【記入例あり】 ものづくり補助金の事業計画書はどう書く? これまでの採択例とテンプレートを紹介
事業計画書の作成は、ものづくり補助金申請においてもっとも重要といっても過言ではありません。しかし、事業計画の適切な書き方がわからずに戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、事業者から提出された事業計画書を基に、事務局が採択・不採択を決めます。適切な事業計画書を作成するために、作成の重要ポイントや不採択の傾向を押さえておくことが重要です。
この記事では、ものづくり補助金の採択を受けるための事業計画書作成方法と書き方の具体例と不採択になりやすい事業計画書の例を紹介します。
また、最後には事業計画書の作成マニュアルを無料配布します!事業計画書の書き方に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
- ものづくり補助金についての詳細が理解できる
- 事業計画書の作成における項目と記入例がわかる
- 事業計画書作成における重要なポイントが掴める
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは
中小企業や小規模事業者は、事業資金に余裕がない中でも将来的に行われる制度変更(働き方改革、インボイス制度、被用者保険適用拡大など)に対応しなければなりません。
ものづくり補助金は、中小企業等がこうした制度変更に対応するために取り組む施策(革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善など)を行うために必要な設備投資に対し、支給される補助金です。
補助事業終了後に「計画どおりに事業を進められたかどうか」を報告し、事業で使われた経費に補助率を乗じた金額が支給されます。例えば、1,000万円使って補助率が1/2なら、500万円が受け取れる補助金になります。
ものづくり補助金の採択・不採択は、こちらから事務局へ補助事業についての事業計画書を提出し、その内容の審査をもって決定します。その後事業計画書に沿って補助事業を実施し、実績報告・確定検査を経て、ものづくり補助金額の決定・支給が行われる流れです。
そのため事業計画書の質は、ものづくり補助金の交付を受けられるか否かを左右する重要なポイントになります。
ものづくり補助金の補助上限金額と補助率
ものづくり補助金には、基本要件と補助上限金額・補助率が設定された通常枠に加えて、各時追加要件が定められた枠が存在します。それぞれの枠の補助上限金額と補助率を以下でまとめました。
申請枠 | 補助上限 | 補助率 | |
省力化枠 | 750万円~ 8,000万円 | 1/2 (小規模・再⽣事業者:2/3) | |
製品・サービス高付加価値枠 | 通常類型 | 750万円~ 1,250万円 | 1/2 (小規模・再⽣事業者:2/3) ※新型コロナ回復加速化特例:2/3 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 1,000万円〜 2,500万円 | 1/2 (小規模・再⽣事業者:2/3) | |
グローバル展開型 | 3,000万円 | 1/2 (小規模・再⽣事業者:2/3) |
出典:ものづくり補助金総合サイト|公募要領
また、「大幅な賃上げに取り組む事業者(給与支給総額や事業内最低限賃金を増やすなど)」として認められれば、最大1,000万円の補助上限金額の引き上げが適用できます。
ものづくり補助金の過去の採択率
ものづくり補助金の過去5年間の採択率を、以下でまとめました(採択者数÷申請者数で算出)。
公募回 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
第11回 | 4,668+76 | 2,786+31 | 59.38% |
第12回 | 3,200+56 | 1,885+22 | 58.57% |
第13回 | 3,261+61 | 1,903+24 | 58% |
第14回 | 4,865 | 2,470 | 50.77% |
第15回 | 5,694 | 2,861 | 50.25% |
50〜60%で推移しており、申請した事業者の半数以上は採択を受けられているとの結果が出ました。ただし、ものづくり補助金事業公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト データポータル」を見ると、申請方法・状況によって採択率が30〜70%の幅で上下しているのがわかります。
「半分は申請が通る」と楽観的になるのではなく、できる限りの対策を講じることで採択される可能性を上げられるでしょう。
ものづくり補助金申請の最新スケジュール
現在募集中の17次公募のスケジュールは以下の通りです。
公募スケジュール | 日付・期限 |
公募開始 | 2023年12月27日~ |
申請受付~締切 | 2024年2月13日~3月1日の17時まで |
採択発表 | 未定 |
交付申請~交付決定 | おおよそ1か月 |
補助事業完了期限 | 2024年12月10日 |
事業計画書などものづくり補助金の申請に必要な書類
ものづくり補助金は、必要な書類を不備なく作成して提出することで、申請手続きが完了します。必要な書類は次の通りです。
必要書類(一般的な事業者が通常枠へ応募する場合) |
・事業計画書 ・補助経費に関する誓約書 ・貸借対照表 ・損益計算書 ・製造原価報告書などの決算書等を直近2年間分(設立2年未満の事業者は1年分のみ、1年未満の事 業者は収支予算書、個人事業主は確定申告書など) ・従業員数の確認資料 ・労働者名簿(一定の条件を満たす場合のみ提出) ・加点項目による加点を希望する場合に必要な追加書類 |
必要書類の提出は、原則として専用の電子申請システムを使った電子申請になります。GビズIDの取得や、電子申請システムへのログインが必要です。
ものづくり補助金の事業計画書の項目と記入例
ものづくり補助金の事業計画書の項目と記入例
この章では、実際にどのように事業計画書を書いていけばいいのかを項目ごとに分けながらポイントを含めて分かりやすく解説していきます。
以下の画像は株式会社補助金プラスが作成する事業計画書の構成の一例です。
事業計画書はものづくり補助金の公募要領に則るように作成されていればよいので、完全に一致する必要はありません。
以下では各項目の内容と具体的な例を紹介していきます。
その1:事業計画書の具体的内容
まず、事業計画書には具体的に何を記せば良いのかを解説していきます。
1.本事業に至るまでの経緯
事業計画書の冒頭には事業計画書を読む人に対して、「本事業に至るまでの経緯」を記載しましょう。この項目は補助金申請プロセスにおいて重要な要素です。この項目には以下の意図があります。
・事業の背後にあるストーリーの理解
・誠実性と信頼性の証明
・審査官へプロジェクトの背景理解
・資金の使途の適格性
これらのような意図が存在していることを念頭に置いてこの項目を書くようにしましょう。
1-1.企業概要
事業計画書には自社について、創業から今に至るまでのプロフィールを記載する必要があります。初めは自社のことをある程度理解してもらえるように自己紹介が必要です。具体的には、以下のような内容を記載するといいでしょう。
・自社の成り立ち:特に大きな出来事を取り上げ、端的に沿革を説明します。中でも今回の補助事業に関係する出来事、沿革は記載すると良いでしょう。
・自社の概要:創業年や所在地、従業員数などを記載します。個人事業主だった時期がある場合、創業年月日にその期間を含むようにしましょう。また、営業所がいくつかある場合は全て記載してしまって問題ありません。
・自社の売り上げ:どんな事業で売り上げをたてているのか、複数事業がある場合は金額の大きい順に割合にして記載するのがおすすめです。主力の事業内容はもちろん、補助事業に関しても触れておくのが良いでしょう。
・自社の目指すべき会社像
・自社が行っている事業についての補足情報など
この項目で企業の透明性を高め、審査官に補助金の授与が適切であることを説明しましょう。表やグラフなどを用いて分かりやすい内容にすることも大切です。誰が読んでもわかるよう、わかりやすく端的に記載しましょう。
具体的な記入例
以下はある自動車部品製造会社の事業計画書の作成例です(実在する法人、個人名とは一切関係はありません)。
1-2.企業の強み
次は自社の強みを記載しましょう。審査官にとって、自社の強みを理解することは補助するか否かを決める重要な要素です。自社のサービスや商品が他社と比べてどんな優位性があるのか示すことも必要です。事業計画書で商品やサービスの信頼性と、将来性をアピールするようにしましょう。
また、自社の強みを確認していく中で自社の弱みについても再認識し、SWOT分析をしてその結果表を載せるのも良いでしょう。自社の現在の状況について簡潔に審査員に伝えることができます。その際は、補助事業に関わる点を記載するようにしてください。
具体的な記入例
以下の画像は当社の強みについての作成例です。強みを簡潔に記載することを意識しましょう。また、具体的な数字を入れるのもわかりやすくなるのでおすすめです。
1-3.企業の課題
社会的、収益面、経営面などの観点から自社の課題を記載するようにしましょう。課題の記載によって、問題の認識性と誠実性を示唆し、なによりも解決策の必要性も強調することができます。この課題こそが補助事業の目的につながってくるので、大切な項目です。事業計画書ではグラフや表を用いてわかりやすく解説しましょう。
具体的な記入例
以下の画像は事業計画書の自社の課題についての作成例です。
具体的に分かりやすいようにグラフを作成するのも採択のために有効です。また、なにが原因でその課題が生まれているのか記載することも心がけましょう。
2.本事業の内容
ここからは本事業の内容の記載について説明します。本事業とは、ものづくり補助金を活用して行う補助事業のことです。補助事業の説明はものづくり補助金の採択に直接影響してくるので、わかりやすくしっかり書く必要があります。
2-1.本事業の概要
本事業で新たに導入する設備や機械の写真や説明、またそれによる効果や達成目標などのビジョンを写真やグラフなどを用いて分かりやすく記載するのが大切です。パワーポイントを使用した図でわかりやすく解説するのも良いでしょう。
具体的な記入例
以下の画像は本事業の内容についての書き方の記入例です。文章と図を用いて記載しましょう。以下は一例なので、実際はさらに詳しく記載する必要があります。
2-2.本事業で導入する設備
本事業で新しく導入する設備について説明しましょう。例えば機械の導入を検討している場合は実際に導入する機械の名前や型番、写真、さらには本事業においてどのような役割を担い、どのような効果があるのをか詳しく記述する必要があります。設備の型番について、あれば記載する必要がありますが、17次公募の省力化枠(オーダーメイド枠)ではオーダーメイドの設備になるので、型番の記載は必要ありません。
さらに、導入する設備の機械名だけを書くのではなく、どんな機械なのかの説明も書くようにしましょう。ものづくり補助金の審査員は必ずしも業界に詳しいとは限りません。そのため、どのような用途の機械なのかを画像とともにわかりやすく記載する必要があります。
また、導入設備の取得、発注時期についても記載するようにしましょう。補助事業の実施期限内に設備を導入し、事業を遂行する必要があるので、設備の導入が補助金交付前もしくは実施期間終了後にならないように注意が必要です。
具体的な記入例
以下の画像は導入する設備についての書き方の記入例です。導入することでどのような期待が見込めるのか、どのような効果があるのかを明記しましょう。ここではかなりアバウトな効果しか記載されていませんが、さらに具体的な効果を書くようにしましょう。
2-3.本事業の具体的内容
具体的にどんなものを導入や開発してどんな事業を行なっていくのかを示す項目です。この項目も図を用いて説明するのが効果的です。
具体的な記入例
以下の画像は本事業の具体的内容の記入例です。導入する設備によってどのような事業になるのか、できるだけ具体的に説明しましょう。
2-4.本事業による効果や達成目標
事業計画書は本事業を行うことでどのような効果が期待できるか、明確かつ目標を現実的に示さなければいけません。詳細なデータをもとにどれほどの売り上げ増加の効果が見込めるかを具体的な数字やグラフで記載しましょう。
また、補助金の趣旨は公募要領に記載があります。達成目標が補助金の趣旨から外れることのないように注意が必要です。
具体的な記入例
以下の画像は本事業による効果や達成目標の書き方の例です。こちらも同様、グラフや表などを用いてどのような効果や目標があるのかを記載するようにしましょう。
2-6.本事業の実施形態とスケジュール
事業計画書というだけあって当然スケジュールの作成は必須項目です。具体的な事業実施スケジュールを表やパワーポイントを用いて項目と担当者、月ごとのスケジュールを作成しましょう。また、複数の設備を導入するのであれば導入する設備ごとにスケジュールを記載する必要があります。
また、補助事業実施期限内に補助事業が完了するスケジュールになるように記載してください。工程によっては時間のかかるものもあります。設備を導入してもすぐに使えるわけではなく、研修を行う必要がある場合もあります。そういった点も加味したスケジュールを作成するようにしましょう。
具体的な記入例
以下の画像は事業のスケジュールの記入例です。
その2:将来の展望
次は将来の展望に関する記述について解説します。将来の展望の項目では、事業化に向けた見込みとして具体的に以下の画像の3つについて記載していきます。
1.事業化に向けた見込み
「本事業に至るまでの経緯」の次は「将来的な事業計画」です。具体的には、以下のような内容を記載するといいでしょう。
1-1.本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー
本事業がどんなユーザーをターゲットとしているかを想定しましょう。事業の成果が寄与するユーザーについて、具体的に記載します。審査員がイメージしやすいよう、この項目もわかりやすく記載しましょう。
具体的な記入例
以下の画像は本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザーの記入例です。
1-2.想定されるマーケットと市場規模
ユーザーの記載のあとは、想定されるマーケットと市場規模、つまりターゲット市場やターゲット顧客について説明しましょう。実際の客観的な資料やデータを用いて対象市場の大きさ、今後の拡大の見込みも説明します。表や図も効果的に使用しましょう。
具体的な記入例
以下の画像はマーケットと市場規模の記入例です。
1-3.競合事業と比較した本事業の優位性
競合と比較し、どのような点で自社が優位なのかを記載します。この事業の優位性を示すことは、他の競合事業と比較してなぜ当社の事業が特別であるか、なぜそれに価値があるかを説明する重要な意味があります。審査員に補助金に値すると思ってもらえるように優位性についてもイメージしやすく具体的に説明しましょう。優位性については1つだけではなく、複数書くのがおすすめです。
具体的な記入例
以下の画像は競合事業と比較した本事業の優位性の記入例です。
2.本事業の成果の事業化見込み
次の項目では、事業における成果についてフォーカスして説明していきます。
2-1.目標となる時期・売上規模
本事業がいつまでにどんな成果を目標としていて、いつ完了するのかを記載します。完了までの具体的な販売戦略についても説明します。。売上規模がどのように増えていく目標なのかについても数値を用いて示しましょう。目標とする単価、販売数を目標とする年ごとに記載していくのがおすすめです。全体的な売上目標から逆算し、実現可能な目標を立てていきます。事業計画と目標がしっかり結びつくように注意しながら記載しましょう。
具体的な記入例
以下の画像は目標となる時期・売上規模の記入例です。
また、本事業の成果に対する見込みも記載しましょう。事業がどのような形で実施されるのか、例えば「目標となる時期」や「販売戦略」「売上計画」を記載するといいでしょう。
詳しくは株式会社補助金プラスが無料配布しているものづくり補助金作成マニュアルをご参考ください。
2-2.本事業で想定される課題やリスクと解決方法
事業計画書に書かなければいけないのは事業の見込みだけではありません。ただ現実的なデータや数字で売り上げ増加の見込みや市場規模のみを想定せず、本事業で想定される課題やリスクと解決方法を予め検討、対策しておく必要があります。
一般的には、〈リスクの発見及び特定⇒リスクの算定・評価⇒リスク対策の選択・実施⇒残留リスクの判定⇒リスクへの対応・監視・改正⇒リスクマネジメントの有効性評価〉という流れで記載しましょう。
これはものづくり補助金の事業計画書のみに関わらず、会社における事業計画書では必須項目です。忘れずに項目を挿入するようにしましょう。
具体的な記入例
以下の画像は本事業で想定される課題やリスクと解決方法の記入例です。
2-3.本事業と政策面との関連性
ものづくり補助金は政策とも非常に大きな関連があり、事業自体が政策とどのように結びついているのかは非常に大切な点です。事業の中で政策と関連づいている点については丁寧に記載するようにしましょう。複数ある場合はそれぞれ簡潔に説明するのがおすすめです。
具体的な記入例
以下の画像は本事業と政策面との関連性の記入例です。
その3:会社全体の事業計画
最後に、補助事業だけでなく会社全体の事業計画について説明していく必要があります。補助事業の実施による事業の付加価値やデータの算出の根拠を、具体的な数値として記載します。事業計画については、ものづくり補助金の電子申請フォームにも入力欄があります。そこに入力したものと同じものを貼り付けても良いでしょう。新たに作り直す場合、電子申請フォームと違う数字が入らないように注意してください。
ものづくり補助金総合サイトにてダウンロードできる参考様式によるテンプレートを以下に引用します(5か年計画)。
補助事業の効果の説得力をより大きくするため、この項目もしっかりと記載しましょう。収益計画や投資内容を具体的に示すのが大切です。
実際に採択されたものづくり補助金の事業計画書のサンプル
この章では、過去に実際にものづくり補助金で採択された事業計画書を参考に書き方のポイントをまとめました。以下の事業計画書はすべて経済産業省ミラサポplusから引用しています。
実際に採択された事業計画書
会社概要~現状
経済産業省ミラサポplusから引用
・自社のこだわりや信念が明確になっている
・具体的な数値やグラフを入れることで現状把握と解決策考案・必要性理解に繋がる
課題と解決策
経済産業省ミラサポplusから引用
・課題一つ一つに対する解決策の記載によって事業効果が伝わりやすくなる
将来の展望~事業計画の積算根拠
経済産業省ミラサポplusから引用
・仮説ではあるが、従来とその取り組み後の違いを具体的な数値によって説明することで説得力が増している
・導入設備一つ一つによる事業効果を積算根拠を基に具体的な数字で説明している
ものづくり補助金の事業計画書の審査ポイントは?
事業計画書の審査ポイントは?
事業計画書の審査ポイントは、公募要領やその他官公庁の公式サイトなどである程度公表されています。以下では審査ポイントの内容をまとめました。
事業計画書の審査項目:補助対象事業としての適格性
補助事業対象事業としての適格性として、以下のようなものが挙げられます。
・補助事業実施期間内に事業手続きが終了すること
・基本要件をクリアすること
・公募要領に合わない事業や不正な数値捜査などに該当しないこと
なお詳細な内容は、公募要領にて確認できます。
第17回締め切り分の公募要領はこちら
事業計画書の審査項目:技術面
技術面では、主に次のような項目が審査されます。
・新製品・サービスの革新的な開発をしているか
・中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドラインなどに沿っているか
・課題の解決方法が明確で優位性があり、方法実施のための技術的能力が備わっているか
事業計画書の審査項目:事業化面
事業化面は、補助事業を実施するために必要な要素が揃っているかが審査されます。具体的には、以下のような施策がチェックされます。
・人材面
・専門的知見面
・資金調達面
・市場ニーズの有無
・スケジュールの妥当性
・補助事業の費用対効果
事業計画書の審査項目:政策面
政策面は、以下のような項目が審査されます。
・地域の経済成長によい影響を与えるか
・ニッチな分野でのマーケティング、開発などで差別化できているか
・ニッチトップの地位を築けるか
・複数の事業者や企業・大学と協力し経済的波及効果を期待できるか
事業計画書の審査項目:炭素生産性向上の取組等の妥当性
グリーン枠のみに設定された審査項目で、主に以下のような項目がチェックされます。
・炭素生産性を向上させる取り組みについての事業内容
・温室効果ガス削減などに対する投資効果
事業計画書の審査項目:グローバル市場開拓の取組等の妥当性
グローバル市場開拓枠にのみ設定された審査項目で、主に以下がチェックされます。
・海外展開に必要な事業計画や体制の明記
・専門的人材の能力
・国際競争力の高い製品やサービス開発の内容
事業計画書の審査項目:大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性
大幅な賃上げにかかる補助上限額引上の特例にのみ設定された審査項目で、大幅な賃上げの根拠や、将来にわたる継続的な賃上げ計画内容などがチェックされます。
これらのものづくり補助金の審査ポイントをよく理解して事業計画書の作成をすることも重要といえます。
ものづくり補助金の加点項目(事業計画書以外)
ものづくり補助金の加点項目(事業計画書以外)
基本要件に加え、加点項目の要件を満たすと事務局から採択を受けやすくなります。実際に過去のデータでは、加点項目を4個クリアした事業計画の採択率が68.3%と、1つもクリアしなかった場合の採択率34.4%の2倍近い数値になっていました。
以下では、事業計画書以外の加点項目の詳細を見ていきましょう。
成長性加点
成長性加点とは、「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」が受けられる加点項目です。経営革新計画とは、新規事業に取り組んで経営の相当程度の向上を目指す、中長期的な経営計画書です。経営革新計画と認められるには、都道府県知事などへの申請し承認を得る必要があります。
政策加点
政策加点とは、5年以内の創業・第二創業の事業者やパートナーシップ構築宣言を行っている事業者、再生事業者などが受けられる加点項目です。
災害等加点
災害等加点とは、「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」が受けられる加点項目です。事業継続力強化計画とは、簡単に言えば自然災害などに対する事前の防災や減災計画を策定し、機関から認定を受けた計画のことを指します。
賃上げ加点等
賃上げ加点等とは、「一定以上の給与支給総額と事業場内最低賃金を増加させる計画」などを策定し、事務局へ誓約書を提出することで受けられる加点項目です。
女性活躍等の推進の取り組み加点
女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者や、女性の活躍推進企業データベースに女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者などが受けられる加点項目を、女性活躍等の推進の取り組み加点と言います。
ものづくり補助金採択のために事業計画書を作成する際のポイントは?
ものづくり補助金採択のための事業計画書を作成するには、いくつかのポイントが存在します。ここからは作成のポイントを7つ紹介します。
採択のための事業計画書を作成する際のポイントは?
事業計画書ポイント:補助金の目的を理解する
補助金の目的、つまり「ものづくり補助金はなぜ実施されるのか」を理解することが事業計画書作成のポイントです。おおまかな目的は、公募要領の「事業の目的」などに記載されています。
まず前提として各補助金制度の目的は、国や自治体の政策目標の実現のために企業や個人事業主をサポートすることにあります。
そしてものづくり補助金なら、「働き方改革・インボイス制度へのスムーズな対応や従業員の賃上げなどによって、国全体や地域を活性化したい」という意図が推察可能です。こうした目的を理解することで、事務局から注目される事業計画書を作成しやすくなります。
事業計画書ポイント:要件を把握する
ものづくり補助金の基本要件や各枠の独自要件から外れた事業だと、どれだけ優れた事業計画書でも採択されません。要件の内容は必ず把握しておきましょう。例えば、基本要件は次の通りです。
- 給与支給総額年率平均1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円の水準に毎年到達
- 事業者全体の付加価値額年率3%以上増加
上記の必ず要件をクリアできる事業計画書(3~5年の計画)を策定しましょう。
事業計画書ポイント:審査項目・加点項目を熟知する
前述した審査項目・加点項目を熟知し、事務局が求める事業計画書を作成するのが採択を受けるためのポイントです。
方向性や具体例をチェックしたいときは、ものづくり補助金総合サイトの「成果事例のご紹介」のページで、これまで採択を受けた事業内容を確認するとよいでしょう。
事業計画書ポイント:専門家等のアドバイスを聞く
ものづくり補助金における事業計画を策定するのは、事業計画書に関する知識や、経営・財務面での分析・言語化能力が必要です。自社のみで事業計画書の作成が難しいと思ったときは、中小企業診断士や補助金コンサルタント会社などの専門家から、アドバイスを聞くことをおすすめします。
実際に採択率を見ると、支援者の関与(補助金に対する報酬の比率)が高いと、採択率が上昇している傾向が見られます。
株式会社補助金プラスでは、ものづくり補助金の申請代行、コンサルティング、サポートを受け付けています。もちろん事業計画書の作成支援も行っており、お客様の強みを言語化した採択されやすい事業計画策定が可能です。システム関連に強いため、ものづくり補助金で新たなシステム導入などをしたいお客様のサポートもできます。これまでに様々な業種のものづくり補助金申請代行支援を行った実績があり、採択率は90%と高水準です。
初回の無料相談も受け付けているので、ものづくり補助金の申請でお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
事業計画書ポイント:ゆとりをもって予定を開始する
事業計画書は、ゆとりをもった予定で作成を開始しましょう。締切日が迫ることによる焦りや、分析や検証時間の不足などのリスクを防げます。
事業計画書ポイント:適切な金額で申請する
ものづくり補助金は、申請金額が妥当かどうかでも審査されます。計画した補助事業に対し、申請金額が多くても少なくても評価されにくいです。
おすすめは、自社で申請できる最大の補助金額での事業計画を立てることです。データポータルによると、補助金の申請額が高いと採択率が高くなっています。これは申請金額が高い=補助事業として使うお金が多いほど高性能な設備などへ投資しやすく、効果が高い事業として事務局が好印象を持ちやすい計画になるからだと考えられます。
事業計画書ポイント:内容の質を重視する
ものづくり補助金の採択を受けるには、他の申請事業者よりも内容の質が上回らなければ不採択となりやすいです。事業計画を練るときは、内容の質を重視しましょう。「他の事業より独自性や優位性がある」「基本要件や加点項目を大きく上回る成果を出せる」といった事業計画書を目指すとよいです。
過去に採択された記入例から見るものづくり補助金事業計画書のポイント3選
採択される事業計画書を作成する際は、過去のものづくり補助金の採択事例を参考にするのが効果的です。ここからは過去に採択された例を参考にした、事業計画書のポイントをまとめました。
- 自社事業オリジナルの商品を活かした、独自性・優位性の高い事業にする
- 自社の利益だけではなく、周辺地域にある学校や住民への貢献度が高い事業にする
- 事業の質だけでなく、一貫性・整合性ある計画、6W2Hを意識した具体的な内容、専門知識がない人が読んでもわかる平易な表現など、読み手の気持ちを考えた事業計画書にする
より具体的な採択事例から分析したいときは、ものづくり補助金総合サイトから確認してみてください。
ものづくり補助金不採択になりやすい事業計画書の記入例
採択されやすい事業計画書がある反面、不採択になりやすい事業計画書も存在します。具体的な例を紹介します。
不採択になりやすい事業計画書の例
支援の対象外である一時的な経費について記載してある
ものづくり補助金は原則として機械・設備の投資を支援する事業です。インターネット広告や期間限定キャンペーンの実施など、一時的な経費は補助対象外です。今後の事業成長を意識した事業計画書を作成しましょう。
ものづくり補助金の対象となる事業者・経費について徹底解説!
過度または不適切な投資に補助金を利用しようとしている
わかりやすく論理的な事業計画書や質の高い事業であっても、財務状況にそぐわない高額投資や、抽象的で実現不可能な計画だと採択は受けられません。
例えば「今回の設備投資でキャッシュフローが悪化する」「経営難が続いているのに、さらに投資しようとしている」などが、不適切な投資に当てはまります。
競争上の優位性が低い事業について記載されている
他の企業にはない競合優位性を持たない事業だと、採択を受けにくくなります。例えば古い設備を入れ替えるだけ、他の競合会社が同じ設備を導入したら優位性がなくなるなどのケースが該当します。
自社のみが持つ強みを活かした、他の企業では真似できない競合優位性を有する事業計画を立てましょう。
ものづくり補助金の事業計画書テンプレートを無料配布!
テンプレートのダウンロードはこちら
株式会社補助金プラスでは、ものづくり補助金で必要な事業計画書のテンプレートを無料配布しています。
以下のリンクのフォームからご連絡いただければテンプレートを送らせていただきます。
テンプレートの無料配付の終了時期は未定ですのでお早めにご連絡いただければと思います。株式会社補助金プラスが配布するような高いクオリティのテンプレートだと、他社様の場合だと有料で販売されているケースがほとんどです。
補助金プラス監修!ものづくり事業計画書作成マニュアルを無料配布中
株式会社補助金プラスがものづくり補助金の事業計画書無料テンプレートを配布する理由
株式会社補助金プラスが事業計画書の無料テンプレートをなぜ配布するのかの理由を説明します。
株式会社補助金プラスが無料テンプレートを配布する理由
多くの方に補助金を活用してもらいたい
ものづくり補助金の申請サポート、コンサルを行っている株式会社補助金プラスがなぜものづくり補助金の事業計画書のテンプレートを配布するかというと、より多くの会社様に補助金を活用してもらいたいからです。
ものづくり補助金を利用することで、予算が足りずに諦めていたような新たな事業に挑戦できる可能性が広がります。株式会社補助金プラスでは、多くの事業者にものづくり補助金を活用していただき、会社の発展に役立てていただきたいと考えています。
テンプレートを活用して時間を節約してほしい
企業の社長をされている方は、お仕事がお忙しい方が多く、事業計画書について調べながら書く時間がない方もたくさんいらっしゃると思います。新規で立ち上げる事業のマーケティングや関係先との調整などが最も大切であり、事業計画はそれらの調査結果を通じて自社の強みなどを言語化する作業です。そのため、事業計画に落とし込む前に事業の実現に向けてプランを練ることを最優先で行っていただきたいと考えています。
事業計画書のテンプレートを無料配布することで、事業計画書を調べる時間などを短縮し、本業や新規事業に打ち込んでいただきたいと思っています。
まとめ
この記事では、ものづくり補助金における事業計画書作成のポイントを解説しました。
ものづくり補助金の採択を受けられるかは、事務局の審査対象となる事業計画書の内容が大きく関わります。ものづくり補助金を活用した事業展開を考える場合は、ぜひ本記事の内容を参考に事業計画書を作成してみてください。