【2024.2】ものづくり補助金とIT導入補助金は同一事業には併用不可!

ものづくり補助金 IT導入補助金 併用

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、どちらも中小企業庁や中小企業基盤整備機構などによって、監督・採択されている補助金制度です。

資金調達方法としてはもってこいですが、同一事業においては併用ができないので注意しましょう。当記事では、ものづくり補助金とIT導入補助金の使い分けについて解説します。

この記事の目次

ものづくり補助金とIT導入補助金は同一事業に使えない

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金とIT導入補助金は、原則として同一事業には使えません。これはものづくり補助金とIT導入補助金に限らず、国が実施する他の補助金についても、同一事業にて国の補助金および助成金との併用は不可です。

同一事業とは、例えば「大型設備Aを購入し生産性を高める事業に対し、2つの補助金を申請すること」を意味します。
ただし、同一事業であっても申請だけなら、複数の補助金への申請が可能です(同一の補助金への同一事業者の複数申請は原則として不可)。

なお、地方公共団体やその他団体が実施する補助金・助成金は、国の補助金などとの併用が認められる可能性があります。

別々の事業であればものづくり補助金とIT導入補助金を利用可能

ものづくり補助金 IT導入補助金

別々の事業でそれぞれ申請する場合は、ものづくり補助金とIT導入補助金の併用が可能です。

IT導入補助金の公式サイトのQ&Aでも、次のような回答があります。

国の他の助成金・補助金との併用が可能ですか。
国及び中小機構の他の助成金・補助金との併用は不可です。ただし、補助対象となる事業内容(サービス・ソフトウェア、経費等)が重複しない場合は申請が可能です。
引用:IT導入補助金2023 通常枠(A・B類型) よくある質問

別々の事業に該当するものとして、次のケースが挙げられます。

  • 企業Aが「生産ラインの生産性向上を目的としたAIシステム購入」について、IT導入補助金を申請
  • 企業Aが「新商品開発を目的とした高性能の製造機器購入」について、ものづくり補助金を申請

上記の例だと、同じ企業Aの申請であっても別の事業・経費として扱われます。

ものづくり補助金とIT導入補助金はどのように使い分ける?

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金とIT導入補助金は同じ国の補助金ですが、交付目的・対象や補助金額の上限、補助率などが異なります。

IT導入補助金は、原則としてITツール導入に関する事業のみが交付対象です。さまざまな機械設備・専門家関係などの経費が対象になるものづくり補助金より、補助金の使用用途が限られます。また、補助金の上限額はものづくり補助金のほうが高額です。

しかし一方でIT導入補助金は、IT導入支援事業者(事務局が認定したITベンダー・サービス事業者)から導入に関するサポートが受けられます。IT導入補助金の対象経費になるのは、IT導入支援事業者のITツールのみです。

IT導入支援事業者が販売するシステムなどが欲しい場合は、導入などのサポートが受けられるIT導入補助金の活用をおすすめします。
それ以外の場合は、ものづくり補助金への申請がよいでしょう。ものづくり補助金はITツールに限らず、機械設備・専門家依頼・改良・改善・修繕などにかかるさまざまな経費が補助対象になります。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金 IT導入補助金

ものづくり補助金は、既存事業にはない新しい製品・サービスの開発や生産プロセスの改善などによって、生産性や賃金の向上を目指す事業計画を行う中小企業などを、金銭的に補助する制度です。

IT導入補助金よりも補助金額の上限や対象経費の幅が広く、多くの事業において活用しやすいのがメリットです。以下では、ものづくり補助金の概要や金額について解説します。

ものづくり補助金の目的

ものづくり補助金は、働き方改革や被用者保険の適用拡大など、今後直面する制度変更に対応するため、中小企業など取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等の支援が目的になっています。

ものづくり補助金の対象になる経費は次の通りです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費(グローバル市場開拓枠のみ)
  • 通訳・翻訳費(グローバル市場開拓枠のうち、海外市場開拓のJAPANブランド類型のみ)
  • 広告宣伝・販売促進費(グローバル市場開拓枠のうち、海外市場開拓のJAPANブランド類型のみ)

過去に採択された事業と、具体的な効果の例は次の通りです。

  • S工業株式会社:電動射出成形機やベルトコンベアーなどの機械設備導入による、人員削減・生産性向上・製造品種の拡大
  • T株式会社:自動高速レシプロカッターやCADシステム導入による、試作リードタイムの半減や設計力・提案力の向上

ものづくり補助金で受け取れる金額

ものづくり補助金で受け取れる金額は、申請する枠によって変わります。補助金上限額が数千万円と、IT導入補助金とくらべて高いのが特徴です。

それぞれの枠の補助金額や補助率は次の通りです。

通常枠
要件基本要件(あらかじめ決められている、一定上の生産性向上や賃上げを達成する事業計画の策定)
補助金額(従業員数別)5人以下:100万~750万円6~20人:100万~1,000万円21人以上:100万~1,250万円
補助率1/2小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3
回復型賃上げ・雇用拡大枠
追加要件(基本要件に加えて達成すべきもの)一定の条件を満たした上で、補助事業完了年度の翌年度3月末に一定以上の給与支給総額の増加率1.5%、事業場内最低限賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準の目標を達成する
補助金額(従業員数別)5人以下:100万~750万円6~20人:100万~1,000万円21人以上:100万~1,250万円
補助率2/3
デジタル枠
追加要件DXに資する革新的な製品・サービスの開発、または情報処理推進機構(IPA)に関する特定の条件のクリアを達成する
補助金額(従業員数別)5人以下:100万~750万円6~20人:100万~1,000万円21人以上:100万~1,250万円
補助率2/3
グリーン枠の条件
追加要件温室効果ガスの削減といった脱炭素に関わる事業を展開し目標を達成する
補助金額(類型・従業員数別)エントリー類型5人以下:100万円~750万円6~20人:100万円~1,000万円21人以上:100万円~1,250万円スタンダード類型5人以下:750万円~1,000万円6~20人:1,000万円~1,500万円21人以上:1,250万円~2,000万円アドバンス類型5人以下:1,000万円~2,000万円6~20人:1,500万円~3,000万円21人以上:2,000万円~4,000万円
補助率1/2小規模企業者・小規模事業者は2/3
グローバル市場開拓枠
追加要件海外支店・海外子会社などへ投資したり、海外顧客や訪日外国人へ製品・サービスを販売して売上を出したりなどを達成する
補助金額100~3,000万円
補助率1/2小規模企業者・小規模事業者は2/3

IT導入補助金の概要

ものづくり補助金 IT導入補助金

IT導入補助金とは、課題やニーズに合ったITツールを導入することで、業務効率化や売上向上を目指す事業者を支援する補助金です。「今後相次ぐ制度変更に対応する中小企業などを支援する」という目的はものづくり補助金と同じですが、「生産性に資するITツールを単独または連携して導入するための事業費」と、ITツールに特化しているのが特徴です。

補助金額は最大450万円とものづくり補助金よりも少ないものの、事務局から認定されたIT導入支援事業者のITツールが対象になるほか、ITツールの説明や導入・運用方法の相談サポート、交付申請・実績報告などの支援などを受けられます。

IT導入補助金の対象経費

IT導入補助金の対象経費は、申請する枠によって変わります。それぞれの枠の対象経費は次の通りです。

IT導入補助金の枠対象経費
通常枠(A・B類型)ソフトウェア購入費クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)導入関連費
セキュリティ対策推進枠サービス利用費(最大2年分)
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)ソフトウェア購入費クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)ハードウェア関連費導入関連費
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)ソフトウェア購入費クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)導入関連費

IT導入補助金におけるITツールの定義は、「本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上に資するソフトウェア・オプション・役務・ハードウェアの総称」となっています。

補助対象になるITツールは、ソフトウェア・オプション・役務の3つに分類されます。

出典:IT導入補助金2023|公募要領

より詳細な分類は、公募要領よりご確認ください。
採択された事業と、具体的な効果の例は次の通りです。

  • 建設・土木業:勤怠・労務管理ツールの導入により、残業時間3割削減と人事担当の作業効率が向上
  • 食品卸売業:ECサイト構築により、月商400万円を達成

IT導入補助金で受け取れる金額

IT導入補助金で受け取れる金額を、枠ごとに見ていきましょう。

通常枠(A・B類型)
補助金額A類型:5万~150万円未満B類型:150万~450万円以下
補助率1/2以内
セキュリティ対策推進枠
補助金額5万~150万円未満
補助率1/2以内
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
補助金額ITツール:350万円以下PC・タブレット等:10万円以下レジ・販売機:20万円以下
補助率ITツール(50万円部分):3/4以内ITツール(50万円超~350万円部分)2/3PC・タブレット等:1/2以内レジ・販売機:1/2以内
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
補助金額・補助率デジタル化基盤導入類型の対象経費と同じ補助金額・補助率消費動向等分析経費(上記1以外の経費):50万円×参画事業者数(補助上限:1+2で3,000万円・補助率:2/3以内)事務費・専門家費(補助上限:200万円・補助率:2/3以内)

まとめ

ものづくり補助金とIT導入補助金は、同一事業においては併用不可ですが、別々の事業でそれぞれに申請するのは認められています。どちらの補助金も活用したいときは、それぞれの事業目的や対象経費に合わせた事業計画書を作成しましょう。

もし不採択であっても、何度でも再挑戦できます。不採択による継続的なペナルティもないので、一度活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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