「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金で事業拡大をしたいけれど採択されるか不安」、「競争率が高いと聞くが、具体的な採択状況が知りたい」などお悩みの方もいるでしょう。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金は多くの事業者にとって大きな支援となる一方、毎回多くの企業が申請するため、採択率が比較的低く、競争が激しいことが特徴です。
審査では、事業計画の実現可能性や地域経済への貢献度、賃上げ目標の達成度などが重視されるので、採択されるためには、具体的かつ実現性のある計画が求められます。

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の概要

採択率を確認する前に、まずは中堅・中小成長投資補助金の概要を確認していきましょう。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の概要
中堅・中小成長投資補助金はいくらもらえる?
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が人手不足等の喫緊の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした制度です。
この補助金では、1件あたり最大50億円の補助が受けられ、補助率は対象経費の3分の1以下と定められています。ただし、申請書の中で補助率4分の1を適用した事業採択も許容された事業者については、本来の採択基準に満たない場合においても追加的な採択を行う可能性があります。なお、補助対象となる投資額には下限があり、最低でも10億円以上(税抜き、外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)の投資が求められます。
補助事業期間は交付決定日から最長で令和9年12月末までとなっており、予算額は令和9年度までの国庫債務負担を含む総額3,000億円が確保されています。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金は、企業が生産設備の導入やシステムの自動化、新たな生産拠点の設立といった大規模な投資を行う際の支援を目的としています。これにより、企業は事業の成長基盤を強化し、労働生産性を向上させながら賃上げにも取り組みやすくなります。
中堅・中小成長投資補助金の対象者
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する、常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社又は個人等となります。会社・個人以外の法人についても、政策目的に沿った補助事業であり、その補助事業が収益事業に関する内容である場合は補助対象者となります。
ただし、以下のいずれかに該当する者は大企業とみなして補助対象外となります(みなし大企業)。ここでいう「大企業」とは、常時使用する従業員数が2,000人超の事業者を指します。
みなし大企業の要件
- 発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
- 大企業(外国法人含む)の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の総額が上記3項目に該当する法人の所有に属している法人
- 上記3項目に該当する法人の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている法人
同一の公募において、同一の事業者は1件のみ補助金の申請が可能です。また、同一の公募において、みなし同一法人も1件のみ補助金を申請できます。
中堅・中小成長投資補助金の補助事業の要件
補助事業として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
投資額要件 投資額10億円以上(税抜き、外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)であることが必要です。投資場所が複数地域になる場合も対象となりますが、補助事業の目的・内容が一体的であることが求められます。また、共同申請(コンソーシアム形式)も可能です。
賃上げ要件 補助事業の終了後3年間の補助事業に関わる従業員(非常勤含む)及び役員の1人当たり給与支給総額(補助事業1人当たり給与支給総額)の年平均上昇率が4.5%(基準率)以上であることが必要です。コンソーシアム形式の場合、全ての参加者がそれぞれ基準率以上であることが必要です。具体的には、申請時に基準率以上の目標を掲げ、その目標を従業員等に表明の上、達成することが要件となります。
中堅・中小成長投資補助金の補助対象経費
補助対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。対象経費は必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる経費で、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業期間内に納品、検収、支払等の事業上必要な手続きがすべて完了したものとなります。
建物費
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他成長投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費が対象となります。
機械装置費
専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費、及びこれらと一体で行う改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費が対象となります。
ソフトウェア費
専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費、及びこれらと一体で行う改良・修繕に要する経費が対象となります。
外注費・専門家経費
補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費及び本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費が対象となります。ただし、外注費及び専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満でなければなりません。
中堅・中小成長投資補助金の採択率の推移

中堅・中小成長投資補助金の採択率の推移を、第1〜3次公募の結果から見ていきましょう。
| 公募 | 有効申請件数 | 1次審査通過件数 | 採択件数 | 採択率 |
| 第1回公募 | 736件 | 254件(約34.5%) | 109件 | 約14.8% |
| 第2回公募 | 605件 | 218件(約36.0%) | 55件 | 約9.1% |
| 第3回公募 | 229件 | 177件(約77.3%) | 116件 | 約50.7% |
第1次公募(2024年3月6日〜4月30日)では、736件の有効申請がありました。一次審査の書面評価を通過したのは254件(約34.5%)で、二次審査のプレゼンテーション審査を経て109件が採択され、採択率は約14.8%となりました。この結果からも補助金獲得へ向けての企業競争率が高いことがわかります。
また採択された事業の平均投資予定額は約54億円で、平均目標賃上げ率の中央値は4.3%と、大規模な投資を行い賃上げにも積極的に取り組む企業が多く採択されたことが特徴的です。
一方、第2次公募(2024年6月26日~8月9日)では、申請件数は605件と1次公募よりも少なかったものの、採択数は第1次公募と比べかなり絞られた結果となりました。一次審査を通過したのは218件で、最終的にプレゼンテーション(二次)審査を経て55件が採択され、採択率は約9.1%、採択倍率は11.0倍となっています。
第2回公募での採択事業の平均投資予定額は約47億円で、平均目標賃上げ率の中央値は5.5%と、第1次公募よりも高い賃金引き上げ目標を定めた企業が多く採択されています。
第3回公募では申請件数が減り、採択率が高くなりました。
参考:中堅・中小成長投資補助金 1次公募採択者について
参考:中堅・中小成長投資補助金 2次公募採択者について
中堅・中小成長投資補助金に採択されるのは簡単ではない
中堅・中小成長投資補助金は、事業成長のため大規模投資を計画している中堅・中小企業にとって大いに役立つ支援制度ですが、採択されるのは簡単ではありません。
上記に示した通り、採択率は10%前後と、他の補助金の中でも採択されるのは容易ではなく、どの公募でも高い競争率があるのが特徴です。この数値は他の補助金制度よりも高くなっています。
中堅・中小成長投資補助金の審査では、企業の経営力や事業計画の具体性・実現可能性、賃金引き上げ目標の達成度、地域社会への波及効果などが厳しく評価されるため、1次審査の書面審査、2次審査のプレゼンテーション審査と両方への入念な準備が必要です。
中堅・中小成長投資補助金で不採択になってしまったら

中堅・中小成長投資補助金は競争率が高く、年間で複数の公募があったとしても採択率は10%前後と狭き門です。
もし中堅・中小成長投資補助金の申請が不採択となった場合でも、再申請に向けて準備を進めることが重要です。中堅・中小成長投資補助金の審査基準は、投資の費用対効果や実現可能性、そして地域経済への波及効果などが重視されます。不採択になった場合はまず不採択理由を確認し、次回の申請に向けた計画の見直しを図りましょう。
不採択となった事業者は、専用の問い合わせフォームを通じて不採択理由を確認できます。この不採択理由をもとに、事業計画の内容をより具体化し、改善点に落とし込むことが重要なポイントです。例えば、事業の波及効果をさらに明確に示したり、投資の必要性や明確な賃上げ率を具体的に提示したりすることで、計画の信頼性を高められます。
さらに、採択率の高い申請をサポートする専門家やコンサルティング会社を活用することも有効です。プロのアドバイスを受けながら計画を修正し、申請書類の精度を高めることで、再申請時の採択率を向上させることが期待できます。また、他の補助金制度を検討し、企業の成長投資を支援する資金調達の選択肢を増やすことも一つの方法です。
中堅・中小成長投資補助金で採択されるためのポイント

中堅・中小成長投資補助金は、企業が継続的発展を目指すための重要な補助制度ですが、申請するだけでは採択されるとは限りません。申請後に行われる審査では、成長戦略の明確さや投資の先進性、賃上げ、地域社会への波及効果など、いくつかの重要なポイントが厳しくチェックされます。
以下では、補助金の審査を通過するために特に意識すべきポイントを解説します。
中堅・中小成長投資補助金で採択されるためのポイント
経営力と持続的な成長計画をアピールする
審査で重視されるポイントの一つに、企業の経営力が挙げられます。 企業が補助事業を通じて持続的な成長を継続できるかが評価されます。
また、成果目標を達成するための効率的な組織体制が整備されているかをチェックするため、実現可能な計画を示すことが求められます。
先進性・成長性を明確に示す
補助金を活用した投資事業が、自社の競争優位性を高めるか審査されます。補助事業に導入する設備や新たな技術が、労働生産性の向上や人手不足の解決にどう貢献するのか明確にし、市場における差別化要素を具体的にアピールする必要があります。
地域経済への波及効果を示す
補助事業が地域経済に与える影響も重要なポイントです。地域の雇用創出や従業員給与の増加、取引の拡大など、地域社会への直接的な貢献度合いが評価されます。また、コンソーシアム形式で申請する場合は、リーダーシップを発揮して地域企業との協力体制を構築し、連携に相乗効果が見込まれるかを審査されます。
このような地域貢献に加えて、「地域未来牽引企業」や「パートナーシップ構築宣言登録企業」の場合、加点対象となるため、これらの要件に該当する企業は積極的にアピールすることが採択率の向上につながります。
規模投資の適正性と費用対効果をアピールする
補助金を活用した投資が企業の規模に応じた適正なものであり、リスクへの対処が考えられているかが審査されます
。特に、既存事業とのシナジー効果や補助金によって生み出される付加価値額、売上高、賃金の増加が、相対的に大きい取り組みは高く評価されます。
費用対効果をしっかりと示すために、具体的な数値や根拠を提示することで、投資計画の説得力を高めることが重要です。
実現可能性の高い投資計画を作成する
補助事業を通じて目指す成果が現実的かどうかも審査の重要なポイントです。
必要な資金や体制が十分に確保されていること、課題設定とその解決方法、そして実現可能なスケジュールであることが求められます。また、提供する製品やサービスが市場ニーズに適合しているかを入念に検証することも、評価を高める要因です。早期に投資が実行され、令和6年度中に確実な効果が得られる計画には加点が与えられます。
さらに、「金融機関による確認書」を提出し、担当者がプレゼンテーション審査に同席する場合も加点対象となるため、資金調達の信頼性を示す準備が重要です。
参考:中堅・中小企業の賃上げに向けた 省力化等の大規模成長投資補助金 説明会 資料
株式会社補助金プラスの中堅・中小成長投資補助金に申請支援について
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まとめ
中堅・中小成長投資補助金の採択率は、15%前後や10%を下回ることもあり、全体的に見て高い競争率です。
企業の経営力や地域経済への波及効果など、様々な審査基準をしっかりと満たすことが求められます。そのため、採択される可能性を高めるためには、しっかりとした事業計画と実現可能な投資計画の策定が必要です。
補助金申請に挑戦する事業者にとっては、申請サポート機関などから計画的な支援を受けることで、スムーズな申請準備及び審査への備えができ採択率をあげることができます。
これから中堅・中小成長投資補助金に申請する方はぜひ本記事を参考に、採択されるポイントを押さえて申請を行ってみてください。



