「中小企業成長加速化補助金」は、レストラン事業の成長を強力に後押しする可能性がある補助金です。
本記事では、レストラン経営者が知るべき補助金の目的、金額、基本要件、対象経費といった基礎知識から、設備投資やデジタル化による生産性向上、新規顧客獲得といった活用メリットを解説。さらに、採択率を高めるための具体的な申請ポイントや注意点まで網羅的にご紹介します。
この補助金を活用し、あなたのレストラン事業を次のステージへと躍進させましょう。
中小企業成長加速化補助金とは?レストラン経営者が知るべき基本
「中小企業成長加速化補助金」は、日本経済の好循環を全国に行き渡らせるため、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げするとともに、地域にインパクトのある成長企業を創出することを目的とした国の支援策です。特に将来の売上高100億円を目指して、大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援することを目的としています。
中小企業成長加速化補助金とは?レストラン経営者が知るべき基本
補助金の目的と概要
この補助金は、売上高が100億円に及ぶ企業が一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいなど、地域経済に与えるインパクトも大きいという観点から設計されています。多くの中小企業が直面している物価高や人手不足などの経営課題を解決し、将来の「売上高100億円」という目標を目指す企業を支援します。
本補助金で受け取れる金額
中小企業成長加速化補助金の補助率は2分の1、限度額は5億円となっています。つまり、補助対象経費の50%が補助され、最大5億円まで受け取ることが可能です。
ただし、補助対象経費のうち投資額(建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合算金額)が1億円以上(税抜き)であることが要件となっており、これは相当大規模な投資を想定した補助金であることが分かります。
補助金は後払い(精算払い)となるため、事業者はまず自己資金で経費を支払い、事業完了後に実績報告を行うことで補助金が交付されます。
本補助金の基本要件
中小企業成長加速化補助金を申請するための主要な要件は以下の通りです。
・事業規模要件:売上高が10億円以上100億円未満であることが求められます。これは、既に一定規模に達している企業が更なる飛躍を目指すための補助金であることを示しています。
・投資規模要件:補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であることが必要です。投資額とは建物費、機械装置費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額を指し、外注費や専門家経費は含みません。
・100億宣言の実施:補助金の公募の申請時までに補助事業者の100億宣言が100億宣言ポータルサイトに公表されていることが必要です。第1次公募においては、補助金の公募の申請と併せて100億宣言の申請を行うことが求められます。
・賃上げ要件:一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定することが必要です。賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間となります。
・中小企業の定義に合致すること:各業種の資本金または従業員数の基準を満たす必要があります。レストラン事業の場合、サービス業として資本金5,000万円以下または常時使用する従業員の数が100人以下であることが求められます。
本補助金の対象経費
中小企業成長加速化補助金で対象となる経費は以下のとおりです。
| 経費 | 内容 |
| 建物費 | 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 |
| 機械装置費 | 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費 。これらと一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費 |
| ソフトウェア費 | 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費。またこれらと一体で行う、改良・修繕に要する経費 |
| 外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
| 専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
これらの経費は事業計画の遂行に直接的に必要と認められるものでなければなりません。
一方で、対象とならない経費は非常に多岐にわたります。
補助事業期間中の販売を目的とした製品・商品等の生産に係る諸経費、再生エネルギーの売電を行うための発電設備、事務所等にかかる家賃・光熱水費、通信費、消耗品代、飲食費、自動車等車両の購入費、各種保険料、借入金の支払利息、汎用性があり目的外使用になり得るものの購入費(事務用パソコン・プリンタ・タブレット端末・スマートフォンなど)、事業にかかる自社の人件費などは全て対象外なので注意しましょう。
レストラン経営者も中小企業成長加速化補助金の要件を満たせば申請可能
上記で紹介した中小企業成長加速化補助金ですが、レストラン事業をしている方も申請要件を満たせば申請可能です。以下で説明します。
レストラン経営者も中小企業成長加速化補助金の要件を満たせば申請可能
「中小企業」の定義とレストラン事業者の該当性
レストラン事業は一般的にサービス業に分類されるため、資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社、または常時使用する従業員の数が100人以下の会社または個人であれば中小企業の定義を満たします。
ただし、この補助金では単に中小企業であるだけでなく、売上高が10億円以上100億円未満であることが求められるため、相当規模の大きなレストラン事業者でなければ対象になりません。個人経営の小規模レストランや一般的な中小規模のレストランチェーンでは、売上高要件を満たすことが困難と考えられます。
レストラン事業者が満たすべきその他の共通要件
要件は先述したとおりですが、以下の要件を必ず満たすようにしましょう。さらに、対象企業や中小企業や個人事業主に限られており、大企業は申請できません。
・売上高要件:売上高が10億円以上100億円未満であることが必須です。
・投資規模要件:補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であることが必要です。これは相当大規模な設備投資や店舗展開を計画している事業者のみが対象となることを意味します。
・100億宣言:将来の売上高100億円を目指すことを宣言し、100億宣言ポータルサイトに登録することが求められます。
・賃上げ要件:補助事業終了後3年間の賃上げ計画を策定し、実行することが必要です。
・その他の基本要件:日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有していること、収益事業を行っていること、国内金融機関に口座を有していることなどの要件も満たす必要があります。
レストラン経営者が中小企業成長加速化補助金を活用するメリット
以下では、中小企業成長加速化補助金を活用するメリットを確認しましょう。
レストラン経営者が中小企業成長加速化補助金を活用するメリット
大規模な設備投資による競争力強化
この補助金は1億円以上の大規模投資を前提としているため、レストラン事業において画期的な設備投資が可能となります。例えば、大型セントラルキッチンの建設、最新の自動化調理システムの導入、大規模な店舗展開のための設備投資などが考えられます。これにより、生産性の飛躍的な向上と競争力の大幅な強化を実現できます。
事業規模拡大による市場での地位確立
売上高100億円を目指すという明確な目標設定により、事業規模の大幅な拡大が可能となります。複数店舗の同時展開、新業態の開発、地域を越えた全国展開など、従来では資金面で困難だった大胆な事業展開が実現できます。
地域経済への波及効果創出
大規模な投資により、雇用創出、地域サプライヤーとの連携強化、地域ブランドの確立など、地域経済に大きな波及効果をもたらすことができます。これにより、地域のリーディングカンパニーとしての地位を確立できます。
レストランが中小企業成長加速化補助金を活用する際の注意点
レストラン事業者が中小企業成長加速化補助金を活用する際、どんなことに留意すべきでしょうか。確認しましょう。
レストランが中小企業成長加速化補助金を活用する際の注意点
補助対象外経費が多い点
この補助金では、補助対象外経費が非常に詳細に規定されており、多くの経費が対象外となります。
特に、汎用性の高い機器(事務用パソコン、プリンタ、タブレット端末、スマートフォンなど)、人件費、運営費用(家賃、光熱水費、通信費など)、消耗品、自動車等車両の購入費などは一切対象外となります。レストラン事業において通常必要となる多くの経費が対象外であることを十分に理解しておく必要があります。
書面審査とプレゼンテーション審査の両方がある点
この補助金では、まず形式要件の確認と定量面の書面審査が行われ、その後に外部有識者による定性面も含めたプレゼンテーション審査が地域ブロック単位で実施されます。事業計画書の作成だけでなく、審査員に対して事業の将来性と実現可能性を効果的にプレゼンテーションする能力も重要となります。
非常に高いハードルと競争の激化
投資額1億円以上、売上高10億円以上100億円未満という要件により、対象となる事業者は限定的ですが、その分競争も激しくなることが予想されます。
また、将来の売上高100億円を目指すという高い目標設定に対して、説得力のある事業計画と戦略が求められます。
補助金は後払いになるので資金調達が重要な点
補助対象経費の50%、最大5億円の補助金は事業完了後の後払いとなります。1億円以上の大規模投資を自己資金や金融機関からの借入で先行して実施し、補助金入金まで数か月から半年以上の期間を乗り切る必要があります。十分な資金力と金融機関との連携が不可欠です。
採択率を高める!中小企業成長加速化補助金にレストランが申請するポイント
以下では、中小企業成長加速化補助金に採択されるためにレストランが気をつけるべきことを説明します。
採択率を高める!中小企業成長加速化補助金にレストランが申請するポイント
売上高100億円への具体的なビジョンとシナリオを示す
将来の売上高100億円に向けた中長期的なビジョンと計画を明確に示す必要があります。補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築され、その中で当該補助事業が効果的に組み込まれていることを示すことが重要です。高い売上高成長率と付加価値増加率を示すとともに、それを実現できる具体的な戦略を提示する必要があります。
市場分析と競合優位性の明確化を図る
提供される商品・サービスのユーザー、市場及びその規模を明確にし、市場ニーズの有無の検証を行う必要があります。先行投資の取組、事業化可能性調査、テストマーケティングなどの実績があると効果的です。また、競合他社の製品・サービスを分析した上で、自社の優位性や特性が確保できる差別化された計画を示すことが重要です。
地域への波及効果と賃上げ計画を立てる
投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものとなっていることが求められます。また、域内仕入の拡大や地域における価値創造、サプライチェーンを通じた波及効果がある事業であることを示す必要があります。
確実な実行体制と財務基盤を考える
計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれることを示す必要があります。また、補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されていることが重要で、金融機関のコミットメントが得られていることも評価されます。
jGrantsでの電子申請の準備は早めに行う
本事業の申請は補助金申請システム「jGrants」のみで受け付けられます。申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要であり、電子的な申請手続きに慣れていない場合は事前に十分な準備が必要です。
株式会社補助金プラスは中小企業成長加速化補助金を活用したいレストラン行の方を支援します
レストラン業では料理の提供やサービス向上に集中したいところですが、中小企業成長加速化補助金の申請は複雑な手続きが多く、貴重な営業時間を申請業務に費やすことになりがちです。このような状況では、本来の接客や経営改善に支障をきたす可能性があります。
株式会社補助金プラスなら、レストラン業の事業者様が抱えるこうした課題を解決できます。補助金申請の専門家が事業計画書の作成から書類整備まで全面的にサポートし、事業者様は店舗運営に専念できます。これまで蓄積した豊富な経験により90%以上の採択率を実現しており、採択後の実績報告もオプションで対応可能です。
レストラン業に適した設備投資や人材育成関連の補助金についても幅広くご提案し、事業拡大に向けた総合的な支援を行います。オンラインで全国対応しており、初回無料相談を実施中です。レストラン業で成長を目指す事業者様は、株式会社補助金プラスまでお問い合わせください。
6. まとめ
中小企業成長加速化補助金は、売上高10億円以上100億円未満の比較的大規模なレストラン事業者が、1億円以上の大規模投資を行い、将来の売上高100億円を目指す際の強力な支援ツールとなり得ます。しかし、この補助金は一般的な中小レストラン事業者向けではなく、既に相当な規模を持つ企業が更なる飛躍を目指すための制度であることを理解する必要があります。
申請には高度な事業計画策定能力、プレゼンテーション能力、そして大規模投資を先行実施できる資金力が必要となります。要件を満たす事業者にとっては、事業を大きく飛躍させる絶好の機会となるでしょう。ただし、補助対象外経費の多さや後払いの仕組みなど、注意すべき点も多く、十分な準備と検討が不可欠です。




