【2025.10】新事業進出補助金で災害対策事業を始めよう|申請から事業化までのロードマップ

新事業進出補助金で災害対策事業を始めよう|申請から事業化までのロードマップ

事業再構築補助金第12回公募の無料診断受付中です。

「補助金を使えるか?」
「採択の可能性はどれくらいか?」

といった疑問をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

事業再構築補助金の申請代行支援サービスの選び方のポイント」はこちら

※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

自然災害の増加に伴い、災害対策事業への関心が高まっています。しかし、災害対策事業を始めるには資金調達や事業計画の立案など、多くの課題があるでしょう。

そこで、本記事では「新事業進出補助金」を活用して災害対策事業を始める方法を、申請から事業化までのロードマップを通して解説します。補助金の概要や申請方法、事業計画作成のポイントはもちろん、災害対策事業の具体的な活用事例も紹介します。資金調達の容易さや事業の信頼性向上といったメリットも理解することで、補助金獲得の可能性を高め、社会貢献と事業成長を両立する一歩を踏み出せるでしょう。

本記事を参考に、災害に強い社会の実現に貢献する事業をスタートさせてください。

この記事を読むと
  • 新事業進出補助金で災害対策事業を成功させる方法がわかる
  • 補助金を活用して災害対策事業を始めた事例がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

災害対策事業にも有用な新事業進出補助金とは

新事業進出補助金は、中小企業庁が実施する補助金制度で、中小企業等が行う既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としています。革新的な製品やサービスの開発、新たな市場への参入等、中小企業の成長を促進するための取り組みを後押しすることで、日本経済の活性化に貢献しています。経済産業省が管轄する補助金の中でも、特に人気が高くなると予想される補助金の一つです。

第2回の公募期間は、令和7年9月12日(金)から令和7年12月19日(金)18:00まで(厳守)となっています。

災害対策事業にも有用な新事業進出補助金とは

新事業進出補助金の概要

新事業進出補助金は、事業計画に基づいて行う設備投資や販促活動等に必要な経費の一部を補助するものです。補助率は2分の1となっています。補助金額は従業員数によって異なり、従業員数20人以下の場合は750万円から2,500万円(賃上げ特例適用時は3,000万円)、従業員数21人から50人の場合は750万円から4,000万円(賃上げ特例適用時は5,000万円)、従業員数51人から100人の場合は750万円から5,500万円(賃上げ特例適用時は7,000万円)、従業員数101人以上の場合は750万円から7,000万円(賃上げ特例適用時は9,000万円)となっています。

賃上げ特例は、補助事業終了後の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を6.0%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準とすることで適用されます。

補助対象となる経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費など多岐にわたります。機械装置・システム構築費と建物費のいずれかは必須です。ただし、補助対象とならない経費も存在するため、事前に確認が必要です。例えば、土地購入費や株式取得費などは補助対象外となります。

補助事業実施期間は交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)となっています。

新事業進出補助金の目的

新事業進出補助金の目的は、中小企業等が既存事業と異なる事業への前向きな挑戦を通じて、新市場・高付加価値事業への進出を促進し、企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことで、経済の活性化を図ることです。具体的には、下記のような効果が期待されています。

イノベーションの創出、雇用の創出、地域経済の活性化、国際競争力の強化などの目的を達成するために、新規性、創造性、市場性、実現可能性の高い事業計画が求められます。

新事業進出補助金の対象者

新事業進出補助金の対象者は、中小企業者、中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人、特定事業者の一部、対象リース会社となっています。

中小企業者の場合、資本金又は常勤従業員数が業種ごとに定められた基準以下となる会社又は個人が該当します。例えば、製造業・建設業・運輸業では資本金3億円以下かつ常勤従業員数300人以下、卸売業では資本金1億円以下かつ常勤従業員数100人以下などとなっています。

ただし、上記に該当する場合でも、特定の業種は対象外となる場合や、既に大企業の子会社となっている場合などは対象外となる可能性があります。また、中小企業者であっても、公序良俗に反する事業や、投機的な事業は対象外となります。詳細な要件は、公募要領等で確認する必要があります。

また、補助対象要件として、新事業進出要件(製品等の新規性要件、市場の新規性要件、新事業売上高要件)、付加価値額要件(年平均成長率4.0%以上)、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件(地域別最低賃金より30円以上高い水準)、ワークライフバランス要件(次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表)などを満たす3年から5年の事業計画に取り組むことが必要です。

災害対策事業への補助金活用事例

新事業進出補助金は、防災・減災に資する様々な事業への活用が可能です。ここでは、具体的な活用事例をいくつかご紹介します。

災害対策事業への補助金活用事例

避難所運営支援システムの開発

災害発生時の避難所運営は、多くの課題を抱えています。避難者の受付、物資の管理、情報の伝達などを効率的に行うためのシステムは、避難所の円滑な運営に不可欠です。新事業進出補助金を活用して、AIを活用した避難者管理システムやリアルタイム情報共有システムなどを開発することで、避難所の課題解決に貢献できます。

ただし、新事業進出要件を満たす必要があるため、既存のシステムを単に拡張するのではなく、事業を行う中小企業等にとって新規性を有し、新たな市場をターゲットとする新事業である必要があります。

具体的なシステムの例

避難所受付管理システムでは、スマートフォンやタブレット端末で避難者の受付を行い、避難者情報をデータベース化します。氏名、住所、緊急連絡先などの個人情報に加え、アレルギーや持病などの情報も登録可能にすることで、きめ細やかな対応を可能にします。

避難所物資管理システムでは、備蓄物資の在庫状況、消費状況をリアルタイムで把握し、不足している物資を迅速に補充するためのシステムです。発注機能や配送状況の追跡機能も搭載することで、効率的な物資管理を実現します。

避難所情報共有システムでは、避難所内の掲示板やサイネージに、避難状況、支援情報、災害情報などをリアルタイムで表示するシステムです。多言語対応機能を搭載することで、外国人避難者への情報提供もスムーズに行えます。

防災用品の開発・販売

災害時に必要となる防災用品の開発・販売も、新事業進出補助金の対象となります。携帯型浄水器やコンパクトな防災食、太陽光発電機能付きラジオなど、革新的な防災用品の開発は、人々の防災意識向上に繋がり、災害時の被害軽減に貢献します。

防災用品開発のポイント

携帯性・コンパクト性として、避難時に持ち運びやすいよう、小型軽量であることが重要です。多機能性として、複数の機能を備えた製品は、限られたスペースでの収納に役立ちます。耐久性・安全性として、災害時という過酷な状況下でも使用できるよう、高い耐久性と安全性が求められます。

災害復旧支援サービスの提供

災害発生後の復旧作業を支援するサービスも、新事業進出補助金で支援を受けることができます。ドローンを活用した被災状況調査や瓦礫撤去支援ロボットの開発、仮設住宅の建設支援など、迅速な復旧作業を可能にするサービスは、被災地の早期復興に大きく貢献します。

サービス提供における注意点

地域のニーズに合わせたサービス提供として、被災地の状況やニーズを的確に把握し、それに合わせたサービスを提供することが重要です。関係機関との連携として、自治体や他の支援団体との連携を密にすることで、より効果的な支援活動が可能になります。持続可能な事業モデルの構築として、補助金終了後も事業を継続できるよう、収益性のある事業モデルを構築することが大切です。

活用事例として、避難所運営支援システム開発ではAIを活用した避難者管理やリアルタイム情報共有などにより避難所運営の効率化と避難者の安全確保というメリットがあります。防災用品の開発・販売では携帯型浄水器、コンパクトな防災食、太陽光発電機能付きラジオなどにより防災意識の向上と災害時の被害軽減というメリットがあります。災害復旧支援サービスの提供ではドローンを活用した被災状況調査や瓦礫撤去支援ロボットの開発などにより迅速な復旧作業と被災地の早期復興というメリットがあります。

これらの事例はあくまで一例です。新事業進出補助金を活用することで、他にも様々な災害対策事業を実現することが可能です。地域のニーズや社会課題を的確に捉え、革新的なアイデアで事業を展開することで、より大きな効果を生み出すことができます。

新事業進出補助金で災害対策事業を始めるメリット

新事業進出補助金を活用して災害対策事業を始めることは、資金面だけでなく、事業の信頼性向上や社会貢献など、様々なメリットがあります。補助金という公的な支援を受けることで、事業の立ち上げ期における資金調達の負担を軽減できるだけでなく、事業の信頼性や社会的な評価を高めることにも繋がります。

以下、具体的なメリットを詳しく解説します。

新事業進出補助金で災害対策事業を始めるメリット

資金調達の容易さ

災害対策事業は、初期投資や設備投資に多額の費用がかかる場合があります。新事業進出補助金は、これらの費用の一部を賄うことができるため、資金調達の負担を軽減し、事業をスムーズに開始することができます。特に、ベンチャー企業や中小企業にとっては、資金調達は大きな課題となるため、補助金の活用は非常に有効な手段となります。

補助率は2分の1で、従業員数に応じて最大9,000万円(賃上げ特例適用時)の補助を受けることができます。

また、補助金の活用実績は、金融機関からの融資を受ける際にも有利に働く可能性があります。自己資金の負担軽減にもつながり、財務基盤の強化にも貢献します。なお、金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。

事業の信頼性向上

新事業進出補助金は、国が認定した事業に対して支給されるため、補助金を受けることで事業の信頼性や社会的な評価を高めることができます。これは、顧客や取引先からの信頼獲得にも繋がり、事業の成長を促進する重要な要素となります。

また、公的な支援を受けているという事実は、企業イメージの向上にも繋がり、優秀な人材の確保にも有利に働く可能性があります。防災意識の高まりとともに、災害対策事業への期待も高まっており、補助金を受けているという事実は、事業の信頼性を高める上で大きなメリットとなります。

社会貢献

災害対策事業は、人々の生命や財産を守るという重要な役割を担っています。新事業進出補助金を活用することで、より効果的な災害対策事業を展開することができ、地域社会の安全・安心に貢献することができます。これは、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも重要な要素となり、企業価値の向上にも繋がります。

災害はいつどこで起こるかわからないため、防災・減災への取り組みは、持続可能な社会の実現に不可欠です。新事業進出補助金は、このような社会貢献度の高い事業を支援することで、より良い社会の実現を目指しています。

審査項目の政策面において、地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、大規模な雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるかが評価されます。

主なメリットとして、資金調達の容易さでは自己資金負担の軽減と金融機関からの融資獲得の優位性があります。事業の信頼性向上では国のお墨付きによる信頼感、企業イメージ向上、人材確保の優位性があります。社会貢献では地域社会の安全・安心への貢献、企業の社会的責任(CSR)の実践、持続可能な社会への貢献があります。

これらのメリットを踏まえ、新事業進出補助金を活用することで、災害対策事業をより効果的に展開し、社会に貢献することができます。ぜひ、この機会に補助金の活用を検討してみてください。

新事業進出補助金に災害対策事業で申請する方法

新事業進出補助金の申請は、事業計画に基づいて行われます。申請書類を適切に準備し、期日までに提出することが重要です。ここでは、申請方法をステップごとに詳しく解説します。

新事業進出補助金に災害対策事業で申請する方法

申請書類の準備

申請書類は、新事業進出補助金事務局のウェブサイトからダウンロードできます。主な申請書類は以下のとおりです。

交付申請書、事業計画書、収支計画書、会社概要等に関する書類(定款、登記事項証明書など)、その他補助金事務局が指定する書類があります。

また、ワークライフバランス要件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表していることが必要です。金融機関等から資金提供を受ける場合は、金融機関による確認書の提出も必要です。

これらの書類は、すべて正しく記入し、必要書類を漏れなく添付する必要があります。特に事業計画書は、審査の重要なポイントとなるため、詳細かつ具体的な内容を記載することが重要です。

申請書の書き方

申請書の書き方のポイントは、事業内容を明確かつ簡潔に説明することです。審査員は、数多くの申請書を審査するため、分かりやすい表現で記載することが重要です。また、数値目標を設定し、その根拠を明確に示すことで、事業の妥当性をアピールできます。

事業概要では、事業の目的、内容、実施体制などを簡潔に記載します。新規性、独自性、優位性を明確にすることが注意点です。特に、新事業進出要件(製品等の新規性、市場の新規性、新事業売上高)を満たすことを明確に示す必要があります。

事業計画では、事業のスケジュール、目標値、評価方法などを具体的に記載します。実現可能性、収益性などを裏付けるデータを示すことが重要です。付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みを示すことが必須です。

収支計画では、事業に係る収入、支出を具体的に記載します。補助金以外の資金調達方法も明確にする必要があります。

事業計画書の書き方のポイント

市場分析では、補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか、成長が見込まれる市場かを分析し、事業のニーズを明確にします。

事業戦略では、具体的な事業内容、販売方法、マーケティング戦略などを説明し、競争優位性を示します。競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能かを示す必要があります。

財務計画では、売上予測、費用計画、資金計画などを具体的に示し、事業の収益性を明らかにします。

リスク管理では、事業におけるリスクとその対策を明確にすることで、事業の安定性を示します。

申請窓口と提出期限

申請窓口は、原則として電子申請システムを利用します。第2回の公募期間は令和7年9月12日(金)から令和7年12月19日(金)18:00まで(厳守)となっています。期限を過ぎての提出は受け付けられないため、余裕を持って準備し、提出するようにしましょう。

また、申請書類に不備があった場合、修正を求められることがあります。修正期間も期限内に含まれるため、早めに申請し、余裕を持って対応することが大切です。

申請に関する問い合わせは、新事業進出補助金事務局までご連絡ください。事務局の連絡先は、ウェブサイトで確認できます。電話、メール、FAXなどで問い合わせることが可能です。

新事業進出補助金申請に災害対策事業で申請する時の注意点

新事業進出補助金の申請にあたっては、いくつかの注意点があります。補助金の交付を受けられるかどうかは、これらの注意点を理解し、適切に対応できるかどうかにかかっています。申請前にしっかりと確認し、準備を進めましょう。

新事業進出補助金申請に災害対策事業で申請する時の注意点

補助対象経費と補助対象外経費

新事業進出補助金では、すべての経費が補助対象となるわけではありません。補助対象となる経費と補助対象とならない経費を明確に理解しておくことが重要です。誤って補助対象外経費を計上してしまうと、補助金の交付額が減額されたり、申請自体が却下される可能性もあります。

補助対象経費は、機械装置・システム構築費(建物費といずれか必須)、建物費(機械装置・システム構築費といずれか必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費(補助金額全体の10%が上限)、専門家経費(100万円が上限)、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費(事業計画期間1年あたりの売上高見込み額(税抜き)の5%が上限)となっています。

補助対象経費は、事業計画の内容と密接に関連している必要があります。事業計画に記載のない経費や、事業の目的達成に必要性が低いと判断された経費は、補助対象外となる可能性が高いです。申請前に、公募要領等で補助対象経費の範囲を必ず確認し、疑問点があれば事務局に問い合わせるようにしましょう。

事業計画の重要性

新事業進出補助金は、事業計画の内容が審査の重要なポイントとなります。事業計画は、単にアイデアを羅列するだけでなく、市場分析、競合分析、収益性分析など、事業の成功可能性を裏付ける客観的なデータに基づいて作成する必要があります。また、目標設定は具体的かつ数値化し、実現可能な範囲で設定することが重要です。曖昧な表現や根拠のない数値は、審査において評価が低くなる可能性があります。

特に、新事業進出要件(製品等の新規性、市場の新規性、新事業売上高)、付加価値額要件(年平均成長率4.0%以上)、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件を満たす事業計画を策定することが必須です。

事業計画書作成のポイント

市場のニーズを明確に示し、ターゲットを絞り込む、競合他社との差別化ポイントを明確にする、具体的な数値目標を設定し、達成するための戦略を明確にする、財務計画は、実現可能性を考慮した上で、収支の見通しを明確にする、補助事業終了後の事業の継続性についても言及することが重要です。

審査基準

新事業進出補助金の審査は、公募要領に記載されている審査基準に基づいて行われます。審査基準には、補助対象事業としての適格性、新規事業の新市場性・高付加価値性、新規事業の有望度、事業の実現可能性、公的補助の必要性、政策面などが含まれます。

補助対象事業としての適格性では、補助対象者、補助対象事業の要件を満たすかが確認されます。満たさない場合は補助対象外として不採択となります。

新規事業の新市場性・高付加価値性では、新製品等のジャンル・分野の社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか、または高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるかが評価されます。

新規事業の有望度では、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか、成長が見込まれる市場か、競合他社と比較して明確な優位性を確立する差別化が可能かが評価されます。

事業の実現可能性では、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か、財務状況や資金調達の見込み、事業経費の妥当性、実施体制の確保などが評価されます。

公的補助の必要性では、経済波及効果が大きい事業や新たな雇用を生み出す事業、費用対効果の高さ、先端的なデジタル技術の活用などが評価されます。

政策面では、日本経済の構造転換への貢献、低炭素技術の活用等を通じた経済成長・イノベーションの牽引、地域の特性を活かした高い付加価値創出と地域経済成長の牽引(大規模災害からの復興等を含む)などが評価されます。

これらの審査基準を理解し、事業計画に反映させることが重要です。過去の採択事例を参考にしながら、審査基準に合致する事業計画を作成することで、採択の可能性を高めることができます。また、地域の特性や社会課題を踏まえた事業は、評価が高くなる傾向があります。公募要領をよく読み、審査基準を理解した上で、質の高い事業計画を作成しましょう。

災害対策事業で新事業進出補助金に申請する際の事業計画作成のポイント

新事業進出補助金を活用して災害対策事業を成功させるためには、綿密な事業計画の策定が不可欠です。市場のニーズ、実現可能性、そして収益性をバランスよく考慮した計画でなければ、補助金獲得後も事業を軌道に乗せることは難しいでしょう。

ここでは、災害対策事業の事業計画を作成する上での主要なポイントを解説します。

災害対策事業で新事業進出補助金に申請する際の事業計画作成のポイント

ニーズの把握

事業計画の出発点は、真のニーズの把握です。どのような災害に対して、どのようなニーズが存在するのかを明確にする必要があります。既存の防災対策の課題や被災者の声、防災関係者へのヒアリングなどを通して、潜在的なニーズも掘り起こしましょう。例えば、高齢者や障害者といった災害弱者特有のニーズ、ペット同伴避難のニーズ、情報伝達のニーズなど、多角的な視点が重要です。インターネット調査や自治体データの分析も有効です。

ニーズ把握の具体的な方法

自治体や地域防災計画の調査により、地域の災害リスクや防災上の課題を把握します。被災者へのヒアリング調査により、過去の災害経験に基づくニーズを収集します。防災関連団体との連携により、専門家からの意見や情報を収集します。市場調査により、既存の防災商品・サービスの状況や競合を分析します。

実現可能性の検討

ニーズを把握したら、それを実現するための具体的な方法と実現可能性を検討します。技術的な実現可能性、法的な規制、必要な人員や設備、そして事業にかかる費用などを詳細に分析する必要があります。実現可能性を裏付けるデータやエビデンスを提示することで、事業計画の説得力が増します。また、事業のリスクとその対策についても明確に示すことが重要です。

実現可能性検討のチェックポイントとして、技術的実現性では必要な技術やノウハウを保有しているか、あるいは外部から調達可能かを確認します。法的規制では事業に関連する法規制や許認可などをクリアできるかを確認します。人材確保では事業に必要な人材を確保できるかを確認します。設備投資では必要な設備を導入できる資金があるか、リースなどを活用できるかを確認します。事業継続性では災害発生時にも事業を継続できる体制を構築できるかを確認します。

収益性の確保

災害対策事業は社会貢献性の高い事業ですが、持続可能な事業とするためには収益性を確保することが重要です。補助金はあくまで初期投資の支援であり、長期的な事業運営は自らの収益で賄う必要があります。そのため、明確な収益モデルを構築し、市場規模や競合分析、価格設定などを綿密に行う必要があります。BtoC、BtoB、BtoGなど、ターゲット層に合わせた適切な販売戦略を立案しましょう。また、補助金以外の資金調達方法についても検討しておくことが重要です。

収益性確保のためのポイント

明確なターゲット設定により、誰に何を提供するのかを明確にします。競合分析により、競合となるサービスとの差別化ポイントを明確にします。価格設定により、適切な価格設定を行い、収益性を確保します。販売戦略により、効果的な販売方法を検討し、販路を確保します。多様な収益源の確保により、補助金以外の収益源を確保し、事業の安定化を図ります。例えば、防災訓練の実施やコンサルティングサービスの提供などを検討します。

これらのポイントを踏まえ、実現可能でかつ収益性のある事業計画を策定することで、新事業進出補助金の獲得、そして事業の成功に大きく近づきます。計画段階から専門家のアドバイスを受けることも有効です。中小企業基盤整備機構などの支援機関を活用し、事業計画のブラッシュアップに努めましょう。

新事業進出補助金獲得後の災害対策事業のロードマップ

新事業進出補助金の交付決定を受けたら、いよいよ事業化に向けて動き出す段階です。補助金はあくまで事業を成功させるためのツールであり、交付決定後も計画的に事業を進めていく必要があります。この章では、補助金交付決定後の手続きから事業開始に向けた準備、そして事業の進捗管理と報告まで、事業化に向けた具体的なロードマップを解説します。

新事業進出補助金獲得後の災害対策事業のロードマップ

補助金交付決定後の手続き

補助金交付決定通知を受け取ったら、速やかに交付申請手続きを行いましょう。交付申請書には、補助事業の内容、経費の明細、事業実施体制などを記載します。また、補助金交付決定後には、補助事業の内容に変更が生じた場合、変更承認申請が必要となるケースもあります。交付決定の内容をよく確認し、必要な手続きを速やかに行うことが重要です。

補助事業実施期間は交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)となっています。この期間内に事業を完了させる必要があります。

事業開始に向けた準備

補助金交付申請が完了したら、いよいよ事業開始に向けた準備を始めましょう。この段階では、事業計画に基づき、必要な設備の購入、人員の確保、広報活動など、具体的なアクションを起こしていきます。

設備投資

補助事業に必要な設備を導入する際は、相見積もりを取り、最も適切な業者を選定しましょう。また、中古設備の導入も選択肢の一つですが、性能や耐久性を十分に確認することが重要です。補助対象経費として認められる範囲内で、効率的な設備投資を行いましょう。

機械装置・システム構築費と建物費のいずれかは必須となっていますので、事業計画に合わせて適切な設備投資を行う必要があります。

人材確保

事業計画に基づき、必要な人材を確保しましょう。ハローワークや求人サイトなどを活用し、事業内容に精通した人材や、成長意欲のある人材を採用することが重要です。採用後は、適切な研修を実施し、早期に戦力化できるように育成計画を立てましょう。

なお、賃上げ要件として、補助事業終了後3年から5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させるか、給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させることのいずれかが必要です。また、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。

広報活動

開発した製品やサービスを広く知ってもらうために、効果的な広報活動を行いましょう。ウェブサイトやSNSを活用した情報発信はもちろんのこと、展示会やセミナーへの参加も有効です。ターゲット層に合わせた適切な広報戦略を立案し、認知度向上に努めましょう。

広告宣伝・販売促進費は、事業計画期間1年あたりの売上高見込み額(税抜き)の5%が上限となっていますので、この範囲内で効果的な広報活動を計画してください。

事業の進捗管理と報告

補助事業開始後は、定期的に事業の進捗状況を確認し、必要に応じて計画の見直しを行いましょう。また、補助金交付元に定期的な報告書の提出が求められます。正確な情報をタイムリーに報告することは、補助事業を円滑に進める上で非常に重要です。

進捗管理のポイント

KPI(重要業績評価指標)を設定し、進捗状況を数値で把握する、定期的な会議を実施し、関係者間で情報共有を行う、問題が発生した場合には、速やかに対応策を検討することが重要です。

特に、付加価値額の年平均成長率4.0%以上の達成に向けた進捗管理が重要です。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。

報告書の提出

報告書には、事業の進捗状況、経費の使用状況、成果などを記載します。求められる情報が漏れなく記載されているか、正確な情報が記載されているかを確認してから提出しましょう。

中間報告書は補助事業期間の中間時点に提出し、事業の進捗状況、経費の使用状況、今後の見通しなどを記載します。実績報告書は補助事業完了後に提出し、事業の実績、経費の使用実績、成果などを記載します。

さらに、事業計画期間(3年から5年)中は毎年、事業化状況報告等の報告が必要です。この報告を通じて、付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件の達成状況が確認されます。要件を達成できなかった場合には、補助金の一部返還を求められる可能性があります。ただし、付加価値額が増加していないかつ企業全体として営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、返還を求められません。

これらのステップを着実に実行することで、補助金を有効活用し、災害対策事業を成功に導くことができるでしょう。補助金事業は、社会貢献度の高い事業であると同時に、企業の成長にも大きく貢献する可能性を秘めています。計画的かつ着実に事業を進め、地域社会の安全・安心に貢献しましょう。

災害対策事業で新事業進出補助金に申請する際よくある質問

新事業進出補助金に関するよくある質問をまとめました。申請前に疑問を解消し、スムーズな手続きを進めましょう。

災害対策事業で新事業進出補助金に申請する際よくある質問

新事業進出補助金の申請資格について

法人格を有していない個人事業主でも申請できますか?

はい、申請可能です。個人事業主、中小企業者、中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人、特定事業者の一部などが申請対象となります。中小企業者の場合、資本金又は常勤従業員数が業種ごとに定められた基準以下となる会社又は個人が該当します。ただし、医療法人、農業協同組合、宗教法人などは対象外となる場合がありますので、公募要領をよくご確認ください。

創業予定者も申請できますか?

創業予定者についての具体的な記載はありませんが、補助対象者の要件を満たす必要があります。事業計画書に創業スケジュールを明確に記載し、新事業進出要件を満たすことを示す必要があります。詳細は公募要領で確認するか、事務局にお問い合わせください。

申請にあたり、事業の所在地に制限はありますか?

補助金の対象となる事業は、日本国内で行われるものに限られます。また、公募によっては地域要件が設定されている場合もありますので、公募要領で確認してください。

補助金額の上限は?

補助金の上限額はいくらですか?

補助金の上限額は従業員数によって異なります。

 従業員数 補助金額 補助率
従業員数20人以下750万円〜2,500万円(3,000万円)1/2
従業員数21~50人750万円〜4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人750万円〜5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上750万円〜7,000万円(9,000万円)

賃上げ特例は、補助事業終了後の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を6.0%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準とすることで適用されます。

補助率は何%ですか?

補助対象経費の1/2となっています。

補助対象経費にはどのようなものがありますか?

補助対象経費には、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費などがあります。機械装置・システム構築費と建物費のいずれかは必須です。

ただし、外注費は補助金額全体の10%が上限、専門家経費は100万円が上限、広告宣伝・販売促進費は事業計画期間1年あたりの売上高見込み額(税抜き)の5%が上限となっています。また、交際費や接待費、土地購入費などは補助対象外となるため、注意が必要です。

申請から交付決定までの期間は?

申請から交付決定までどれくらいの期間がかかりますか?

申請から交付決定までの期間は、公募によって異なりますが、一般的には2から3ヶ月程度かかります。審査状況によっては、さらに時間がかかる場合もあります。

申請はいつ行えば良いですか?

第2回の公募期間は、令和7年9月12日(金)から令和7年12月19日(金)18:00まで(厳守)となっています。申請期限を過ぎると申請を受け付けていませんので、余裕を持った準備が必要です。

新事業進出補助金は、原則として年に数回公募が行われる可能性があります。経済産業省のウェブサイトや、各地域の経済産業局のウェブサイトで最新情報を確認できます。

申請書類はどこで入手できますか?

申請書類は、経済産業省のウェブサイトまたは事務局のウェブサイトからダウンロードできます。また、必要に応じて、説明会なども開催される場合がありますので、積極的に参加し、最新の情報を入手することをおすすめします。

災害対策事業で新事業進出補助金に申し込みたいなら株式会社補助金プラスへ

災害対策事業の新事業進出を考えているものの、補助金申請の複雑さに二の足を踏んでいませんか?株式会社補助金プラスは、そんな悩める事業者様のために、きめ細かな申請支援サービスを提供しています。

補助金申請に伴う膨大な書類作業や時間的負担から解放され、本来の事業企画に集中できる環境を提供します。経験豊富な専門家が、事業計画書の作成から書類収集、さらには採択後のフォローまで、あらゆる段階でサポート。これまでの申請支援実績は目を見張る90%以上の採択率を誇っています。

全国の事業者様に対応可能なオンラインサービスで、あなたの災害対策事業の新たな挑戦を強力にバックアップします。まずは初回無料相談から、あなたの可能性を一緒に探ってみませんか?株式会社補助金プラスにお気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では、新事業進出補助金を活用した災害対策事業の立ち上げについて、申請から事業化までのロードマップを解説しました。補助金の概要や目的、対象者、活用事例、申請方法、注意点、事業計画作成のポイントなどを紹介し、補助金獲得後の事業化に向けた準備や進捗管理についても触れました。

災害対策事業は社会貢献度の高い事業であり、新事業進出補助金を活用することで、資金調達や事業の信頼性向上といったメリットを得られます。事業計画をしっかりと作成し、申請手順を踏むことで、補助金獲得の可能性を高め、災害に強い社会づくりに貢献できるでしょう。補助金に関する最新情報は、中小企業庁のウェブサイトなどを参照ください。

この記事の目次