【2025.8】中小企業成長加速化補助金で設備投資をしよう!事業拡大と利益最大化を実現するには

売上高100億円を目指す中小企業を対象とした「中小企業成長加速化補助金」は、最大5億円の手厚い支援により、賃上げ、輸出拡大、地域経済活性化に貢献する大規模投資を後押しします。

本記事では、補助金の基本情報、対象要件、申請手続き、そして設備投資に利用する道筋を詳しく解説。売上高10億円以上の企業が次のステージへ飛躍するための具体的な戦略を見つけるヒントにしてください。

この記事を読むと
  • 中小企業成長加速化補助金の概要がわかる
  • 中小企業成長加速化補助金で設備投資を成功させるポイントがわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

設備投資に使える補助金、中小企業成長加速化補助金の概要

中小企業を取り巻く経営環境は、物価高や人手不足といった課題に直面しており、企業の成長戦略においては設備投資による競争力強化が急務となっています。そんな中、令和6年度補正予算において創設された「中小企業成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す意欲的な中小企業の大胆な投資を強力に後押しする新たな支援制度です。

経済の好循環を全国に行き渡らせるためには、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げするとともに、地域にインパクトのある成長企業を創出していくことが重要とされており、この補助金はまさにその実現を支援するものです。本記事では、この補助金を活用した効果的な設備投資戦略について詳しく解説します。

設備投資に使える補助金、中小企業成長加速化補助金の概要

中小企業成長加速化補助金とは

中小企業成長加速化補助金は、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を支援する補助金制度です。

この補助金の特徴は、従来の中小企業向け補助金と比較して支援規模が大きく、補助上限額が最大5億円という点にあります。これは、地域経済にインパクトを与える成長企業の創出を目的としており、単なる設備更新ではなく、事業の抜本的な拡大・成長を後押しする制度設計となっています。

売上高が100億円に及ぶ企業は、一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいなど、地域経済に与えるインパクトも大きいことから、国としても重点的に支援する方針を示しています。

対象となる企業と対象経費について

対象企業の要件

本補助金の対象要件は以下のとおりです。

  • 補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること。
  • 補助金の公募の申請時までに補助事業者の100億宣言(※)が100億宣言ポータルサイトに公表がされていること。(1次公募においては、補助金の公募の申請時に同時に100億宣言の申請を行うことが可能)
  • 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること。(賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間(賃上げ要件の詳細は下記参照))
  • 日本国内において補助事業を実施すること。

引用:中小企業成長加速化補助金のご案内

対象経費の詳細

補助対象となる経費は以下の5つのカテゴリーに分類されます。

  1. 建物費:専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費
  2. 機械装置費:専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費。これらと一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費も含まれます
  3. ソフトウェア費:専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費。またこれらと一体で行う、改良・修繕に要する経費
  4. 外注費:補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費
  5. 専門家経費:本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費

重要な点として、単なる老朽化設備の更新投資は対象外となります。つまり、現状維持ではなく、明確な成長戦略に基づく投資である必要があります。

補助率と補助上限額の詳細

中小企業成長加速化補助金の支援内容は以下の通りです。

  • 補助率:1/2以内
  • 補助上限額:最大5億円
  • 最低投資額要件:補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き、専門家経費・外注費を除く)

この支援規模は、中小企業向け補助金としては破格の水準であり、これまで資金調達の壁により実現が困難であった大規模な設備投資を可能にします。例えば、10億円の設備投資を行う場合、最大5億円の補助を受けることができるため、企業の自己負担は5億円となります。

中小企業成長加速化補助金が設備投資に向いている理由

中小企業成長加速化補助金が設備投資に特に適している理由は、その制度設計にあります。

まず、補助上限額が5億円という大規模な支援により、従来では困難であった抜本的な生産体制の刷新や最新技術の導入が可能となります。これにより、競合他社との差別化を図り、市場における優位性を確立できます。

次に、1億円以上の投資額要件により、本格的な事業拡大を前提とした設備投資が対象となります。これは単なる設備更新ではなく、生産能力の大幅な向上や新たな事業領域への展開を可能にする規模の投資を想定しています。

また、「100億宣言」という制度により、企業の成長意欲と具体的な計画の明示が求められることで、計画性のある設備投資が促進されます。これにより、投資効果の最大化と持続的な成長の実現が期待できます。

さらに、賃上げ要件が設定されていることで、設備投資による生産性向上の果実が従業員にも還元される仕組みとなっており、人材確保と定着にも寄与するでしょう。

中小企業成長加速化補助金で実現する設備投資のイメージ

以下では、中小企業成長加速化補助金を使った設備投資のイメージをいくつか具体的に紹介します。自社の設備投資を考える際の参考にしてください。

中小企業成長加速化補助金で実現する設備投資のイメージ

生産性向上に繋がる設備投資

生産性向上を目的とした設備投資では、最新の自動化設備や高精度な製造装置の導入が効果的です。

例えば、製造業において従来の手作業に依存していた工程を自動化することで、作業時間の短縮と品質の安定化を同時に実現できます。具体的には、ロボットアームを活用した自動組立ラインの構築や、AI を活用した品質検査システムの導入などが考えられます。

また、データ収集・分析システムと連携した IoT 対応設備の導入により、リアルタイムでの生産状況把握と最適化が可能となり、無駄の削減と効率化を図ることができます。

食品加工業では、最新の加工機械や包装機械の導入により、処理能力の向上と同時に食品安全性の確保も実現できます。

DX推進のためのITツール導入と設備投資

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のための設備投資は、現代の競争力強化において不可欠な要素です。

クラウドベースの基幹システム(ERP)の導入により、企業の各部門間の情報連携を強化し、意思決定の迅速化と業務効率の向上を実現できます。これには、システム構築費用だけでなく、サーバーやネットワーク機器などのハードウェア投資も含まれます。

顧客関係管理(CRM)システムや営業支援(SFA)システムの導入により、営業活動の効率化と顧客満足度の向上を図ることも可能です。

また、eコマースプラットフォームの構築や、オムニチャネル対応システムの導入により、販売チャネルの多角化と売上拡大を実現できます。

GX(グリーン化)に資する省エネ設備投資

グリーントランスフォーメーション(GX)への対応は、今後の企業成長において重要な要素となります。

高効率な空調システムや LED 照明の導入により、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減を同時に実現できます。さらに、太陽光発電システムや蓄電池の導入により、エネルギーの自給自足体制を構築することも可能です。

省エネ型の製造設備や、廃棄物削減につながる循環型生産システムの導入も、長期的なコスト削減と企業価値の向上に寄与します。

これらの投資は、初期コストは高いものの、長期的な運営コストの削減により投資回収が期待でき、補助金を活用することで投資負担を大幅に軽減できます。

事業再構築や新分野展開を後押しする設備投資

既存事業の枠を超えた新たな事業領域への展開を可能にする設備投資も、この補助金の重要な活用方法です。

例えば、従来の製造業から、製品の設計・開発から製造、販売、アフターサービスまでを一貫して行う事業モデルへの転換を図る場合、研究開発施設や試作設備、品質管理設備などの幅広い設備投資が必要となります。

また、デジタル技術を活用したサービス業への展開や、海外市場開拓のための生産体制整備なども、大規模な設備投資により実現可能となります。

新たな技術領域への参入においては、専門的な製造設備や検査機器、クリーンルームなどの特殊な設備が必要となる場合もあり、これらの高額な投資についても補助金を活用することで実現可能性が高まります。

中小企業成長加速化補助金で設備投資する際の申請から採択までの流れ

以下では、中小企業成長加速化補助金で設備投資をしたい時の申請〜採択の流れを説明します。

中小企業成長加速化補助金で設備投資する際の申請から採択までの流れ

申請準備のステップと必要書類

申請準備は早期からの計画的な取り組みが成功の鍵となります。

まず最初に行うべきは「100億宣言」の登録です。これは補助金申請の前提条件であり、100億宣言ポータルサイトでの登録が必要です。100億宣言では、売上高100億円達成に向けた具体的な戦略と計画を明示する必要があります。

次に、投資計画の詳細な検討と設備・システムの選定を行います。1億円以上の投資額要件を満たす計画の策定が必要であり、複数の設備・システムの組み合わせによる総合的な投資計画を立案することが重要です。

必要書類の準備では、会社の基本情報(定款、登記事項証明書など)から、財務状況を示す書類(決算書、試算表など)、そして詳細な事業計画書まで、幅広い書類の準備が必要となります。

事業計画書の作成ポイントと記載事項

事業計画書は採択の可否を決める最も重要な書類です。

計画書では、現状分析から始まり、市場環境の変化、競合状況、自社の強み・弱みを客観的に分析し、その上で今回の設備投資がなぜ必要なのかを論理的に説明する必要があります。

投資効果については、定量的な指標(売上高、営業利益、生産性指標など)で明確に示すことが重要です。特に、投資による売上高の増加見込み、コスト削減効果、生産能力の向上などを具体的な数値で示し、投資回収期間や ROI(投資収益率)を明確にします。

また、賃上げ計画についても詳細に記載する必要があります。補助事業終了後3年間の給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上となる計画を立てる必要があります。

採択されやすい申請書の書き方と審査の視点

採択率を高めるためには、審査の視点を理解した申請書作成が不可欠です。

審査では、計画の効果・実現可能性が定量的、定性的に評価されます。そのため、根拠のある数値計画と、その実現可能性を示す具体的な根拠の提示が重要です。

技術的な優位性や市場での差別化ポイントを明確に示し、競合他社との比較において自社の投資計画がいかに優れているかを論理的に説明することが求められます。

また、地域経済への波及効果も重要な評価ポイントです。自社の成長が地域の雇用創出や取引先企業への好影響をもたらすことを具体的に示すことで、評価の向上につながります。

申請後の手続きと補助金受給までのスケジュール

採択決定後は、交付決定通知を受けてから実際の設備投資を開始することになります。補助事業期間は交付決定日から24か月以内と設定されており、この期間内に投資を完了する必要があります。

事業実施中は、進捗報告や変更申請などの手続きが必要となる場合があります。また、設備導入後は実績報告書の提出と確定検査を受けることで、最終的な補助金額が決定されます。

補助金の支払いは、原則として事業完了後の精算払いとなるため、事業実施期間中は企業側で資金調達を行う必要があります。

中小企業成長加速化補助金を活用して設備投資を行う際の戦略案

では、中小企業成長加速化補助金を活用するときはどんな点に留意して戦略を立てるべきでしょうか。以下で解説します。

中小企業成長加速化補助金を活用して設備投資を行う際の戦略案

設備投資によるコスト削減と生産効率向上

設備投資による効果を最大化するためには、単なる設備更新ではなく、生産プロセス全体の最適化を図る戦略的なアプローチが重要です。

自動化設備の導入により、人件費の削減と作業品質の安定化を同時に実現できます。例えば、従来手作業で行っていた組立工程を自動化することで、作業時間を50%短縮し、同時に不良品率を大幅に削減することが可能です。

また、IoT技術を活用した設備稼働監視システムの導入により、予防保全の実現と設備稼働率の向上を図ることができます。これにより、突発的な設備故障による生産停止を防ぎ、計画的な保守管理によるコスト削減も実現できます。

エネルギー効率の向上も重要な要素です。省エネ設備の導入により、電力コストの削減と環境負荷の低減を同時に実現し、長期的な競争力向上につなげることができます。

新技術導入で競争力を強化する方法

新技術の導入は、競争優位性の確立において極めて重要な戦略です。

AI・機械学習技術を活用した品質管理システムの導入により、従来の目視検査では発見困難な微細な不良の検出が可能となり、製品品質の飛躍的な向上を実現できます。

また、3Dプリンティング技術の導入により、試作品の製作期間短縮と開発コストの削減を図り、新製品投入のスピードを大幅に向上させることが可能です。

クラウドコンピューティングとビッグデータ分析技術の活用により、市場動向の精密な分析と需要予測の精度向上を実現し、在庫最適化と機会損失の削減を図ることもできます。

これらの新技術導入により、従来の競合他社では実現困難な付加価値を提供し、市場における独自のポジションを確立することが可能となります。

市場シェア拡大と新規顧客獲得への道筋

設備投資による生産能力向上は、市場シェア拡大の基盤となります。

大幅な生産能力向上により、従来対応困難であった大口顧客からの受注に対応可能となり、売上規模の拡大を実現できます。また、短納期対応能力の向上により、競合他社との差別化を図り、顧客満足度の向上につなげることも可能です。

品質向上への投資により、これまでアプローチできなかった高品質要求市場への参入が可能となります。例えば、医療機器や航空宇宙分野など、極めて高い品質基準が要求される市場への展開により、高付加価値製品の販売を実現できます。

また、カスタマイズ対応能力の向上により、顧客個別のニーズに対応した製品・サービスの提供が可能となり、顧客との長期的な関係構築と継続的な受注確保を実現できます。

補助金活用後の事業成長と持続可能性

補助金を活用した設備投資の効果を持続的な成長につなげるためには、中長期的な視点での事業運営が重要です。

投資効果の継続的な測定と改善により、設備投資の効果を最大化し続けることが必要です。定期的な効果測定と課題の抽出、改善策の実施により、投資効果の持続・向上を図ります。

また、技術革新への継続的な対応により、競争優位性を維持することが重要です。市場の変化や技術の進歩に応じて、追加的な設備投資や技術導入を計画的に実施することで、長期的な競争力を確保できます。

人材育成への投資も持続的成長の重要な要素です。新しい設備や技術に対応できる人材の育成により、投資効果の最大化と技術革新への継続的な対応能力を確保することができます。

さらに、賃上げ要件の確実な実行により、優秀な人材の確保と定着を図り、企業の持続的成長の基盤を構築することが可能です。

中小企業成長加速化補助金で設備投資を行いたい方は株式会社補助金プラスへ

設備投資による事業拡大を目指す事業者様にとって、中小企業成長加速化補助金は強力な支援制度です。しかし、申請手続きは複雑で多くの時間を要するため、本来の事業運営に支障をきたす場合があります。

株式会社補助金プラスでは、経験豊富な専門家が申請業務を代行し、事業者様の負担を最小限に抑えます。事業計画書作成から必要書類の収集、採択後の報告書作成まで総合的にサポート。90%以上という高い採択実績により、事業者様の設備投資計画を確実に後押しいたします。

オンライン対応で全国対応が可能なほか、他の補助金制度のご提案も行っております。設備投資で競争力を高めたい事業者様は、ぜひ初回無料相談をご活用ください。株式会社補助金プラスが事業者様の成長戦略実現をお手伝いいたします。

まとめ

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す意欲的な中小企業にとって、事業拡大と競争力強化を実現する絶好の機会を提供します。最大5億円という大規模な支援により、従来では困難であった抜本的な設備投資が可能となり、生産性向上、新技術導入、事業再構築など、様々な成長戦略を実現できます。

成功の鍵は、単なる設備更新ではなく、明確な成長戦略に基づく戦略的な投資計画の立案と、その効果を持続的な成長につなげる経営の実行力にあります。補助金を活用した設備投資により、地域経済への貢献と企業価値の向上を同時に実現し、持続可能な成長企業への飛躍を目指しましょう。

今後も複数回の公募が予定されているため、今回の機会を逃した企業も次回以降の公募に向けた準備を進めることで、この制度を活用した成長戦略の実現が可能です。

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