【2025.9】中小企業成長加速化補助金の流れを完全解説！申請から受給までの全ステップ

中小企業成長加速化補助金の申請を検討しているものの、複雑な手続きの流れに不安を感じていませんか？

本記事では、補助金の概要からGビズID取得、申請書類作成、電子申請、審査、交付決定、事業実施、実績報告、そして受給後の義務まで、全プロセスを徹底解説します。

この記事を読めば、あなたが補助金獲得に向けて今何をすべきか、具体的な行動計画が明確になり、スムーズな申請と受給を実現できるでしょう。

中小企業成長加速化補助金とは？流れの前に概要を理解しよう

「中小企業成長加速化補助金」は、将来の売上高100億円を目指して大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援するために創設された補助金です。複雑な申請プロセスを理解する前に、まずはこの補助金がどのような目的を持ち、どのような事業者を対象とし、どのような費用が補助対象となるのか、その全体像を把握することが重要です。

本章では、中小企業成長加速化補助金の基本的な枠組みを分かりやすく解説し、その活用が企業にもたらす具体的なメリットについても深掘りしていきます。

補助金の目的と対象事業者

中小企業成長加速化補助金は、多くの中小企業が直面する物価高や人手不足などの経営課題を解決し、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げするとともに、地域にインパクトのある成長企業を創出することを目的としています。

特に売上高が100億円に及ぶ企業は、一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいなど、地域経済に与えるインパクトも大きいことから、将来の売上高100億円を目指して、大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援することを目的とします。

この補助金の対象となる事業者は、以下の要件のいずれも満たす中小企業者で、事業終了後の建物・設備等の管理・運営等に責任を持って実施することができる中小企業者となります。

補助事業の要件

以下の要件を全て満たす事業者が対象者です。

1. 補助対象経費のうち投資額が１億円以上（税抜き）であること
   • 投資額とは建物費、機械装置費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額であり、外注費、専門家経費は含みません
   • 外注費および専門家経費の補助対象経費の合算金額は、投資額未満でなければなりません
2. 補助金の公募の申請時までに補助事業者の100億宣言が100億宣言ポータルサイトに公表されていること
   • １次公募においては、補助金の公募の申請と併せて100億宣言の申請を行うこと
3. 一定の賃上げ要件を満たす今後５年程度の事業計画を策定すること
   • 賃上げ実施期間は補助事業終了後３年間
4. 日本国内において補助事業を実施すること

補助対象経費と補助率、補助上限金額

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費は以下の通りです。

補助対象経費：

経費	内容
建物費	専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費
機械装置費	専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具（測定工具・検査工具等）の購入、製作、借用に要する経費 。これらと一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
ソフトウェア費	専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費。またこれらと一体で行う、改良・修繕に要する経費
外注費	補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注（請負・委託）する場合の経費
専門家経費	本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費

補助率： 1/2
補助限度額： 5億円

補助事業期間： 交付決定日から24か月以内

※採択決定日から2か月以内に交付申請をお願いします。特段の事情により間に合わない可能性がある場合には、あらかじめ事務局にご相談ください。

中小企業成長加速化補助金を活用するメリット

中小企業成長加速化補助金を活用することには、単なる資金調達以上の多岐にわたるメリットがあります。これらのメリットを理解することで、補助金申請のモチベーション向上や、事業計画策定の際の戦略立案に役立てることができます。

• 資金調達の負担軽減： 投資にかかる費用の一部が補助されるため、自己資金や金融機関からの借入負担を大幅に軽減できます。これにより、より大胆な投資や、これまで躊躇していた事業展開が可能になります。
• 将来の売上高100億円への成長加速： 大胆な投資を通じて、企業の成長を加速させ、将来の売上高100億円という目標達成に向けた基盤を構築できます。
• 経営計画の明確化： 補助金申請には綿密な事業計画書の作成が求められます。このプロセスを通じて、自社の現状分析、将来の展望、具体的な戦略、財務計画などを深く検討することになり、経営計画の精度が向上します。
• 信用力の向上： 国の補助金に採択されることは、事業計画の妥当性や将来性が公的に認められた証となり、金融機関や取引先からの信用力向上にも繋がります。
• 従業員のモチベーション向上： 賃上げ要件を満たすことで、従業員の処遇改善を実現でき、従業員のモチベーション向上、定着率向上、ひいては企業の生産性向上に貢献します。
• 地域への波及効果： 地域経済に与えるインパクトが大きい企業として、地域の成長を力強く牽引する役割を果たすことができます。

これらのメリットを最大限に享受するためには、補助金の目的と自社の事業計画をしっかりと合致させ、戦略的に活用することが成功の鍵となります。

中小企業成長加速化補助金の申請までの流れ

中小企業成長加速化補助金の採択を勝ち取るためには、申請までの準備と手続きを滞りなく進めることが極めて重要です。ここでは、申請に必要なGビズIDの取得から、公募要領の理解、申請書類の作成、そしてjGrantsを通じた電子申請までの具体的な流れを詳細に解説します。

①GビズIDを取得する

中小企業成長加速化補助金をはじめ、国の多くの補助金・助成金の電子申請には、「GビズID」の取得が必須となります。特に、法人として申請する場合は「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要不可欠です。GビズIDは、インターネット上で行政手続きを行うための共通認証システムであり、これがないと電子申請のシステムにログインすることすらできません。

GビズIDの取得には、申請書作成から印鑑証明書の準備、郵送、そして審査期間を含め、数週間程度の時間が必要となる場合があります。公募開始を待ってから取得手続きを始めると、申請期間に間に合わなくなるリスクがあるため、補助金の申請を検討し始めたら、できるだけ早期に取得に取り掛かることを強くお勧めします。

GビズIDプライムの取得は、補助金申請の第一歩であり、最も時間を要する可能性のある工程の一つです。余裕を持ったスケジュールで確実に取得しましょう。

②公募要領をしっかり読み込む

GビズIDの取得と並行して、またはそれ以上に重要なのが、中小企業成長加速化補助金の「公募要領」を徹底的に読み込むことです。公募要領は、補助金の目的、対象事業者、対象経費、補助率、補助上限額、申請期間、審査基準、採択後の手続きなど、補助金に関するすべての情報が網羅された唯一の公式資料です。

公募要領には、補助事業の目的と合致しているか、どのような事業計画が評価されるのか、どのような経費が対象となるのか、さらには加点項目や減点項目まで詳細に記載されています。これを理解せずに申請書を作成すると、要件を満たさず不採択となるか、適切な補助金額を得られない可能性が高まります。

特に注目すべきポイントは以下の通りです。

• 補助金の目的と趣旨： 補助金は「将来の売上高100億円を目指して、大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援すること」を目的とし、自身の事業計画がその目的に合致しているかを確認します。
• 対象事業者・要件： 自社が補助金の対象となる中小企業者か、また満たすべき要件（補助対象経費のうち投資額が1億円以上、100億宣言の実施、賃上げ要件など）を確認します。
• 補助対象経費： 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費が対象となり、対象外となる経費を把握し、申請する事業計画に含める投資内容を検討します。
• 補助率・補助上限額： 補助率は1/2、限度額は5億円となっており、自己資金とのバランスを考慮した投資計画を立てます。
• 補助事業期間： 交付決定日から24か月以内となっており、スケジュールを考慮した計画を立案します。
• 審査項目・加点項目： 経営力、波及効果、実現可能性の3つの項目で評価され、金融機関の確認書提出などの加点条件を把握し、事業計画書に反映させます。

公募要領を読み込む際には、不明な点があれば、必ず事務局の問い合わせ窓口に確認しましょう。自己判断で解釈を誤ると、後々のトラブルや不採択の原因となりかねません。公募要領の理解こそが、採択への最も確実な道筋となります。

③申請書類を作成する

公募要領を十分に理解したら、いよいよ申請書類の作成に着手します。中小企業成長加速化補助金の申請書類は多岐にわたりますが、特に重要なのが「投資計画書（様式1）」です。この書類は、自社の事業内容、成長戦略、投資計画、そして補助金活用による具体的な効果を審査員に伝えるための最も重要なツールとなります。

事業計画書の作成

投資計画書は、自社の現状分析から始まり、補助金を活用してどのような事業を展開し、どのように成長を実現していくかを具体的に記述するものです。以下の要素を盛り込み、論理的かつ説得力のある内容を目指しましょう。

• 現状と課題： 自社の強み・弱み、市場環境、競合状況などを分析し、現在の課題を明確にします。
• 補助事業の目的と内容： 補助金を使って何を実現したいのか、そのためにどのような具体的な事業活動を行うのかを詳細に記述します。補助金の目的との整合性を強く意識しましょう。
• 市場分析と成長性： ターゲット市場の規模、成長性、自社のポジショニングなどを分析し、補助事業が市場で成功する見込みを説明します。
• 事業実施体制： 補助事業を推進するための組織体制、担当者のスキル、外部連携などを具体的に示します。
• 資金計画： 補助事業に必要な総費用、補助金申請額、自己資金の内訳などを明確にします。
• 事業の効果： 補助事業によって得られる具体的な効果（売上向上、利益改善、雇用創出、生産性向上など）を数値目標を交えて示します。特に賃上げ目標は重要な要素となります。
• 事業化・継続性： 補助事業終了後も、どのように事業を継続・発展させていくのか、持続可能性について説明します。

投資計画書は、単なるアイデアの羅列ではなく、根拠に基づいた具体的な数値目標と、それを達成するための明確な戦略を示すことが求められます。審査員が「この事業は成功する」と確信できるような内容に仕上げましょう。

投資計画書の作成

投資計画書別紙は、補助金を活用して具体的にどのような設備やシステムに投資するのか、その詳細を数値で示すExcelファイルです。投資計画書で述べた成長戦略を実現するための具体的な「モノ」や「サービス」への投資内容を明確にします。

• 投資対象： 導入する設備、システム、ソフトウェア、建物などを具体的に特定します。
• 投資額： 各投資対象にかかる費用を見積もり、合計額を算出します。見積書やカタログなどの根拠資料を添付することが求められます。
• 投資の必要性： なぜその投資が必要なのか、それが事業計画のどの部分に貢献するのかを説明します。投資が事業の成長加速にどのように繋がるのかを具体的に示しましょう。
• 投資効果： 投資によって得られる具体的な効果（生産性向上、コスト削減、品質向上、新サービス開発など）を説明します。

その他の必要書類

投資計画書、投資計画書別紙以外にも、以下のような書類の提出が求められます。

• ローカルベンチマーク（様式3）： 財務分析を行うためのExcelファイルで、審査における実現可能性の評価に使用されます。
• 決算書等（3期分）： 直近3期分の決算書（貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費の明細、製造原価明細書など）。
• 金融機関による確認書（様式4）： 金融機関から投資計画書の確認を受けた場合に提出し、加点要素となります。
• リース関連書類： リース会社との共同申請の場合に必要となる書類（様式5、6）。

これらの書類は、公募要領に記載された指示に従い、正確かつ漏れなく準備することが求められます。不備があると審査の対象外となる可能性もあるため、チェックリストを作成し、提出前に何度も確認しましょう。う。

④jGrantsから電子申請を行う

すべての申請書類が整ったら、いよいよ国の補助金申請システム「jGrants（Jグランツ）」を通じて電子申請を行います。

jGrantsは、GビズIDでログインすることで利用できるオンラインシステムです。申請期間内に、以下の手順で申請を進めます。

1. GビズIDでログイン： 取得済みのGビズIDプライムアカウントでjGrantsにログインします。
2. 申請情報の入力： jGrantsの指示に従い、事業者情報、補助事業の概要、申請金額などの必要事項を画面上で入力します。入力項目は多岐にわたるため、事前に準備した情報に基づいて正確に入力しましょう。
3. 申請書類のアップロード： 作成した投資計画書、投資計画書別紙、ローカルベンチマーク、決算書などの添付書類を、指定されたファイル形式（PDFやExcel）でjGrants上にアップロードします。ファイルサイズは16MBを超えないよう注意し、ファイル名は指定された形式に従ってください。
4. 入力内容の確認： すべての入力とアップロードが完了したら、最終確認を行います。誤字脱字、入力漏れ、添付書類の不備がないか、特に申請金額や事業期間など、重要な項目は入念にチェックしましょう。
5. 申請完了： 最終確認後、「申請」ボタンをクリックして申請を完了させます。申請完了後には、通常、受付番号や申請完了メールが発行されますので、必ず確認し、保管しておきましょう。

jGrantsでの電子申請は、締め切り間際になるとシステムが混み合い、アクセスしにくくなることがあります。また、予期せぬエラーが発生する可能性も考慮し、締め切り日の数日前には申請を完了させることを強くお勧めします。万が一、システムトラブルなどで申請ができない事態に備え、余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。

申請完了後も、今後の審査状況や事務局からの連絡に備え、定期的にjGrantsを確認する習慣をつけましょう。

注意事項

• 提出書類に不備がある場合、審査対象とならないことがありますので十分ご注意ください。
• 2次審査では、地域ブロック単位で開催されるプレゼンテーション審査があり、経営者自身の出席・説明が必須です。
• 採択後は、交付決定日から24か月以内での事業完了と、その後5事業年度分の事業化・賃上げ状況等の報告が必要になります。

中小企業成長加速化補助金の申請後〜採択までの流れ

中小企業成長加速化補助金の申請書類をjGrantsを通じて電子申請した後、いよいよ審査が開始されます。申請から採択までの期間は、公募回や申請件数によって変動しますが、一般的には数ヶ月を要することが多いです。この期間にどのような審査が行われ、どのように結果が通知されるのかを理解しておくことは、事業者にとって非常に重要です。

①1次審査に合格したら2次審査を受ける

申請された投資計画書は、まず補助金事務局によって厳正な審査にかけられます。この審査は、大きく分けて「1次審査（書面審査）」と「2次審査（プレゼンテーション審査）」の2段階で行われます。

1次審査（書面審査）

事務局が、提出された申請書類に基づき、形式要件（中小企業確認等）の適格性の確認及び計画の効果・実現可能性等について定量面の書面審査を行います。提出された申請書類一式、特に投資計画書の内容が審査の主要な対象となります。ここでは、以下の点が重点的に評価されます。

① 経営力

• 将来の売上高100億円（あるいは更なる成長）に向けた中長期的なビジョンや計画を有しているか
• 補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築されているか
• 高い売上高成長率と付加価値増加率が示されているか
• 市場や顧客動向を始めとした外部環境、内部環境を分析した上で事業戦略が構築されているか
• 適切な成果目標等が示され、その達成に向けて効率的に管理する体制が構築されているか

② 波及効果

• 投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものとなっているか
• 域内仕入の拡大や地域における価値創造などに資する事業であるか
• 下請取引先等に対する適切な取引姿勢（パートナーシップ構築宣言の実施等）、BCP策定、女性活躍促進など、地域のモデル企業としての取組を進めているか

③ 実現可能性

• 計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか
• 補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか（ローカルベンチマークによるスコアリング）
• 金融機関のコミットメントが得られているか

なお、提出書類に不備（必要書類の欠落や記入漏れ等）があった場合は、その内容に関わらず、審査の対象となりませんので十分ご注意ください。

書面審査を通過した事業者には、事務局から2次審査の案内が届きます。

2次審査（プレゼンテーション審査・面談）

1次審査を通過した申請について、地域ブロック単位で審査会を設置し、外部有識者（利害関係者を除く）による計画の効果・実現可能性等について定性面も含めたプレゼンテーション審査を行います。

重要なポイント

• 経営者自身によるプレゼンテーション及び外部有識者との質疑応答が行われます
• 経営者の出席・説明が必須です。経営者の出席・説明がなされない場合、審査上不利になる可能性があります
• 本事業で経営者は「代表取締役社長・会長等の代表権を有している方」とします
• 経営者以外の役員や事業責任者が同席し補足説明することも可能ですが、経営者の参加が前提です
• 日本語でプレゼンテーション、質疑応答を実施していただきます
• 主たる申請者、共同申請者以外（外部コンサルティング会社等）のプレゼンテーション審査への同席は認められません
• ただし「金融機関による確認書」を提出した申請者については、当該金融機関の担当者等の同席が可能で、加点対象となります

審査では、提出された申請資料を用いて、事業内容の詳細、市場分析、競合優位性、具体的な実施体制、財務計画、そして補助事業によって得られる成果などについて説明を求められます。プレゼンテーション後には、審査員からの質疑応答が実施されます。ここでは、事業計画の深掘りや、想定されるリスクとその対応策、補助金活用の妥当性などについて、鋭い質問が投げかけられることがあります。質問に対しては、論理的かつ具体的に、そして誠実に回答することが求められます。

プレゼンテーション審査の対策としては、投資計画書の内容を深く理解し、想定される質問に対する回答を事前に準備しておくことが不可欠です。また、限られた時間内で事業の魅力を最大限に伝えるための資料作成や、話し方の練習も重要になります。

②採択されているのを確認する

全ての審査が終了すると、補助金事務局から採択結果が発表されます。この結果発表は、申請者にとって最も緊張する瞬間の一つでしょう。

採択結果の確認方法

採択結果は、通常、補助金事務局の公式サイトやjGrantsのマイページを通じて発表されます。発表日時は事前に公募要領や事務局からの通知で案内されることが多いため、見落とさないように注意が必要です。

発表形式としては、採択された事業者の法人番号、採択者名（共同申請者を含む）、本社所在地、事業実施場所、事業名、金融機関名（「金融機関による確認書」を提出した場合のみ）が一覧でPDFファイルとして公開されることが一般的です。申請時には、自身の申請番号や法人名を正確に把握しておき、発表時に迅速に確認できるように準備しておきましょう。また、jGrantsのマイページにログインすることで、個別の採択・不採択通知を確認できる場合もあります。

採択された場合は、次のステップである交付申請に向けて速やかに準備を進める必要があります。採択決定日から2か月以内に交付申請を行う必要があり、特段の事情により間に合わない可能性がある場合には、あらかじめ事務局に相談することが重要です。採択はあくまで補助金交付の「内定」であり、実際に補助金を受給するためには、交付申請や事業実施、実績報告といった一連の手続きを適切に進める必要があります。

不採択だった場合の対応

残念ながら不採択となってしまった場合でも、落胆するだけでなく、次の機会に向けて前向きに検討することが大切です。審査結果の詳細な内容（順位、点数等）については事務局から回答されませんが、今回の経験を次の申請に活かすことができます。

例えば、事業計画を見直し、より説得力のある内容に改善したり、他の補助金や助成金の情報を収集し、自社の事業内容に合ったものに再挑戦したりすることも可能です。また、専門家のアドバイスを求めることで、事業計画の弱点を客観的に把握し、強化することも有効な手段となります。

中小企業成長加速化補助金の採択後〜受給までの流れ

中小企業成長加速化補助金は、採択されたからといってすぐに補助金が振り込まれるわけではありません。採択後も、補助事業を適切に進め、必要な手続きを順守することで、初めて補助金を受給することができます。ここでは、採択決定から実際に補助金が振り込まれるまでの詳細な流れを解説します。

①交付申請を行い、交付が決定する

採択通知を受け取ったら、次に「交付申請」の手続きを行います。これは、採択された事業計画を基に、実際に補助金を交付してもらうための正式な申請です。採択はあくまで「補助金交付の可能性が高い」という段階であり、この交付申請が承認されて初めて補助事業を開始できる状態になります。

採択決定日から2か月以内に交付申請をお願いします。特段の事情により間に合わない可能性がある場合には、あらかじめ事務局にご相談ください（ご連絡が無い場合には、採択を取り消させていただく可能性もあります）。

交付申請では、採択された事業計画をさらに具体化した「交付申請書」を作成し、提出します。この申請書には、事業の実施期間、具体的な実施内容、経費の内訳、資金計画などを詳細に記載する必要があります。特に、補助対象となる経費の積算根拠は明確に示さなければなりません。

提出された交付申請書は事務局によって審査され、内容が適切であると判断されれば、正式に「交付決定通知書」が発行されます。この交付決定通知書に記載された日付以降に発生した経費のみが補助対象となりますので、注意が必要です。

②補助事業に着手する

交付決定通知書を受け取ったら、いよいよ補助事業に着手できます。事業の実施にあたっては、交付決定日から24か月以内の補助事業期間を厳守し、承認された事業計画に基づいて進めることが求められます。

補助対象となる経費は、交付決定日以降に発生し、かつ補助事業の遂行に直接必要なものに限られます。発注、契約、支払いなど、すべての取引において、領収書、契約書、請求書、納品書などの証拠書類を確実に保管しておくことが極めて重要です。これらの書類は、後の実績報告や確定検査で必ず必要となります。

また、事業計画に大きな変更が生じる場合は、事前に事務局に連絡し、変更承認申請を行う必要があります。無断で計画を変更した場合、補助金の対象外となる可能性もあるため、注意が必要です。

③必要に応じて随時事業の報告をする

補助事業の期間中、事務局から進捗状況確認として事業の進捗状況について報告を求められることがあります。これは、事業が計画通りに進んでいるか、適切な経費執行が行われているかを確認するためのものです。

具体的には、中間報告書や状況報告書の提出、あるいはヒアリングなどが実施される場合があります。これらの報告義務がある場合は、指定された期日までに正確な情報を提出しなければなりません。報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、補助金が取り消される可能性もあります。

また、前述の通り、事業計画に軽微な変更ではない重要な変更（例えば、補助対象経費の大きな変更、事業内容の変更、事業期間の変更など）が生じた場合は、変更承認申請書を提出し、事務局の承認を得る必要があります。承認を得ずに変更を進めた場合、その変更部分が補助対象外となるリスクがあります。

④事業完了後、実績報告をする

補助事業が完了したら、速やかに「実績報告」を行います。これは、事業計画通りに事業が実施されたこと、および実際に支出した経費が補助対象として適切であったことを報告するものです。

実績報告書には、事業の成果、実施内容の詳細、実際に支出した経費の内訳などを記載します。特に重要なのは、すべての支出に対して、領収書、契約書、請求書、銀行振込明細などの証拠書類を添付することです。これらの書類が不十分であったり、補助対象外と判断される経費が含まれていたりすると、最終的に受け取れる補助金額が減額される可能性があります。

実績報告には提出期限が設けられていますので、事業完了後、速やかに準備を進め、期限内に提出するようにしましょう。

主な提出書類は以下の通りです。

書類名	内容
実績報告書	事業の完了報告、実施内容、成果などを記載
経費精算書	実際に支出した補助対象経費の詳細と、その証拠書類（領収書、請求書、契約書、銀行振込明細など）
事業成果報告書	補助事業によって得られた具体的な成果や効果
その他	写真、パンフレット、Webサイトのスクリーンショットなど、事業実施を証明する資料

⑤確定検査を受け、補助金額が確定する

提出された実績報告書の内容に基づいて、事務局や外部の検査員による「補助金額の確定」（確定検査）が行われます。この検査は、実績報告書に記載された内容が事実と合致しているか、提出された証拠書類が適切であるか、補助対象経費が交付決定時の要件を満たしているかなどを厳しくチェックするものです。

確定検査は、主に書面審査で行われますが、場合によっては現地調査やヒアリングが実施されることもあります。この際、事務局からの質問に対して、迅速かつ正確に回答できるよう準備しておくことが重要です。

検査の結果、補助対象として認められる経費が最終的に確定し、それに基づいて最終的な補助金額が決定されます。この段階で、申請時に見込んでいた金額と実際に受給できる金額が異なる場合があることを理解しておく必要があります。不適切な経費や証拠不十分な経費は、補助対象から除外されます。

⑥補助金を受給する

確定検査が完了し、最終的な補助金額が決定されると、事務局から「補助金確定通知書」が送付されます。この通知書には、最終的に交付される補助金の金額が明記されています。

その後、申請時に指定した金融機関の口座に、補助金が振り込まれます。中小企業成長加速化補助金を含む多くの補助金は、事業完了後に実績報告と確定検査を経て支払われる「精算払い」が原則です。そのため、事業実施中の資金繰りについては、自己資金やつなぎ融資などで対応する必要があります。

補助金の受給をもって、一連の補助事業における金銭的な手続きは完了となります。

中小企業成長加速化補助金受給後の流れ

中小企業成長加速化補助金は、補助金の受給をもってすべてが完了するわけではありません。補助事業の成果を継続的に報告する義務があります。これは、補助金が単なる給付ではなく、日本の経済成長に貢献する事業の創出を目的としているためです。

補助事業終了後5年間は事業化・賃上げ報告を行う

補助金を受給した後も、補助事業の成果を国に報告する義務があります。これは、補助金が事業の成長や賃上げといった政策目標に貢献しているかを確認するためです。特に重要なのが、事業化状況報告と賃上げ状況報告です。

事業化状況報告

補助事業で導入した設備やサービス、開発した製品などが、計画通りに事業化され、収益に貢献しているかを報告します。具体的には、事業の進捗状況、売上高、利益への寄与度などを定期的に報告することになります。

報告の際には、事業計画書と実績を比較し、計画からの乖離があればその理由も説明できるように準備しておく必要があります。事業化が遅れている場合や計画通りに進んでいない場合でも、誠実に状況を報告することが重要です。

賃上げ状況報告

中小企業成長加速化補助金は、事業成長だけでなく、従業員の賃上げを促進することも目的の一つとしています。そのため、補助事業実施期間中はもちろん、補助事業終了後も５事業年度分は、事業所全体の従業員の給与支給総額や一人当たり賃金に関する状況を報告する義務があります。

賃上げ目標を達成できなかった場合でも、その理由を明確にし、今後の改善策を報告することが求められます。報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、補助金の返還を求められる可能性もあるため、注意が必要です。

報告義務の期間と提出方法

これらの報告は、５事業年度分（計６回）、毎年度実施されます。具体的な報告時期や提出方法は、採択時に示される交付決定通知書や事務処理要領に記載されていますので、必ず確認してください。

通常、オンラインシステム（jGrantsなど）を通じて報告を行うことになります。報告漏れや遅延がないよう、スケジュール管理を徹底しましょう。

報告を怠った場合の措置

事業化・賃上げ報告を怠ったり、虚偽の報告を行ったり、または補助事業の成果が著しく低いと判断された場合には、補助金の一部または全額の返還を命じられる可能性があります。これは、補助金が税金で賄われている公共性の高い資金であるため、その使途と成果に対する責任が伴うためです。

また、補助金で購入した財産（設備など）については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、処分制限期間が設定されています。この期間内に、補助金で購入した財産を処分（売却、譲渡など）する場合には、事前に事務局の承認が必要となり、場合によっては補助金の一部を国庫に納付する義務が生じることもあります。

中小企業成長加速化補助金に申請する時の注意点

中小企業成長加速化補助金に申請する際、いくつか注意しなくてはならないことがあります。以下で解説します。

投資計画書は綿密に丁寧に作成する

中小企業成長加速化補助金の審査において、投資計画書は最も重要な書類の一つです。事業の実現可能性、成長性、そして補助金活用による波及効果を審査員に明確に伝えるための核となります。漠然とした内容ではなく、具体的なデータに基づいた説得力のある計画書を作成することが、採択への鍵となります。

計画書は、審査員が「この事業は本当に成長し、日本経済に貢献するのか」を判断するための羅針盤です。客観的なデータ、具体的な数値、そして論理的な整合性を意識し、誰が読んでも理解しやすいように丁寧に作成しましょう。

書類不備はなくす

補助金申請において、書類の不備は最も基本的ながら、不採択に直結する可能性のある重大なミスです。どんなに素晴らしい事業計画があっても、提出書類に不備があれば、審査の対象にすらならないことがあります。

以下の点に特に注意し、提出前に徹底的な確認を行いましょう。

• 公募要領の熟読と確認：提出が必要な書類の種類、記載事項、提出方法、ファイル形式などを公募要領で詳細に確認します。
• 提出書類チェックリストの作成：公募要領に基づき、必要な書類をリストアップし、一つ一つ提出前にチェックする習慣をつけましょう。
• 記載漏れ・誤字脱字の確認：申請書や計画書の内容に漏れがないか、誤字脱字がないか、複数人で確認することをおすすめします。特に、企業名、代表者名、住所、連絡先などの基本情報は入念にチェックしてください。
• 添付書類の確認：登記簿謄本、決算書、許認可証など、添付が必要な書類は最新のものであるか、指定された形式（PDFなど）になっているかを確認します。ファイル名も指定があればそれに従いましょう。
• 印鑑・日付の確認：押印が必要な箇所には正しく押印されているか、日付は適切に記載されているかを確認します。

提出期限ギリギリでの申請は避け、余裕を持って準備を進めることで、焦りによるミスを防ぐことができます。電子申請の場合、システム操作の不慣れからくる不備も考えられるため、早めに着手することが肝要です。

プレゼンテーションや質疑応答の対策もしておく

中小企業成長加速化補助金では、一次審査（書類審査）を通過すると、二次審査としてプレゼンテーションや質疑応答が課されます。これは、書類だけでは伝えきれない事業への熱意や、計画の具体性、代表者のリーダーシップを直接審査員にアピールする絶好の機会です。

以下の対策を講じて、万全の体制で臨みましょう。

• プレゼンテーション資料の作成：
  • 簡潔さ：限られた時間内で、事業の核となるポイントを明確に伝えることを意識します。
  • 視覚的訴求力：図やグラフ、写真などを活用し、視覚的に分かりやすい資料を作成します。文字ばかりの資料は避けましょう。
  • ストーリー性：事業の背景、課題、解決策、将来展望へと続くストーリーを意識し、審査員を引き込む構成を考えます。
• 想定問答集の作成と練習：
  • 事業内容に関する質問：製品・サービスの詳細、技術的な優位性、競合との差別化、市場規模、ターゲット顧客など。財務に関する質問：資金使途の妥当性、収益計画の根拠、資金繰り、投資回収期間、リスクと対策など。経営体制に関する質問：代表者の経歴、メンバーの役割、組織体制、事業推進能力など。補助金活用後の展望：補助金が終了した後の事業継続性、成長戦略、雇用創出、地域貢献など。これらの質問に対し、論理的かつ具体的に回答できるよう、事前に準備し、模擬練習を重ねることが非常に有効です。第三者に聞いてもらい、フィードバックをもらうこともおすすめです。
• 熱意と自信を持って臨む：審査員は、事業の計画性だけでなく、申請者の事業にかける情熱や覚悟も見ています。自信を持って、堂々と自身の事業を語りましょう。

必要に応じてつなぎ融資などについても調べておく

中小企業成長加速化補助金は、原則として事業完了後の後払いです。つまり、補助事業に着手してから実際に補助金を受給するまでには、一定の期間を要し、その間の事業資金は自社で賄う必要があります。この期間の資金繰りが滞ると、せっかく採択された事業も円滑に進められなくなる可能性があります。

そのため、事業計画と並行して、資金繰り計画も綿密に立て、必要に応じて「つなぎ融資」などの資金調達方法についても検討しておくことが重要です。

• つなぎ融資とは：補助金が交付されるまでの間、事業に必要な運転資金や設備投資資金を一時的に借り入れる融資のことです。金融機関が、補助金採択を前提として融資を行うケースがあります。
• 検討すべきポイント：
  • 金融機関への相談：事業計画が固まった段階で、早めに取引のある金融機関や、地域の信用金庫、信用組合などに相談しましょう。補助金採択を前提とした融資制度があるかを確認します。
  • 融資条件の確認：金利、返済期間、担保・保証の有無などを事前に確認し、自社の資金繰りに無理がないか検討します。
  • 日本政策金融公庫の活用：政府系金融機関である日本政策金融公庫も、中小企業の資金調達を支援する様々な融資制度を提供しています。

補助金申請と資金調達は車の両輪です。採択後のスムーズな事業遂行のためにも、事前に資金繰りのシミュレーションを行い、必要に応じて適切な資金調達手段を確保しておくことが賢明です。

不安なら申請支援サービスなどの利用も考えておく

中小企業成長加速化補助金の申請は、公募要領の理解、複雑な事業計画書の作成、多数の添付書類の準備など、専門的な知識と多大な労力を要します。特に、初めて補助金申請を行う事業者や、社内に専門人材がいない場合、そのハードルは高く感じられるかもしれません。

もし申請作業に不安を感じるようであれば、外部の申請支援サービスを利用することも有効な選択肢です。

• 利用を検討すべきケース：
  • 申請書類の作成方法が分からない、自信がない。
  • 事業計画書の論理構成や数値計画に不安がある。
  • 社内のリソース（人材、時間）が限られている。
  • 過去に申請して不採択になった経験がある。
• 主な支援サービス提供者：
  • 中小企業診断士：経営全般の専門家であり、事業計画書の策定支援に強みがあります。
  • 税理士：財務・会計の専門家として、資金計画や財務諸表の作成・分析をサポートします。
  • 行政書士：各種許認可申請の専門家であり、書類作成や手続き面での支援を行います。
  • 補助金専門のコンサルティング会社：補助金申請に特化したノウハウを持ち、採択実績が豊富な場合が多いです。
• サービス利用の際の注意点：
  • 実績と専門性：過去の採択実績や、中小企業成長加速化補助金に関する専門知識があるかを確認しましょう。
  • 費用対効果：着手金、成功報酬など、費用体系を明確にし、自社の予算と照らし合わせて検討します。
  • 担当者との相性：事業内容を深く理解し、円滑なコミュニケーションが取れる担当者を選ぶことが重要です。
  • 丸投げは避ける：専門家はあくまで支援者です。事業の主体はあくまで自社であり、事業内容や計画は自身で深く理解し、専門家と協力して作り上げていく姿勢が求められます。

適切な専門家の支援を受けることで、申請の質を高め、採択される可能性を向上させるだけでなく、自社の事業計画を客観的に見つめ直し、ブラッシュアップする良い機会にもなります。

株式会社補助金プラスでは中小企業成長加速化補助金の流れごとにサポートが可能です

中小企業成長加速化補助金の申請は手間と時間がかかり、事業者様が本来の事業に集中できない原因となっています。株式会社補助金プラスの申請支援サービスなら、申請から採択後まで一貫してサポートし、事業者様の負担を大幅に軽減します。

経験豊富な専門家が採択に向けた事業計画書作成や書類収集をサポートし、これまでの採択率は90%以上の実績を誇ります。採択後の実績報告もオプションで対応可能なため、安心してお任せいただけます。また、中小企業成長加速化補助金以外の補助金提案も行っており、事業者様に最適な制度をご案内します。

オンライン対応で全国各地の事業者様にサービスを提供しています。今なら初回無料相談を実施中ですので、ぜひ株式会社補助金プラスにお気軽にお問い合わせください。

まとめ

中小企業成長加速化補助金は、事業の成長を加速させるための強力な支援策です。GビズIDの取得から始まり、公募要領の熟読、綿密な投資計画書作成、jGrantsでの電子申請、そして採択後の交付申請から実績報告、受給後の事業化・賃上げ報告まで、一連の流れを正確に理解し、計画的に進めることが成功の鍵となります。

書類不備の排除、プレゼンテーション対策はもちろん、必要に応じて専門家の支援も活用し、この貴重な機会を最大限に活かして、貴社の事業成長を実現しましょう。