【2024.2】ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いは?二つを使い分けるポイントを解説!
ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いがわからない方も多いのではないでしょうか。ものづくり補助金と事業再構築補助金はともに、新規事業における設備投資資金を補助してくれる制度です。
性質自体はよく似ているのですが、特徴の違いは存在します。
この記事では、ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いや使い分けのポイントについて解説していきます。
ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いは?
ものづくり補助金と事業再構築補助金を使い分けるポイントを見ていくまえに、ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いについて簡単に説明していきます。
目的の違い
ものづくり補助金と事業再構築補助金においては、目的が少しずつ違います。ものづくり補助金では事業の目的が公募要領において以下のように記載されています。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者 保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り 組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備 投資等を支援します。
引用元:ものづくり補助金公募要領(16次締切分)
ものづくり補助金は、既存の事業の生産性を向上させることを目的とした補助金です。既存の事業を拡大したり、競争力を高めたりする場合には、ものづくり補助金が有効です。
一方で事業再構築補助金では事業の目的が公募要領において以下のように記載されています。
本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難 い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分 野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡 大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構 造転換を促すことを目的とします。
引用元:事業再構築補助金公募要領(第11回)
これは、事業再構築補助金が新たな事業を立ち上げたり、既存の事業を改善したりするための支援策であり、事業の創造や変革に挑戦する方々に対して、経済的な負担を軽減し、イノベーションを促進することが目的であるといえるでしょう。
事業再構築補助金は、新たな事業に取り組むための支援を行う補助金です。新たな事業には、新規市場への参入や新しい技術やサービスの開発などが含まれます。既存の事業を強化したい場合はものづくり補助金、新たな事業に挑戦したい場合は事業再構築補助金が適切だといえます。
予算規模の違い
<ものづくり補助金>
ものづくり補助金は、令和4年度第2次補正予算で生産性革命推進事業として2,000億円の予算が確保されました。この補助金は、ものづくりのイノベーションを促進するために、中小企業やベンチャー企業に対して、設備投資や人材育成などの支援をおこなうものです。
事業再構築補助金
一方、事業再構築補助金は、令和4年度第2次補正予算で中小企業等事業再構築促進事業として5,800億円の予算が割り当てられました。この補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業や個人事業主に対して、事業モデルの転換や経営改善などの支援をおこなうものです。
事業再構築補助金は、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円の予算が付けられており、これまでに累計で2兆3,000億円の予算が執行されています。事業再構築補助金は、ものづくり補助金と違い予算規模が大きく、対象となる事業者も違います。
申請要件の違い
ものづくり補助金の基本要件
ものづくり補助金の基本要件は、公募要領において以下のように記載されています。
<以下の要件を全て満たす3〜5年の事業計画を策定することが必要>
事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加) 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、 毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。 <以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要>申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定し ていないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。 財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。 再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。 引用元:ものづくり補助金公募要領(16次締切分)
事業再構築補助金の申請要件
一方で、事業再構築補助金の申請要件はほかの補助金と違い、要件も厳しくなっています。 事業再構築補助金を申請や受給するには、次の要件を満たさなければなりません。
引用元:事業再構築補助金公募要領(第11回)
- 経済産業省が示 す事業再構築指針に沿った3〜5年の事業計画書を作成し、 認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。
- 補助事業終了後3〜5年で付加価値額を年率平均3.0%〜5.0%(事業類型により異 なる)以上増加させること。又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3.0%〜5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。
この2点は必ず満たさなければなりませんが、さらに、申請枠ごとに定められた要件を満たす必要があります。
事業再構築補助金は、認定支援機関と連携して事業の再構築計画を策定し、その実施に必要な経費の一部を補助する制度です。この制度の申請要件は、事業の継続性や再構築計画の妥当性などを審査するため厳しいといえます。また、細かい要件の違いも多くありますので、申請する前に自社が適用できるかどうかをしっかりと確認する必要があるでしょう。
対象者の違い
事業再構築補助金は、規模の大きい事業者も含めて、中小企業や中堅企業にも支給されます。この補助金は、新型コロナウイルスの影響で売上が減少した事業者に対して、事業の継続や再構築を支援するために設けられました。中堅企業とは、資本金が10億円未満で、中小企業よりも規模が大きい事業者のことです。
ものづくり補助金は、個人事業主を含めた中小企業だけが対象となる補助金です。この補助金は、ものづくりに関する設備投資や人材育成などをおこなう事業者に対して、費用の一部を補助するために設けられました。中堅企業は、ものづくり補助金の対象外ですが、ものづくり補助金とは違い、事業再構築補助金では対象となるため、新たな機会と捉えることができるでしょう。
補助金額・補助率違い
事業再構築補助金とものづくり補助金の違いは、補助額と補助率に大きく表れています。事業再構築補助金では、中小企業が成長枠(旧・通常枠)に応募する場合、最大で8,000万円の補助金を2/3の補助率で受けることができます。
これに対して、ものづくり補助金では、通常枠の上限は1,250万円で、補助率は1/2(小規模・再生事業者は2/3)です。グリーン成長枠でも、事業再構築補助金の方がものづくり補助金よりも高い補助額と補助率を提供しています。
例えば、エントリー枠では、事業再構築補助金は8,000万円、ものづくり補助金は1,250万円です。したがって、事業再構築補助金はものづくり補助金よりも優遇されているといえます。
対象外経費違い
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業や個人事業主に対して、事業の再構築に必要な経費を補助する制度です。対象経費は、人件費や設備投資、在庫購入などで、ものづくり補助金と違い、幅広い経費を対象とできます。
ものづくり補助金の対象経費
ものづくり補助金の対象経費は、以下のとおりです。
- 「機械装置・システム構築費」
- 「技術導入費」
- 「専門家経費」
- 「運搬費」
- 「クラウドサービス利用費」
- 「原材料費」
- 「外注費」
- 「知的財産権等関連経費」
ものづくり補助金の対象経費
一方、事業再構築補助金の対象経費は、以下のようになっています。
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- クラウドサービス利用費
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- 広告宣伝費・販売促進費
- 研修費
事業再構築補助金は、建築費や広告宣伝費・販売促進費などの大きな経費をカバーするための制度です。また、研修費も補助の対象になりますので、従業員のスキルアップにも活用できます。しかし、原材料費は補助対象外ですので注意が必要です。
ものづくり補助金と事業再構築補助金を使い分けるポイントは?
建物費・広告宣伝費・研修費を補助対象にする場合
ものづくり補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した中小企業や個人事業主に対して、生産設備の導入や改善などのものづくりに関する経費を支援する制度です。しかし、ものづくり補助金は、事業の継続性や成長性を高めるための経営戦略や事業計画の策定、実施に必要な建設費・広告宣伝費・研修費経費には対応していません。
そのため、事業再構築補助金を選択することが望ましいです。事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した中小企業や個人事業主に対して、事業再構築計画に基づく経費を支援する制度です。事業再構築計画は、事業の継続性や成長性を高めるための経営戦略や事業計画を含むものであり、ものづくりに関する経費も含むことができます。したがって、ものづくり補助金と違い事業再構築補助金の方が、より幅広い支援を受けることができるでしょう。
既存事業の設備強化をする場合
事業再構築補助金は新規事業が対象となっており、既存の事業を拡大する場合はものづくり補助金を申請しなければならないという違いがあります。しかし、ものづくり補助金の対象となる事業でも、従来にない高い精度や革新的な商品やサービスを提供することで、社会的な課題の解決や新たな価値の創出に貢献する場合は、事業再構築補助金の申請も可能です。
このような場合は、事業計画書において、事業の新規性や社会的な意義を明確に示す必要があります。
両補助金の要件を満たす場合
事業者が該当する応募枠の補助率や補助金額を考慮するというのは、事業計画を立てるうえで重要なポイントです。補助率や補助金額によって、事業の規模や内容、期間などが変わってくるからです。
例えば、補助率が高い応募枠では、自己負担額が少なくて済むので、より大きな事業を実施できる可能性があります。
一方、補助金額が少ない応募枠では、自己負担額が多くなるので、より小さな事業に限定されるかもしれません。また、応募枠によっては、事業の期間や内容に制限に違いがある場合もあります。したがって、事業者は自分の目的やニーズに合った応募枠を選択する必要があるでしょう。
そのため、ものづくり補助金と事業再構築補助金の両方の要件を満たしている場合は、違いをよく理解しておかなければなりません。
まとめ
この記事では、ものづくり補助金と事業再構築補助金の違いについて解説しました。
ものづくり補助金と事業再構築補助金においてはそれぞれ、目的や要件が違います。そのため、事業計画に合った補助金制度を選択する必要があるでしょう。
ものづくり補助金や事業再構築補助金の利用を検討している場合は、この記事における違いを参考にしながらぜひ、申請をおこなってみてください。