【2024.2】小規模事業者持続化補助金の卒業枠について徹底解説!事業拡大を目指す事業者におすすめ!

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)には、常勤従業員を一定以上増やすことで通常枠より補助金上限額が増える「卒業枠」が設けられています。従業員の増加による事業拡大を目指す事業者におすすめの申請枠です。

本記事では小規模事業者持続化補助金の卒業枠の詳細や申請条件申請時の注意点を徹底解説します。

この記事を読むと
  • 小規模事業者持続化補助金の概要が分かる
  • 卒業枠の追加要件が把握できる
この記事の目次
小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓・拡大や販路開拓等に伴って行う業務効率化(生産効率化)を行う小規模事業者・特定非営利活動法人(NPO)を対象にした、国の補助金事業です。

本補助金の採択を受けて補助事業(補助金の交付対象になる事業)を問題なく遂行すれば、一般型のうちもっともオーソドックスな通常枠なら、最大50万円(インボイス特例適用なら100万円)まで交付されます。また、卒業枠といった特別枠でならさらに高額の補助金を受け取れる可能性があります。

なお小規模事業者持続化補助金の中でも、卒業枠は「一度採択を受けて補助事業を実施すると、その後同じ事業者は小規模事業者持続化補助金に申請できない」という少し特殊な枠です。

以下では卒業枠の解説をする前に、本補助金の概要を改めて見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金は活用例は?

本補助金は、次に挙げたような事業を行うときに、事業遂行に必要な経費について金銭的補助を受けられます。

  • 販路開拓を目的にしたパンフレットやチラシの作成・配布にかかる費用(広告費
  • インターネットを利用した新規顧客獲得のためのWebサイト制作費(ウェブサイト関連費
  • 自社ブランドの認知度アップや販路拡大を目的にした、新商品の展示会への出展料(展示会等出展費
  • 新規顧客獲得やブランド力アップを目的にした、新商品・サービスの開発費用(新商品開発費

上記の他にも、利用購入費雑役務費費設備処分費委託・外注費旅費借料など、さまざまな経費に対して、小規模事業者持続化補助金を活用できます。補助対象経費にどのようなものがあるかは公募ごとに変わる可能性があるので、都度公募要領をご覧ください。

もし事業計画の作成や補助対象経費ついてご相談があれば、補助金に関する各種サポートを提供する、弊社「INU株式会社」へお問い合わせください。無料コンサルティングによる疑問点の解消や補助金の活用方法などのご提案をさせていただきます。

小規模事業者持続化補助金の対象事業者

小規模事業者持続化補助金の対象事業者になるのは、以下7つの条件をすべて満たした事業者です。

  • 過去に本補助金の「卒業枠」で採択を受けた事業者でないこと
  • 小規模事業者であること
  • 会社それに順ずる営利法人、個人事業主であること
  • 大企業の完全子会社でないこと(大企業に直接・間接的に株式を100%保有されていないこと)
  • 課税所得の年平均額が15億円より少ないこと
  • 適切な状況報告を提出したこと(以前、卒業枠以外で本補助金が採択された事業者に限る)
  • 申請する事業でまだ補助や助成を受けていないこと

小規模事業者の要件は次の通りです。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

なお本補助金の卒業枠では、上記に挙げた小規模事業者の定義よりも多くの従業員を使用することが申請条件になっています。

小規模事業者持続化補助金の基本要件

小規模事業者持続化補助金の基本要件とも言うべき、補助対象事業で満たすべき3つの要件があります。

1つ目

策定した「経営計画」に基づいて実施する販路開拓・拡大などの取組であること、または販路開拓・拡大などの取組と併せて行う業務効率化のための取組であることです。販路拡大に関する、補助事業計画を立てましょう。

2つ目

商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることです。具体的には、商工会議所や商工会のアドバイスや、事業支援計画書の発行などを受けながら事業を進めることを意味します。

3つ目

特定の事業に該当するものを行わないことです。具体的には、以下のものが当てはまります。

  • 同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と同一または類似内容の事業
  • 本事業の終了後、おおむね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
  • 事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの

参考:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募 公募要領

小規模事業者持続化補助金の申請方法・スケジュール

小規模事業者持続化補助金の申請方法には、電子申請と郵送申請の2種類が存在します。郵送申請ならインターネットを介さずに手続きを進められますが、補助金の採択審査の際に減点対象になるデメリットがあります。原則として、電子申請のほうがおすすめです。

以下では、本補助金のスケジュールを見ていきます。

  • GビズIDプライムアカウントを取得する
  • 経営計画書と補助事業計画書を作成し、商工会議所・商工会から事業支援計画書を発行してもらう
  • 宣誓・同意書や収支・業績がわかる書類(決算書、確定申告書、活動計算書など)を用意する
  • 特別枠ごとに必要な書類や加点項目に関する書類など、任意で提出する書類を用意する
  • 国・自治体の電子申請システムJグランツを使って、電子申請を行う
  • 交付決定通知書が届いたら、補助事業期間中に補助事業を行う
  • 補助事業終了後に実績報告を行い、確定検査を経て補助金額を確定する
  • 精算払請求を行い、補助金の交付を受ける
  • 補助事業終了日より1年後に、事業効果等状況報告を行う
小規模事業者持続化補助金のスケジュール(14回公募)

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14 回公募 公募要領

各必要書類や電子申請・補助事業の手引書などは、小規模事業者持続化補助金の公式サイトにてダウンロードできます。

小規模事業者持続化補助金の公式サイト

卒業枠ではより大規模な補助を狙えます!

小規模事業者持続化補助金には、通常枠よりも補助上限金額が高い特別枠が設けられています。14回公募時点では、卒業枠創業枠後継者支援枠賃金引上げ枠の4つです。

その中でも卒業枠とは、名称の通り小規模事業者を卒業することで補助金の交付を受けられるものです。卒業枠で受けられる大規模な補助や要件などについて解説します。

最大補助額は200万円に

小規模事業者持続化補助金の卒業枠の最大補助額は200万円と、通常枠の4倍です。補助率は通常枠と同じく2/3となっています。

通常枠卒業枠
補助上限金額50万円200万円
補助率2/32/3
追加申請要件なしあり

例えば通常枠で最大効率の補助金交付を受けられるのは、経費75万円(75万円×2/3=50万円)です。一方で卒業枠なら、経費300万円(300万円×2/3=200万円)での事業計画を策定できます。

その代わり小規模事業者を「卒業」することが必要

小規模事業者持続化補助金の卒業枠へ申請するには、小規模事業者を「卒業」することが必要です。具体的には、小規模事業者の規模を超えるように常勤従業員を増やす必要があります。卒業枠で本補助金を受け取った後は、今後「小規模事業者を卒業した者」として、小規模事業者持続化補助金の対象にならないので注意しましょう。

途中から通常枠に変更することはできないので注意

小規模事業者持続化補助金の創業枠に申請し採択を受けた後は、万が一補助事業で卒業枠の追加要件達成が見込めなくても途中から通常枠へ変更することはできません。もし通常枠の要件を満たしていても、変更は認められません。

インボイス特例も活用すれば更に上乗せ可能

インボイス特例とは、通常枠や特別枠の要件に加えて「2021年9月30日から2023年9月30日に属する課税期間で免税事業者であった者、または免税事業者であることが見込まれる者」および「2023年10月1日以降の創業した事業者」のうち、適格請求書発行事業者(インボイス事業者)に登録を受けた者が受けられる、補助金上乗せ制度です。

インボイス特例を適用できれば、通常枠・特別枠ともに補助金上限額が最大50万円アップします。卒業枠なら、最大250万円の受け取りが可能です。

卒業枠の追加要件

小規模事業者持続化補助金の卒業枠へ申請するには、追加要件と追加の必要書類提出が求められます。詳細を見ていきましょう。

卒業枠の追加要件

「常勤従業員」を増やして小規模事業者から脱却すること

卒業枠の追加要件として、「常勤従業員(常時使用する従業員)」を増やして小規模事業者から脱却することが挙げられます。具体的には、補助事業終了時に次の常勤従業員数を達成することです。

卒業枠の追加要件
業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)6人以上
サービス業のうち宿泊業・娯楽業21人以上
製造業その他21人以上

労働者名簿と誓約書の提出も必須

小規模事業者持続化補助金の卒業枠への申請は、通常枠の必要書類に加えて「労働者名簿」と「誓約書」の提出が必須になります。

提出する労働者名簿は、労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)でなければなりません。労働者名簿に基づく労働名簿とは、次の項目が記載されたものを意味します。

  • 労働者の氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入れの年月日

次に誓約書とは、「卒業枠の申請に係る誓約書(様式8)」のことです。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>第14回公募 応募時提出書類・様式集

また卒業枠の申請時には、「経営計画書(様式2)」の卒業枠欄にチェック、補助事業計画書②(様式3)の「Ⅱ.経費明細表」の「卒業枠」欄にチェックが必要です。

要件を満たせなければ、交付決定後でも補助金不交付に

もし卒業枠に申請して補助事業を遂行し交付が決定したとしても、常勤従業員の要件が満たせない場合は補助金が不交付になります。

「常勤従業員」に関する注意点

小規模事業者持続化補助金の卒業枠の交付を受けるには、常勤従業員についてよく理解しておきましょう。卒業枠における常勤従業員の考え方を解説します。

パートタイマーは含まない

卒業枠の追加要件となる常勤従業員数には、パートタイマーは含みません。常勤従業員の対象外となるパートタイマーとは、以下のいずれかに該当するケースです。

  1. 日々雇い入れられる者(日雇労働者)
  2. 2か月以内の期間を定めて雇用される者(2か月以内の有期雇用労働者)
  3. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者(季節労働者)
  4. .所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の従業員」の所定労働時間に比べて短い者

1~3のうち、所定の期間を超えて引き続き雇用される者は常勤従業員に含めます。

4の「通常の従業員」とは、社会通念に従い、雇用形態・賃金体系などを総合的に勘案して判断されます。

例えば事業場に正規型の従業員がいないときは、フルタイムの基幹的な働き方をしている従業員が通常の従業員扱いです。

常勤従業員よりも「1日の労働時間および1か月の所定労働時間日数が3/4以下」または「1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が3/4以下」に該当すると、パートタイマー扱いになります。

さらにパートタイマー以外にも、会社役員、個人事業主本人、個人事業主と同居の親族従業員、.申請時点で育児休業中・介護休業中・傷病休業中または休職中の社員(法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者)は、常勤従業員の対象外です。

基準は「補助事業終了時」

常勤従業員数の基準は「補助事業終了時」です。もし補助事業期間中に卒業枠の要件を満たす常勤従業員がいても、途中で退職して終了時に数が満たせない場合は卒業枠の補助金は不交付です。注意しましょう。

まとめ

小規模事業者持続化補助金の卒業枠は、通常枠の要件に加えて「小規模事業者の定義を超える常勤従業員を雇用すること」で、小規模事業者を卒業した場合に補助が出る特別枠です。最大で200万円、インボイス特例を適用すれば最大で250万円の補助金交付が受けられます。

もし販路開拓にあたって常勤従業員数の増加を計画する場合は、卒業枠への応募をぜひ検討してみてください。ただし卒業枠に採択されて補助金交付を受けると、次回以降の本補助金へは応募できなくなります。応募の際は、将来的にもう一度小規模事業者持続化補助金が必要になるかどうかも検討しておきましょう。

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