申請枠によってはハードウェア導入も可能ですが、ソフトウェアの導入も必ずしなくてはいけません。

②ホームページ作成は補助対象外

IT導入補助金を活用して新規にホームページを作成するという事業内容では補助の対象にはなりません。ホームページ制作のみでは労働生産性の向上やインボイス制度対応、企業のDX化に直接結びつかないという考えからホームページ制作は補助金活用が認められていません。2024年度のIT導入補助金では、ECサイト制作やEC機能の追加も補助の対象外なので注意しましょう。

③一度も決算・確定申告をしていない個人事業主は対象外

必要書類に確定申告書があるように、一度も決済・確定申告をしていない個人事業主は補助を受けることができません。個人事業主になってから一年以上経過していない場合、決済や確定申告をまだ行っていないこともあります。その場合、前年度の確定申告書を提出することができないので、補助金への申請は翌年度以降にするのが良いでしょう。

④補助金も課税対象になる

IT導入補助金で受け取った補助金は、課税対象になります。補助金は収益、収入という扱いになるため、法人税や所得税の課税対象です。補助金の種類によっては非課税なものもありますが、IT導入補助金は課税対象であることに注意してください。

⑤申請から受給までは時間がかかる

IT導入補助金に採択されても、すぐに補助金が振り込まれるわけではありません。採択が決定した後に補助事業が完了し、事業実績報告をした後に補助事業者が補助金確定内容の承認を行ってから1ヶ月程度たった後、はじめて補助金が受給されます。交付決定日からおおよそ4〜8ヶ月程度で入金されると考えておくと良いでしょう。

⑥申請から事後報告まで必要な手続きが多い

IT導入補助金だけに限らず、多くの補助金は申請から受給後の報告まで必要な手続きがたくさんあります。申請時は書類を集めたり、採択されるようなわかりやすい事業計画を考えて作成したり、IT導入支援事業者と打ち合わせを行ったりと手間がかかるでしょう。採択決定後も事務局に詳細な事業報告をしなくてはなりません。補助金に申請するなら、事前に必要な手続き等を確認しておくのがおすすめです。

IT導入補助金に申請する個人事業主を株式会社補助金プラスがサポートします

株式会社補助金プラスでは、IT導入補助金に申請する個人事業主の方の支援を行なっています。株式会社補助金プラスの申請支援の特徴は以下のとおりです。

  • 他社ではありえない90%の高採択率
  • しっかりヒアリングを行い、事業者様に寄り添って事業計画を作成
  • オンライン対応なので全国どこの事業者様でもサポート可能

初回の無料相談も受け付けています。個人事業主として申請する際、どの書類を提出すれば良いか、どの手続きから始めれば良いかなどのお悩みをお持ちの方もぜひご相談ください。

まとめ

IT導入補助金は、個人事業主も活用することができる便利な補助金です。ITツールを導入し、業務効率化やDX化を進めたい時におすすめの補助金と言えるでしょう。申請には納税証明書や直近の確定申告書の控えが必要です。

しかし、補助金は課税対象である点や受給までに時間がかかる点には注意が必要です。IT導入補助金に申請する前に、注意点にはしっかり目を通しておくのがおすすめです。

労働生産性を上げるために便利なIT導入補助金を活用し、ぜひ事業の幅を広げてみてはいかがでしょうか。