「中堅・中小成長投資補助金に採択されたけれど、次に何をすればいいのか…」、「採択後の手続きを間違えると補助金を受け取れなくなるって本当?」
本記事では、そのような不安を抱える事業者の皆さんに向けて、採択後にやるべき具体的なステップや注意点を徹底解説します。せっかくの補助金を無駄にしないために、ポイントを押さえてスムーズに手続きを進めましょう!

中堅・中小成長投資補助金について
中堅・中小成長投資補助金(正式名称:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、人手不足等の喫緊の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的としています。
本補助金には、予算額として令和9年度までの国庫債務負担を含む総額3,000億円が割り当てられています。第1次公募では109件の事業が採択されました。
本補助金の活用によって、人手不足への対応を目的とした省力化投資や生産性の向上、研究開発、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進など、多岐にわたる成長戦略を実現することができます。次に、補助金を申請できる対象者や、補助の対象となる経費について詳しく見ていきます。
中堅・中小成長投資補助金について
中堅・中小成長投資補助金の補助金額
中堅・中小成長投資補助金では、補助上限額が50億円と設定されており、補助率は1/3以下とされています。
申請書の中で補助率1/4を適用した事業採択も許容された事業者については、本来の採択基準に満たない場合においても追加的な採択を行う可能性があります。ただし、補助率が1/4となった場合でも、提出された賃上げに係る目標数値を達成することが要件となります。
本補助金の上限額は、他の多くの補助金と比較して高額であり、より大規模な投資を必要とする中堅・中小企業の成長戦略を強力に後押しする仕組みとなっています。
中堅・中小成長投資補助金の対象者
中堅・中小成長投資補助金の対象者は、以下の要件を満たす中堅・中小企業が該当します。
対象者の要件
- 従業員数: 常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社又は個人等
- 本社所在地: 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有すること
- 法人の種類: 会社・個人以外の法人も、政策目的に沿った補助事業であり、その補助事業が収益事業に関する内容である場合、補助対象者となります
一方、以下のいずれかに該当する者は、大企業とみなして補助対象外となります(みなし大企業)。ここでいう「大企業」とは、常時使用する従業員数が2,000人超の事業者を指します。
- 発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
- 大企業(外国法人含む)の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の総額が上記に該当する法人の所有に属している法人
- 上記に該当する法人の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている法人
さらに、暴力団や公序良俗に反する事業、法令違反の恐れがある事業を行っている場合は対象外です。また、他の公的補助金や助成金と重複して受給することを目的とする事業者も除外されます。
補助対象者の要件は、本事業の公募開始日において満たしている必要があります。
上記の通り、対象者となる条件を満たしているか確認した上で、具体的な申請を進める必要があります。次に、補助金の対象となる具体的な経費について解説します。
中堅・中小成長投資補助金が使える経費
中堅・中小成長投資補助金で対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。対象経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業期間内に納品、検収、支払等の事業上必要な手続きがすべて完了したものとなります。以下は、主な対象経費の詳細です。
建物費
建物費には、専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他成長投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費が含まれます。ただし、土地代や建物の撤去にかかる費用は補助対象外とされています。
機械装置費
機械装置費には、専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費が含まれます。また、これらと一体で行う改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費も補助の対象となります。ただし、車両、船舶、航空機といった移動手段に関わる費用は補助対象外です。
ソフトウェア費
ソフトウェア費には、専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費が含まれます。また、これらと一体で行う改良・修繕に要する経費も補助の対象となります。ただし、パソコンやタブレットなどのハードウェアに関する費用は対象外とされています。
外注費
外注費には、補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費が含まれます。ただし、成長投資計画の作成にかかる費用は補助の対象外とされています。
重要: 外注費及び専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満である必要があります。
専門家経費
専門家経費には、本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費が含まれます。補助事業の遂行に必要な技術指導や助言を専門家に依頼する際のコンサルティング費用や旅費が含まれます。ただし、応募申請時の成長投資計画作成費用は対象外です。
重要: 外注費及び専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満である必要があります。
なお、応募時の審査では本補助金の趣旨に沿った成長投資計画を策定しているか確認し、評価の高いものから補助金交付候補者として採択されますが、採択されたことをもって応募時に計上している経費がすべて補助対象として認められる訳ではありません。

中堅・中小成長投資補助金の採択後の流れ
続いて、採択後の流れについてです。中堅・中小成長投資補助金の採択後、補助金を受け取るには、定められた手続きを正確に進めることが求められます。この段階での手続きの誤りは補助金の支払いに影響を及ぼす可能性があるため、一つひとつ丁寧に確認しながら進めることが重要です。順を追って解説していきます。
中堅・中小成長投資補助金の採択後の流れ
交付申請をする
採択通知を受けた後は、補助金の交付申請を行う必要があります。申請にあたっては、必要書類を確実に揃えることが重要です。規定様式の補助金交付申請書、成長投資計画書、経費の妥当性を証明する関連する見積書などが必要となります。また、他の補助金との重複申請がないことを証明する書類も提出が求められるので準備を行いましょう。
申請時には、交付申請額の箇所に具体的な金額や項目を正確に記載しなければなりません。この際、補助対象経費には消費税控除額を含めないことに注意が必要です。
交付が決定する
採択された事業者は、交付申請を行い、その後事務局が交付の決定・通知を行います。この過程に関する詳細やスケジュールについては、採択者に送付される「補助事業の手引き」に記載されています。事業を円滑に進めるために、必ず手引きを確認し、指示に従って準備を進めましょう。交付決定後は補助事業の準備を進め、次のステップである「補助事業実施状況確認」に移ります。
補助事業期間は、交付決定日から最長で令和9年12月末までとなっています。
事業公表
採択者による、事業に採択された旨、目標賃上げ率、投資規模のプレスリリース等での対外的な公表を行います。中小企業から中堅企業への移行に対する加点措置の対象事業者は、従業員数及び資本金の目標値のプレスリリース等での対外的な公表も行います。
補助事業実施状況確認が入る
補助事業期間における補助事業者の事業実施状況の確認が行われます。事業者は「状況報告書」を提出し、補助対象経費の収支概要や進行中の事業内容を詳細に記載します。
また、補助事業の進行が困難になった場合や変更が必要となった場合には、速やかに「事故報告書」や「変更申請書」を提出し、事務局の指示を仰ぐ必要があります。
補助額の確定
補助事業が完了すると、事業完了後、補助事業者による事業報告・証憑類提出をもとに検査を行い、補助額を確定します。審査では、事業者が提出した実績報告書や関連書類を基に、補助事業結果が交付決定時の条件に適合しているかが確認されます。審査が完了すると、確定した補助金額が通知されるのですが、補助対象となる物件や帳簿類の確認ができない場合や条件に適合しない場合は、その部分の金額については補助対象外となります。
また、確定した補助金額よりも多くの金額が既に交付されている場合、その超過分は返還しなければなりません。返還は通知の日から20日以内に行う必要があり、期限を過ぎた場合は未納額に対して年利10.95%の延滞金が加算されます。
これらの手続きを経て補助金額が確定すると、補助金が正式に交付され、事業者は次の段階である「事業化・賃金引上げ状況等の報告」に進みます。
補助金の交付
補助額が確定すると、補助金交付(支払い)手続きが実施されます。事務局から補助金が指定の口座に振り込まれます。この際、確定した補助額に基づいて支払われるため、必要に応じて「精算払請求書」を事務局に提出します。また、補助事業終了前であっても、柔軟な対応として補助金の概算払いが可能です。詳細については、採択者宛てに送付される「補助事業の手引き」を確認してください。
なお、令和7年度に実施した補助事業のうち、令和7年度中に支出した補助対象経費の補助金交付時期は、原則、令和8年度となります。
補助金が支払われた後も、その使用記録は慎重に管理する必要があります。帳簿や領収書は最低5年間保存し、後日行われる可能性のある監査や調査に備えなければなりません。また、振り込まれた補助金を事業経費として正確に反映させ、引き続き計画に基づいた事業の遂行に努めることが求められます。
事業化、賃金引上げ状況等の報告をする
補助事業が完了した後、補助事業者の補助事業期間終了後の事業化、賃上げ状況等の報告を行います。3事業年度分(計4回)、毎年度実施します。
補助金を活用して得られた成果や事業の進捗状況を報告する必要があります。補助事業者は、事業完了日の属する事業年度を初回として、以降3年間、合計4回「事業化及び賃金引上げ等状況報告書」を国の会計年度終了後60日以内に事務局へ提出します。
事業化及び賃金引上げ等状況報告書には、補助事業の効果、事業の進行状況、賃金引上げの達成状況などが含まれます。特に賃金については、補助事業の終了後3年間の補助事業に関わる従業員(非常勤含む)及び役員の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%(基準率)以上であることを証明する必要があります。
報告に基づく証拠書類は、会計年度終了後5年間の保存が義務付けられています。報告内容に不備があれば事務局から改善指導が行われ、目標未達成の場合は補助金の一部返還を求められることもあります。
中堅・中小成長投資補助金の採択後に必要な交付申請について
これまで採択後の流れについて説明してきましたが、ここでは交付申請について改めて確認します。交付申請は、採択された事業計画を実行に移すための重要な手続きであり、適切に行わなければ補助金の交付を受けられません。交付申請を行うタイミングは、採択者宛ての補助事業の手引きに案内があるので確認を行いましょう。
中堅・中小成長投資補助金の採択後に必要な交付申請について
交付申請の手順
必要書類の準備
- 交付申請書
- 成長投資計画書
- 補助対象経費に関する見積書や契約書
- 他の補助金や助成金との重複申請がないことを証明する書類
これらの書類には、申請時点で正確な情報を記載する必要があります。特に、補助対象経費や交付申請額は、公募時の計画を基準に、詳細で妥当性のある内容を示すことが求められます。補助対象外の経費や条件も事前に確認し、不備のない内容で提出しましょう。
電子申請の実施
交付申請は原則として電子申請システム(jGrants2.0)を通じて行います。
「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。ID発行には数週間かかる場合があるため、早めの準備が推奨されます。
重要な注意事項: 入力情報については、必ず申請者自身がその内容を理解し、確認してください。代理申請は不正アクセスとなるため一切認められず、当該申請は不採択となる上、以後の公募において申請を受け付けないことがあります。また、GビズIDプライムアカウント及びパスワードを外部支援者等の第三者に開示することは、GビズIDの利用規約に反する行為であり、トラブルの原因となり得ますので、ご注意ください。
電子申請時には、書類のアップロードや記入ミスが発生しやすいため、提出前に最終確認を行うことが重要です。
事務局による審査
申請後、事務局が申請内容を審査します。
申請書に記載された計画が補助金の趣旨に適合しているか、経費の計上が適正であるかを確認します。
不備や疑問点があった場合、事務局から指摘や追加書類の提出が求められる可能性があります。その際は迅速かつ正確に対応することが重要です。
もし中堅・中小成長投資補助金の採択後に交付申請を忘れてしまったら
中堅・中小成長投資補助金の交付申請は、補助金を受け取るために必須です。しかし、もしスケジュール通りに交付申請を行わなかった場合、補助金の受給資格を失ってしまう可能性があります。このリスクを理解し、必ず期限内に手続きを完了させることが求められます。
交付申請のスケジュールは、採択通知と共に事務局から案内されます。期限は厳守が求められ、延長が認められるケースはほとんどありません。万が一、期限内に交付申請を行わない場合、採択が取り消され、せっかくの補助金が無効となってしまうことがあります。
特に、交付申請を忘れる原因として多いのは、事業の多忙さや書類準備の遅れです。これを防ぐために、採択通知を受け取った時点で申請スケジュールを確認し、具体的な準備に取り掛かることが重要です。必要書類の準備に時間がかかる場合や、他の事業と並行して進める必要がある場合は、早めにスケジュールを組み立て、漏れのない計画を立てましょう。
交付申請の遅延や失念は、事業の計画自体にも大きな影響を及ぼします。申請期限を守り、スムーズな手続きで補助金を活用しましょう。
中堅・中小成長投資補助金の補助金交付後の報告について
補助金が交付された後、補助事業者には事業の成果や賃金引上げ状況について報告する義務があります。この報告は、補助金が適切に活用されていることを確認し、地域経済や雇用改善への貢献を示すための重要な手続きです。以下に報告の重要なポイントを4つに分けてわかりやすく説明します。
中堅・中小成長投資補助金の補助金交付後の報告について
①報告の目的
補助事業が完了した後、事業者は「事業化及び賃金引上げ状況等報告書」を提出します。この報告は、補助金の活用によってどのような成果が得られたのかを明らかにし、事業計画で掲げた目標が達成されているかを確認する役割を果たします。また、地域経済や雇用への具体的な貢献を示すことが求められます。
②報告のスケジュール
報告は、補助事業が完了した年度を起点に始まり、その後3年間、合計4回行います。報告書は、国の会計年度終了後60日以内に提出する必要があります。定期的な報告を通じて、補助金の効果が長期的に持続していることを示すことが求められます。
③報告内容
報告書には以下のような内容を含める必要があります。
- 事業の成果と地域への貢献: 補助事業が事業全体の成長や地域経済にどのように寄与したかを説明します
- 賃金引上げの実績: 従業員や役員の1人当たり給与支給総額が年平均上昇率4.5%以上の目標を達成したか、具体的なデータで示します
- 協力体制の状況: 外部の専門家や取引先と連携し、事業を推進した成果を記載します
- その他の効果: 生産性向上や地域貢献など、事業の直接的・間接的な影響を示す指標についても記載します
④報告における注意点
提出した報告に不備があった場合、事務局から指導や改善要求が行われることがあります。目標が達成されていない場合には、補助金の一部返還が求められることもありますが、天災などの不可抗力による場合は例外が認められる可能性があります。また、報告書の証拠となる書類(賃金台帳や契約書など)は、会計年度終了後5年間保存する必要があります。これらの書類は監査や調査に備えて適切に管理しましょう。
参考:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 公募要領(2次公募)
中堅・中小成長投資補助金の採択後に注意すべきこと
中堅・中小成長投資補助金の採択後、交付申請から補助金の支払いまでには多くの注意点があります。これらを理解し適切に対処することで、補助金の活用が円滑になり、不測の事態を防ぐことができます。次に、具体的な注意点として、事業譲渡や会社分割に伴う制限、新たな経費の計上禁止、事業実施場所の変更不可などについて詳しく解説します。
中堅・中小成長投資補助金の採択後に注意すべきこと
事業譲渡、会社分割によって交付申請を他者が行うのはNG
中堅・中小成長投資補助金では、交付申請や補助事業の実施責任は採択を受けた事業者に限定されています。事業譲渡や会社分割を通じて他者が交付申請を代行したり、補助事業を移管したりすることはできません。これに違反すると、最悪の場合、採択の取り消しや補助金の交付停止につながる可能性があります。
また、補助事業の契約先や共同実施者を変更する場合も、事務局の事前承認が必要です。事業譲渡や会社分割を検討している場合は、必ず事前に事務局に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
交付申請時に新しく経費を計上することはできない
中堅・中小成長投資補助金では、交付申請は採択時の事業計画に基づいて進められるため、新たな経費を追加することは認められていません。
例えば、事業の途中で新たな設備購入や追加工事が必要になった場合でも、それらを交付申請に含めることはできません。新たな経費を申請すると、事務局から差し戻しや再提出を求められる可能性があるため、採択時に必要な経費を十分に網羅しておくことが重要です。
ただし、事前に事務局へ相談し、承認を得られた場合に限り計画変更が可能なこともありますが、変更範囲は限られるため、申請時には採択時の計画を忠実に反映させることが原則となります。
交付決定後に補助事業実施場所を変えることはできない
中堅・中小成長投資補助金では、交付決定後の補助事業実施場所の変更は原則認められていません。
補助事業の実施場所は、採択時に申請書で指定した場所が対象となります。そのため事業実施場所の変更は、事業全体の方向性や補助金交付の前提条件を損なうと見なされます。
例えば、設備投資の場所を別の地域に移したり、異なる施設を使用する場合、事務局の事前承認が必要ですが、承認は稀です。特に、対象地域が特定されている補助金や地域振興を目的とした場合、変更は補助金の趣旨に反すると判断される可能性が高くなります。
不可抗力で変更が必要な場合でも、事務局への事前相談と詳細な理由説明が求められますが、変更が認められる可能性は低いです。そのため、実施場所は事業計画段階で慎重に選定することが重要です。
補助金の精算は事業完了後の確定検査が終了した後
補助金の精算は、補助事業完了後に行われる確定検査を経て決定されます。確定検査では以下の3点に注意が必要です。
補助対象経費の適正性
確定検査では、帳簿や領収書、契約書などの証拠書類を基に、補助対象経費が妥当かどうかを審査します。不適切な支出や、申請時の計画と大きく異なる経費が含まれている場合、その分は補助金の対象外となります。経費の記録を正確に行い、計画通りの支出を心掛けることが重要です。
事業目標の達成状況
賃金引上げ(年平均上昇率4.5%以上)や地域経済への貢献といった補助事業の目標が達成されているかが評価されます。これらの目標が達成されない場合、補助金の一部または全額が支払われないリスクがあります。
確定検査に向けた準備
確定検査の結果に基づき補助金の精算が行われます。検査をスムーズに進めるため、事業期間中から経費の記録や証拠書類の管理を徹底し、申請時の計画に沿った忠実な事業運営を行うことが必要です。
上記の注意点を守ることで、確定検査をクリアし、補助金を適切に受け取ることができます。不備を防ぐためにも、事業期間中から注意深く対応しましょう。
概算払の金額が大きかった場合はその差額を返金しなくてはならない
補助事業中に概算払を受け取っている場合でも、確定額が概算払を下回る場合は、その差額を返還する必要があります。返還命令が出された場合は、命令の日から20日以内に返納しなければなりません。期限を過ぎた場合、未納額には年利10.95%の延滞金が課されるため、返還期限を厳守することが求められます。
補助事業が完了した時に補助金要件を満たしていない場合は補助金が交付されない
補助事業が完了した際に、申請時や交付決定時に定められた補助金の要件を満たしていない場合、補助金が交付されない可能性があります。具体的には、以下のような場合が問題となる可能性があります。
事業計画の不達成
申請時に提示した成長投資計画が適切に実行されていない場合、補助金が交付されない、または一部しか受け取れない可能性があります。たとえば、計画されていた設備投資が実施されていない、または投資効果が確認できない場合などです。
賃金引上げ要件の未達成
補助事業の終了後3年間の補助事業に関わる従業員(非常勤含む)及び役員の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%(基準率)以上であることが要件とされています。この目標を達成できていない場合は、補助金が支払われない、もしくは一部返還が求められる可能性があります。特に、目標未達成の理由が天災などの不可抗力ではなく、事業者の努力不足と判断される場合は厳しい対応が取られることがあります。
補助対象経費の不適切な使用
補助金が不適切な用途に使用されていたり、計画外の経費が含まれていたりする場合、補助金交付の条件を満たさないと判断されることがあります。領収書や帳簿の不備なども原因となり得ます。
補助金交付の判断は、事業完了後に行われる確定検査の結果に基づきます。確定検査では、補助事業の全過程が精査され、事業計画通りに進められたか、補助金の要件を満たしているかが確認されます。不備が見つかった場合、補助金の一部または全額が不支給となるだけでなく、今後の事業者の信頼性にも影響を与える可能性があります。
補助金を適切に受け取るためには、事業期間中から要件を確実に満たすよう事業を進めることが重要です。また、要件の達成が困難になりそうな場合は、早めに事務局に相談し、対応策を協議することで、交付拒否のリスクを軽減することができます。補助事業を完了するだけでなく、計画通りの結果を達成することが、補助金活用の成功につながります。
まとめ
中堅・中小成長投資補助金は、事業の拡大や競争力の向上を目指す中堅・中小企業にとって大きな支援となる制度です。しかし、補助金を活用するためには、採択後の手続きや要件を正確に理解し、適切に対応することが欠かせません。本記事では、交付申請の重要性や手続きの流れ、採択後に注意すべきポイントについて詳しく解説しました。
特に重要なポイントは以下の通りです。
- 補助事業期間: 交付決定日から最長で令和9年12月末まで
- 賃上げ要件: 補助事業終了後3年間の年平均上昇率4.5%以上
- 投資額要件: 10億円以上(税抜き。外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)
- 電子申請の重要性: 代理申請は不正アクセスとなり一切認められない
- 報告義務: 補助事業期間終了後、3事業年度分(計4回)の報告が必要
補助事業は、地域経済の活性化や企業の成長を支える重要な取り組みです。そのためには、補助金を単なる資金支援と捉えるのではなく、事業計画の実現に向けた戦略の一部として活用する視点が求められます。補助金の効果を最大限引き出すためにも、手続きの正確性や事務局との連携を徹底し、成功に向けた着実な準備を行いましょう。この記事を通じて、補助金活用に向けた具体的なイメージを持つ一助となれば幸いです。今後の事業のさらなる成長に向けて、補助金の力を存分に活かしてください。



