2024年度より、省人化による人手不足解消を求める中小企業・小規模事業者に向けて「省力化投資補助金」が新設されました。あらかじめ製品が登録されているカタログの中から製品を選び、その製品の導入にかかる経費を最大1,500万円補助してくれるという仕組みです。
2024年6月現在だと、カタログのラインナップには「自動チェックイン機」も含まれています。旅館やホテル事業を行っている事業者様は、ぜひ省力化投資補助金を活用した自動チェックイン機の導入を検討してはいかがでしょうか。
本記事では、省力化投資補助金の概要、対象となる事業や経費、省力化投資補助金で導入できる自動チェックイン機の特徴などを解説します。
この記事の目次
近年、賃上げ制度による財政圧迫、原材料価格高騰などの影響で、今後の経営に悩む中小企業や小規模事業者も増えてきました。
将来的な問題としては、少子高齢化による労働力不足や採用活動の難化が懸念されています。
省力化投資補助金は、中小企業等の人手不足問題に着目し、省力化による人手不足解消を目指す事業者を支援する補助金です。公募要領に記載されている要件を満たした事業計画を事務局が審査し、その審査で採択を受けることで交付される権利を得られます。
その後、事業計画書に沿った事業を行い、事業にかかった経費の金額に応じて補助金額が決定されます。
省力化投資補助金の大きな特徴は、他の補助金とは異なり「あらかじめ製品カタログに登録されている製品の中から、自社に合うものを選んで導入する」という点です。この製品カタログの中に、「自動チェックイン機」も含まれています。
出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」
省力化投資補助金で導入できる自動チェックイン機は、キャッスレス決済にも対応した使いやすいモデルです。どのような旅館・ホテルの形態でも使いやすいので、ぜひ導入を検討してはいかがでしょうか。
以下では、省力化投資補助金についての概要を解説します。
省力化投資補助金の補助対象事業となるのは、公募要領にて定められた要件をクリアした、中小企業等の省力化を達成できるもののみです。具体的な数値や操作が設定されているので、必ず確認したうえで事業計画を作成しましょう。
クリアすべき要件とは、「基本要件」「採択における要件」「人手不足に関する事項」の3つです。補助金額が500万円以上になる場合は、付保割合が補助率の1/2となる保険または共済に加入する必要があります。
以下では、3つの要件について詳細を見ていきましょう。
基本要件とは、カタログに登録された省力化製品を導入し、販売事業者と共同で取り組む事業が満たすべき要件です。
まず必須要件として、「労働生産性の向上目標」が存在します。労働生産性の向上目標とは、補助事業が終了した後、3年間で1年ごとに一定以上向上させることです。申請時と比較して、労働生産性を年平均成長率3%以上向上させる必要があります。
また必須要件に加えて、「賃上げ要件」を満たすことで補助金の上限金額を50%引き上げられます。賃上げ要件は、「事業場内最低賃金を45円以上増加させること」と「給与支給総額を6%以上増加させること」のいずれも満たすことです。
採択における要件とは、省力化投資補助金へ申請するにあたり、事前に満たしておくべき基本的な条件のことです。以下の項目の1つでも抜けがあると、省力化投資補助金へ申請できません。必ず事前に確認しておいてください。
省力化投資補助金の交付にあたり、「人手不足による省力化が本当に必要か否か」を証明するための証拠となるものが、人手不足に関する事項のクリアです。
省力化投資補助金の採択を受けるには、以下に示した4つの事項のうち1つ以上に該当し、なおかつそれらについて具体的に説明する必要があります。
- 従業員の残業時間が、人手不足によって平均30時間を超えている
- 整理解雇ではない自然離職・退職によって、前年度比5%以上の従業員が減少している
- 採用活動を実施したが、人手不足解消には足りなかった
- その他、省力化が必要な理由が存在する
4のみを選択したときは、「導入前後の工数を基に省力化の割合を計算する(省力化量計算書の作成)」「配膳ロボット導入後の機器配置や作業動線などを説明する(機器配置予定図の作成)」といった作業も追加で必要です。
省力化投資補助金に申し込める補助対象者は、中小企業等経営強化法にて決められている中小企業者に該当する事業者です。具体的には、以下に示した資本金または従業員数(常勤)の数が、一定以下となる会社または個人であることです。
出典:公募要領
自動チェックイン機の場合、主に旅館業で使うことになるでしょう。旅館業の事業者が本補助金の交付を受けるには、資本金5,000万円・従業員数200人以下であることが条件です。
ただし、上記の中小企業者以外の事業者の場合は、上記とは異なる要件が各自設定されています。一般社団法人、NPO、社会福祉法人、その他組合・法人関連の事業者は、一度公募要領をご覧ください。
省力化投資補助金は、公募要領にて定められてた経費のみが補助対象です。それ以外の対象外の経費は、本補助金の対象にはならないので注意しましょう。
補助対象経費は、「自動チェックイン機の本体価格(製品本体価格)」と「自動チェックイン機の導入に要する費用(導入経費)」です。
製品本体価格は、機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具など)、製品本体に附随する専用ソフトウェア、情報システムなどの購入に要する経費です。
申請上限は、カタログに事前登録されている価格となります。ただしリース・レンタル、中古品、交付決定前に導入した製品、消費税、無償提供されたものなどは補助対象外です。
次に導入経費とは、自動倉庫の設置作業、運搬費、動作確認費用、マスタ設定費用などでのことです。
交付決定前に支払った費用、過去に購入したものに対する費用、省力化製品の導入に関係のないデータ作成・データ投入費用、原材料費・光熱費などは対象外となります。
省力化投資補助金は、賃上げ要件込みで最大補助率1/2の1,500万円で受け取れます。賃上げ要件が適用されないときは、最大1,000万円です。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
5人以下 | 1/2以下 | 200万円(300万円) |
6~20人以下 | 500万円以下(750万円) |
21人以上 | 1,000万円以下(1,500万円) |
自動チェックイン機の相場は、おおよそ1台あたり数百万円です。大型の旅館・ホテルでない限りは数十台も必要ないと思われるので、省力化投資補助金の交付金額で、十分な数を導入できると考えられます。
省力化投資補助金は、他の補助金と同じく、補助事業を実施してから交付される後払い方式です。スケジュールを事前に確認し逆算して資金計画を立てておき、自動チェックイン機導入直後の資金繰りが苦しくなることがなくなるよう注意しましょう。
出典:公募要領
省力化投資補助金が交付されるまでの、大まかな流れは次の通りです。
- 自動チェックイン気の導入によって、人手不足を解消し売上や生産性が向上する事業計画書を作成する
- GビズIDの公式ホームページにて、Gビズプライムアカウントを作成する
- 電子申請受付システムを用いて、事務局へ事業計画書と必要書類を提出する
- 採択通知を受け取ったら、事務局から交付決定の通知を受けて補助事業を開始する
- 補助事業が終了後、実績報告を行い補助金の金額を確定させる
- 確定した金額を事務局へ請求し、確定金額の交付を受け取る
- 毎年の年度初めにて、効果報告を通算5年間行う
上記はあくまでおおまかなスケジュールであるため、詳細は公募要領や公式ホームページにて確認してみてください。
省力化投資補助金を活用して導入できる自動チェックイン機とは?
省力化投資補助金を活用して導入できる自動チェックイン機は、2種類のタイプがある「セルフチェックイン機 スマーレ(オムロンソーシアルソリューションズ株式会社)」です。
出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」
駅券売機シェアNo.1を誇るオムロンのオートメーション技術やノウハウを結集し、人手不足や非接触社会への対応のために開発されたモデルです。事前決済、キャッシュレス決済、予約情報の確認、カードキー発行などが可能となっています。また、5ヶ国語の画面表示とガイダンス音声、パスポートリーダも標準装備しています。
卓上型と釣銭機連動型の、どちらも省力化投資補助金の対象です。
省力化投資補助金による自動チェックイン機導入をおすすめしたい企業は、主に次の通りです。
省力化投資補助金による自動チェックイン機導入には、本体価格数百万円、設置費用数十万円程度が必要です。200万円の補助金の交付を受けられれば、1〜2台ほど導入できます。
本補助金に対応する自動チェックイン機は、アパホテル・東横INNなどの大手ホテルチェーンや、その他さまざまなビジネスホテルにて活用されている実績あるモデルです。
設置や設定は非常に簡単であるため、中小企業でも導入の負担をそこまで気にしなくてもよいメリットがあります。
省力化投資補助金を活用して自動チェックイン機を導入するメリットは、「業務の自動化」「ヒューマンエラー削減」「これらによるコスト削減」の3つです。
省力化投資補助金を活用して自動チェックイン機を導入するメリットとは?
自動チェックイン機の導入によってチェックイン・チェックアウト業務を自動化・セルフ化できれば、従業員の負担を軽減した分だけ他の業務に工数を割けます。宿泊客へのおもてなしやベットメイクなどに人員を配置できるようになれば、企業全体の生産性向上も期待できるでしょう。
人力による窓口業務だと、臨機応変な対応ができる反面、疲労やその他の要因でヒューマンエラーが発生するリスクがあります。自動チェックイン機であれば、従業員の集中力や疲れに業務が左右されないうえに、システム化によるヒューマンエラーの削減につながります。
業務の自動化とヒューマンエラーの削減は、旅館・ホテル業務の全体的なコスト削減となります。例えば業務負担軽減による残業代削減、窓口業務の自動化による人件費削減などが挙げられます。
省力化投資補助金を利用して自動チェックイン機を導入するには、導入する製品を販売する事業者と協力して事業計画を策定し、共同申請による事務局への申請が必要です。
販売事業者と一緒に自動チェックイン機と現場の状況との相性を確認し、将来的な事業成長を見据えた事業計画書を作成しましょう。
作成の際には、具体的な数値や根拠に基づいた効果、見やすいレイアウトなどを意識し、事務局からの採択を受けやすい内容に仕上げるのがコツです。
事業計画の策定で不安があるときは、補助金申請をサポートするコンサルティング会社や地域の商工会議所・商工会などで相談するのがよいでしょう。
省力化投資補助金を活用して自動チェックイン機の導入をお考えの事業者様は、補助金コンサルティングの実績があるINU株式会社へぜひご相談ください。
INU株式会社は、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請は採択率90%を誇る、補助金関係の専門家です。省力化投資補助金の申請サポートも、事業計画のアイデア出しから一貫してサポートいたします。
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オンラインによる全国相談も受け付けているので、お住いの地域にかかわらず日本中の事業者様にサービスを提供いたします。ぜひお電話やメールでの無料診断などから、お気軽にご相談ください。
省力化投資補助金であれば、自動チェックイン機の導入に対して最大1,500万円の補助を受けられる可能性があります。
「自動チェックイン機を導入してチェックイン・チェックアウト業務を効率化したい」「旅館・ホテル業全体の人員を見直したい」といった事業者は、ぜひ本補助金を現場改善に活用してみてください。
ただし省力化投資補助金の交付を受けるには、事務局から採択される事業計画書が必要です。
事業計画書の作成や申請のサポートなどが必要なら、INU株式会社をぜひご相談ください。補助金の専門家である弊社が、交付後の事業発展まで見据えた事業計画立案の協力をいたします。