【2025.2】中小企業成長加速化補助金ではつなぎ融資は必要？補助金受け取り前の借入先についても解説

中小企業成長加速化補助金の補助額は最大５億円ですが、実は実際に補助金が支給されるのは事業完了後です。そのため事業者の方には、「結構なお金が最初に必要になるんじゃ…」 、「会社の資金的に心配です。」といった悩みも多く寄せられます。

そのため、多くの企業にとって 「つなぎ融資」 を利用することが重要な選択肢となります。本記事では、つなぎ融資の必要性や、補助金受け取り前に利用できる融資制度について詳しく解説します。

中小企業成長加速化補助金の概要

令和7年度にスタートする中小企業成長加速化補助金は、売上高１００億円を目指す中小企業の成長を支援するための補助金で、大規模な設備投資やDX推進、海外展開などを後押しする制度です。ただし、本補助金の詳細な要件については未定の部分も多く、今後の公募要領の発表を待つ必要があります。

中小企業成長加速化補助金の特徴は、補助額が最大５億円という大型支援であることです。ただし、補助金が支給されるのは事業完了後となるため、事業者は投資資金を事前に準備する必要があります。そのため事業者の中には「つなぎ融資」を活用しながら資金計画を立てることも少なくありません。

また、本補助金の交付想定件数は約６００件となっていますが、１件あたりの補助申請額によっては、採択件数が増減する可能性があります。中小企業成長加速化補助金制度は競争率が高くなることも想定されるため、しっかりとした事業計画の策定と準備が必須です。

本補助金の活用を検討する事業者は、補助金の仕組みを理解することに加え、事業計画と資金計画を両立させることが求められます。

参考：(案) 「100 億企業実行事務局」のうち中小企業成長加速化補助金（中小企業成長加速化支援事 業
参考：(案) 中小企業成長加速化補助金(中小企業成長加速化支援事業)交付要綱

中小企業成長加速化補助金の補助率・補助上限金額

中小企業成長加速化補助金の補助率や補助上限金額についてですが、最大５億円、補助率１／２ という大規模な支援が際立ちます。本補助金額は、これまでの中小企業向け補助金と比較しても高額な補助となっており、大規模な設備投資や事業拡大を計画している企業にとって大きなチャンスとなることは間違いないでしょう。

【補助率・補助上限金額の概要】

• 補助上限額：最大５億円
• 補助率：対象経費の１／２
• 補助事業の実施期間：交付決定日から２４か月以内

中小企業成長加速化補助金は令和7年度からスタートする新しい補助金制度なので事例がまだありません。そこで過去の中小企業向けの主要な補助金と比較してみます。

補助金名	補助上限額	補助率	特徴
ものづくり補助金	1,250万円～5,000万円	1/2または2/3	設備投資を中心に支援
事業再構築補助金	最大1.5億円（成長枠）	1/3～2/3	事業転換・業態転換を支援
大規模成長投資補助金	最大50億円	1/3〜1/2	100億円以上の投資を対象
IT導入補助金	最大450万円	1/2〜3/4	ITシステム・ソフトウェア導入を支援
中小企業成長加速化補助金	最大5億円	1/2	大規模設備投資・DX推進を支援

上記の通り、本補助金は大規模な投資を伴う事業向けの支援制度であり、小規模な投資には適さないでしょう。また、補助率は1／２であるため、申請事業者側でも一定の自己資金や融資を活用して残りの資金を準備する必要があります。

中小企業成長加速化補助金が使える経費

中小企業成長加速化補助金では、企業の成長を加速させるための設備投資が補助対象となります。ただし、すべての経費が補助対象となるわけではなく、一定の要件を満たした投資でなければ対象として扱われません。

特に、投資額１億円以上の要件を満たす必要があり、外注費や専門家経費は含まれないため、注意が必要です。以下、現時点で公表されている情報や、過去の補助金（ものづくり補助金・事業再構築補助金など）を参考にしながら、補助対象となる可能性が高い経費詳細について解説します。

【経費詳細】

経費	内容	制約・注意点（予想）
建物費	工場・物流拠点の新設・増築、設備設置のための基礎工事	修繕・維持管理目的の改修工事や土地購入費は対象外の可能性
機械装置費等	生産設備の導入、自動化・省エネ設備の導入	単なる更新や中古機械の購入は対象外の可能性
ソフトウェア費	DX推進のためのシステム導入、生産管理・販売管理・在庫管理システムなど	市販ソフトの単純購入やクラウドサービスの月額利用料は対象外の可能性
外注費	システム開発、設計・施工、試作開発などの委託費	投資額１億円以上の要件には含まれないため注意
専門家経費	経営戦略・DX・海外展開・M&A支援などのコンサルティング費用	一般的な助言や単発のアドバイスは対象外となる可能性

本補助金では、工場新設など大規模な設備投資が補助対象となりますが、過去の類似制度を見ると対象外となる経費も予想されます。申請事業者は検討している事業計画が補助金の対象となるかしっかりと確認を行いましょう。
参考：中小企業成長加速化補助金 – 飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を補助します！

中小企業成長加速化補助金のスケジュール

中小企業成長加速化補助金は、申請から補助金の受け取りまでには、一定のスケジュールが設定されています。万が一間に合わないとなると申請が受け付けられない場合もあるので、期限は厳守が鉄則です。事前に流れを把握し、計画的に進めることをおすすめします。

下記では、現時点で公表されている情報をもとにスケジュール概要を解説します。なお、具体的な締切日や詳細は未定の部分が多いため、今後の公募要領の発表を随時確認する必要があります。
融資を検討する場合、補助金の申請スケジュールに合わせて、資金調達の計画を進めることがポイントとなります。

以下の流れを参考に、事前準備をしっかり行いましょう。

【中小企業成長加速化補助金の基本的スケジュール（予定）】

時期（令和７年度予定）	内容	融資を検討している場合のポイント
3月	第１回公募要領の公開	事業実施前に資金を確保できるか検討する。必要であれば、金融機関等に相談を開始する。
5月頃	申請受付開始	補助金の交付決定前に、融資の審査を通しておくと、スムーズに資金調達が可能。
6月〜8月頃	交付候補者の決定・交付申請	事業開始後は自己資金または融資で運営する必要があるため、遅くともこの時期までに資金調達を完了させる。
8月〜9月頃	補助金交付決定・事業開始	つなぎ融資が必要な場合、この時期までに資金調達を完了させる。
事業開始後 24か月以内	補助事業の実施期間	補助金が支給されるまでに、キャッシュフローを維持できるか確認。
補助事業完了後	実績報告・補助金の支払い	補助金の実績報告後、支払いまで時間がかかるため、資金の余裕を持たせることが重要。

参考：中小企業成長加速化補助金 – 飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を補助します！

中小企業成長加速化補助金は補助事業開始後に支払われる

中小企業成長加速化補助金は、補助金の交付決定を受けた後に事業を開始し、事業が完了した後に補助金が支払われる仕組みになっています。つまり補助金が事業開始時にすぐに支給されるわけではないことに注意が必要です。

【補助金が支払われる流れ】

１．申請・審査を経て、補助金の交付決定を受ける
２．交付決定後に事業を開始し、補助対象経費の支払いを行う
３．事業完了後に実績報告を提出し、審査を受ける
４．審査完了後に補助金が支給される

このように、事業の実施から補助金の支払いまでには一定の期間がかかるため、事業開始時点では自己資金または融資を活用して資金を確保する必要があります。

補助金を活用して自社の設備投資事業を進めたい、しかし「自己資金だけで事業を始めるのは不安…」と悩む事業者も多いでしょう。

ここで便利なのが「つなぎ融資」を利用することです。

自己資金のみでの事業開始に不安がある場合は、つなぎ融資の活用が有効な手段となります。つなぎ融資を利用することで、補助金の支給を待たずに設備投資やシステム導入などをスムーズに進めることができるため、資金繰りの不安を軽減しながら事業を推進できます。また、金融機関によっては補助金の交付決定を条件とした融資制度を提供している場合もあるため、補助金の申請と並行して資金調達計画も立てておきましょう。

次に、補助金の資金繰りを安定させるための具体的な融資先や調達方法について詳しく解説していきます。

中小企業成長加速化補助金受け取り前のつなぎ融資の借入先

補助金は事業完了後に支払われる後払い制です。事業者にとって、投資費用が振り込まれる間の資金の確保方法が重要課題となります。特に、設備投資や工場新設など、大規模な資金が必要な場合、補助金の交付を待っている間に資金不足に陥らないよう、つなぎ融資の活用を検討することが重要です。

つなぎ融資とは、補助金の交付決定後、実際の支給までの間に必要な資金を一時的に借り入れる方法です。事業者は、金融機関などが提供する様々な融資制度を利用できます。通常の融資と異なり、補助金の交付決定を受けていることで金融機関側も資金回収の見込みが立ちやすく、比較的スムーズに借入ができるメリットがあります。

ここでは、補助金支給前に利用できる代表的な融資先について解説します。

メインバンク

補助金の受け取り前に必要な資金を調達する方法として、最も一般的なのがメインバンクからの融資です。メインバンクとは、企業が日常的に取引している主要な銀行のことで、財務状況や事業計画を理解しているため、融資の審査が比較的スムーズに進みやすいのが特徴です。

メインバンクから融資を受けるメリットをまとめます。

• 企業の信用度を基に審査が行われるため、融資を受けやすい
• 事業内容を把握しているため、相談しやすい
• 金利や返済条件を柔軟に調整できる可能性がある

メインバンクは、企業の経営状況をよく理解しているため、補助金の入金を見越した融資にも前向きなケースが多いですが、審査には時間がかかる場合もあります。補助金の申請と並行して、早めに資金調達の相談を進めていきましょう。

日本政策金融公庫

補助金の受け取り前に資金を確保する方法として、日本政策金融公庫の融資を活用することも有効です。日本政策金融公庫は、中小企業やスタートアップの資金調達を支援する政府系金融機関であり、補助金を活用した事業のための資金調達にも対応しています。

以下に日本政策金融公庫の融資を利用するメリットをまとめます。

• 低金利での融資が可能（メガバンクや地方銀行よりも比較的金利が低い）
• 補助金を活用した事業計画にも対応している
• 中小企業向けの特別融資制度があるため、審査のハードルが比較的低い

日本政策金融公庫は、政府系金融機関であるため、補助金活用を前提とした融資に理解があり、長期的な視点での支援を受けやすいのが特徴です。

また、日本政策金融公庫には「設備資金」、「運転資金」などの特別融資制度もあり、補助金活用のための事業資金として申し込むことも可能です。
次に、POファイナンス（Purchase Order ファイナンス）による資金調達について解説します。
参考：融資制度を探す 中小企業事業

POファイナンス

補助金の支給を待つ間に必要な資金を確保する方法として、POファイナンス（Purchase Order ファイナンス）を活用することができます。

POファイナンスとは、補助金の交付決定通知をもとに、資金を調達する仕組みです。特に、Tranzax株式会社が提供する「補助金対応POファイナンスサービス」 を利用すれば、補助金の交付決定通知を電子記録債権として登録し、それを担保に金融機関からつなぎ融資を受けやすくなります。

POファイナンスを利用するメリットを以下にまとめます。

• 補助金の交付決定を活用し、金融機関から融資を受けやすい
• 補助金の支給を待たずに設備投資や事業を進められる
• 補助金が入金された際に一括返済されるため、短期間の資金調達が可能
• Tranzax株式会社と提携する金融機関が審査を行うため、スムーズな手続きが期待できる

POファイナンスを利用する場合の注意点は、すべての金融機関が対応しているわけではないという点です Tranzax株式会社と提携している金融機関でのみ利用可能なので、詳細は公式サイトで確認しましょう。

POファイナンスサービスは、補助金の支給を待たずに資金を確保できる有効な手段です。特に、補助金の入金後に一括返済する仕組みのため、短期間のつなぎ資金として活用しやすいのが特徴です。

補助金を活用した事業をスムーズに進めるためにも、メインバンクや日本政策金融公庫の融資とあわせて、POファイナンスという選択肢も検討するとよいでしょう。
参考：【補助金対応POファイナンスサービス】J-LODlive2補助金の交付決定を担保としたつなぎ融資制度に関するサービス(POファイナンスサービス※1)を創設しました
参考：補助金対応 POファイナンス®サービス利用ガイド

つなぎ融資を受け取るために注意したいこと

補助金の支給を待つ間に資金を確保するために、つなぎ融資を活用する企業は多くあります。しかし、融資を受けるためには金融機関の審査を通過する必要があり、準備不足のまま申し込むと希望通りの融資が受けられない可能性があります。

ここでは、スムーズに融資を受けるために注意しなければならない点を解説していきます。

既存事業、新規事業の収益性をアピールする

金融機関が融資の可否を判断する際、最も重視するのが「返済能力」です。企業の収益力をしっかりとアピールすることが重要になります。金融機関に融資を申し込む際は、既存事業の安定性と新規事業の成長性を明確に示すと良いでしょう。

たとえば既存事業に関して、直近の決算書や試算表を準備し、安定した売上や利益を示すことで収益性をアピールしたり、新規事業に関しては、市場規模や競争環境などのデータを示し、新規事業の将来性を裏付けを行ったりすることで成長制や収益性をアピールできます。

金融機関は、既存事業の安定性と、新規事業の成長見込みの両面を評価します。単に「補助金を活用して設備投資を行う」だけでなく、補助事業による投資が将来的な売上や利益につながることを具体的に説明することで、融資の承認を得やすくなります。

財務に関する手続きは日頃から忘れずに行う

金融機関は企業の財務状況に関する厳しいチェックを行います。

事業者がつなぎ融資の審査をスムーズに進めるためには、日頃からの適切な財務管理と必要な書類を整理しておくことが重要です。特に、決算書や試算表は最新の状態に保ち、直近の売上や利益、資金繰りが分かる資料をすぐに提出できるよう準備 しておく必要があります。

資金計画をしっかり立てる

つなぎ融資を受けるためには、資金計画を明確にすることに加え、金融機関に対して「どの時期に、どれだけの資金が必要なのか」を具体的に説明しましょう。特に、補助金を活用した事業では、設備投資や運転資金の支出が大きくなるため、資金の流れをしっかり管理することがより求められます。

たとえば、補助金が入るまでの資金繰り、融資の返済計画、事業の収益化と運転資金不足を防ぐ資金調達など資金計画を具体的に示すことでつなぎ融資を受けやすくなり、補助金活用を最大限に生かすことができます。

つなぎ融資を受け取るために必要な書類

中小企業成長加速化補助金を活用するにあたり、融資を検討しているなら必要書類の準備を始めましょう。金融機関の審査を通過するためには、事業計画や資金計画を明確にし、財務状況を整理した書類を提出する必要があります。

特に、本補助金は大規模な設備投資を伴うことが多く、融資の申請には多くの書類が求められます。そのため、準備には時間がかかることを前提に、早めに動くことをおすすめします。以下、一般的に求められる書類を紹介します。

① 補助金関連の書類

• 補助金の交付決定通知書
• 補助金申請時の事業計画書
• 補助事業の資金計画書

② 財務関連の書類

• 直近の決算書（損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書）
• 最新の試算表
• 税務申告書・納税証明書
• 銀行口座の取引履歴

③ 融資関連の書類

• 融資申込書（金融機関ごとの指定フォーマットに記入）
• 借入計画書
• 既存の借入状況を示す書類

④ 事業の安定性を示す書類

• 主要取引先との契約書・発注書
• 売上推移のグラフや成長計画資料

スムーズに融資を受けるためのポイントは、事前の金融機関等への相談、必要書類の確認、事業計画や資金計画を整理した一貫性のある資料の準備、そして明確な返済計画を示すことです。

つなぎ融資に関する必要書類については、以下の情報を参考に作成しています。

• 経済産業省の補助金関連資料　【補助金対応POファイナンスサービス】J-LODlive2補助金の交付決定を担保としたつなぎ融資制度に関するサービス(POファイナンスサービス※1)を創設しました
• 日本政策金融公庫の融資制度ガイドライン　融資制度を探す 中小企業事業
• メガバンク・地方銀行の企業向け融資に関する公式情報　資金の調達 ： 三井住友銀行

詳細な情報は、経済産業省、日本政策金融公庫、各金融機関の公式サイト で最新の要件を確認することをおすすめします。

株式会社補助金プラスは中小企業成長加速化補助金の申請支援を行なっています

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向の企業を支援する大型補助金ですが、申請には複雑な手続きや厳格な要件をクリアする必要があります。また、補助金の支給は事業完了後の後払い制なため、つなぎ融資を活用した資金調達の計画も必要です。

「補助金に申請したいが、要件を満たせるかわからない」「つなぎ融資の準備も含めて相談したい」という方は、株式会社補助金プラスのサポートを活用することで、スムーズな申請が可能になります。

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まとめ

中小企業成長加速化補助金は、大規模な設備投資やDX推進、海外展開を支援する補助金ですが、申請や資金計画には注意が必要です。また補助金は後払い制なため、資金繰りを考えながら進める必要があります。

中小企業成長加速化補助金を活用するためには、メインバンク、日本政策金融公庫、POファイナンスなどのつなぎ融資を活用すると良いでしょう。

また、融資をスムーズに受けるためには、既存事業や新規事業の収益性を示し、財務管理を徹底し、資金計画をしっかり立てることが求められます。

株式会社補助金プラスでは、補助金申請のサポートからつなぎ融資の活用方法まで、一貫した支援を提供しています。補助金を活用して成長を加速させるためにも、早めに準備を進め、適切なサポートを受けながら申請を成功させましょう。