少子高齢化や人材の流動化、働き方の多様化などが進む2024年以後は、これらが要因となった人手不足になることを懸念する中小企業が増えることが想定されています。そうした人手不足に対応するため、令和5年度補正予算にて「省力化投資補助金」が新設されました。
本補助金は、省力化投資を促すことを目的に最大1,500万円が交付されます。本補助金を活用して「検品・仕分けシステム」の導入を検討する際は、省力化投資補助金の製品カタログにあるものを選んで導入してください。
本記事では、省力化投資補助金の概要や補助対象事業・経費、省力化投資補助金の製品カタログにて紹介されている検品・仕分けシステムについて解説します。
この記事の目次
中小企業が活用できる省力化投資補助金とは、日本の中小企業がかかえる人手不足の問題を解消するために、省力化(業務効率化や負担軽減などを行い、人員や労力を減らして生産性を高めること)につながる事業にかかる経費を補助する補助金制度です。
通常の申請で最大1,000万円、賃上げ要件をクリアすることで最大1,500万円の補助を受けられます。
省力化投資補助金の特徴は、事前に製品カタログに登録された製品の導入のみが、補助対象になる点です。そして製品カタログのラインナップの中に、「検品・仕分けシステム」が入っています。
出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」
省力化投資補助金で導入できる検品・仕分けシステムは、数量カウント、簡単操作、単品データ活用などが特徴のシステムです。また、対象搬送物のサイズ・形状に応じた検品・仕分けにも対応できます。
中小企業規模の現場であれば。十分に対応できるモデルです。当該事業者以外の検品・仕分けシステムは導入できないものの、複数社からシステムの選定から始める手間がなく、即効性のある省人化投資につながるメリットがあります。
以下では、省力化投資補助金の概要、補助対象事業、補助対象事業者、補助金額などを解説します。
省力化投資補助金の交付目的を達成できる事業が、省力化投資補助金の補助対象になります。詳細な要件は公募要領に記載があるので、必ずチェックしましょう。以下では、省力化投資補助金の補助対象事業の要件となる、人手不足に関する事項、基本要件、採択における要件の3つを解説します。
なお、補助金額が500万円以上の場合は、事業計画期間終了時までは、火災などによる財産の損失等に備えて、付保割合が補助率の1/2以上の保険または共済への加入が必須となります。
省力化投資補助金の対象事業となるには、補助金の交付目的である「人手不足の解消」の達成が本当に必要な事業であることを証明しなければなりません。公募要領にある以下4つの要件のうち、1つ以上に該当したうえで、それらを具体的に説明する必要があります。
- 人手不足が要因となり、従業員の残業時間が平均30時間超となっている
- 自然離職・退職(整理解雇ではないもの)によって、前年度比より5%以上従業員が減少している
- 採用活動を行ったが、人手不足を解消できる効果が得られなかった
- その他、省力化が必要となっている理由がある
上記のうち4のみを選択したときは、「省力化量計算書にて、導入前後の工数を基に省力化の割合を計算する」「機器配置予定図にて、配膳ロボット導入後の機器配置や作業動線などを説明する」といった、省人化が必要となる理由の根拠を別途示しましょう。
基本要件には、必須要件として「労働生産性の向上目標」が定められています。
労働生産性の向上目標とは、「補助事業終了後の3年間、1年ごとに申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3%以上向上させること」です。
また、追加要件として「賃上げ目標」も設けられています。賃上げ要件を達成する事業計画書であれば、補助金の上限額が50%引き上げられます。
「事業場内最低賃金を45円以上増加させること」と「給与支給総額を6%以上増加させること」のいずれも満たすことで、賃上げ要件の達成が可能です。
本補助金の採択を受けるには、以下に示した「採択における要件」をすべて満たす必要があります。採択を受ける要件は次の通りです。
いずれの要件も、そこまで達成が難しいわけではありません。上記の項目の抜け漏れがないよう、申請前には確認しておきましょう。
省力化投資補助金の補助対象者となる中小企業や小規模事業者は、中小企業等経営強化法に定められた資本金または常勤の従業員数以下の者です。
出典:公募要領
検品・仕分けシステムであれば、製造業、卸売業、倉庫業などでよく活用されます。
最低ラインは資本金1億円以下または従業員数100人以下です。中小規模程度の企業なら、問題なく条件を満たせるはずです。
一般社団法人、NPO法人、組合などといった法人形態については、別途資本金や従業員の規定が存在します。みなし同一法人やみなし大企業に当てはまる場合、補助金の申請ができないケースがあるので注意しましょう。
詳細は、公募要領をご覧ください。
省力化投資補助金の補助対象経費は、主に「検品・仕分けシステムの本体価格(製品本体価格)」と「検品・仕分けシステム導入に要する費用(導入経費)」です。
製品本体価格は、補助事業のためにだけに使用される機械装置や、附随する専用ソフトウェア、情報システムなどの購入に要する経費です。カタログに事前登録されている価格が上限となります。
リース・レンタル、中古品、交付決定前に導入した製品、消費税、無償提供されたものなどは補助対象外となります。
導入経費は、省力化製品の設置作業、運搬費、動作確認費用、マスタ設定費用などです。
交付決定前にかかったもの、過去に購入したものに対する費用、省力化製品の導入に関係のないデータ作成・データ投入費用、原材料費・光熱費などは対象外になります。
省力化投資補助金の補助金額上限は、交付申請時点の補助対象事業者の常勤従業員数ごとに、金額テーブルが設定されています。本補助金の補助率と補助金額は次の通りです。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
5人以下 | 1/2以下 | 200万円(300万円) |
6~20人以下 | 500万円以下(750万円) |
21人以上 | 1,000万円以下(1,500万円) |
検品・仕分けシステムの相場は、ハンディタイプといった形態の違いや、導入されているシステムなどによって数百万〜数千万円程度と幅があります。
省力化投資補助金は、他の補助金と同じく、補助事業を実施してから交付される後払い方式です。スケジュールを事前に確認し逆算して資金計画を立てておき、検品・仕分けシステム導入直後の資金繰りが苦しくなることがなくなるよう注意しましょう。
出典:公募要領
省力化投資補助金が交付されるまでの、大まかな流れは次の通りです。
- 検品・仕分けシステムの導入によって、人手不足を解消し売上や生産性が向上する事業計画書を作成する
- GビズIDの公式ホームページにて、Gビズプライムアカウントを作成する
- 電子申請受付システムを用いて、事務局へ事業計画書と必要書類を提出する
- 採択通知を受け取ったら、事務局から交付決定の通知を受けて補助事業を開始する
- 補助事業が終了後、実績報告を行い補助金の金額を確定させる
- 確定した金額を事務局へ請求し、確定金額の交付を受け取る
- 毎年の年度初めにて、効果報告を通算5年間行う
上記とは別に、実地検査や立入検査が行われる可能性があります。
省力化投資補助金を活用して導入できる検品・仕分けシステムとは?
省力化投資補助金を活用して導入できる検品・仕分けシステムは、ホクショー株式会社が製造する「バラ物自動仕分けシステム PAS」です。
出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」
PASシリーズは、ピース単位の小さな商品を店舗別やカテゴリー別に仕分ける作業を自動化する、バラ物自動仕分けシステムです。単なる仕分けコンベアではなく、高精度、簡単なオペレーション、単品管理データ活用による集積データの信頼性向上、多様な製品への対応など、さまざまな特徴・機能を持っています。
納品精度10万分の1、約2分の1の省人効果、ミスゼロなどの導入効果を見込めます。
以下では、省力化投資補助金で導入できる検品・仕分けシステムの概要を見ていきましょう。
省力化投資補助金によって、検品・仕分けシステムの導入をおすすめしたい企業は次の通りです。
省力化投資補助金で導入できる検品・仕分けシステムのおおよその価格と導入費用は、おおよそ相場通りの数百万円~数千万円です。詳細な金額は、導入現場の状況やカスタマイズ次第で上下するので、詳細はメーカーへお問い合わせください。
省力化投資補助金で導入できる検品・仕分けシステムは、食料品やHC製品などの物流センター、書籍・雑誌類配送センター、商品管理センターなどさまざまな施設にて活用されています。食品、紙、日用品など、形状問わずさまざまな品物に対応できるのがポイントです。
省力化投資補助金を活用して検品・仕分けシステムを導入するメリットとは?
省力化投資補助金を活用して検品・仕分けシステムを導入するメリットは、「仕分けにかかる無人化の実現」「業務の時間短縮」「ヒューマンエラーの削減」「全体的なコスト削減」につなげる点です。
検品・仕分けシステムによって検品や仕分け作業が自動化できれば、業務の無人化が実現します。浮いた人員を他の箇所へ配置することで、他の現場の人手不足を解消できるでしょう。
検品・仕分けシステムは、高精度かつ、人間の集中力散漫や疲労蓄積による作業効率の低下のない検品・仕分け作業を可能としています。高品質な作業を高スピードかつ継続的に進められるので、全体的な業務時間も短縮できるでしょう。
検品・仕分けシステムであれば作業そのものを自動化できるので、ヒューマンエラーを削減できます。作業員の技量、状態、人員数などの不備が原因のトラブルを、未然に防ぐことが可能です。
無人化の達成による人員削減、業務の時間短縮による残業代や時間帯手当の削減、ヒューマンエラー減少による残業時間、欠品、その他トラブルの削減などにより、継続的に発生していたさまざまなランニングコストを全体的に削減できます。
省力化投資補助金を利用して検品・仕分けシステムを導入するには、カタログの販売事業者に、事業計画書の作成を協力してもらう必要があります。
販売事業者は事業計画書が要件に合致したことを確認し、事業計画策定後に共同申請を行う必要があります。そのため、省力化投資補助金の交付を受けるには、販売事業者との連携が重要になると言えるでしょう。
事業計画は、検品・仕分けシステムによってもたらされる具体的な効果を数値化する、論理的かつ根拠ある説明を行う、補助対象経費の範囲内での支出にするといったことを意識してください。
また、自社で検品・仕分けする製品や荷物の形状や材質を確認し、導入する検品・仕分けシステムとの相性を見ることも重要です。導入するものが、本当に自社の人手不足につながるかを、しっかりと検討しておきましょう。
省力化投資補助金を活用して検品・仕分けシステムの導入を考えている事業者様は、補助金申請の実績が豊富なINU株式会社へぜひご相談ください。
INU株式会社は、これまでものづくり補助金や事業再構築補助金といった、国の補助金の申請において採択率90%の実績を誇る補助金のエキスパートとして、全国各地の中小企業様を支援してきました。
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まずはお電話やメールでの無料診断などから、お気軽にご相談ください。
検品・仕分けシステムの導入を検討しているのであれば、省力化投資補助金を活用して、返済不要の資金調達とするのがおすすめです。
「検品・仕分け作業を効率化したい「自動化して従業員の負担や企業のコストを下げたい」といった事業者様は、ぜひ省力化投資補助金の検品・仕分けシステムをご活用ください。
本補助金の交付を受けるには、事務局の採択を受けられる事業計画書の策定が必要です。
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