【2025.7】ものづくり補助金とIT導入補助金は同一事業には使えない?補助金概要も含めて解説

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、どちらも中小企業庁や中小企業基盤整備機構などによって、管理・採択されている補助金制度です。

どちらも資金調達方法としては有益な補助金ですが、同一事業においては併用ができないので注意しましょう。当記事では、ものづくり補助金とIT導入補助金の使い分けについて解説します。

この記事を読むと
  • ものづくり補助金とIT導入補助金は同一事業に使えないことがわかる
  • ものづくり補助金とIT導入補助金の使い分け方法がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

ものづくり補助金とIT導入補助金は同一事業に使えない

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金とIT導入補助金は、先述したとおり原則として同一事業には使えません。これはものづくり補助金とIT導入補助金に限らず、国が実施する他の補助金についても、同一事業にて国の補助金および助成金との併用は不可です。

同一事業とは、例えば「大型設備Aを購入し生産性を高める事業に対し、2つの補助金を申請すること」を意味します。ただし、同一事業であっても申請だけなら、複数の補助金への申請が可能です(同一の補助金への同一事業者の複数申請は原則として不可)。

なお、地方公共団体やその他団体が実施する補助金・助成金は、国の補助金などとの併用が認められる可能性があります。気になる方はぜひ調べてみてください。

別々の事業であればものづくり補助金とIT導入補助金を併用可能

ものづくり補助金 IT導入補助金

別々の事業でそれぞれ申請する場合は、ものづくり補助金とIT導入補助金の併用が可能です。

IT導入補助金の公式サイトのQ&Aでも、次のような回答があります。

国の他の助成金・補助金との併用が可能ですか。
国及び中小機構の他の助成金・補助金との併用は不可です。ただし、補助対象となる事業内容(サービス・ソフトウェア、経費等)が重複しない場合は申請が可能です。
引用:IT導入補助金2023 通常枠(A・B類型) よくある質問

別々の事業に該当するものとして、次のケースが挙げられます。

  • 企業Aが「生産ラインの生産性向上を目的としたAIシステム購入」について、IT導入補助金を申請
  • 企業Aが「新商品開発を目的とした高性能の製造機器購入」について、ものづくり補助金を申請

上記の例だと、同じ企業Aの申請であっても別の事業・経費として扱われます。

ものづくり補助金とIT導入補助金はどのように使い分けるべき?

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金とIT導入補助金は同じ国の補助金ですが、交付目的・対象や補助金額の上限、補助率などが異なります。

IT導入補助金は、原則としてITツール導入に関する事業のみが交付対象です。さまざまな機械設備・専門家関係などの経費が対象になるものづくり補助金より、補助金の使用用途が限られます。また、補助金の上限額はものづくり補助金のほうが高額です。

しかし一方でIT導入補助金は、IT導入支援事業者(事務局が認定したITベンダー・サービス事業者)から導入に関するサポートが受けられます。IT導入補助金の対象経費になるのは、IT導入支援事業者のITツールのみです。

IT導入支援事業者が販売するシステムなどが欲しい場合は、導入などのサポートが受けられるIT導入補助金の活用をおすすめします。それ以外の場合は、ものづくり補助金への申請がよいでしょう。ものづくり補助金はITツールに限らず、機械設備・専門家依頼・改良・改善・修繕などにかかるさまざまな経費が補助対象になります。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金は、既存事業にはない新しい製品・サービスの開発や生産プロセスの改善などによって、生産性や賃金の向上を目指す事業計画を行う中小企業などを、金銭的に補助する制度です。

IT導入補助金よりも補助金額の上限や対象経費の幅が広く、多くの事業において活用しやすいのがメリットです。以下では、ものづくり補助金の概要や金額について解説します。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金の目的

ものづくり補助金は、働き方改革や被用者保険の適用拡大など、今後直面する制度変更に対応するため、中小企業など取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等の支援が目的になっています。

ものづくり補助金の対象になる経費は次の通りです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

過去に採択された事業と、具体的な効果の例は次の通りです。

  • S工業株式会社:電動射出成形機やベルトコンベアーなどの機械設備導入による、人員削減・生産性向上・製造品種の拡大
  • T株式会社:自動高速レシプロカッターやCADシステム導入による、試作リードタイムの半減や設計力・提案力の向上

ものづくり補助金で受け取れる金額

ものづくり補助金で受け取れる金額は、従業員数によって変わります。従業員数ごとの補助金額や補助率は次の通りです。

従業員規模補助上限額補助率
従業員数 5 人以下750 万円中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は2/3
6~20 人1,000 万円
21~50 人1,500 万円
51 人以上2,500 万円
引用:ものづくり補助金 公募要領

IT導入補助金の概要

ものづくり補助金 IT導入補助金

IT導入補助金とは、課題やニーズに合ったITツールを導入することで、業務効率化や売上向上を目指す事業者を支援する補助金です。「今後相次ぐ制度変更に対応する中小企業などを支援する」という目的はものづくり補助金と同じですが、「生産性に資するITツールを単独または連携して導入するための事業費」と、ITツールに特化しているのが特徴です。

補助金額は最大450万円とものづくり補助金よりも少ないものの、事務局から認定されたIT導入支援事業者のITツールが対象になるほか、ITツールの説明や導入・運用方法の相談サポート、交付申請・実績報告などの支援などを受けられます。

IT導入補助金の対象経費

IT導入補助金の対象経費は、申請する枠によって変わります。それぞれの枠の対象経費は次の通りです。

IT導入補助金の枠対象経費
通常枠(A・B類型)●ソフトウェア
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)
●導入関連費(オプション)
機能拡張やデータ連携ツールの導入、セキュリティ対策実施に係る費用
●導入関連費(役務の提供)
導入・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポートに係る費用
複数社連携IT導入枠(1)基盤導入経費
●ITツール:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトに限る【クラウド利用料は最大2年分】
●ハードウェア:PC・タブレット、レジ・券売機等

(2)消費動向等分析経費
⚫ITツール:消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システム 等 【クラウド利用料は1年分】
⚫ハードウェア:AIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ 等
(3)参画事業者のとりまとめに係る事務費、専門家費
インボイス枠(インボイス対応類型)(1)ソフトウェア、オプション、役務
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション(セキュリティソフト等)、役務費(導入支援費、保守費等)
※インボイス制度に対応し、「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するものに限る。

(2)ハードウェア
ソフトウェア・クラウドサービスの使用に資する機器(PC・タブレット、
レジ・券売機等)の購入費用、設置費用
インボイス枠(電子取引類型)ITツールの導入費用(クラウド利用料最大2年分)
セキュリティ対策推進枠● ITツールの導入費用(サービス利用料の最大2年分)
<留意点>
本事業において補助の対象となるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを指す。
引用:サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要

IT導入補助金におけるITツールの定義は、「本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上に資するソフトウェア・オプション・役務・ハードウェアの総称」となっています。

実際に採択された事業と、具体的な効果の例は次の通りです。

  • 建設・土木業:勤怠・労務管理ツールの導入により、残業時間3割削減と人事担当の作業効率が向上
  • 食品卸売業:ECサイト構築により、月商400万円を達成

IT導入補助金で受け取れる金額

IT導入補助金で受け取れる金額を、枠ごとに見ていきましょう。

IT導入補助金の枠補助上限金額
通常枠(A・B類型)ITツールの業務プロセスが1~3つまで:5万円~150万円
4つ以上:150万円~450万円
複数社連携IT導入枠(a)インボイス枠対象経費:同下
(b)消費動向等分析経費:50万円×グループ構成員数(a)+(b)合わせて3,000万円まで
(c)事務費・専門家費:200万円
インボイス枠(インボイス対応類型)ITツール:1機能:~50万円、2機能以上:~350万円
PC・タブレット等:~10万円
レジ・券売機等:~20万円
インボイス枠(電子取引類型)~350万円
セキュリティ対策推進枠5万円~150万円
引用:サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要

ものづくり補助金やIT導入補助金を活用したいけれど申請が不安な方は株式会社補助金プラスがサポート可能です

ものづくり補助金やIT導入補助金は事業成長の強力な推進力となりますが、申請手続きの複雑さに二の足を踏む事業者様も少なくありません。書類作成や手続きに時間を取られ、肝心の事業運営がおろそかになってしまう心配もあります。

株式会社補助金プラスは、そうした事業者様の課題を解決する専門的な申請支援を提供しています。90%以上の採択実績を持つ熟練の専門家が、事業計画書の作成から必要書類の準備、提出手続きまで全面的にバックアップします。事業者様の状況に合わせたきめ細かいアドバイスも行い、採択の可能性を最大限に高めます。

採択後の実績報告業務もオプションで対応し、補助金受給まで継続的にサポートします。ものづくり補助金やIT導入補助金以外の制度についてもご提案可能で、オンライン対応により全国の事業者様にサービスを提供中です。初回無料相談も実施しています。

補助金申請への不安を解消したい事業者様は、株式会社補助金プラスまでお問い合わせください。

まとめ

ものづくり補助金とIT導入補助金は、同一事業においては併用不可ですが、別々の事業でそれぞれに申請するのは認められています。どちらの補助金も活用したいときは、それぞれの事業目的や対象経費に合わせた事業計画書を作成しましょう。

もし不採択であっても、何度でも再挑戦できます。不採択による継続的なペナルティもないので、一度活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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