【2025.6】小規模事業者持続化補助金は人件費に使える?対象経費と申請時の注意点

小規模事業者持続化補助金を人件費に使えるかどうか、悩んでいませんか?この記事では、補助金で使える経費と使えない経費について分かりやすく解説します。人件費を経費とすることの可否や、申請時の注意点、事業計画書の書き方まで網羅的に説明することで、補助金申請を成功に導くための情報を提供します。

ぜひ本記事を参考に、経費に関する疑問を解消し、安心して申請手続きを進めてください。

この記事を読むと
  • 小規模事業者持続化補助金を人件費に使えるかどうかがわかる
  • その他の経費の使い方がわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次
小規模事業者持続化補助金

1. 小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が実施する補助金制度で、小規模事業者が経営計画に基づいて行う販路開拓等の取り組みを支援するものです。 売上増加や生産性向上、制度改革への順応を目的とした設備投資や販促活動等に必要な経費の一部を補助することで、小規模事業者の持続的な発展を後押しします。

補助対象となる事業者は、会社だけでなく、個人事業主なども含まれます。

1. 小規模事業者持続化補助金の概要

1.1 補助対象事業者

補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす事業者です。

  • 小規模事業者であること
  • 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が 15億円を超えていないこと

引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

小規模事業者の中には、個人事業主やNPO法人も含まれます。また、小規模事業者の従業員は以下のように定義づけられています。

引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

1.2 補助上限金額と補助率

小規模事業者持続化補助金は一般型 通常枠と、創業3年以内の事業者のみが申請できる創業型の2つに分けて募集されています(2025年6月現在)。

それぞれの補助上限金額、補助率は以下のとおりです。

一般型 通常枠

補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
補助上限50万円
インボイス特例50 万円上乗せ
※インボイス特例の要件を満たしている場合に限る
賃金引上げ特例150万円上乗せ
※賃金引上げ特例の要件を満たしている場合に限る
上記特例の要件をともに満たす事業者200万円上乗せ
※両特例要件を満たしている場合に限る
参照:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

創業型

補助率2/3
補助上限200万円
インボイス特例50 万円上乗せ
※インボイス特例の要件を満たしている場合に限る
参照:小規模事業者持続化補助金<創業型>第 1 回公募 公募要領

2. 小規模事業者持続化補助金で人件費は使える?

新たな事業に向けて、人件費を拡充したい方も多いでしょう。では、小規模事業者持続化補助金は人件費に使うことができるのでしょうか?以下で解説します。

2.1 小規模事業者持続化補助金は人件費に使えない

結論から言うと、小規模事業者持続化補助金で人件費を原則として使うことはできません。小規模事業者持続化補助金は、設備投資や販促活動など、事業の売上アップや生産性向上につながる取り組みを支援するための補助金です。人件費は、事業の維持・運営に不可欠な経費ではありますが、補助金の趣旨である「新たな取り組み」には該当しないと判断されているため、対象外となります。

公募要領にも、以下の経費は補助対象外であることが明記されています。

  • 役員報酬、直接人件費
  • 雑役務費(アルバイト代などの人件費、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費等)

参照:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

そのため、くれぐれも補助金を人件費を使うような事業計画で申請しないように気をつけましょう。

機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談
会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費

3. 人件費には使えない!小規模事業者持続化補助金の対象経費

小規模事業者持続化補助金は、人件費には使えないことがわかりました。しかし、小規模事業者持続化補助金は様々な経費を補助対象としています。設備投資費や広告宣伝費など、事業の成長を促すための幅広い支出が認められています。

ただし、補助対象となる経費にはそれぞれ一定の要件があるので、事前に確認することが重要です。

3. 人件費には使えない!小規模事業者持続化補助金の対象経費

3.1 小規模事業者持続化補助金の対象経費

小規模事業者持続化補助金の対象経費は以下のとおりです。

機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談
会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費

上記の経費であれば、小規模事業者持続化補助金を使うことができます。また、以下の要件を満たす必要もあります。

  • 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  • 交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費
  • 証憑資料等によって支払金額が確認できる経費

引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

先述したように、経費それぞれに対しても要件が設けられているので、必ず事前に公募要領を確認しましょう。

3.2 小規模事業者持続化補助金の対象外経費

小規模事業者持続化補助金の対象外経費は、以下のように示されています。

① 国が助成するほかの制度を利用している事業と重複する経費
○就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費
○デイサービス・介護タクシー等の居宅介護サービス事業者で介護報酬が適用されるサービス
○保険適用診療にかかる経費(薬局、整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等)

② 通常の事業活動に係る経費
○販売している商品の仕入
○老朽化した既存機械の取替え費用
○応接室のソファや従業員が使用する事務机の購入費用

③ 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
○塾や教室等で使用する有料教材の制作費用
○レンタル事業を営む事業者がレンタル機材を購入する費用
○電子書籍や本の出版に係る費用(電子書籍に係る費用は新商品開発費でも対象外)

④他社のために実施する経費
○他社の販路開拓につながる取組
○他社の商品を宣伝するための HP 制作費や他社製品を製造するための機械の導入
○他社への寄付金や協賛金

⑤自動車等車両
○自動車
○フォークリフト
○キッチンカー
○除雪車
○キッチントレーラー など
引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

上記の他にも対象外経費になるものがあるので、必ずしっかり確認しておきましょう。人件費も同じく対象外です。

4. 小規模事業者持続化補助金に申請する時の注意点

小規模事業者持続化補助金の申請にあたっては、いくつかの注意点があります。事前にしっかりと確認し、適切な申請を行うようにしましょう。

4. 小規模事業者持続化補助金に申請する時の注意点

4.1 事業計画書の作成

事業計画書は、補助金交付の可否を判断する上で非常に重要な書類です。具体的にどのような事業を行うのか、その事業によってどのような効果が期待できるのかを明確に記述する必要があります。記載事項に矛盾点があったり、実現可能性が低いと判断された場合は、補助金の交付を受けられない可能性があります。売上目標や顧客獲得目標など、数値目標を明確に設定し、実現可能な範囲で計画を立てることが重要です。

また、事業計画書を作成する際には、補助金の交付目的と合致しているかを確認することも重要です。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の生産性向上と持続的発展等を目的としています。そのため、事業計画もこの目的に沿った内容である必要があります。

4.2 補助対象経費の要件

補助対象となる経費には、いくつかの要件があります。例えば、補助事業に直接関係する経費であること適正な価格であること証拠書類によって支出が確認できることなどが挙げられます。これらの要件を満たしていない経費は、補助対象外となるため注意が必要です。

4.3 申請期間と提出方法

小規模事業者持続化補助金には、申請期間が設けられています。申請期間を過ぎてからの申請は受け付けられないため、余裕を持って準備を進めることが重要です。また、提出方法は、電子申請システムを利用します。必要書類を揃え、締め切りまでに提出するようにしましょう。

申請書類には、事業計画書以外にも、確定申告書登記事項証明書など、様々な書類が必要となります。事前に必要な書類を確認し、準備しておきましょう。また、提出書類に不備があると、申請が受け付けられない場合があるため、提出前に必ず確認しましょう。

これらの注意点を守り、適切な申請を行うことで、小規模事業者持続化補助金を有効に活用し、事業の成長につなげることができます。

5. 小規模事業者持続化補助金に申請する方法

小規模事業者持続化補助金の申請は、原則として電子申請で行います。補助金申請システム「Jグランツ」を利用して申請書類を提出します。

5. 小規模事業者持続化補助金に申請する方法

5.1 申請書類の準備

申請に必要な書類は、以下の通りです。

  • 持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
  • 経営計画兼補助事業計画①(様式2)
  • 補助事業計画②(様式3)
  • 補助金交付申請書(様式5)
  • 宣誓・同意書(様式6)
  • 事業支援計画(様式4)
  • 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)
  • 株主名簿(該当者のみ)
  • 直近の確定申告書
  • 貸借対照表および活動計算書(直近1期分)
  • 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
  • 法人税確定申告書(別表一および別表四(所得の簡易計算))(直近1期分)

    引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

5.2 申請書の提出

電子申請は、JグランツからGビズIDプライムを利用して行います。GビズIDプライムは取得までに一週間以上かかる場合もあるので、早めに準備しましょう。

5.3 申請後の流れ

補助金の流れは以下のとおりです。

小規模事業者持続化補助金のスケジュール
引用:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第 17 回公募 公募要領

申請から補助金交付までには、一定の期間を要します。事業のスケジュールに合わせて、余裕を持って申請を行いましょう。

6. 小規模事業者持続化補助金のよくある質問

ここでは、小規模事業者持続化補助金に関するよくある質問をまとめました。

6. 小規模事業者持続化補助金のよくある質問

6.1 人件費に関する質問

6.1.1 正社員の人件費は補助対象になりますか?

正社員の人件費も補助対象外となります。

6.1.2 パート・アルバイトの人件費は補助対象になりますか?

パート・アルバイトの人件費も補助対象外となります。

6.1.3 賞与は補助対象になりますか?

賞与も補助対象です。

6.1.4 社会保険料は補助対象になりますか?

補助対象となる人件費に係る社会保険料の事業主負担分も補助対象外です。

6.2 補助金に関する一般的な質問

6.2.1 いくら補助してもらえますか?

補助金の上限金額と補助率のみが公開されており、実際にいくら補助してもらえるかは事業内容等によります。自社の補助上限金額と補助率を確認し、趣味レーションするのがおすすめです。

6.2.2 申請期間はいつですか?

申請期間は年度によって異なります。補助金事務局のホームページ等で最新情報をご確認ください。

6.2.3 採択されるためのポイントは?

事業計画の具体性、実現可能性、地域経済への波及効果などが評価のポイントとなります。説得力のある事業計画書を作成することが重要です。

7. 小規模事業者持続化補助金を人件費以外の経費で申請したいけど不安な場合は株式会社補助金プラスへ

小規模事業者持続化補助金を人件費以外の経費で申請しようと考えても、どの費用が対象になるのか、事業計画書にどう記載すべきかなど、分からないことが多く不安を感じる事業者様も多いのではないでしょうかります。また、申請準備に時間を費やすことで、本来の事業運営がおろそかになってしまう心配もあります。

株式会社補助金プラスでは、人件費以外の多様な経費項目に対応した申請支援を専門的に行っています。機械装置費、広告宣伝費、旅費、開発費など、事業者様の計画に最適な経費の選定から、説得力のある事業計画書の作成まで、経験豊富な専門家が細部にわたってサポートします。90%以上という実績に裏付けられた確かなノウハウで、事業者様の採択可能性を最大限に高めます。

オンライン完結型のサービスなので、全国の事業者様にご利用いただけます。小規模事業者持続化補助金以外の制度についてもご提案可能です。人件費以外の経費での申請をお考えで不安を感じている事業者様は、初回無料相談をご利用いただき、株式会社補助金プラスにぜひお気軽にお問い合わせください。

8. まとめ

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援するための補助金です。この記事では、特に人件費への活用について詳しく解説しました。

結論として、人件費は補助金の対象外となります。小規模事業者持続化補助金に申請するときは、人件費以外の経費で申請するように気をつけましょう。

また、補助金を活用するためには、事業計画書の作成や補助対象経費の要件など、申請時の注意点も確認しておきましょう。小規模事業者持続化補助金を有効活用して、事業の成長を目指してください。

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