【2024.2】小規模事業者持続化補助金の創業枠とは?創業3年以内の事業者におすすめ!

小規模事業者持続化補助金の「創業枠」は、創業3年以内の事業者向けの補助金制度です。採択を受けて交付が決定すれば、最大で200万円の補助金を受け取れます。しかし中には、「創業枠への申請要件がわからない」「うちは小規模事業者持続化補助金の対象になるのか」と、疑問に思う事業者もいるのではないでしょうか。

本記事では、小規模事業者持続化補助金の創業枠の概要や、申請要件に関係する特定創業支援等事業などについて徹底的に解説します。

この記事を読むと
  • 創業枠の申請要件が分かる
  • 創業枠の必要類を知れる
この記事の目次
小規模事業者持続化補助金

創業枠ならより大規模な補助を狙える

小規模事業者持続化補助金の創業枠の採択を受けられれば、最大200万円という大幅な補助を狙えます。本補助金の創業枠を申請するメリットを解説します。

なお創業枠は、一度採択されて補助金交付を受けると、同一法人・同一個人の別屋号において、もう一度創業枠へ申請することができなくなります(他の枠への申請は可能)。

創業枠ならより大規模な補助を狙える

補助額は最大で200万円に

小規模事業者持続化補助金の創業枠の補助上限額は200万円と、通常枠50万円の4倍です。他の補助金と同じく原則として返済不要であるため、創業したばかりで資金力に自信がない事業者にとって非常に有用な資金調達手段になります。

通常枠創業枠
補助上限金額50万円200万円
補助率2/32/3
追加申請要件なしあり

また、追加要件にある「特定創業支援等事業」の取組自体が創業したての事業者を支援する制度であるため、本補助金との相乗効果でより大規模な販路拡大や事業展開が狙いやすくなります。

個人事業主も対象に

創業枠は、個人事業主も対象事業者になります。法人と比べると資金力や信用力に不安が多い個人事業主ですが、創業枠を活用することで「資金調達ができる」「補助金事業に採択された事業者とアピールできる」といったメリットを受けられます。

インボイス特例で更に上乗せもできる

インボイス特例とは、次の要件に該当する事業者のうち「適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)」への登録を行った者が適用できる、補助上限額の上乗せ制度です。

  • 2021年9月30日~2023年9月30日に属する課税期間で一度でも免税事業者だった、または免税事業者であることが見込まれる事業者
  • 2023年10月1日以降に創業した事業者

上乗せできる金額は50万円です。創業枠で適用すれば、補助上限額は250万円になります。

創業枠の追加要件

小規模事業者持続化補助金の創業枠へ申請するには、通常枠の申請要件を満たした上で、創業枠に設けられた追加要件もクリアする必要があります。創業枠の追加要件について解説します。

創業枠の追加要件

公募締切日の過去3年以内に創業したこと

創業枠の追加要件の1つに、「公募締切日から起算して過去3年以内に創業したこと」が挙げられます。例えば14回公募の締切日2023年12月12日で考えると、2020年12月12日〜2023年12月12日に法人設立や開業をした事業者が対象になります。

「特定創業支援等事業」の支援を締切日の過去3か月以内に受けたこと

創業枠の追加要件の1つに、「特定創業支援等事業」の支援を締切日の過去3か年以内に受けたことが挙げられます。

対象になる支援のタイミングの考え方は、「公開締切日の過去3年以内に創業したこと」と同じです。14回公募なら、2020年12月12日~2023年12月12日の間に特定創業支援事業の支援を受けると創業枠の追加要件を満たせます。

ただし、法人・個人事業主ともに特定創業支援の支援対象とすべき者が決まっています。定められた人以外が支援を受けても、要件は満たせないので注意してください。

特定創業支援等事業とは?

特定創業支援等事業とは、「産業競争力強化法」に基づいた「認定市区町村」または「認定市区町村と連携した認定連携創業支援等事業者」が実施する、事業者のサポート事業の一環です。創業者の経営、財務、人材育成、販路開拓などの知識を身に付けてもらうことを目的に取り組まれています。

特定創業支援等事業の対象事業者は、次の2つのうちいずれかに該当する者です(2社目以降は原則として対象外)。

  • これから創業を行おうとする者(まだ事業を営んでいない者)
  • 事業を開始した日以後5年を経過していない(5年未満)の法人・個人

特定創業支援等事業を受けて証明書を受け取ることで、次の優遇制度を利用できます。

  • 株式会社・合同会社・合名会社・合資会社を設立するときの登録免許税が半額になる
  • 無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できる(別途審査あり)
  • 日本政策金融公庫「新創業融資制度」の自己資金要件(創業資金総額の1/10以上)を満たしたものとして扱われる
  • 日本政策金融公庫の「新規開業資金」の利用時に、貸付利率の引き下げを適用できる(別途審査あり)

特定創業支援等事業と本補助金の創業枠を有効活用すれば、スタートアップ時の資金調達手段を確保しやすくなるメリットがあります。

創業枠の申請時に追加で必要な書類

小規模事業者持続化補助金の創業枠に申請するときは、通常枠の必要書類に追加して他の書類の提出が求められます。創業枠の申請時に、追加で必要な書類を見ていきましょう。

創業枠の申請時に追加で必要な書類

特定創業等支援事業の支援を受けたことの証明書

特定創業支援等事業を受けた事業者は、その証明として特定創業支援等事業を実施した市区町村から証明書が発行されます。創業枠へ申請する際は、発行された証明書の写しを一緒に提出しましょう。要件に適合していれば、提出時に証明書の有効期限が切れていても認められます。

法人の場合は履歴事項全部証明書or現在事項全部証明書

法人が創業枠へ申請するときは、「履歴事項全部証明書」または「現在事項全部証明書」の原本の提出が求められます。ただし、本補助金の申請書の提出日から3か月以内の日付のものに限ります。

創業枠への申請時には、あらかじめ最新の証明書を準備しておきましょう。

個人事業主の場合は開業届

個人事業主の場合は、税務署の受付印がある開業届の写しを申請書に添付して提出します。電子申告によって開業の手続きを行っていた場合は、「受付結果(受信通知)」を印刷したものを受付印の代わりに添付して提出してください。

創業枠で申請する際の注意点

小規模事業者持続化補助金の創業枠へ申請する際は、特定創業支援等事業に関する部分や補助金の受取タイミングなどについて、注意すべき点が存在します。ここからは創業枠を受けようとする事業者が知っておくべき注意点をまとめました。

創業枠で申請する際の注意点

特定創業等支援事業の支援を受けるタイミングに注意する

特定創業支援等事業の証明書発行は、余裕を持って進めることをおすすめします。特定創業支援等事業は開催時期や支援期間、定員が決まっているからです。また、証明書発行までには1か月以上、4回以上、継続的に4つの分野(経営、財務、人材、販路開拓)を受講しなければなりません。

希望のタイミングで受講できないことが続くと、創業枠の「3か年以内」という要件が満たせなくなる可能性があります。特定創業支援等事業の開催時期と内容は、事前にチェックしておきましょう。

特定創業等支援事業の支援は経営者本人が受けること

追加要件にある「特定創業支援等事業の支援」は、経営者本人が受ける必要があります。法人・個人事業主それぞれの対象・対象外の者をまとめました。

法人個人事業主
会社設立の場合は代表取締役または代表社員企業組合・協業組合の場合は代表社員士業法人の場合は代表社員個人事業主本人が支援を受けたときのみ創業枠の対象
代表者以外の役員や従業員が直接支援を受けたときは対象外家族専従者や後継予定者など、個人事業主本人以外が支援を受けたときは対象外

証明書発行も余裕をもって

特定創業支援等事業の証明書の発行には、1週間~3週間程度かかります(市区町村によって異なる)。「特定創業支援等事業は受けたのに、証明書の発行が間に合わなかった」という事態にならないよう、証明書発行も時間に余裕を持って行いましょう。

創業そのものに対する補助金ではない

本補助金の創業枠は、あくまで実施した補助事業で発生した経費に対して支払われる補助金制度です。特定創業支援等事業を受講したり3年以内に創業したりしただけでは、補助金の採択は受けられません。他の補助金と同じように、事務局から採択を受けて補助事業期間中に完遂できる事業計画を立てましょう。

補助金は原則後払い

小規模事業者持続化補助金を含めた補助金制度は、原則として補助事業を実施した後に計算・請求する後払い制度です。補助事業実施中は、通常業務の支出に加えて補助事業の経費の全額を、自己資金や借入金でまかなう必要があります

創業間もない事業者にとって、資金繰りや多額の支出は大きな負担になります。「申請したらすぐに受け取れる」と勘違いして、補助事業中のキャッシュフローに問題が生じる事態にならないよう注意しましょう。

補助金は基本的に課税対象

本補助金を含めて、国・自治体から交付される補助金は基本的に課税対象です。創業枠で200万円を受け取った場合は、事業収益(雑収入)200万円として計上する必要があります。

創業間もない事業者だと、所得税・住民税の納税額やかかる税率によって資金繰りの対応が大きく変わる可能性があります。事業計画を策定するときには、補助金にかかる税金を意識したキャッシュフロー計画も立てておきましょう

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が2024年以降相次いで直面するさまざまな制度変更(インボイス制度や)に対応するために取り組む経費の一部を補助することで、地域雇用や地域産業を支える小規模事業者等の生産性向上・持続的発展をサポートする補助金事業です。

本補助金の対象になるのは、販路開拓・販路拡大を行う事業や、販路開拓・拡大などに並行して行う生産性向上(業務効率向上)の取組です。これらの事業・取組で発生した経費(補助対象経費として認められたもの)のうち、原則として2/3の金額まで補助してくれます。

とくに本補助金の特別枠である「創業枠」を活用すれば、創業3年目以内の若い事業者でも返済不要の200万円の資金調達が可能になります(インボイス特例を使うと最大250万円)。

以下では創業枠の解説を行う前に、小規模事業者持続化補助金の概要を紹介します。

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金はどんな時に活用する?

小規模事業者持続化補助金は、公募要領にて定められた「補助対象経費」に該当する経費が発生する事業に活用できます。14回公募時点における、補助対象経費に該当するものは次の11区分です。

補助対象経費概要
機械装置費等補助事業に必要な機械装置や設備の購入費
広報費パンフレットやチラシの制作・外注・発送や、新聞・雑誌への出稿などに使用する費用
ウェブサイト関連費販路開拓等を行うためのホームページやECサイト開設や、新システムの開発・構築・更新・改修・運用に必要な費用
展示会等出展費新商品などを展示会等へ出展、または商談会に参加するために要するなどの出展料、運搬費、通訳料、翻訳料
旅費展示会への出展や新商品生産のために必要な原材料調達の調査などにかかる宿泊代や、公共交通機関(グリーン車やビジネスクラスの付加料金分は除く)などの費用
新商品開発費新商品の試作品や包装パッケージの試作開発に伴う原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
資料購入費補助事業遂行に必要不可欠な図書等(税込10万円未満、1種類につき1冊・1部まで)を購入するために支払われる経費
雑役務費補助事業の遂行に必要な臨時アルバイト・派遣労働者へ支払う賃金や交通費
借料補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料
設備処分費作業スペースを拡大する、借りていた設備機器等の返却時の修理・原状回復をするなどに要した経費
委託・外注費1~10に該当しない、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者へ委託・外注する際に発生する経費

補助対象経費の範囲は、創業枠を含めたすべての枠で適用されます。事業計画書作成時は、発生する経費が上記に該当するかをしっかりチェックしましょう。

小規模事業者持続化補助金を利用した活用方法や事業計画についてお悩みであれば、補助金サポートのエキスパートである弊社「株式会社INU」の無料コンサルティングサービスもぜひご活用ください。

小規模事業者持続化補助金の対象事業者

小規模事業者持続化補助金の対象事業者となるのは、以下に示した小規模事業者の定義に該当する「常時使用する従業員」の数を雇う法人・個人事業主です。また、補助対象となる事業形態の事業者のみが対象になります。14回公募時点での小規模事業者の定義や補助対象の事業形態は、次の通りです。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募 公募要領

他にも過去3年間の課税所得年平均15億円以下、商工会議所の管轄地域内での事業実施などの条件を満たす必要があります。一方で過去に本補助金の卒業枠で補助金を交付された者、大企業の完全子会社などの事業者は、対象事業者から外されます。

対象事業者の詳細な要件は、公募要領をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募 公募要領

小規模事業者持続化補助金の基本要件

小規模事業者持続化補助金の基本要件とは、次の3つの項目を満たすことです。

  • 「販路拡大等のための取組」または「販路拡大等と組み合わせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組」を行う補助事業計画であること
  • 商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
  • 国が助成する他の制度と同一・類似内容の事業、事業実施後1年以内に売上が見込めない事業、そのほか公的支援に相応しくないと判断された事業でないこと

上記3つをクリアした事業計画なら、本補助金の「通常枠(補助上限額50万円・補助率2/3)」への申請条件を満たせます。

創業枠といった「特別枠」へ応募する場合は、基本要件に加えて追加要件を盛り込んだ事業計画が必要です。

例えば「賃金引上げ枠」なら、「補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上であること」が追加要件として設けられています。

創業枠やその他の特別枠にも、各枠独自の追加要件が設定されています。

小規模事業者持続化補助金の申請方法・スケジュール

小規模事業者持続化補助金の申請方法は、電子申請と郵送申請の2種類です。郵送申請は補助金の採択審査時の減点対象になるリスクがあるので、利便性も考えて電子申請のほうがおすすめをおすすめします。

以下では、本補助金のスケジュールを見ていきます。

  • GビズIDプライムアカウントを取得
  • 経営計画書と補助事業計画書を作成
  • 商工会議所・商工会へ事業支援計画書の発行依頼
  • 宣誓・同意書や収支・業績がわかる書類(決算書、確定申告書、活動計算書など)の準備
  • 特別枠ごとに必要な書類や加点項目に関する書類など、任意で提出する書類の準備
  • 国・自治体の電子申請システムJグランツを用いて、電子申請を実施
  • 採択を受けて交付決定通知書が届いたら、補助事業期間中に補助事業実施
  • 補助事業終了後に実績報告、事務局による確定検査を経て補助金額を確定
  • 精算払請求を行い、補助金の交付
  • 補助事業終了日より1年後に、事業効果等状況報告
小規模事業者持続化補助金のスケジュール(14回公募)

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14 回公募 公募要領

GビズIDプライムアカウントを所持していれば、小規模事業者持続化補助金以外の補助金の電子申請を行う際も使えます。取得しておいて損はありません。

申請に必要な書類や電子申請マニュアル・補助事業の手引書などは、本補助金の公式サイトにてダウンロードできます。

小規模事業者持続化補助金の公式サイト

まとめ

小規模事業者持続化補助金の創業枠は、本補助金の締切日から3か年以内に創業かつ特定創業支援等事業を受けた事業者が対象になる補助金制度です。インボイス特例と併せると最大で250万円の補助金を受け取れます。特定創業支援等事業による優遇制度と合わせると、開業したての事業者にとって非常に心強いサポートとなるでしょう。

ただし、申請時には特定創業支援等事業に関する追加要件を満たす必要があります。

もし創業枠における事業計画書策定や特定創業支援等事業について疑問点・不安点があるときは、補助金支援のエキスパートである弊社「合同会社INU」へご相談ください。オンラインによる全都道府県の事業者の支援や、無料相談などを受け付けております。

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