【2024.11】中堅・中小成長投資補助金の採択率は低い?これまでの推移を紹介
「中堅・中小成長投資補助金で事業拡大をしたいけれど採択されるか不安」、「競争率が高いと聞くが、具体的な採択状況が知りたい」などお悩みの方もいるでしょう。
中堅・中小成長投資補助金は、成長を目指す企業にとって魅力的な支援制度ですが、その採択率は決して高くありません。
本記事では、これまでの採択状況や申請件数から見る採択率の推移について詳しく紹介し、今後の申請に向けて参考となる情報をお届けします。
中堅・中小成長投資補助金の概要
中堅・中小成長投資補助金は、成長を目指す中堅・中小企業が行う大規模な投資を支援する制度です。労働生産性向上や事業拡大を目的とする設備投資やシステム導入、新たな拠点の設立などを対象としており、企業の成長基盤を強化するために活用されています。
中堅・中小成長投資補助金は多くの事業者にとって大きな支援となる一方、毎回多くの企業が申請するため、採択率が比較的低く、競争が激しいことが特徴です。
審査では、事業計画の実現可能性や地域経済への貢献度、賃上げ目標の達成度などが重視されるので、採択されるためには、具体的かつ実現性のある計画が求められます。
中堅・中小成長投資補助金の概要
中堅・中小成長投資補助金はいくらもらえる?
中堅・中小成長投資補助金は、成長を目指す中堅・中小企業が行う大規模な投資を支援する制度です。
この補助金では、1件あたり最大50億円の補助が受けられ、補助率は対象経費の3分の1以下と定められています。ただし、補助対象となる投資額には下限があり、最低でも10億円以上の投資が求められます。
中堅・中小成長投資補助金は、企業が生産設備の導入やシステムの自動化、新たな生産拠点の設立といった大規模な投資を行う際の支援を目的としています。これにより、企業は事業の成長基盤を強化し、労働生産性を向上させながら賃上げにも取り組みやすくなります。
参考:中堅・中小成長投資補助金 公式HP
中堅・中小成長投資補助金の対象者
中堅・中小成長投資補助金の対象者は、従業員数が2,000人以下の中堅・中小企業であり、地域経済の発展や労働生産性の向上を目指す事業者が対象となります。
この補助金は、大規模な投資を通じて企業の成長を促進し、賃上げや地域社会への貢献を目指す事業者向けに設計されています。
具体的には、以下のような事業者が対象です。
- 事業規模の拡大や生産性向上を目的とした設備投資を計画している企業
新しい生産設備の導入や自動化のためのシステム構築など、業務の効率化や事業規模拡大を目指す事業が対象です。 - 労働生産性向上や人手不足解消に取り組む企業
IoTやAIを活用した先端技術導入や、作業の省力化を図るシステム導入など、業務効率化のための投資が対象となります。 - 地域経済や雇用創出に貢献する企業
地域資源を活用した新規事業や、地域雇用を増加させるような取り組みを通じ、地域社会に貢献する企業が重視されます。
また、一定の要件を満たす場合、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式)も対象となり、複数の企業が連携して取り組む事業も補助対象として認められます。
ただし、みなし大企業や、実施する事業内容が農作物の生産など1次産業を主とする事業者は補助対象外です。このため、申請の際には事業内容や企業の実態が要件を満たしているか確認することが重要です。
申請にあたっては、賃上げ目標や投資計画の具体性が求められるため、これらの条件を満たし、持続的な成長を目指す企業にとって、有用な支援制度となっています。
中堅・中小成長投資補助金の採択率の推移
中堅・中小成長投資補助金の採択率の推移を、2024年に行われた第1次公募と第2次公募の結果から見ていきましょう。
公募 | 有効申請件数 | 1次審査通過件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回公募(2024年3月6日~4月30日) | 736件 | 254件(約34.5%) | 109件 | 約14.8% |
第2回公募(2024年6月26日~8月9日) | 605件 | 218件(約36.0%) | 55件 | 約9.1% |
第1次公募(2024年3月6日〜4月30日)では、736件の有効申請がありました。一次審査の書面評価を通過したのは254件(約34.5%)で、二次審査のプレゼンテーション審査を経て109件が採択され、採択率は約14.8%となりました。この結果からも補助金獲得へ向けての企業競争率が高いことがわかります。
また採択された事業の平均投資予定額は約54億円で、平均目標賃上げ率の中央値は4.3%と、大規模な投資を行い賃上げにも積極的に取り組む企業が多く採択されたことが特徴的です。
一方、第2次公募(2024年6月26日~8月9日)では、申請件数は605件と1次公募よりも少なかったものの、採択数は第1次公募と比べかなり絞られた結果となりました。一次審査を通過したのは218件で、最終的にプレゼンテーション(二次)審査を経て55件が採択され、採択率は約9.1%、採択倍率は11.0倍となっています。
第2回公募での採択事業の平均投資予定額は約47億円で、平均目標賃上げ率の中央値は5.5%と、第1次公募よりも高い賃金引き上げ目標を定めた企業が多く採択されています。
参考:中堅・中小成長投資補助金 1次公募採択者について
参考:中堅・中小成長投資補助金 2次公募採択者について
中堅・中小成長投資補助金に採択されるのは簡単ではない
中堅・中小成長投資補助金は、事業成長のため大規模投資を計画している中堅・中小企業にとって大いに役立つ支援制度ですが、採択されるのは簡単ではありません。
上記に示した通り、採択率は10%前後と、他の補助金の中でも採択されるのは容易ではなく、どの公募でも高い競争率があるのが特徴です。この数値は他の補助金制度よりも高くなっています。
中堅・中小成長投資補助金の審査では、企業の経営力や事業計画の具体性・実現可能性、賃金引き上げ目標の達成度、地域社会への波及効果などが厳しく評価されるため、1次審査の書面審査、2次審査のプレゼンテーション審査と両方への入念な準備が必要です。
中堅・中小成長投資補助金の申請スケジュール
2024年に行われた中堅・中小成長投資補助金の申請スケジュールは以下の通りです。
1次公募:
- 募集期間: 2024年3月6日(水)~4月30日(火)
- プレゼンテーション審査: 5月中旬~6月中旬頃
- 発表: 6月中下旬頃
2次公募:
- 募集期間: 2024年6月26日(水)~8月9日(金)
- プレゼンテーション審査: 9月上中旬頃
- 発表: 9月中下旬頃
現在、3次公募の予定は発表されていません。これから申請したいと考えている方は、公式サイトを常によく確認し、新しい情報がないかを探しておきましょう。
参考:令和5年度補正「中堅・中小企業の賃上げに向けた省⼒化等の⼤規模成⻑投資補助⾦(中堅・中小成長投資補助金)」の公募について
中堅・中小成長投資補助金で不採択になってしまったら
中堅・中小成長投資補助金は競争率が高く、年間で複数の公募があったとしても採択率は10%前後と狭き門です。
もし中堅・中小成長投資補助金の申請が不採択となった場合でも、再申請に向けて準備を進めることが重要です。中堅・中小成長投資補助金の審査基準は、投資の費用対効果や実現可能性、そして地域経済への波及効果などが重視されます。不採択になった場合はまず不採択理由を確認し、次回の申請に向けた計画の見直しを図りましょう。
不採択となった事業者は、専用の問い合わせフォームを通じて不採択理由を確認できます。この不採択理由をもとに、事業計画の内容をより具体化し、改善点に落とし込むことが重要なポイントです。例えば、事業の波及効果をさらに明確に示したり、投資の必要性や明確な賃上げ率を具体的に提示したりすることで、計画の信頼性を高められます。
さらに、採択率の高い申請をサポートする専門家やコンサルティング会社を活用することも有効です。プロのアドバイスを受けながら計画を修正し、申請書類の精度を高めることで、再申請時の採択率を向上させることが期待できます。また、他の補助金制度を検討し、企業の成長投資を支援する資金調達の選択肢を増やすことも一つの方法です。
中堅・中小成長投資補助金で採択されるためのポイント
中堅・中小成長投資補助金は、企業が継続的発展を目指すための重要な補助制度ですが、申請するだけでは採択されるとは限りません。申請後に行われる審査では、成長戦略の明確さや投資の先進性、賃上げ、地域社会への波及効果など、いくつかの重要なポイントが厳しくチェックされます。
以下では、補助金の審査を通過するために特に意識すべきポイントを解説します。
中堅・中小成長投資補助金で採択されるためのポイント
経営力と持続的な成長計画をアピールする
審査で重視されるポイントの一つに、企業の経営力が挙げられます。 企業が補助事業を通じて持続的な成長を継続できるかが評価されます。
また、成果目標を達成するための効率的な組織体制が整備されているかをチェックするため、実現可能な計画を示すことが求められます。
先進性・成長性を明確に示す
補助金を活用した投資事業が、自社の競争優位性を高めるか審査されます。補助事業に導入する設備や新たな技術が、労働生産性の向上や人手不足の解決にどう貢献するのか明確にし、市場における差別化要素を具体的にアピールする必要があります。
地域経済への波及効果を示す
補助事業が地域経済に与える影響も重要なポイントです。地域の雇用創出や従業員給与の増加、取引の拡大など、地域社会への直接的な貢献度合いが評価されます。また、コンソーシアム形式で申請する場合は、リーダーシップを発揮して地域企業との協力体制を構築し、連携に相乗効果が見込まれるかを審査されます。
このような地域貢献に加えて、「地域未来牽引企業」や「パートナーシップ構築宣言登録企業」の場合、加点対象となるため、これらの要件に該当する企業は積極的にアピールすることが採択率の向上につながります。
規模投資の適正性と費用対効果をアピールする
補助金を活用した投資が企業の規模に応じた適正なものであり、リスクへの対処が考えられているかが審査されます
。特に、既存事業とのシナジー効果や補助金によって生み出される付加価値額、売上高、賃金の増加が、相対的に大きい取り組みは高く評価されます。
費用対効果をしっかりと示すために、具体的な数値や根拠を提示することで、投資計画の説得力を高めることが重要です。
実現可能性の高い投資計画を作成する
補助事業を通じて目指す成果が現実的かどうかも審査の重要なポイントです。
必要な資金や体制が十分に確保されていること、課題設定とその解決方法、そして実現可能なスケジュールであることが求められます。また、提供する製品やサービスが市場ニーズに適合しているかを入念に検証することも、評価を高める要因です。早期に投資が実行され、令和6年度中に確実な効果が得られる計画には加点が与えられます。
さらに、「金融機関による確認書」を提出し、担当者がプレゼンテーション審査に同席する場合も加点対象となるため、資金調達の信頼性を示す準備が重要です。
参考:中堅・中小企業の賃上げに向けた 省力化等の大規模成長投資補助金 説明会 資料
株式会社補助金プラスの中堅・中小成長投資補助金に申請支援について
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まとめ
中堅・中小成長投資補助金の採択率は、15%前後や10%を下回ることもあり、全体的に見て高い競争率です。
企業の経営力や地域経済への波及効果など、様々な審査基準をしっかりと満たすことが求められます。そのため、採択される可能性を高めるためには、しっかりとした事業計画と実現可能な投資計画の策定が必要です。
補助金申請に挑戦する事業者にとっては、申請サポート機関などから計画的な支援を受けることで、スムーズな申請準備及び審査への備えができ採択率をあげることができます。
これから中堅・中小成長投資補助金に申請する方はぜひ本記事を参考に、採択されるポイントを押さえて申請を行ってみてください。