[2024.7]新札対応の券売機導入に利用できる補助金・助成金とは?具体的な事例や注意点を解説!

新札発行に伴う券売機の新札対応は、サービス業にとって重要な課題です。特に2024年7月3日に発行される新しい1万円札に対応するため、多くの事業者が自動券売機の刷新を迫られています。新札対応の自動券売機は高額であり、導入に際しては補助金の活用が欠かせません。サービス業、とりわけ飲食店などでは、人手不足が深刻な問題となっており、効率化を図るための自動券売機の導入が求められています。これにより、従業員の負担軽減と業務効率化が期待されます。新札対応の券売機を導入することで、顧客サービスの質を向上させるとともに、店舗運営の円滑化を実現することができます。

本記事では、新札発行に伴う券売機の新札対応の必要性と、導入に活用できる各種補助金について解説します。さらに、INU株式会社の補助金支援サービスを通じて、新札対応の券売機を導入するための具体的な方法についても詳しくご紹介します。

この記事を読むと
  • 新札対応の自動券売機の基本情報がわかる
  • 補助金を活用して新札対応の自動券売機を導入する際のポイントがわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次
省人化・省力化補助金

新札発行によって券売機刷新が必要

新札発行によって券売機刷新が必要

2024年7月3日から20年ぶりに1万円札の新札が発行が開始

2024年7月3日から20年ぶりに1万円札の新札が発行されました。この新札の表面には、「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一の肖像が描かれています。渋沢栄一は、1840年に埼玉県深谷市で生まれ、明治時代に多くの企業や教育機関の設立に関わり、日本の近代経済の基盤を築いた人物です。彼の肖像は、70歳の古希のお祝い時に撮影された写真を基に、60歳代前半の若々しさを表現して描かれています。裏面には、東京駅の丸の内駅舎が描かれています。この駅舎は「赤レンガ駅舎」として親しまれ、重要文化財にも指定されている歴史的建造物です。新しい一万円札は、デザインだけでなく、偽造防止技術やユニバーサルデザインも強化されています。これにより、視覚障害者にも使いやすい設計となっています。ただ、これらに関して事業者にとってはネガティブな影響も発生すると予想されています。

出典新しい日本銀行券特設サイト

旧来の券売機の多くが新札に対応できない

多くの既存の自動券売機は、新札の導入に対応していないため、旧来の券売機では新札が使用できなくなる問題が発生しています。現状のところ流通量は少ないですが、今後金融機関などで両替をする外国人観光客などが増加し新札が多く出回り流通するようになると、福沢諭吉の旧1万円札以外の新札を利用したお客様が増加する可能性が高いです。そのため、各事業者は新札対応の券売機の導入が急務となっています。

サービス業における券売機新札対応補助金の導入

サービス業における券売機新札対応補助金の導入

人手不足により券売機の導入が必要

現状サービス業、とりわけ飲食店では人手不足が深刻化しています。サービス業は、少子高齢化や新型コロナウイルスの影響により、深刻な人手不足に直面しています。帝国データバンクの統計データ(2023年4月付)によると、サービス業の正社員の人手不足感は51.4%、非正社員は30.7%に達しています。特に、飲食店では85.2%、旅館・ホテルでは78%、飲食料品小売では58.7%と、非正社員の人手不足が顕著です。また、東京商工リサーチが発表した2023年1~7月の人手不足関連倒産の状況によると、サービス業他は23件の倒産で前年同期の13件から約1.8倍の増加となっています。

出典:人手不足に対する企業の動向調査

これらのデータからもわかるように、サービス業は人手不足が深刻化し、その結果倒産にまでつながっていることが明らかです。新札対応の券売機を導入していない場合、混雑時などに両替を求められ、現状券売機を導入していない店舗は会計などに時間を要する可能性があります。結果的に、会計時に人員を割かなければならず結果的に店舗の回転率が悪化し売上が減少する可能性も高いです。この問題を解決するため、自動券売機の導入が推奨されます。新札対応の券売機を導入することで、現金管理の効率化と従業員の業務負担が軽減され、人材不足などに対応することが可能です。

店舗で導入されている新札対応券売機の種類

店舗で導入されている券売機は多くあり、以下に一般的な自動券売機の種類を紹介します。

ボタン式券売機(小型券売機)

物理的なボタンを押して商品やサービスを選択するタイプの券売機です。操作が直感的でわかりやすく、年齢層を問わず利用しやすいのが特徴です。小規模な飲食店やメニュー数が少ない場所での使用に適しています。

液晶券売機

画面上に表示されるメニューをタッチして操作するタイプの券売機です。メニューの変更が簡単に行え、直感的な操作が可能で、多言語対応も可能です。多種多様なメニューを提供するレストランや、頻繁にメニューを変更する必要がある店舗に適しています。

自動釣銭機付き券売機

 支払いや釣銭の管理を自動で行う券売機です。正確な釣銭管理が可能で、現金管理の手間を省きます。現金での支払いが主流の店舗や、現金管理に課題がある店舗での導入が効果的です。

低額紙幣対応券売機

1000円札のみに対応した券売機で、比較的低価格で購入することができます。小規模な店舗や低価格の商品を扱う店舗に適しています。

高額紙幣対応券売機

5000円札、10000円札に対応した券売機で、一度に多くの注文をされるお店におすすめです。ファミリー層など多くの注文が見込まれる店舗に適しています。

新札対応の券売機は50万円以上

今回の新札の影響があるのは定額紙幣対応券売機以外のものとなる可能性が高いです。ただし、500円玉なども2021年11月1日から変更となっているため、最新の券売機への切り替え等は必要な場合があります。また、券売機の導入費用は、機種や機能によって大きく異なりますが、一般的に、タッチパネル式券売機の導入費用は50万円から200万円程度となっています。この価格の幅は、機種の機能性やオプションによる違いによります。例えば、多言語対応や分析機能、POSレジシステムとの連携機能を備えた高機能な機種は高額になる傾向があります。

一方、ボタン式券売機や定額紙幣対応型の券売機は、比較的安価で、導入費用は50万円程度です。全札対応型の券売機は、すべての紙幣に対応できるため、120万円程度と高額になります。

また、券売機の導入方法には購入以外にレンタルやリースもあり、それぞれの費用も異なります。レンタルの場合、月額1万5,000円から3万5,000円程度で、リースの場合は月額1万円から3万円程度です。レンタルは短期利用に適しており、リースは長期利用に向いています。しかし、新札対応の券売機を購入する場合は最低でも50万円以上となると考えられます。

新札対応の券売機導入に補助金が活用可能

新札対応の券売機導入に補助金が活用可能

高額な新札対応の券売機の導入促進のため補助金が公募

新札対応の自動券売機は高額であるため、多くの事業者にとっては導入が困難です。この問題を解決するため、政府や地方自治体は補助金を公募し、事業者の負担を軽減しています。

中小企業省力化投資補助金

2024年6月から公募が開始し、事業者の負担なく申請ができる補助金です。

省力化投資補助金とは、2023年度からの3年間を「変革期間」とし、中小企業等の売上拡大や生産性向上、賃上げを後押しするための補助金制度です。具体的には、人手不足に悩む中小企業に対し、省力化を図るための自動券売機の導入にかかる経費を支援します。この支援制度の大きな特徴は、補助対象となる設備があらかじめカタログにまとめられていることです。支援を受けたい事業者は、補助事業に使用する自動券売機をカタログから簡単に選べるため、設備の選定にかかる労力を大幅に削減できます。また、このカタログには、さまざまな自動券売機が補助対象として掲載されています。自動券売機の導入を検討している事業者にとって非常に便利な補助金となっています。

出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」

省力化投資補助金の補助率と補助金額

省力化投資補助金の補助金額上限は、補助対象事業者の常勤の従業員数(交付申請時点)によって変化します。本補助金の補助率と補助金額は次の通りです。

従業員数補助率補助上限額(大幅な賃上げを行う場合)
5人以下1/2以下200万円(300万円)
6~20人以下500万円以下(750万円)
21人以上1,000万円以下(1,500万円)

自動券売機の導入価格は、1台あたり50万~200万円程度と言われています。省力化投資補助金なら、自動精算機の導入を検討する事業者にとって十分な補助額と言えます。INU株式会社では、省力化投資補助金の申請支援をメーカー様と協力しながら進めさせていただきます。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールの導入やシステム構築を支援するための補助金制度です。この補助金は、業務効率化や生産性向上を目的としており、ITツールの導入にかかる費用の一部を国が補助します。具体的には、ソフトウェアの購入費用やクラウド利用料、導入関連費などが対象となります。2024年度のIT導入補助金では、通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠などに分かれており、それぞれ補助率や補助額が異なります。ただし、IT導入補助金で新札対応の券売機を導入する場合、ソフトウェアと一体で導入する必要があるためそちらは注意することが必要です。

申請枠と補助率、補助金額

通常枠
自社の課題(物流関係、人事労務関係、顧客対応関係)に合うITツールを導入して、業務効率化や売上向上を目指す事業者を支援
<補助金額>1プロセス以上:5万円以上150万円未満4プロセス以上:150万円以上450万円以下
<補助率>1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、パソコン・ハードウェアなどを導入し労働生産性向上を目指す事業者を支援
<補助金額(インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入)>上限350万円(50万円未満は会計・受発注・決済のうち1機能以上、50万円超は2機能以上のソフトの導入が必要)
<補助率>50万円以下:3/4以内(小規模事業者は4/5以内)50万円超:2/3以内
<補助金額(パソコンやハードウェアなどの導入)>パソコン・タブレットなど:10万円以下レジ・販売機等:20万円以下
<補助率>1/2以内
インボイス型(電子取引類型)
取引関係にある発注者がインボイス制度対応のITツールを導入した際、受注者にも無償でアカウントを付与して利用してもらい、商流単位でインボイス制度に対応する事業者を支援
<補助金額>上限350万円
<補助率>中小企業・小規模事業者など:2/3以内その他事業者など:1/2以内
セキュリティ対策推進枠
サイバー攻撃などによる事業継続への深刻なダメージによって、供給制約や価格高騰などを引き起こすリスクを低減するため、ITツールを導入する事業者を支援
<補助金額>5万円以上100万円以下
<補助率>1/2以内
複数社連携IT導入枠
商業集積地に属する複数の事業者が連携してITツールを導入し、地域DXや生産性向上などを目指す事業者を支援
<補助金額>原則は3,000万円以下その他経費の場合は200万円以下
<補助率>導入するシステムや機器によって1/2~4/5以内で変化

出典:IT導入補助金事務局

補助金で導入できる券売機例

  • T-D21シリーズ: 多機能でフラグシップ機種。キャッシュレス対応、新札対応など。
  • K-2シリーズ: コストパフォーマンスに優れた機種。
  • ST350A: スリムで従来型に近い券売機。キャッシュレス対応、多言語対応、新札対応。

券売機の導入により、店舗運営の効率化や顧客満足度向上が期待できます。IT導入補助金を活用することで、費用負担を抑えつつ最新の券売機を導入することが可能です。

業務改善助成金

業務改善助成金とは、生産性向上に資する設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資にかかった費用の一部を助成する制度です。

新札対応券売機の導入も、この業務改善助成金の対象となります。具体的には、新札対応の自動券売機などの設備投資と、事業場内の賃金引き上げをセットで行う必要があります。事前に設備投資と賃上げの計画を立案・申請し、事業の結果を報告することで、最大600万円の助成を受けることが可能です。

なお、業務改善助成金の助成額と助成率は以下の形となります。

コース事業場内最低賃金の引き上げ額引き上げる労働者数右記以外の事業者事業場規模30人未満の事業者
30円コース30円以上1人30万円60万円
2〜3人50万円90万円
4〜6人70万円100万円
7人以上100万円120万円
10人以上※3120万円130万円
45円コース45円以上1人45万円80万円
2~3人70万円110万円
4~6人100万円140万円
7人以上150万円160万円
10人以上※3180万円180万円
60円コース60円以上1人60万円110万円
2~3人90万円160万円
4~6人150万円190万円
7人以上230万円230万円
10人以上※3300万円300万円
90円コース90円以上1人90万円170万円
2~3人150万円240万円
4~6人270万円290万円
7人以上450万円450万円
10人以上※600万円600万円

※3 10人以上の上限額区分は、特例事業者のみ対象

【助成率】

900円未満9/10
900円以上950円未満4/5(9/10)※4
950円以上3/4(4/5)※4

※4 ()は生産性要件をクリアした事業場

事業完了予定期日は令和7年2月28日までの間となるため、機器を導入するスケジュールに合わせて申請しましょう。交付決定前に設備導入をすると助成対象外となりますのでご注意ください。

その他地方自治体公募の券売機導入のための補助金

上記の補助金は全て経済産業省が全国的に公募している補助金ですが、地方自治体が公募している券売機導入のための補助金も存在しています。以下に具体的な例を挙げて説明します。

愛知県丹羽郡大口町:中小企業支援事業補助金<新紙幣対応支援事業>

愛知県丹羽郡大口町では、新紙幣に対応するために自動券売機などの機器を改修または更新する際に補助金を提供しています。対象経費は、紙幣識別機ユニットの交換など、新紙幣対応のために必要な改修や更新費用です。補助率は対象経費の1/2以内で、補助上限額は50万円です。

大阪府豊中市:令和5年度 IT化促進補助金

大阪府豊中市では、市内中小企業がIT機器やシステムを導入する際に補助金を提供しています。POSシステムや券売機などが対象となり、対象経費の1/2を補助します。補助上限額は10万円です。

福岡県久留米市:中小企業DX促進補助金

福岡県久留米市では、業務効率化や経営課題解決のためにITツールを導入する中小企業に対して補助金を提供しています。自動券売機も対象となり、補助率は1/2、補助上限額は20万円(機器購入費は10万円)です。

これらの自治体の補助金を活用することで、券売機導入時の経済的負担を軽減できます。申請する際には、各自治体の公式ホームページで最新情報や詳細な要件を確認することが重要です。

INU株式会社の補助金支援サービスでは、新札対応の券売機を補助金で導入可能

INU株式会社の補助金支援サービスでは、新札対応の券売機を補助金で導入可能

INU株式会社のサービス

INU株式会社は、補助金プラスというサービスを提供し、新札対応の券売機を導入するための補助金申請を支援しています。専門のコンサルタントが申請手続きをサポートし、事業者がスムーズに補助金を利用できるようにします。

新札対応券売機の購入に活用できる省力化投資補助金の流れ

省力化投資補助金を利用することで、新札対応の券売機の導入費用を大幅に削減できます。INU株式会社の支援により、補助金申請から受給までのプロセスがスムーズに進みます。

まとめ

新札の発行に伴い、自動券売機の新札対応は急務です。特に、人手不足に悩むサービス業では、新札対応の券売機の導入が重要となるでしょう。政府や地方自治体の補助金を活用することで、導入コストを抑えられます。INU株式会社の補助金支援サービスを利用して、適切な補助金を受けながら新札対応の券売機を導入し、業務の効率化を図っていくことが重要だと考えられます。

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