【2024.2】事業再構築補助金の第12回公募はどのようになる?予想される変更点について徹底解説!

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

中小企業者にとって、事業再構築補助金は新分野進出や事業展開等への大きな支援となっています。令和5年10月をもって第11回公募が終了し、現在は第12回公募発表を待つ段階です。次回の第12回公募はどのような変更点があるのか、当社の予想を交えて解説していきます。

この記事を読むと
  • 事業再構築補助金の過去の情報を把握できる
  • 第12回に変更される可能性のある要点を把握できる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

事業再構築補助金とは(第11回公募の情報)

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代において、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰等の取組を通じ、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等事業者を支援する制度です。
第12回公募は未発表のため、第11回公募時点の情報では10回公募で追加されたコロナや物価高騰の影響で売上が落ち込んでいる事業者への「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「産業構造転換枠」、「成長枠」が継続しています。第11回公募ではサプライチェーン強靭化枠の公募は停止されています。

事業再構築補助金とは(第11回公募の情報)

事業再構築補助金の要件

事業再構築補助金を申請するには、全ての申請枠に共通して必須要件を満たす必要があります。以下に第12回公募以前の事業再構築補助金の申請必須要件をまとめます。
*必須要件 

  1. 事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加の達成。 

参照:事業再構築補助金のリーフレット

また、前述に紹介したものづくり補助金と異なる要件があり、

  1. コロナ渦の影響によって会社の売上が減少していること
  2. 新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと
  3. 認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中小企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること

などは事業再構築補助金の申請要件として必須とされている内容です。

上に示した共通要件を満たすとともに、各事業類型ごとに補助対象要件が別途存在します。12回公募においても、変更される可能性があるため詳細は最新の公募要領を確認するようにしましょう。

事業再構築補助金の補助額・補助率

事業再構築補助金は従業員数が多い企業ほど受け取れる補助金の上限金額も多くなります。多くの事業者が申請している成長枠では、最大7,000万円の補助金が給付されます。

応募枠従業員数
〜5人6〜20人21〜50人51〜100人101人〜
①成長枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中小企業等)4,000万円4,000万円6,000万円6,000万円8,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中堅企業等)1億円
②-2グリーン成長枠(スタンダード)中小企業等:1億円 中堅企業等:1.5億円
③卒業促進枠成長枠・グリーン成長枠に準じる
④大規模賃金引上促進枠3,000万円
⑤産業構造転換枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
⑥最低賃金枠500万円1,000万円1,500万円1,500万円1,500万円
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠1,000万円1,500万円2,000万円3,000万円3,000万円

事業再構築補助金の申請方法・スケジュール

事業再構築補助金の申請方法は、GビズIDプライムアカウントを取得し、Jグランツという補助金申請システムを利用した電子申請にて行います。Gビズ専用アカウントは、取得申し込みから発行まで最低でも2週間程度かかるので、事業再構築補助金申請を検討されているならば、余裕をもって準備しましょう。
【事業再構築補助金のスケジュール】

  1. 事業計画書の電子申請を行う

~事務局による審査 約2か月を要す~

  1. 採択通知を受け取る
  2. 交付申請を行う
  3. 交付決定となり補助金額が決定する
  4. 補助事業実施期間に入る
  5. 事業の実績報告を行う
  6. 確定検査を受ける
  7. 補助金確定通知書の確認後、補助金精算払請求書を提出する
  8. 補助金が振り込まれる

もし事業者が交付申請を行った後、交付決定がおりる前に補助事業を開始したい場合は「事前着手承認」を受けることが必須です。事前着手承認を受けていないのに交付決定日より前に事業を開始した場合は、原則として補助金の対象外となるので注意しましょう。
現在、第11回公募の補助金交付候補者の採択は延期しており、審査に時間を要していることから令和6年1月下旬〜2月上旬頃に採択発表がある予定となっています。

事業再構築補助金の採択率

公募 応募件数 採択件数 採択率
第1回公募 22,229件 8,015件 36.0%
第2回公募 20,800件 9,336件 44.9%
第3回公募 20,307件 9,021件 44.4%
第4回公募 19,673件 8,810件 44.8%
第5回公募 21,035件 9,707件 46.1%
第6回公募 15,340件 7,669件 49.9%
第7回公募 15,132件 7,745件 51.1%
第8回公募 12,591件 6,456件 51.3%
第9回公募 9,368件 4,259件 45.4%
第10回公募 10,821件 5,205件 48.1%


過去のデータから分析すると、事業再構築補助金の採択率は約50%です。事業再構築補助金は補助金額が高い分、競争率も高くなります。加点項目を活かしながらしっかりとした事業計画書作成が求められます。

第12回公募で予想される変更点

事業再構築補助金の第12回公募は、11回公募の採択発表が延期されていることもあり、公募開始の発表はまだなされてはいません。コロナ渦の影響が情勢的には一段落し、次のフェーズに移行していくことを考え以下の変更点が予想されます。

第12回公募で予想される変更点

①成長枠の対象となる業種が拡大

事業再構築補助金の第12回公募では、成長枠の対象業種の拡大が予想されます。10回公募から創設された成長枠は、成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を支援する内容です。
成長枠の申請状況として、取り組む事業が、過去~今後のいずれか10 年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることという【市場拡大要件】を満たす必要があります。
成長枠の対象となる「成長枠対象リスト」は、現在も増加している傾向にあるため、第12回公募においても順次対象の業種・業態が拡大されると予想されます。
参照:成長枠対象リスト 成長枠の対象となる業種・業態の一覧

②産業構造転換枠の対象地域がより広く

また、産業構造転換枠においても第12回公募で変更が予想されます。国内市場の縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業者を支援する産業構造転換枠の、対象業種・業態も追加案内がHPで発表されています。
さらに、産業構造転換枠の市場縮小要件として産業構造転換枠の対象地域リストがより広域に拡大されました。よって、これまでは補助金の対象外だった事業者も対象になると予想がされます。第12回公募の開始以降、順次リストアップされる可能性があるため、随時確認しておきましょう。
参照:産業構造転換枠対象リスト
参照:産業構造転換枠対象地域リスト

③採択の難易度が上昇する可能性も

事業再構築補助金の第12回公募は、11回公募の採択発表が延期されている影響もあり、現在公募開始の時期はまだ発表されていません。
事業再構築補助金自体を取り巻く状況が変化している段階で、来年度以降の公募は大きく変化すると見込まれます。これに伴い、従来の制度内容に即した第12回公募は申請者が増加し、採択難易度が上昇する可能性もあります。補助金活用を検討している事業者は入念な準備を行いましょう。

来年度の公募は更に大きく変化する見込み

事業再構築補助金の第12回以降の公募について、公式ホームページに次のような案内があります。

本事業は、11月12日(日)に内閣官房行政改革推進本部事務局が実施した「令和5年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)」において取り上げられ、下記リンク先のとおり外部有識者によるとりまとめが行われております。
(コロナ関連)中小企業等事業再構築促進基金取りまとめ
第12回以降の公募については、ご指摘を踏まえた見直しを行った上で公募を再開する予定です。

参照:事業再構築補助金HP

このため、第12回公募では外部有識者によるとりまとめを加味し、修正・見直しが入った公募内容になると予想されます。
また、経済産業省関係令和5年度補正予算の概要によると、中小企業への持続的な賃上げ、所得向上と地方の成長を実現するための項目に以下の記載があります。

中小企業省力化投資補助事業【1,000 億円】(中小企業等事業再構築基金の活用等含め総額 5,000 億円規模)
人手不足に悩む中小企業等のため、カタログから汎用製品を選んで行うような簡易なプロセスにより、省力化投資への支援を行う。
※従来の事業再構築補助金は、経済構造の転換に挑戦する事業者、コロナ債務を抱える事業者等に支援先を重点化。

参照:経済産業省関係令和5年度補正予算の概要

このことから、事業再構築補助金自体の名称の変更や対象要件、モニタリングの仕組みなどが大きく変化する見込みが出ています。とはいえ、中小企業等に対する支援がなくなってしまう訳ではないので、時勢に即した新しい形の補助支援内容が発表されると前向きに考え、事業者は事業計画の作成など準備をしていくにこしたことはありません。

第12回公募に申請する際のポイント

では採択難易度が上がると予想されている事業再構築補助金第12回公募に申請する際のポイントを解説していきます。

第12回公募に申請する際のポイント

より独自性の強い事業計画を

第12回公募の申請ポイントとして、より独自性の強い事業計画が求められるでしょう。先日の外部有識者でも指摘されていた内容ですが、第10回公募の採択案件の中に、ゴルフ・サウナ・エステに関するほぼ同様の事業計画内容で採択されていたとあります。似たような事業計画が複数採択されている事案が報告され問題視されている状況です。
そのため第12回公募では、より独自性をアピールする質の高い事業計画書の作成が求められます。
参考:日刊工業新聞

なるべく多くの加点を得る

事業再構築補助金の第12回公募では、申請者が増加しより質の高い事業計画が求められ、且つ競争率の高い公募になることが予想されます。他事業者と差別化し、自身の評価を高めるためにも積極的に行っていきたいのが、加点項目の獲得です。
<加点項目一部 第11回公募時点>

  • 最低賃金枠申請事業者に対する加点
  • 経済産業省が行う EBPM の取組への協力に対する加点
  • パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
  • 健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点
  • 大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点
  • ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定・次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定

上記に示したような、宣言を行ったり、大幅な賃上げ、健康や女性活躍のえるぼしや子育て認定のくるみんマークの取得など、企業が既に認定を受けていれば重要な加点項目となります。
さらに大幅な賃上げを実施する事業者は賃上げの幅が大きいほど追加で加点されます。事業再構築補助金に申請する事業者は、自社の取り組みが加点項目に該当するか必ず確認しましょう。
参考:事業再構築補助金 第11回公募要領

事業の成長性や収益性も重視

事業再構築補助金の事業計画の審査では、独自性の高さだけではなく、事業の成長性や収益性も大変重視されているポイントです。
コロナ渦期間に重視された事業の安定性や存続可能性から、思い切った事業再構築により経済の活性化を促す中小企業の成長性や収益性を重視する方向にシフトしています。

明確な根拠を示しつつ説明

事業再構築補助金の第12回公募の事業計画は、独自性が強く、成長性と収益性の高さが求められます。事業計画には明確な根拠を示して説明するようにしましょう。
市場のマーケティング調査や、補助事業で提供する商品やサービスのビジネスモデルなど事業内容が中長期で実施できるよう課題検証を明確にしましょう。
また費用対効果や、既存事業とのシナジー効果、想定の収益金額など詳細を記載し独自性・成長性・収益性の具体性をあげ事業計画を審査員に印象付けることがポイントです。

まとめ

事業再構築補助金の第12回公募は制度の見直しが入るなどし、公募開始の時期は令和6年1月下旬以降になるとされています。来年度は事業再構築補助金自体の大幅な見直しによる変更や修正が予想されていますので、補助金の活用を検討している事業者は第12回公募が変更前の大きなチャンスです。ぜひ第12回公募の事業再構築補助金申請にチャレンジしてみましょう。

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