【2024.2】事業再構築補助金の産業構造転換枠について徹底解説!

事業再構築補助金 産業構造転換枠

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

事業再構築補助金の産業構造転換枠とは、第10回公募にて創設された新枠です。補助上限や補助率が成長枠(旧通常枠)よりも優遇されていますが、市場縮小要件という独自要件を満たす必要があります。

当記事では、産業構造転換枠の概要や必要書類について解説します。

この記事の目次

事業再構築補助金の産業構造転換枠の補助上限と補助率は?

事業再構築補助金 産業構造転換枠

事業再構築補助金の産業構造転換枠とは、第10回公募より新しく設立された枠です。「産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者」を対象とした類型で、成長枠よりも補助率が優遇されています。また、当該の事業再構築に廃業が必要なときは、廃業費を追加で請求できます。

出典:事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要

産業構造転換枠の補助上限額・補助率は次の通りです。

 産業構造転換枠
補助上限従業員数20人以下:100万円~2,000万円
従業員数21~50人:100万円~4,000万円
従業員数51~100人:100万円~5,000万円
従業員数101人以上:100万円~7,000万円
廃業を伴う場合は、廃業費を最大2,000万円上乗せ
補助率中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2

基本の補助上限は成長枠と同じですが、廃業費の上乗せ分が優遇されています。また、補助率は成長枠の補助率引上要件を満たした場合と、同じ補助率に設定されています。

ただし産業構造転換枠は、市場縮小要件という対象が絞られた条件をクリアしなければ申請ができません。賃上げによる補助上限・補助率の上昇もなく、現状は上記表の数値が補助の限度となります。

第10回公募創設で採択事例がまだないことから、参考にすべき事業例が出揃っておらず、事業計画書作成の方向性が見えづらいのもデメリットです。

原則としては、成長枠や物価高騰対策・回復再生応援枠、グリーン成長枠などの他枠の事業再構築補助金へ応募するケースが多くなるでしょう。

事業再構築補助金の産業構造転換枠の応募のために満たすべき要件

事業再構築補助金 産業構造転換枠

事業再構築補助金の産業構造転換枠の応募のために満たすべき要件は、主に次の通りです。

産業構造転換枠で満たすべき要件概要
事業再構築要件事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
新市場進出・事業転換・業種転換・事業再編・国内回帰の5つのうちいずれか
認定支援機関要件事業計画について、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認を受けていること
補助金額が3,000万円を超えている場合(卒業促進枠や大規模賃金引上促進枠にも申請する場合は、合算して3,000万円超えること)は、認定支援機関および金融機関(認定支援機関が金融機関の場合はその金融機関のみ)の確認を受けること
付加価値額要件補助事業終了後3~5年で付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)の年率平均が3%以上増加見込み、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
市場縮小要件経済産業省・中小企業が指定した、「過去または今後の10年間で一定以上の市場規模の縮小が見られる」、または「一定以上の取引を行っている基幹大企業の撤退によって市町村内総生産が一定以上減少する地域に属している」こと

出典:事業再構築補助金 公募要領(第10回)

事業再構築要件・認定支援機関要件・付加価値額要件は、他枠の事業再構築補助金とほぼ同じ内容となっています。これらを満たす事業計画書を作成するには、自社事業の分析・問題点の抽出や、専門家(経営コンサルティングや中小企業診断士など)への相談などが必要です。

一方で市場縮小要件を満たすには、事業者の動きではコントロールが難しい部分があります。

また、過去に事業再構築補助金の採択を受けている事業者が申請する場合は、上記の要件に加えて別事業要件と能力評価要件が設定されています。

このように産業構造転換枠へ申請するには、高いハードルをクリアしなければなりません。申請前には、自社で要件が満たせるのか事前にしっかりと検討しましょう。

産業構造転換枠の市場縮小要件を満たす方法

事業再構築補助金 産業構造転換枠

産業構造転換枠の市場縮小要件は、次のうちいずれかの条件に該当することで満たせます。

  1. 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
  2. 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を締めること

上記の1・2を満たす業種・業態は、第10回公募時点で事業再構築補助金の公式サイトにてリストが公開されています。以下では、それぞれに当てはまる業種・業態を紹介します(第10回公募時点)。

産業構造転換枠の1に該当するもの
管理番号業種・業態名業種・業態の定義・外縁
1出版業(電子出版のみの事業者は除く)および書籍・雑誌小売業書籍・雑誌(電子出版を除く)を出版する事業所または販売事業所
2粘土かわら製造業主として粘土製の棟飾りを含む粘土製屋根かわらを製造する事業所(産業分類:2131 粘土かわら製造業)
産業構造転換枠の2に該当するもの
管理番号市区町村名地域における基幹大企業
1呉市日本製鉄株式会社
2有田市ENEOS株式会社(和歌山製油所)
3名寄市王子マテリア株式会社(名寄工場)

上記の通り、指定されている業種・業態は2つ・地域は3つと、2023年5月時点ではほとんど指定されていません。

業界団体等が条件を満たすと判断した業種・業態については、今後の事務局の審査結果で増える可能性があります。現状では、事業者からの申請受付の予定はありません。

指定については、「事業者からの申請は公募回ごとの応募申請時に追加の様式を設け受付ける予定です」との見解が出ていることから、今後は事業者からの申請で指定業種・業態・地域が増えることが考えられます。最新の公募要領などを都度チェックしておきましょう。

過去に事業再構築補助金に採択された事業者が産業構造転換枠に応募する方法

事業再構築補助金 産業構造転換枠

事業再構築補助金は、過去の第1〜9回公募にて一度交付でも受けると、その後は申請できません。しかし、産業構造転換枠など一部の枠は、一定の条件を満たせば再度申請が可能です。産業構造転換枠は、通常の要件に加えて追加要件を満たすのが条件になります(支援の上限は2回まで)。

ただし過去にグリーン成長枠の採択を受けている事業者については、追加要件を満たしても申請できないので注意しましょう。

産業構造転換枠の追加要件は次の2つです。

産業構造転換枠の追加要件概要
別事業要件すでに事業再構築補助金で取り組んでいる、または取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること
能力評価要件既存の事業再構築を行いつつ、新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること

追加要件を満たした上で事務局から採択を受けた場合、補助金額は「第10回応募申請時点における1回目採択分の採択額、交付決定金額または確定額のいずれかもっとも低い金額」と「第10回公募の産業構造転換枠の補助上限額」との差額分が上限になります。

第10回公募時点でこの条件を満たす事業者は少ないと思われますが、第11回以降で回数を重ねていけば、適用する事業者が増えていくと予想されます。

事業再構築補助金の産業構造転換枠の必要書類

事業再構築補助金の産業構造転換枠の必要書類は、次の通りです。

  • 市場縮小要件を満たすことを説明する書類
  • 廃業費を計上することを妥当性を説明する書類(廃業費を計上する場合)
  • 事業計画書(Word等で作成、最大15ページ・補助金額1,500万円以下は10ページ以内)
  • 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
  • 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)
  • ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報(PDF出力し添付)
  • 従業員数を示す書類(労働基準法に基づく労働者名簿の写しなど)
  • 収益事業を実施していることを説明する書類(直近の確定申告書など)
  • 建物の新築が必要であることを説明する書類(建物の新築に係る費用を補助対象経費として計上している場合)

産業構造転換枠を含む事業再構築補助金の申請は、すべてオンライン上で完結します。電子申請を行うには、GビズIDの公式サイトにてGビズプライムアカウントの取得が必要です。申請方法は公式サイトの「電子申請用資料」のページや、GビズID公式サイトにてご確認ください。

まとめ

事業再構築補助金の産業構造転換枠は、補助上限や補助率が優遇されている反面、市場縮小要件を満たす事業者が少ないのが現状です。今後は徐々に適用範囲が広がることが予想されるため、自社事業が対象になったときは応募を検討してみてください。

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