【2025.1】中小企業成長加速化補助金とは?2025年から始まる新設補助金について徹底解説
令和7年から、新しく「中小企業成長加速化補助金」が募集される予定です。
本補助金は売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業が実施する、大胆な設備投資を支援するのが目的となっています。補助上限額が5億円と高額であるため、大規模な機械設備や業務改善用の新システム導入、新しい事業用建物の建設・増築などに利用できるでしょう。
本記事では2025年から始まる新設補助金である、中小企業成長加速化補助金の概要について解説します。
中小企業成長加速化補助金とは
中小企業成長加速化補助金とは、令和6年度の補正予算案における「中小企業生産性革命推進事業」の一環として、明らかにされた事業です。主な目的は次の通りです。
- 売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の潜在的な投資を最大限引き出すための大胆な設備投資の支援
- 新事業・新分野進出、M&A等の中小企業が係る高度な課題を解決するための官民一体での支援体制の構築や海外展開支援、人材育成・人材確保への支援、これらの支援に必要な基盤整備等の実施
申請要件に「売上高100億円を目指す宣言をおこなっていること」「投資額が1億円以上であること」「そのほか賃上げ要件などの要件を満たすこと」などが設定されていることから、中小企業のなかでも将来性や資金力のある事業者がターゲットになっていると予想されます。
「売上高100億円を目指す宣言」とは、中小企業が売上高100億円を超える企業になることおよびそれに向けたビジョン・取組を自ら宣言し、2025年春頃開設予定のポータルサイト上に公表することです。
現在公表されている情報からは、同じく大規模投資の補助をおこなう「中堅・中小成長投資補助金」と同系統の補助金制度だと考えられます。
中小企業成長加速化補助金とは
中小企業成長加速化補助金の対象者
中小企業成長加速化補助金の対象者は、2024年時点ではまだ未公表です。とはいえ、これまで国が実施しているほかの補助金制度の対象者を考えると、中小企業法で定められた中小企業・小規模事業者に該当する事業者が対象になると予想されます。
一方で、本補助金の対象にならないであろう事業者は次の通りです。
- 補助事業期間のみの人員削減や増員によって本補助金の要件を満たそうとする事業者
- 補助事業の主要部分の実施を外部組織に任せている、事業計画・投資計画を経営者や従業員が主体的に考えていない事業者
- 会社法における大企業や、みなし大企業※に該当する事業者
- 暴力団との関係、公序良俗に反する事業などに該当する事業者
- 申請時に虚偽の内容を含ませる事業者
※ 大企業が半数以上の自社発行株を保有または出資している、大企業の役員・職員を兼ねているものが役員総会に半数以上存在するなど、大企業だとみなされる法人のこと
中小企業成長加速化補助金独自の要件を除けば、ほかの補助金で設定されている対象者の要件と大きく変わらないでしょう。
中小企業成長加速化補助金の補助金額や補助率
中小企業成長加速化補助金の補助金額・補助率の予定は次の通りです。
補助上限額 | 5億円 |
補助率 | 1/2 |
補助上限額が5億円(予定)であるため、IT導入補助金やものづくり補助金といった人気の補助金と比較すると、非常に高額の補助を受けられる可能性があります。
中小企業成長加速化補助金の採択率
中小企業成長加速化補助金は2024年時点でまだ募集が始まっていないため、採択率は出ていません。
しかし補助金額の上限が5億円の予定であることから、1社あたりに交付される補助金額が多い分だけ採択企業が少なくなると予想されます。
たとえば数十億円レベルの補助金交付にも対応する中堅・中小成長投資補助金の採択率は15%未満とほかの補助金と比較して低くなっています。
中堅・中小成長投資補助金の採択率
有効申請数 | 2次審査 | 採択数 | 採択率 | |
1次公募 | 736件 | 254件 | 109件 | 14.81% |
2次公募 | 605件 | 218件 | 55件 | 9.09% |
2次公募追加反映 | - | 30件 | 85件(55+30) | 14.04% |
中小企業成長加速化補助金の補助上限額は5億円と数十億はいかないものの、数百万・数千万円レベルの補助金で採択率が50%を超えるIT導入補助金・ものづくり補助金と比較すると、採択率低くなるかもしれません。申請を考えている方は、しっかり準備して申請を行いましょう。
中小企業成長加速化補助金の対象経費
中小企業成長加速化補助金の対象経費の詳細は、現時点では未公表です。一方でおおまかな対象経費としては、以下のものが公表されています。
- 建物費
- 機械装置等費
- ソフトウェア費
- 外注費
- 専門家経費
上記の経費区分は、中堅・中小成長投資補助金と同じです。そのため、対象経費の詳細も中堅・中小成長投資補助金に準じたものになると予想されます。
以下では参考として、中堅・中小成長投資補助金の対象経費を紹介します。
建物費 | もっぱら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫そのほか成長投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建築、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 |
機械装置等費 | もっぱら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費上記と一体でおこなう改良、修繕、据付、運搬に要する経費 |
ソフトウェア費 | もっぱら補助事業のために使用される専用ソフトウェア |
外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
中小企業成長加速化補助金はいつから募集スタートする?
中小企業成長加速化補助金は、2025年3月に第1回公募要領公開が予定されています。
申請受付が2025年5月、公募締切が2025年6月、交付候補者決定が2025年8月頃の予定です。公募から補助金支払い、各種報告の流れは、ほかの補助金とほぼ同じです。
補助事業実施期間は、交付決定日から24か月となっています。
中小企業成長加速化補助金はどんな事業に活用できる?
中小企業成長加速化補助金の活用イメージとしては、以下のものが挙げられています。
- 工場、物流拠点などの新設・増築
- イノベーション創出に向けた設備の導入
- 自動化による革新的な生産性向上
「小~中規模程度の設備を入れ替える」「パソコンを数台導入する」といった規模感ではなく、事業を抜本的に変化させる大規模な投資への活用が対象になる可能性が高いです。「売上高100億円を目指す」という目的通り、従来の売上高から大きく伸ばせる投資について活用を検討してみてください。
中小企業成長加速化補助金に採択されるために気をつけたいこと
総務省統計局・独立行政法人統計センターの「令和5年中小企業実態基本調査」によると、中小企業1企業あたりの売上高は前年比15.9%増で2.1億円です。本補助金の目的である「売上高100億円を目指す意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的な成長実現」と合わせて考えると、大規模投資や数十億レベルの成長などが視野に入った大々的な事業が採択されるのではと予測されます。
本補助金と性質が近いと予想される中堅・中小成長投資補助金においても、全体の平均よりも投資予定額や目標賃上げ率が高い事業が採択されていました。投資額が大きいほど高性能な設備や大胆なプロセス変更ができるため、魅力的な補助事業としてプレゼンしやすいからだと考えられます。
そのため中小企業成長加速化補助金においても、補助上限額である5億円をふんだんに活用した大胆な投資計画を策定するのがよいでしょう。
以下では、中小企業成長加速化補助金に採択されるために気をつけたいことについてまとめました。
参考:政府統計の総合窓口「令和5年中小企業実態基本調査」
中小企業成長加速化補助金に採択されるために気をつけたいこと
書類不備のない申請を行う
補助金の申請においては、原則として書類の不備があると申請を受け付けてもらえない場合があります。少し書類不備があっただけで不採択になる可能性もあるのです。
中小企業成長加速化補助金の申請においても、事前に公募要領や投資計画書・事業計画書の書式、必要書類の種類などをしっかり確認し、書類不備のない申請をおこないましょう。
早めに申請準備をする
補助金の採択を受けるためのコツとして、早めに申請準備に取り掛かることが挙げられます。早めから申請準備を進めるメリットは次の通りです。
- 投資計画・事業計画のアイディア出しやブラッシュアップに費やせる時間が多くなる
- 必要書類の作成・見直しに時間をかけられる
- 補助事業に必要な経費に関する業者の選定や金融機関のやり取りの時間を作れる
- 申請締切日直前の準備だと焦りから書類不備が発生したり計画内容が甘くなったりするリスクがある
中小企業成長加速化補助金は第1回公募予定が出ているため、申請を検討している事業者様も早めに準備を始めておくのがよいでしょう。
実現可能な事業を考える
補助金の採択を受けるには、補助事業の実現可能性の有無も重要です。いくら高い効果が見込まれる補助事業の計画であっても、実現に必要な資金・人材・技術が足りないと判断されれば、計画は不採択になるでしょう。
たとえば中堅・中小成長投資補助金においても、実現可能性は以下のように審査項目に入っています。
⑤ 実現可能性 (ア) 本事業の目的に沿った事業実施のための体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか(ローカルベンチマークの総合得点)。 (イ) 本事業の実施に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。また、金融機関から計画の妥当性の確認を受けているか。<「金融機関による確認書」の提出・確認書を発行した金融機関の担当者等がプレゼンテーション審査に同席した場合に加点措置> (ウ) 補助事業によって提供される製品・サービスのユーザー、マーケット及びその規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。 (エ) 早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか(総投資額に占める令和6年度内の投資額の割合が高い水準であるか。)。 |
引用:中堅・中小成長投資補助金「公募要領」
また、仮に実現可能性が低い計画で採択されたとしても、その補助事業を遂行できる力がないなら結局は補助金の交付を受けられません。策定する計画が実現可能か否かは、しっかりと確認しておきましょう。
明確でわかりやすい事業計画書を作成する
投資計画書や事業計画書の書式は、綿密には決まっていないケースが多いです。中小企業成長加速化補助金においても、参照書式はあれども、必要項目さえ揃っていれば申請要件を満たせる可能性が高いです。
ただし、採択を受けるには「明確でわかりやすい事業計画書の作成」が求められます。抽象的でダラダラと長い文章だと内容が伝わらず、担当者からの評価を得るのが難しくなるでしょう。
事業計画書を作成する際のコツは次の通りです。
- 平易な表現で丁寧に書く
- 伝えたい部分や要点を押さえておき不必要なことは書かない
- 箇条書きや表などで情報をまとめる
- 具体的な数値や分析結果を記載する
- イラストやグラフ、写真なども入れて視覚的にも理解しやすくする
- 商工会議所・商工会・補助金コンサルティング会社などの専門家からのアドバイスを受ける
株式会社補助金プラスでは中小企業成長加速化補助金の申請支援が可能です
「中小企業成長加速化補助金に興味があるけど、情報が少なすぎて準備が難しい」とお悩みの事業者様は、補助金の申請サポートのエキスパートである弊社「株式会社補助金プラス」へご相談ください。
補助金プラスは、ものづくり補助金および事業再構築補助金の採択率90%の実績を誇る補助金コンサルティング会社です。これまでさまざまな補助金申請を支援してきた実績から、新設制度である中小企業成長加速化補助金の採択を受けるためのポイントを的確に予想し、事業計画書作成のアドバイスを実施できます。
また補助金に申請するか決まっていない事業者様でも、申請の可否や採択可能性を含めた総合的なコンサルティングに対応できます。
初回相談は無料です。オンライン対応もできますので、地方の事業者様でも徹底的にサポートできます。ぜひ気軽にご相談ください。
まとめ
中小企業成長加速化補助金とは、2025年3月に公募要領公開、受付開始が2025年5月頃からを予定している新設の補助金制度です。補助上限額は5億円と補助金のなかでも高額であり、「売上100億円以上を目指す成長志向型の中小企業」が対象となっています。
補助金額が大きい分だけ採択難易度が高いと予想されますが、補助金交付を受けられれば大胆な設備投資やプロセス改善が可能となり、自社事業の大きな成長を見込めるでしょう。