【2024.2】小規模事業者持続化補助金の交付までの流れをまとめて解説!申請方法や注意点なども

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは、新しい販売方法や宣伝活動を模索する小さな法人や個人事業主のサポートを目的とした補助金事業です。資金調達が難しい小規模事業者にとってメリットが大きい制度ですが、あらかじめ決められた流れに基づいて手続きを進めなければ交付を受け取れません。

本記事では、小規模事業者持続化補助金の交付までの流れ申請方法申請時の注意点などをまとめて解説します。

この記事を読むと
  • 小規模事業者持続化補助金の概要を理解できる
  • 小規模事業者持続化補助金の交付までの流れ、申請方法が分かる
この記事の目次
小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が今後直面するさまざまな制度変更(インボイス制度や働き方改革など)に対応するために取り組む販路開拓等の取組の経費を補助することで、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上・持続的発展を図ることを目的に設立された補助金です。

採択を受けて交付されれば、最大200万円(インボイス特例を使えば最大250万円)を受け取れます。
規模が小さな法人・個人事業主向けの補助金であるため、資金調達が難しい小規模事業者や創業2〜3年目の企業でも利用しやすいのがメリットです。
小規模事業者持続化補助金が交付されるまでは、あらかじめ決められた流れに沿った手続きや事業実施を行います。14回公募における主な流れは次の通りです。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14 回公募 公募要領

交付までの流れを見る前に、まずは本補助金の一般枠の概要を見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金はどんな時に活用する?

小規模事業者持続化補助金が活用できるのは、自社サービスや商品を売るための経路を増やすことで顧客や売上を伸ばす「販路拡大」を行うケースです。補助対象となる販路拡大の例は次の通りです。

  • 販促用のパンフレット・チラシの作成
  • 専用ホームページ開設
  • ラジオ広告
  • 直売店やECサイトの開設
  • 展示会への出展
  • 新商品開発用の生産設備導入
  • 広告宣伝用の写真撮影やイラスト作成のための設備導入
  • 顧客が快適に過ごせるための環境づくり(店舗改装、バリアフリー化工事、トイレ改修など)

販路拡大につながるなら、直接の広告宣伝費だけでなく開発費用にも本補助金を活用できます。広告宣伝の強化は事業の売上に直結することも多いため、広告関係に資金を投入する余裕がない事業者にとって、非常に効果的な補助金だと言えるでしょう。

小規模事業者持続化補助金の対象事業者

小規模事業者持続化補助金の対象事業者は、次の1~6すべてに当てはまる者です。

  1. 小規模事業者であること
  2. 資本金または出資金が5億円以上の法人から直接・間接的に100%の株式を保有されていないこと
  3. 確定申告している直近3年間の各年または各事業年度の課税所得の年平均が15億円を超えていないこと
  4. 商工会議所の管轄地域内で事業を行っていること
  5. 過去に小規模事業者持続化補助金の採択を受けて補助事業を実施している場合、「小規模事業者持続化補助金にかかる事業効果および賃金引上げ等状況報告書」を受領された者であること(本補助金の申請まで)
  6. 小規模事業者持続化補助金(一般型)において、卒業枠の採択を受けて補助事業を実施した事業者でないこと

1の「小規模事業者であること」とは、具体的には次の者が該当します。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ただし、医師・歯科医師や系統出荷による収入のみである個人農業・林業・水産業者、一般社団法人など、一定の事業形態に当てはまる場合は原則として申請ができません。補助の対象外の事業者は公募要領に記載されているので、都度確認をおすすめします。

小規模事業者持続化補助金の基本要件

基本要件とは、補助金に申請するために達成すべき最低限の事業目標です。小規模事業者持続化補助金には基本要件という表現がないものの、補助事業として認められるための最低条件は記されています。申請に必要な事業計画の条件は次の通りです。

  • 策定した経営計画に基づいて実施する販路開拓等のための取組、または販路開拓等の取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること
  • 商工会議所の支援(商工会議所による事業支援計画書の発行など)を受けながら取り組む事業であること
  • 国が助成する他の制度と類似している、補助事業終了後1年以内の売上が見込めない、射幸心を煽る(安易な抽選やギャンブルなどを推奨する)、公の秩序や善良の風俗を害するなどの事業に該当しないこと

上記の基本要件を満たせば、本補助金の通常枠へ申し込めます。さらに追加で「特別枠ごとに決められた申請要件」を満たせば、通常枠以外の特別枠へも申請が可能です。14回公募時点では「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」に加えて、「インボイス特例」があります。
特別枠には地域別最低賃金+30円といった、より具体的な要件が指定されています。特別枠の利用を検討している場合はチェックしておいてください。

また本補助金は、あらかじめ事務局から指定されている特定の経費の金額を補助する制度となっています。以下に示した特定の経費に当てはまる支出になるよう、事業計画を立てましょう。

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック

詳細は公募要領をご覧ください。

なお、以前は一般枠以外にも「低感染リスク型ビジネス枠」や「コロナ特別対応型」が設けられていました。2024年時点では、いずれの枠も公募は終了しています。

小規模事業者持続化補助金の申請の流れ

小規模事業者持続化補助金の申請の流れ

小規模事業者持続化補助金の申請は、次の流れに沿って行う必要があります。

  • GビズプライムIDを取得する
  • 「経営計画書」と「補助事業計画書」を作成する
  • 商工会議所に「事業支援計画書」の交付を求める
  • その他の必要書類を作成する
  • 各書類を電子申請する

小規模事業者持続化補助金の申請までの流れを順番に見ていきましょう。

GビズプライムIDを取得する

GビズIDとは、さまざまな行政サービスへのアクセスや申し込みを1つのID・パスワードで行えるようにする、法人・個人事業主向け共通認証システムです。小規模事業者持続化補助金を電子申請で行う場合には、GビズIDのうちGビズIDプライムアカウントを取得する必要があります。

GビズIDプライムアカウントを取得するには、まずGビズID公式サイトへアクセスします。次にメールアドレスや事業者情報、氏名、連絡先などの登録を行い、書類郵送申請またはオンライン申請を行いましょう。
手続きの際には、SMS受信用のスマートフォン、印鑑証明書(法人)、印鑑登録証明書(個人事業主)、マイナンバーカード(個人事業主のオンライン申請のみ)などが必要です。手続き完了まで2〜3週間かかるので、早めに登録の準備をしておくことをおすすめします。

GビズID公式サイト

作成したGビズIDプライムアカウントは、補助金申請システム(Jグランツ)にて使用します。もし電子申請ではなく書類郵送にて申請する場合は、Gビズプライムアカウントの作成は必要ありません。ただし、Jグランツによる電子申請を利用しない場合は採択において減点されると公募要領に明記されています。

補助金申請システム(名称:J グランツ)を使用せず、郵送で申請を行った事業者に対して、減点調整を行います。
引用:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14 回公募 公募要領

本補助金を確実に受け取りたいなら、GビズIDプライムアカウント取得しておきましょう。

「経営計画書」と「補助事業計画書」を作成する

小規模事業者持続化補助金への申請には、「経営計画書」と「補助事業計画書」の作成が必要です。経営計画書や補助事業計画書の様式は、公式サイトの「申請方法」からダウンロードできます。リンク先は第13回締切までの公式サイトなので、実際には都度最新の公募回の公式サイトよりダウンロードを行ってください。
経営計画書・補助事業計画書の書き方のコツは、経済産業省・中小企業庁「ミラサポplus」などで確認可能です。専門家のアドバイスを受けながら作成したいときは、商工会議所・商工会や中小企業診断士、補助金コンサルティング会社などへの相談をおすすめします。

弊社「INU株式会社」でも、小規模事業者持続化補助金に関するご相談を受け付けています。ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金の採択率90%以上の実績から、補助金採択を受けるための的確なサポートが可能です。

商工会議所に「事業支援計画書」の交付を求める

事業支援計画書とは、商工会議所や商工会からのみ交付を受けられる書類です。発行を申請するには、経営計画書と補助事業計画書の写しを商工会議所等へ提出する必要があります。事業支援計画書の受け取りまでは約1週間かかる可能性があります。
事業支援計画書の交付には、受付締切があるので注意しましょう。例えば13回公募では、本補助金の申請受付締切日2023年9月7日の1週間前である8月31日が事業支援計画書の受付締切となっていました。14回公募では、2023年12月5日(補助金申請締切が12月12日)と決められています。
発行してもらった事業支援計画書は、スキャナーなどで読み取ってPDF化してください。

その他の必要書類を作成する

小規模事業者持続化補助金の申請には、経営計画書・補助事業計画書・事業支援計画書の他にも次の必要書類を準備します。

  • 持続化補助金事業に係る申請書(電子申請の場合は不要)
  • 補助金交付申請書(電子申請の場合は不要)
  • 宣誓・同意書
  • 【法人】貸借対照表・損益計算書1期分の写し、株式名簿の写し(該当者のみ)
  • 【個人事業主】直近の確定申告書(収支内訳表または青色申告決算書または開業届)の写し
  • 【NPO】貸借対照表・活動計算書1期分の写し、現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書の原本、法人税確定申告書の写し
  • 【任意】加点項目を証明するための各種書類、事務所賃料関係の書類

通常枠以外に申し込む場合は、それぞれの申請枠に応じた書類も準備します。

  • 賃金引上げ枠誓約書などの賃金引上げ枠に必要なもの
  • 卒業枠誓約書など卒業枠に必要なもの
  • 認定市区町村等が実施した特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の写しなど創業枠に必要なもの
  • インボイス特例誓約書などインボイス特例に必要なもの

いずれの様式も、公式サイトの「申請方法」からダウンロード可能です。

各書類を電子申請する

書類の準備ができたら、Jグランツを利用して電子申請を行いましょう。書類郵送の場合は、必要書類のデータを電子媒体に記録し、その電子媒体を郵送します。

電子申請の場合は、まずJグランツ公式サイトへアクセスします。取得したGビズIDプライムアカウントを入力したら、小規模事業者持続化補助金の項目を検索し、案内の通りに必要事項を入力しましょう。
Jグランツでの電子申請の方法は、公式サイトの「電子申請(Jグランツ)の流れ」にて手引書が確認できます。

Jグランツ

電子申請が終わったら、事務局による審査が行われます。審査に通過して採択を受けたら、補助事業をスタートする準備ができるという流れです。

採択決定後の流れ

小規模事業者持続化補助金の採択を受けた後は、以下の流れに沿って採択決定後の手続きや補助事業を進めていきます。

  • 交付決定通知書を受け取ってから、補助事業を開始する
  • 補助事業完了後、実績報告を行う
  • 精算払請求をして、補助金を受け取る
  • 事業効果等状況報告を行う

流れに沿って順番に見ていきましょう。

採択決定後の流れ

交付決定通知書を受け取ってから、補助事業を開始する

採択を受けた上で提出していた補助金交付申請書に不備がなければ、事務局より交付決定通知書が送られてきます。補助事業の実施は、この交付決定通知書を受領した後で行う必要があります。

補助事業の準備ができたら、提出した事業計画書に沿って補助事業を実施しましょう。補助事業は、あらかじめ決められた補助事業実施期間(交付決定日より6か月程度)までに完了させなければなりません。

補助事業完了後、実績報告を行う

補助事業が完了したら、実績報告書や実績の根拠となる書類(見積書や請求書などの写し)を用意して事務局へ実績報告を行いましょう。実績報告の締切日は、補助事業終了日から起算して30日経過後または最終提出期限のいずれか早い日です。

事務局は実績報告に基づいて確定検査や現地調査を行い、小規模事業者持続化補助金の金額を決定します。もし実績報告の不備が解消されない要件を満たさないなどがあれば補助金の減額や交付取消になる可能性があるので注意しましょう。

精算払請求をして、補助金を受け取る

確定検査が終わって補助金額が確定したら、こちら側から精算払請求をする必要があります。ここまで流れ通りに終わらせても、請求手続きをしなければ補助金は交付されません。

事務局から「補助金確定通知書」が送付されるので、そこで金額を確認し事務局へ精算払請求を行ってください。

事業効果等状況報告を行う

補助事業が終了して補助金を受け取った後も、事業効果等状況報告によって補助事業実施後の成果などを事務局へ報告する必要があります。補助事業完了から1年後に、事業効果および賃金引上げ等状況報告を行いましょう。様式は、公式サイトの「実績報告手続き」よりダウンロード可能です。

補助金を電子申請で行った事業者は、実績報告もJグランツを使わなければなりません

小規模事業者持続化補助金の手続きを行う際の注意点

小規模事業者持続化補助金の手続きには大まかな流れが決まっているものの、細かい注意点がいくつか存在します。流れに沿った手続きだけではなく、準備や手続き後の取扱もしっかりと意識しておきましょう。

準備には余裕をもって

小規模事業者持続化補助金の手続きには、経営計画書や補助事業計画書の作成、商工会議所・商工会との連携、補助事業に必要な設備の手配・業者とのやり取りなど、さまざまな準備が必要です。さらに、それぞれの流れの中には締切が存在します。

そのため、小規模事業者持続化補助金の手続きの準備は余裕をもって進めましょう。余裕がないと、手続き不備や補助事業の失敗などのトラブルが発生し、不採択や交付取消になる可能性があります。

また、準備に余裕があれば事業計画書の作り込みや加点項目への取組なども進めやすいので、採択される可能性を上げることもできるはずです。

証拠書類は五年間保管

事業計画書や補助事業の確定検査に使った証拠書類や帳簿類は、補助事業終了日(廃止の承認を受けた場合も含む)から5年間の保管が必要です。また、事務局や国の機関(独立行政法人や会計検査院など)から求めがあったときに、いつでも閲覧できるようにしておかなければなりません。

補助金を受け取ったからといって、納品書や請求書、会計情報に関するものをすべて破棄しないようにしましょう。

補助金は課税対象

原則として、小規模事業者持続化補助金を始めとする補助金全般は、事業の収益扱いで所得税・法人税・住民税の課税対象になります(消費税は対象外)。補助金を受け取ったときは、受け取った金額分を仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿に記録し、確定申告時に申告しましょう。

補助事業内容を変更する際は別途申請が必要

もし採択を受けた後に補助事業の内容や経費配分などを変更する場合は、別途申請が必要です。変更する際は、事務局へ「変更承認申請書」を提出し、承認を受けましょう。変更は原則として、補助事業の交付の目的に沿った範囲内である必要があります。

まとめ

小規模事業者持続化補助金を受けるには、あらかじめ決定されたスケジュールの流れに沿って手続きや事業を実施する必要があります。流れから逸脱すると、申請の不受理、補助金交付取消や減額などにつながるので注意しましょう。

手続きにはさまざまな書類の作成が必要になりますが、いずれの作成においても公式サイトなどにてガイドブックや手引書を見ながら進められます。もしわからないことがあれば、事務局や商工会議所・商工会、補助金コンサルティング会社などの専門家へぜひご相談ください。

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