中小企業成長加速化補助金は、一部の例外を除き、幅広い中小企業が対象となる補助金制度です。
この記事では、自社が補助金の対象となるか、申請できない業種や事業活動があるのかを明確に解説。さらに、業種に関わらず採択を掴むための具体的な秘訣、すなわち成長性や補助金への貢献度をアピールする事業計画の作り方から、申請から採択までの流れと注意点までを網羅的に紹介します。
ぜひ事業成長を加速させるためのヒントとして、本記事を参考にしてみてください。
中小企業成長加速化補助金とは どんな業種が対象となるのか
「中小企業成長加速化補助金」は、将来の売上高100億円を目指し、大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援することを目的とした国の重要な支援策です。多くの企業が「自分の業種は対象になるのか?」と疑問を抱くことでしょう。結論から言えば、一部の例外を除き、幅広い業種の中小企業が対象となります。
この補助金は、物価高や人手不足などの経営課題に直面する中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げし、地域にインパクトのある成長企業を創出することを重視します。特に売上高100億円に及ぶ企業は、賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きく、地域経済に与えるインパクトが大きいとされています。
補助金の目的と基本概要
中小企業成長加速化補助金の最大の目的は、日本経済を支える中小企業が将来の売上高100億円を目指して大胆な投資を行うことを後押しすることです。対象となる事業期間は交付決定日から24ヶ月以内と設定されています。
この補助金は、以下の要素を含む投資計画を持つ中小企業に対し、事業費の一部を補助することで、リスクを軽減し、積極的な経営判断を促します。
- 生産性向上:既存事業の効率化や高付加価値化を図る取り組み
- 新規事業展開:新たな市場や顧客層を開拓するための事業創出
- DX推進:デジタル技術を活用した業務改革や新サービス開発
- 海外展開:グローバル市場での競争力強化を目指す取り組み
- 事業再構築:事業ポートフォリオの見直しや業態転換による新たな成長戦略
申請は補助金申請システム「jGrants」を通じて電子的に受け付けられ、jGrantsを利用するためにはGビズIDの取得が必要です。
受け取れる金額について
中小企業成長加速化補助金の補助率は2分の1、限度額は5億円と設定されています。これは、投資規模の大きな成長企業を支援するという制度の目的を反映した金額設定となっています。
具体的な補助金額は、申請する事業計画の規模や内容、そして企業の投資計画によって決定されます。補助対象経費のうち投資額(建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合算)が1億円以上(税抜き)であることが要件となっており、これにより大規模な投資を計画している企業が対象となります。
受け取れる金額は、審査で評価された事業計画の妥当性や実現可能性、そして投資効果の高さに大きく左右されます。綿密な計画策定が、より多くの補助金を獲得するための鍵となります。
対象経費と非対象経費
中小企業成長加速化補助金では、補助対象経費として以下が認められています。
| 経費 | 内容 |
| 建物費 | 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 |
| 機械装置費 | 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費 。これらと一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費 |
| ソフトウェア費 | 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費。またこれらと一体で行う、改良・修繕に要する経費 |
| 外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
| 専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
ただし、投資額の対象となるのは建物費、機械装置費、ソフトウェア費のみで、外注費および専門家経費の合算金額は投資額未満でなければなりません。
一方で、多くの経費が補助対象外となっています。主な非対象経費としては、事務所等の家賃や光熱水費、通信費、商品券等の金券、文房具などの消耗品代、自動車等車両の購入費、税務申告のための費用、各種保険料、汎用性があり目的外使用になり得る物品の購入費などが挙げられます。
特に注意すべきは、既存の老朽化設備を入れ替えるなど生産能力等が向上しない更新投資は認められない点です。あくまで成長を目的とした新規投資が対象となります。
中小企業成長加速化補助金で対象となる中小企業の定義と具体的な要件
中小企業成長加速化補助金は、その名の通り中小企業の成長を後押しするための制度です。しかし、全ての企業が対象となるわけではありません。この章では、補助金の対象となる「中小企業」の厳密な定義と、本補助金に申請するための具体的な要件、さらには申請ができない事業活動や業種について詳しく解説します。
中小企業成長加速化補助金で対象となる中小企業の定義と具体的な要件
中小企業の定義と資本金従業員数の基準
中小企業成長加速化補助金の対象となる「中小企業」とは、中小企業等経営強化法に基づき、業種ごとに資本金の額または常時使用する従業員の数のいずれかの基準を満たす企業を指します。
製造業、建設業、運輸業、旅行業、その他の業種では、資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社または個人が対象となります。ゴム製品製造業については、常時使用する従業員の数が900人以下まで拡大されています。
卸売業では資本金1億円以下かつ従業員100人以下、サービス業では資本金5,000万円以下かつ従業員100人以下、小売業では資本金5,000万円以下かつ従業員50人以下が基準となっています。ソフトウェア業または情報処理サービス業は製造業等と同じ基準、旅館業は資本金5,000万円以下かつ従業員200人以下となっています。
なお、資本金と従業員数の両方を満たす必要はなく、どちらか一方の基準を満たせば中小企業と定義されます。
中小企業成長加速化補助金の申請要件
中小企業成長加速化補助金は、上記の「中小企業」の定義を満たすだけでなく、さらに具体的な申請要件が設けられています。
まず、売上高が10億円以上100億円未満であることが求められます。これは、一定の規模を持ちながらも更なる成長を目指す企業を対象とする制度の特徴です。
補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること、補助金の申請時までに「100億宣言」が100億宣言ポータルサイトに公表されていることも必須要件です。100億宣言とは、中小企業の経営者が売上高100億円という目標を目指し、実現に向けた取組を行うことを宣言するものです。
さらに、一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定、日本国内において補助事業を実施すること、国内金融機関に口座を有し日本円で精算を行えることなどが求められます。
申請ができない事業者はいるのか
中小企業成長加速化補助金は、原則として多くの業種の中小企業を対象としていますが、一部の事業活動や業種は対象外となります。
まず、みなし大企業に該当する企業は対象外です。これには、発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者、3分の2以上を大企業が所有している中小企業者、大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者などが含まれます。
また、親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなされ、いずれか1社の申請しか認められません。代表者が同じ法人についても同様に同一法人とみなされます。
事業内容の面では、農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、補助事業が1次産業(農業、林業、漁業)である事業は対象外とされています。
このほか、公序良俗に反する事業活動、特定の宗教活動や政治活動を主たる目的とする事業、専ら資産運用を目的とする事業なども、一般的に補助金の対象外となる可能性が高いです。
上記のような事業者に当てはまらなければ、どのような業種の中小企業でも本補助金に申請することができるでしょう。
中小企業成長加速化補助金で採択を掴む秘訣!業種に関わらず評価されるには
中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指す中小企業の大胆な投資を支援する制度です。そのため、単に申請要件を満たすだけでなく、事業計画が補助金の目指す方向性と合致し、高い成長性や社会貢献性を示すことが採択への鍵となります。
ここでは、業種を問わず、審査で評価されるための具体的な秘訣を解説します。
中小企業成長加速化補助金で採択を掴む秘訣!業種に関わらず評価されるには
補助金が求める事業計画の要件と成長性を明確にする
採択される事業計画には、「成長性」と「実現可能性」が不可欠です。特に、将来の売上高100億円に向けた中長期的なビジョンや計画を持ち、今後5年程度について明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築されていることが求められます。
具体的には、高い売上高成長率と付加価値増加率を示すとともに、それを実現できる事業戦略を提示する必要があります。企業の収益規模に応じたリスクをとった投資であることも重要で、売上高における設備投資額の比率が高い水準であることが評価されます。
市場や顧客動向などの外部環境分析、経営資源に関する内部環境分析を踏まえ、競合他社との差別化された計画となっていることも審査の重要なポイントです。本補助事業により提供される商品・サービスのユーザー、市場およびその規模が明確で、市場ニーズの検証がなされていることが求められます。
中小企業成長加速化への貢献をアピールする
この補助金は単に自社の成長だけでなく、それが日本経済全体や特定の産業、地域にどのような波及効果をもたらすかが重視されます。
地域への波及効果として、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げ計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものである必要があります。
域内仕入の拡大や地域における価値創造に資する事業であることも評価されます。サプライチェーンを通じた波及効果がある事業、ものづくりの高度化やイノベーションの創出などにより産業競争力を強化する事業、地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を牽引する事業などが該当します。
審査項目をしっかりおさえておく
補助金の採択を勝ち取るためには、審査項目を深く理解し、それらに高いレベルで応えることが不可欠です。主要な審査項目は経営力、波及効果、実現可能性の3つに分類されます。
経営力では、将来の売上高100億円に向けた中長期的なビジョンや計画、高い売上高成長率と付加価値増加率を示す事業戦略、市場分析と競合優位性の確保などが評価されます。
波及効果では、地域への賃上げ計画、域内仕入の拡大や価値創造への貢献、地域のモデル企業としての取組(パートナーシップ構築宣言、事業継続力強化計画の策定、えるぼし認定やくるみん認定の取得など)が重要視されます。
実現可能性では、計画を実施可能な経営体制、補助事業を適切に遂行できる財務状況(ローカルベンチマークによるスコアリング)、金融機関のコミットメント(確認書を発行した金融機関の担当者がプレゼンテーション審査に同席する場合の加点等)が評価されます。
2次審査の準備も行う
中小企業成長加速化補助金では、書面審査(1次審査)を通過した後に、プレゼンテーション形式の2次審査が実施されます。この2次審査は地域ブロック単位で審査会が開催され、外部有識者による計画の効果・実現可能性等について定性面も含めた審査が行われます。
プレゼンテーション資料の作成では、書面審査で提出した事業計画書の内容を、より視覚的かつ簡潔にまとめることが重要です。特に、事業の魅力、成長性、社会貢献性を短時間で効果的に伝えられるよう工夫しましょう。
審査員からは、事業計画の弱点や不明瞭な点、財務状況、リスク対策などについて鋭い質問が飛ぶことが予想されます。事前に考えられる質問をリストアップし、明確な回答を用意し、繰り返し練習しておくことが重要です。
スケジュールは早めに進める
補助金の申請プロセスは、公募から申請、審査、採択決定まで多くの時間と労力を要します。特に中小企業成長加速化補助金では、投資額1億円以上という大規模な計画が求められるため、綿密な準備が必要です。
GビズIDプライムアカウントの取得は申請に必須ですが、取得には時間がかかる場合があるため、早めの手続きが重要です。また、100億宣言の申請も併せて進める必要があります。
公募開始と同時に準備に着手し、専門家への相談や複数人でのチェック体制を整えることで、より完成度の高い申請書を作成できます。
書類の記入ミスなどは避ける
中小企業成長加速化補助金の申請において、提出書類の正確性は採択を左右する極めて重要な要素です。どんなに素晴らしい事業計画があっても、書類に不備や記入ミスがあれば、その努力が無駄になってしまう可能性があります。
記入ミスが採択に与える影響
記入ミスは単なる事務的な間違いではなく、申請の成否に直接影響を及ぼします。
不備による審査中断や不採択のリスクでは、提出された書類に記入漏れや記載要領からの逸脱、添付書類の不足などがあった場合、事務局から訂正を求められ、審査が一時的に中断することがあります。重大な不備や訂正に応じない場合は、その時点で不採択となるリスクが非常に高まります。
信頼性の低下の面では、書類に多くの記入ミスや不備が見られると、審査員は申請者の事業遂行能力や計画の正確性に対して疑問を抱くことになります。提出書類の作成すら正確に行えない企業が、補助事業を計画通りに遂行できるのかといった懸念を抱かせ、結果として評価が低くなる可能性があります。
よくある記入ミスとその対策
中小企業成長加速化補助金の申請において、多くの申請者が陥りがちな記入ミスとその対策を事前に把握しておくことで、リスクを大幅に減らすことができます。
必須項目や添付書類の漏れでは、申請書における法人番号・代表者印の押印、事業計画書における売上・利益目標の記載、直近の決算書、納税証明書、見積書などが漏れやすい項目として挙げられます。公募要領を熟読し、必要な書類をリストアップして、一つずつチェックする習慣をつけましょう。
数字や計算の誤りでは、売上・利益予測の計算ミスや対象経費の見積もりミスが発生しやすいポイントです。数字を記載する際は、電卓や表計算ソフトを複数回使用して確認し、誤りがないことを徹底的に検証してください。
事業計画書と申請書の不整合では、二つの書類間で事業内容、目標、経費の内訳などに齟齬がないよう細心の注意を払う必要があります。必ず両書類を並行して作成し、定期的に内容を照合することで、一貫性を保つようにしましょう。
提出前の最終確認ポイント
申請書類を提出する前に、最終的な確認を徹底することで、記入ミスや不備のリスクを最小限に抑えることができます。
複数人でのチェック体制では、可能であれば社内の同僚や外部の専門家に依頼し、複数人の目を通して客観的にチェックしてもらうことを強く推奨します。誤字脱字はもちろん、数字の正確性、文章の論理的なつながり、記載要領との合致など、多角的な視点から確認してもらいましょう。
チェックリストの活用では、公募要領に添付されているチェックリストを活用し、記載漏れや添付漏れがないか一つずつ確認することが効果的です。全必須項目の記入、添付書類の完備、数字の正確性、記載内容の一貫性、誤字脱字の有無、指定フォーマット遵守、押印・署名の確認、提出方法の確認などを含むチェック項目を設けましょう。
申請システムの入力内容との照合では、jGrantsに入力する情報と別途作成した事業計画書などの書類の内容が完全に一致していることを確認してください。入力が完了したら、必ずプレビュー機能などを利用して、最終的な提出内容を細部まで確認し、手元の書類との照合を徹底しましょう。
株式会社補助金プラスは中小企業成長加速化補助金にチャレンジする全業種の方を支援しています
中小企業成長加速化補助金は売上高100億円を目指す事業者様にとって大きな成長機会ですが、申請手続きの複雑さから多くの事業者様が躊躇されているのが現状です。製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業など、業種を問わず申請に必要な書類作成や事業計画策定には専門的な知識と膨大な時間が必要となります。
株式会社補助金プラスでは、業種の特性を理解した専門スタッフが事業者様一社一社に最適化されたサポートを提供します。各業界の特徴や成長戦略を踏まえた事業計画書作成から必要書類の準備、そして採択後の実績報告まで一貫して対応し、90%を超える高い採択実績を維持しています。
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まとめ
中小企業成長加速化補助金は、一部の例外を除き、幅広い業種の中小企業が対象となります。重要なのは、業種そのものよりも、補助金の目的である将来の売上高100億円を目指した大胆な投資計画を策定し、その成長性や社会貢献性を明確にアピールすることです。
審査項目を深く理解し、具体的な成長戦略を示すこと、そして丁寧な書類作成と早期の準備が採択への鍵となります。この補助金を活用し、貴社の事業成長を力強く推進してください。




