【2025.10】解体業への進出に新事業進出補助金を最大限活用！申請のコツと注意点

解体業への新規参入や事業拡大を考えている方も多いでしょう。初期投資を抑えて新事業参入を実現するために有効な補助金が「新事業進出補助金」です。

このページでは、新事業進出補助金を活用して事業を成功させるための具体的な方法を解説します。補助金の概要から、解体業特有の活用事例（重機購入、ICT導入、環境配慮型設備投資など）、申請方法、そして採択されるための事業計画書の書き方や面接対策まで、網羅的に分かりやすく説明します。

本記事を参考に、新事業進出補助金の申請で不安な点を解消し、資金調達を成功させ、解体業界への参入をぜひ成功させてください。

解体業を始める際に活用できる新事業進出補助金とは？

新事業進出補助金は、2025年から始まる事業再構築補助金の後継補助金です。中小企業庁が実施する補助金制度で、中小企業・小規模事業者が新たな事業活動に挑戦する際の設備投資等を支援するものです。

新規性、革新性のある事業を展開することで、生産性向上や雇用創出を促進し、日本経済の活性化を目指しています。この補助金は、事業の多様化、競争力の強化を図るための強力なツールとなる可能性を秘めています。

補助金概要

新事業進出補助金は、中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としています。

基本的に新事業に参入する際にしか活用できないので注意しましょう。既存の製品等の製造量を単に増大させる場合や、過去に製造していた製品等を再製造する場合などは対象外となるため、注意が必要です。補助金の交付は、審査を通過した事業計画に基づいて行われます。そのため、綿密な事業計画の策定が不可欠です。

なお、第2回公募の公募期間は、令和7年9月12日（金）から令和7年12月19日（金）18:00まで（厳守）となっています。

補助対象となる事業

新事業進出補助金は、革新的な要素を含む新規事業を幅広く支援します。補助事業で取り組む新規事業は、新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する必要があります。具体的には以下の3つの要件を満たす必要があります。

製品等の新規性要件： 事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること。

市場の新規性要件： 事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること。新たな市場とは、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性を持つ顧客層を対象とする市場を指します。

新事業売上高要件： 事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高または付加価値額が、応募申請時の総売上高の10％または総付加価値額の15％を占めることが見込まれるものであること。

これらの事業はあくまで例示であり、新規性、革新性、市場性、収益性等を総合的に判断して審査されます。既存事業の単なる拡張や、投機的な事業は対象外となりますので、注意が必要です。

補助対象経費

新事業進出補助金で補助対象となる経費は、事業計画の実施に直接必要となる経費です。補助対象と決められた経費は以下の通りです。

機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費

ただし、交際費や接待費、土地購入費などは補助対象外となります。また、構築物費は建物費の一部として扱われるようになりました。外注費には補助金額全体の10％という上限が設けられ、専門家経費には100万円の上限が設けられています。広告宣伝・販売促進費については事業計画期間1年あたりの売上高見込み額（税抜き）の5％が上限となります。

補助金額と補助率

新事業進出補助金の補助金額は、従業員数によって異なります。また、補助率は一律で1/2と設定されています。

従業員数	補助上限金額	補助率
従業員数20人以下	2,500万円（3,000万円）	1/2
従業員数21～50人	4,000万円（5,000万円）
従業員数51～100人	5,500万円（7,000万円）
従業員数101人以上	7,000万円（9,000万円）

参照：中小企業新事業進出補助金

解体業における補助金の活用事例

解体業において、新事業進出補助金を活用できる事例は多岐に渡ります。以下に補助金を活用して解体業を行なった代表的な事例を挙げ、それぞれについて詳しく解説します。

解体工事に必要な重機の購入

老朽化した重機の更新や、より効率的な作業を実現するための新型重機の導入は、解体工事の安全性と生産性を向上させる上で不可欠です。補助金を活用することで、油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザー、クレーン車などの購入費用の一部を補助金で賄うことが可能です。

例えば、環境負荷低減に貢献する低燃費重機や排出ガス規制に対応した重機の導入は、補助金の採択率を高める上で有利に働く可能性があります。

ICT技術を活用した解体工事への投資

近年、建設業界全体でICT技術の導入が進んでおり、解体工事においても例外ではありません。ドローンによる測量、3Dモデリングによる解体シミュレーション、BIM/CIMを活用した工程管理システムなど、ICT技術の導入は、安全性向上、工期短縮、コスト削減に大きく貢献します。補助金は、これらのICT技術導入に必要なソフトウェア、ハードウェア、システム構築費用などを補助対象としています。

例えば、VR技術を活用した解体作業員の訓練システムの導入は、安全性向上に繋がる革新的な取り組みとして評価される可能性があります。

環境に配慮した解体工事への設備投資

環境問題への意識の高まりから、解体工事においても環境負荷低減への取り組みが求められています。アスベスト除去設備、廃棄物選別・リサイクル設備、騒音・振動対策設備などへの投資は、環境に配慮した解体工事を実現する上で重要です。補助金を活用することで、これらの設備投資費用の一部を補助金で賄うことが可能になります。

例えば、解体現場で発生する廃棄物を再資源化する設備の導入は、循環型社会の形成に貢献する取り組みとして高く評価される可能性があります。

活用事例	補助対象経費の例	期待される効果
重機の購入	油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザー、クレーン車、ダンプトラックなど	作業効率向上、安全性向上、環境負荷低減
ICT技術の導入	ドローン、3Dレーザースキャナー、BIM/CIMソフトウェア、VR/ARシステム、ICT建機など	安全性向上、工期短縮、コスト削減、精度向上
環境配慮型設備投資	アスベスト除去設備、廃棄物選別・リサイクル設備、騒音・振動対策設備、集塵機など	環境負荷低減、資源の有効活用、近隣住民への配慮

これらの事例以外にも、解体業における補助金の活用方法は様々です。自社の事業計画に合わせて、適切な活用方法を検討することが重要です。

新事業進出補助金の申請にあたっては、事業計画の具体性や実現可能性、地域経済への貢献度などが評価のポイントとなります。専門家への相談も有効活用し、採択を目指しましょう。

新事業進出補助金に解体業で申請する方法

新事業進出補助金の申請は、事業計画の策定から申請書類の提出、審査、そして交付決定までの一連の流れを理解することが重要です。綿密な準備と適切な手順を踏むことで、採択の可能性を高めることができるでしょう。

申請書類の準備

申請書類は、事業計画書をはじめとする様々な書類で構成されます。それぞれの内容を正確に理解し、漏れなく準備することが重要です。

事業計画書： 事業の概要、目標、戦略、収支計画などを詳細に記述する最も重要な書類です。市場分析、競合分析、収益性、実現可能性などを明確に示す必要があります。特に新事業進出指針に基づく新規性要件を満たしていることを明確に示すことが重要です。

収支計画書： 補助事業期間中の収支の見込みを数値で示す書類です。根拠に基づいた現実的な数値を記載する必要があります。

登記事項証明書： 法人の登記簿謄本の写しです。発行日から3ヶ月以内のものが必要です。

直近の決算書類： 会社の財務状況を確認するための書類です。貸借対照表、損益計算書などが含まれます。

金融機関による確認書： 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていることを示す書類が必要です。自己資金のみで実施する場合は不要です。

その他必要書類： 補助事業の内容によっては、追加の書類が必要となる場合があります。公募要領で確認しましょう。

申請の流れとスケジュール

申請から交付決定までの流れとスケジュールは、公募時期によって異なります。第2回公募の公募期間は令和7年9月12日（金）から令和7年12月19日（金）18:00まで（厳守）となっています。最新の情報を公式サイトで確認することが重要です。大まかな流れは以下の通りです。

1. 公募要領の確認： まずは、公式サイトで公募要領を確認し、申請資格、補助対象経費、申請方法などを理解します。
2. 申請書類の準備： 公募要領に基づき、必要な申請書類を準備します。事業計画書の作成には時間を要するため、余裕を持って準備を始めましょう。
3. 申請書の提出： 電子申請システムで申請書類を提出します。締め切り日を厳守しましょう。
4. 審査： 提出された申請書類に基づき、書面審査が行われます。審査内容は、事業の新規性、実現可能性、収益性など多岐にわたります。
5. 交付決定： 審査結果に基づき、補助金の交付が決定されます。
6. 補助事業の実施： 交付決定後、事業計画に基づき、補助事業を実施します。補助事業実施期間は交付決定日から14か月以内（ただし採択発表日から16か月以内）となります。
7. 実績報告： 補助事業完了後、実績報告書を提出します。その後、補助金を受け取ることができます。
8. 事業化状況報告： 補助事業終了後、3～5年の事業計画期間において、毎年事業化状況報告を提出する必要があります。

申請時の注意点

申請時には、いくつかの注意点があります。これらの注意点を守らないと、申請が却下される可能性があります。

申請資格の確認： 申請前に、自社が申請資格を満たしているか確認しましょう。中小企業基本法に定める中小企業者（個人事業主を含む）が申請可能です。

補助対象経費の確認： 補助対象となる経費と、ならない経費をしっかりと確認しましょう。人件費や消耗品費など、補助対象とならない経費もあります。

申請書類の正確な記入： 申請書類は、誤りなく正確に記入しましょう。特に、事業計画書は、審査の重要なポイントとなるため、丁寧に作成することが重要です。

締め切りの厳守： 申請書類の提出は、締め切りを厳守しましょう。締め切りを過ぎた場合は、申請を受け付けてもらえません。

最新情報の確認： 新事業進出補助金に関する情報は、変更される可能性があります。常に最新の情報を公式サイトで確認するようにしましょう。経済産業省のウェブサイトなどを参照してください。

解体業で新事業進出補助金に申請する際のコツ

解体業で新事業進出補助金を申請し、採択されるためには、綿密な事業計画と効果的な申請書類の作成が不可欠です。この章では、申請を成功させるための具体的なコツを、事業計画書の書き方と面接対策の2つの側面から解説します。

事業計画書の書き方

事業計画書は、あなたの事業構想を審査員に理解してもらうための重要なツールです。解体業という特性を踏まえ、説得力のある事業計画書を作成するためのポイントは以下の通りです。

市場分析の重要性

解体業界の現状と将来展望を分析し、市場のニーズや成長性を明確に示すことが重要です。例えば、老朽化インフラの増加や都市再開発など、解体需要の増加が見込まれる背景をデータに基づいて説明しましょう。また、地域特性や競合他社の状況も分析し、独自の強みを活かせるニッチ市場 を見つけることができれば、審査員へのアピールポイントになります。

競合他社との差別化

他の解体業者との差別化を明確にすることが重要です。ICT技術の導入による効率化、環境に配慮した工法の採用、廃棄物リサイクルへの取り組みなど、独自の強みを具体的に示しましょう。価格競争に陥らないための戦略を説明することも重要です。例えば、特定の解体工事に特化することで専門性を高めたり、付加価値の高いサービスを提供することで差別化を図ることができます。

収益性と実現可能性

事業の収益性と実現可能性を具体的に示す必要があります。補助金活用後の売上高、利益、投資回収期間などを明確に示し、事業の持続可能性をアピールしましょう。また、事業計画の実現に向けた具体的なスケジュールやリスク管理対策についても言及することで、計画の信頼性を高めることができます。

以上の点を踏まえ、しっかりと準備を行い、自信を持って面接に臨むことで、新事業進出補助金の採択に大きく近づくことができます。補助金申請は、新たな事業展開の大きなチャンスです。ぜひ、最大限に活用し、事業の成功につなげてください。

新事業進出補助金に解体業で申請する際のよくある質問

ここでは、新事業進出補助金の申請に関してよくある質問をまとめました。申請前に疑問を解消し、スムーズな手続きを進めましょう。

申請資格について

どのような企業が申請できますか？

中小企業基本法に定める中小企業者（個人事業主を含む）が申請可能です。資本金または常勤従業員数が一定の基準以下である必要があります。例えば、製造業、建設業、運輸業の場合は、資本金3億円以下または常勤従業員数300人以下となります。ただし、特定の業種は除外される場合がありますので、公募要領で確認してください。

また、基本要件として以下が設けられています。

中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行い、次の要件をすべて満たす3～5年の事業計画に取り組むこと。

1. 付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加すること
2. 一人当たり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加すること
3. 事業場内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準であること
4. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等していること

設立間もない企業でも申請できますか？

設立間もない企業でも、事業計画がしっかりしていて、補助事業の実施能力があると認められれば申請可能です。

過去に補助金を受けたことがある場合でも申請できますか？

過去に他の補助金を受けていても、新事業進出補助金を申請することは可能です。ただし、同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることはできません。

申請書類の書き方について

事業計画書はどうやって書けばいいですか？

事業計画書は、事業の内容、市場分析、競合分析、収益性、実現可能性などを具体的に記載する必要があります。

特に重要なポイントは以下の通りです。

市場分析： 市場規模、成長性、トレンドなどを分析し、事業の将来性を示す。補助事業で取り組む新規事業が、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか、成長が見込まれる市場かを明確にします。

競合分析： 競合他社の強み・弱みを分析し、自社の優位性を明確にする。顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能かを示します。

収益性： 売上計画、費用計画、利益計画などを具体的に示す。補助金活用後の売上高、利益、投資回収期間などを明確に示し、事業の持続可能性をアピールします。

実現可能性： 事業計画を実現するための具体的な方策を示す。事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当かを示します。

また、数値目標を明確に設定し、実現可能な計画であることを示す必要があります。

どのような資料を添付する必要がありますか？

登記事項証明書、直近の決算書など、企業の状況を示す資料の提出が必要です。また、事業計画に関連する資料なども必要に応じて提出を求められます。金融機関等から資金提供を受ける場合は、金融機関による確認書も必要です。必要な書類は公募要領で確認してください。

申請書類はどこに提出しますか？

申請書類は、原則として電子申請システムを通じて提出します。詳細は公募要領で確認してください。

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まとめ

解体業で新事業進出補助金を活用するには、事業計画の綿密な作成と申請手順の理解が不可欠です。補助金は、重機購入やICT導入による効率化、環境配慮型解体への転換など、様々な設備投資に活用できます。市場分析に基づき、競合他社との差別化を明確にし、収益性と実現可能性を丁寧に説明することで、補助金獲得の可能性が高まるでしょう。

申請書類の準備や補助金スケジュールの確認も重要です。新事業進出補助金制度を最大限に活用し、解体事業の成長と発展を目指しましょう。