【2024.2】事業再構築補助金とは?目的や申請要件ををわかりやすく解説

事業再構築補助金 要件

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

「事業再構築補助金ってなに?」「事業再構築補助金を申請したいけど要件を理解していない」そんなことを考えている人もいるのではないでしょうか。この記事では、事業再構築補助金の概要と、申請要件について詳しく解説していきます。

この記事の目次

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金とは、中小企業の新市場進出や事業再編を支援する事業再構築補助金は、企業や個人事業主が経済的に困難に直面した時にその事業を再建、継続するために政府から支援される補助金のことです。

事業再構築補助金の補助率と補助上限金額

以下の表は、第11回事業再構築補助金の公募要領を参考にした、事業再構築補助金の補助率と補助上限金額を表した表です。

応募枠中小企業等中堅企業等
①成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
②グリーン成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
③卒業促進枠1/21/3
④大規模賃金引上促進枠1/21/3
⑤産業構造転換枠2/31/2
最低賃金枠3/42/3
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠2/3※1/2※
応募枠従業員数
〜5人6〜20人21〜50人51〜100人101人〜
①成長枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中小企業等)4,000万円4,000万円6,000万円6,000万円8,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中堅企業等)1億円
②-2グリーン成長枠(スタンダード)中小企業等:1億円 中堅企業等:1.5億円
③卒業促進枠成長枠・グリーン成長枠に準じる
④大規模賃金引上促進枠3,000万円
⑤産業構造転換枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
⑥最低賃金枠500万円1,000万円1,500万円1,500万円1,500万円
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠1,000万円1,500万円2,000万円3,000万円3,000万円

これらの表から、応募枠によって補助率や補助上限金額にかなりの差があると分かりますね。応募枠の詳しい内容は経済産業省が掲載している公募要領をご参照ください。
公募要領最新版
それでは、応募枠ごとの申請要件はどのようなものがあるのでしょうか。

応募枠ごとの申請要件

事業再構築補助金 第10回公募 申請要件

ここでは、事業再構築補助金の各応募枠の要件を解説します。なお、第10回公募から新設された枠の一つである「サプライチェーン強靭化枠」については、要件及び補助対象経費が特殊であることからここでは省略します。

※以下の内容にいう、事業再構築補助金の対象となる「事業再構築」とは

事業再構築補助金 類型

出典:経済産業省「事業再構築指針の手引き」
のいずれかを満たす事業計画を指します。

また、「新市場進出」「事業転換」「業種転換」とは、基本的には「新製品、新サービスの提供」と「新たな市場への進出」という点を満たす事業計画のことを指します。

詳細については、中小企業庁が公開する「事業再構築指針」をご覧ください。

【①成長枠】の申請要件

成長枠は、現在成長中の市場への進出、拡大を目指す事業者を支援するもので、事業再構築補助金における最も基本的な申請類型です。第10回公募から新設されたものですが、以前の通常枠や大規模賃金引上げ枠をベースとした類型となっています。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
    ※補助額3000万円を超える申請の場合は、金融機関の確認も必要
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均4.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均4.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 事業計画において取り組む事業の業種・業態が、その市場規模を過去~現在のいずれか10年間で10%以上拡大させていること
  5. 給与支給総額を、事業終了後3-5年で年率平均2.0%以上増加させること

※成長枠においては上記の要件に加え、卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠の要件を満たすことで、それら二類型のいずれかでも同時に申請することができます。

【②グリーン成長枠】の申請要件

グリーン成長枠は、グリーン成長戦略で示された14の重点分野の課題解決に資する取り組みと、それに伴う研究開発、技術開発、人材育成を行う事業者を支援するもので、第10回公募からは「エントリー」と「スタンダード」の二類型に分かれています。

「エントリー」類型の要件は以下の通りとなっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
    ※補助額3000万円を超える申請の場合は、金融機関の確認も必要
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均4.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均4.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 事業計画が、グリーン成長戦略の実行計画における重点14分野の課題解決に資するものであって、その課題解決に関係する研究開発と技術開発、あるいは従業員の一定割合以上に対する人材育成を一年以上行うこと
  5. 給与支給総額を、事業終了後3-5年で年率平均2.0%以上増加させること

次に、「スタンダード」類型の要件は以下のようになっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
    ※補助額3000万円を超える申請の場合は、金融機関の確認も必要
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均5.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均5.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 事業計画が、グリーン成長戦略の実行計画における重点14分野の課題解決に資するものであって、その課題解決に関係する研究開発と技術開発、あるいは従業員の一定割合以上に対する人材育成を二年以上行うこと
  5. 給与支給総額を、事業終了後3-5年で年率平均2.0%以上増加させること

グリーン成長枠では、成長枠にあった市場の成長に関する要件が設けられていない代わりに、グリーン成長戦略に関連した固有の要件が設けられています。更に「スタンダード」類型においては、付加価値額の増加に関する要件でも成長枠以上の数値が求められていますので注意が必要です。

※グリーン成長枠においては上記の要件に加え、卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠の要件を満たすことで、それら二類型のいずれかでも同時に申請することができます。

【③卒業促進枠】の申請要件

卒業促進枠は、成長枠やグリーン成長枠に申請し、事業計画終了後に中小事業者の規模を超えて成長することを目指す事業者を対象とした類型で、第10回公募で新設されたものです。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 成長枠かグリーン成長枠のいずれかに申請する事業者である
  2. 成長枠かグリーン成長枠で申請した事業計画の終了後3-5年以内に、現在の分類(中小企業、特定事業者、中堅企業)の規模から卒業すること
    ※卒業促進枠は、申請時点の事業者の規模に応じて要求される規模が異なります。例えば、申請時点で中小企業なら特定事業者以上の規模となること、申請時点で特定事業者なら中堅企業以上の規模となること、申請時点で中堅企業なら大企業となることが求められます。

【④大規模賃金引上促進枠】の申請要件

大規模賃金引上促進枠枠は、成長枠やグリーン成長枠に申請し、同時に大規模な賃上げを行うことを目指す事業者を対象とした類型で、第十回公募で新設されたものです。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 成長枠かグリーン成長枠のいずれかに申請する事業者である
  2. 成長枠かグリーン成長枠で申請した事業計画の終了後3-5年間において、事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げ続けること
  3. 成長枠かグリーン成長枠で申請した事業計画の終了後3-5年間において、従業員数を年率平均1.5%以上増加させ続けること

【⑤産業構造転換枠】の申請要件

産業構造転換枠は、現在主たる事業の市場規模縮小に直面している事業者を対象とした類型で、第10回公募で新設されたものです。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
    ※補助額3000万円を超える申請の場合は、金融機関の確認も必要
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均3.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均3.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 申請時点での主たる事業が、過去~現在のいずれか10年間において、10%以上市場規模が縮小している業種や業態に属するものであって、事業計画がその業種や業態から別の業種や業態への転換を目指すものであること

【⑦最低賃金枠】の申請要件

最低賃金枠は、厳しい経営状況においても賃上げを目指している事業者の事業再構築を支援する旨の類型です。この最低賃金枠については、第10回公募以前と比較してさほど要件は変化していません。下記の物価高騰対策・回復再生応援枠と趣旨は似ていますが、両者は補助率と補助額、最低賃金要件の有無などの点で異なり、最低賃金枠の方が補助率は優遇されています。また最低賃金枠はその申請自体が加点の対象となるので、他の申請枠と比べて採択において優遇されるという利点もあります。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均3.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均3.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 2022年1月以降の連続する6か月間における任意の3か月間の売上高が、2019〜2021年の任意の3か月間の売上高に比べて10%以上減少していること。
    もしくは、2022年1月以降の連続する6か月間における任意の3か月間の付加価値額が、2019〜2021年の任意の3か月間の付加価値額に比べて15%以上減少していること。
    ※「任意の3か月間」は定められた期間内のものであれば、連続したものでなくても認定されます
  5. 2021年10月~2022年8月の期間内において、最低賃金+30円以内の賃金で3か月以上雇用している従業員が、全従業員の10%以上を占めていること

【⑧物価高騰対策・回復再生応援枠】の申請要件

物価高騰対策・回復再生応援枠は、厳しい経営状況にある事業者や再生事業者が行う事業再構築を支援する旨の類型で、第10回公募から新設されたものですが、その内容の多くは以前存在した「回復・再生応援枠」をベースとしています。また上記の最低賃金枠と趣旨は似ていますが、両者は補助率と補助額、最低賃金要件の有無などの点で異なり、最大補助額の面ではこの物価高騰対策・回復再生応援枠の方が有利となっています。要件に関しても異なる要素が組み込まれています。

要件は以下の通りとなっています。

  1. 事業再構築指針にいう「事業再構築」に該当する事業計画であること
  2. 認定経営革新等支援機関が事業計画について確認していること
  3. 補助事業の終了後3-5年の時点において、付加価値額を年率平均3.0%以上増加させる、もしくは従業員一人当たりの付加価値額を年率平均3.0%以上増加させることを目指す事業計画であること
  4. 2022年1月以降の連続する6か月間における任意の3か月間の売上高が、2019〜2021年の任意の3か月間の売上高に比べて10%以上減少していること。
    もしくは、2022年1月以降の連続する6か月間における任意の3か月間の付加価値額が、2019〜2021年の任意の3か月間の付加価値額に比べて15%以上減少していること。
    ※「任意の3か月間」は定められた期間内のものであれば、連続したものでなくても認定されます

※再生事業者である場合、要件[4]は不要です。ここでいう再生事業者とは、中小企業活性化協議会や中小企業基盤整備機構などにおいて再生計画を策定中、あるいは再生計画策定済で計画成立から3年以内である事業者を指します。

事業再構築補助金第11回公募の必要書類

事業再構築補助金 要件 必要書類

事業再構築補助金では、各応募枠ごとに必要書類が大きく異なります。

ここでは、各応募枠での申請に必要な書類についてそれぞれ解説します。

全ての応募枠に共通して必要な書類

事業再構築補助金の概要や、応募枠ごとの申請要件は理解することができましたか。
事業再構築補助金の各応募枠で共通して要求される書類は、以下の通りです

※各書類の番号は公募要領の記載に従っています。

※なお、リース業者と共同で申請する場合や、複数の事業者間で連携して申請する場合、更には過去に事業再構築補助金の適用を受けた事業者が申請する場合、組合特例を用いる場合には、ここに列挙した以外の書類を要求されることがあります。また一部の加点事由を得る際にも追加で書類提出が必要となることがあります。詳細は公募要領をご確認ください。

①事業計画書

⇒補助対象とする事業計画について具体的に説明するものです
⇒1ページ目で「事業再構築」の定義に該当する計画であることを説明する必要があり、これに該当しないと判断された場合はその時点で不採択となりますから、注意が必要です。
⇒2ページ目以降は、詳細な事業内容について記載します。その際の評価基準は公募要項の表1に記載されていますので、詳細はそちらをご覧ください。
⇒原則として、15ページ以内(補助額が1500万円以内の場合は10ページ以内)とすることが求められます

②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

⇒事業計画が認定経営革新等支援機関の確認を受けていることを証明するものです
⇒前述の通り、補助額が3000万円を超える場合は金融機関の確認も必要です
(認定経営革新等支援機関が金融機関である場合は不要)
⇒複数の事業者が連携して申請する場合は、認定経営革新等支援機関の確認書は不要です

③決算書

⇒直近2年分の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表を提出する必要があります
※製造原価報告書、販売管理費明細については従来から作成している場合のみ
⇒2年分の提出が出来なければ、1期分の提出でも許容されます
⇒また、決算書を提出できない中小企業等は、決算書の代わりに法人等の全体の事業計画書と収支予算表を提出することもできます

④ミラサポplusの電子申請サポートで作成した「事業財務情報」

⑤従業員数を示す書類

⇒労働基準法107条所定の労働者名簿の写しを提出する必要があります

⑥収益事業を実施していることを証明する書類

⇒法人の場合は「直近の確定申告書別表一」「法人事業概況説明書の控え」
⇒個人事業主の場合は、「直近の確定申告書第一表」「所得税青色申告決算書の控え」の提出が必要です

⑦新築の必要性を証明する書類

⇒建物の新築に要する費用を計上する場合には、提出が必要です

【①成長枠】の必要書類

  • 市場拡大要件に関する説明書類
    ⇒事業計画(で進出する市場)が、市場拡大要件を満たしていることを説明する必要があります
  • 給与総額増加要件に関する説明書類
    ⇒賃金引上げ計画の実施に関する誓約書等を提出する必要があります
  • 補助率引上要件に関する説明書類
    ⇒成長枠及びグリーン成長枠で、大規模な賃上げの実施による補助率引き上げ措置を目指す場合、大規模賃上げ (事業終了時点で、事業場内最低賃金+45円以上とし、給与支給総額を+6%以上とする) の計画書を提出する必要があります。

【②グリーン成長枠】の必要書類

  • 給与総額増加要件に関する説明書類
    ⇒成長枠のものと同様です
  • 補助率引上要件に関する説明書類
    ⇒成長枠のものと同様です
  • 研究開発・技術開発計画書 or 人材育成計画書

【③卒業促進枠】の必要書類

  • 卒業要件に関する説明書類
    ⇒卒業計画書の提出が必要です

【④大規模賃金引上促進枠】の必要書類

  • 賃金引上げ要件に関する説明書類
    ⇒大規模賃金引上げの計画書と、その計画に基づく賃金引上げを従業員に表明していることがわかる書面を提出する必要があります。更に、これらの書類には事業所内最低賃金を明記しなければならないほか、最低賃金で雇用している従業員全てが記載された賃金台帳も提出することが求められています。
  • 従業員増員要件に関する説明書類

【⑤産業構造転換枠】の必要書類

  • 市場縮小要件に関する説明書類
    ⇒現在の主たる事業が属する市場が、市場縮小要件を満たすことを説明する必要があります
  • 廃棄費計上の妥当性に関する説明書類
    ⇒事業計画において廃棄費を計上する場合、その妥当性を説明する必要があります

【⑦最低賃金枠】の必要書類

  • 売上高(もしくは付加価値額)の減少に関する説明書類
    ⇒最低賃金枠に定められた売上高減少要件を満たすことを示す必要があります
    ⇒法人の場合、「確定申告書別表一の控え」や「法人事業概況説明書」が必要となります
    ※より詳細な点については公募要領の別添1をご覧ください。
  • 事業所内最低賃金を示す各種書類
    ⇒最低賃金確認書及び賃金台帳の提出が必要となります

【⑧物価高騰対策・回復再生応援枠】の必要書類

  • 売上高(もしくは付加価値額)の減少に関する説明書類
    ⇒最低賃金枠のものと同様です

    ※再生事業者の場合、上記の売上高減少に関する書類は提出不要ですが、その代わりに
  • 再生事業者であることを証明する書類
    を提出する必要があります。ここでいう再生事業者の定義は、申請要件の欄で述べたのと同様であり、中小企業活性化協議会や中小企業基盤整備機構などにおいて再生計画を策定中、あるいは再生計画策定済で計画成立から3年以内である事業者を指します。

まとめ

この記事では、事業再構築補助金の概要や、各応募枠ごとの要件や必要書類などについて解説しました。枠によっては要件や手続が非常に複雑ですので、初めて申請する方などは一度専門家に相談するとよいでしょう。

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