【2024最新版】省人化・省力化補助金とは?その概要と業種別カタログ予想を紹介!

省人化補助金

2023年12月、日本政府が閣議決定した補正予算案の中でも、とくに注目を集めているのが「省人化・省力化補助金」です。

この補助金は、企業が効率化を図り生産性向上を促進するために提供されるもので、必要経費として1000億円を投じるとされています。

今回の記事ではこの省人化・省力化補助金の概要に焦点を当て、どのような業種やプロセスが対象となるかについて探っていきます。

省人化・省力化補助金を有効活用するポイントについて理解を深めるため、参考にしてください。

この記事を読むと
  • 省人化・省力化補助金の概要を把握できる
  • 省人化・省力化補助金の支援内容が分かる
  • 業種別の活用イメージが分かる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次
省人化・省力化補助金

省人化・省力化補助金とは【中小企業省力化投資補助金】

「省人化・省力化補助金」とは、経済産業省によって2024年から新しく導入される予定の補助金制度のことです。

主に「人手不足への対応」をテーマにした内容の補助金制度となっています。人手不足を解消するための設備やロボットの導入費用が対象です。

この補助金制度の申請パターンは、大きく以下の2パターンとなっています。

  1. 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化などの大規模成長投資補助金【3,000億円】
  2. 中小企業省力化投資補助事業【1,000億円】

省人化・省力化補助金とは

省人化・省力化補助金の目的とは

政府が考えている最終的な目的は、「人手不足への対策」です。

現状、日本の中小企業は、人手不足で悩んでいる企業がほとんどです。「物価高騰以上に、人手不足のほうが悩ましい」という会社も多く存在します。

日本商工会議所が2023年9月に行った調査によると「人手が不足している」と回答した企業は約7割となっています。

こういった人手不足問題の解消、および企業の生産性向上に向け「省人化を図れるロボットや設備への投資を後押しする」と謳っています。

省人化・省力化補助金の支援内容は?

省人化・省力化補助金の支援内容として、主に以下が含まれると見込まれています。

  • 生産プロセス効率化
  • 設備への投資
  • 賃金の向上
  • 経営の安定化

生産プロセスの効率化では、中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金)での支援が行われます。設備への投資は、新しい設備や拠点への投資を補助するものです。

賃金の向上は主に地方でのさらなる賃上げ実現を支援し、経営の安定化は、省力化促進や、事業再構築の予算を確保するための支援となっています。

省人化・省力化補助金の対象事業者と対象設備は?

省人化・省力化補助金の対象事業者については「多岐にわたる業種の小規模事業者や中小・中堅企業を対象」といった記載があります。介護・サービス業、製造、農業など、あらゆる業種の事業者が対象となるので、とくに縛りはないと考えて差し支えないでしょう。

対象となる設備については、一例として、

  • 介護・サービス「清掃・配膳ロボット」
  • 建設「運搬ロボット」「点検・測量ドローン」
  • 製造「組立ロボットアーム」
  • 農業「自走トラクター」「無人コンバイン」

などが想定されています。

省人化・省力化補助金の最新情報

省人化・省力化補助金の最新情報を随時更新していきます。
現在の要チェックポイントはこちら

令和8年9月末までに公募回数は15回程度と予定されている。(公募頻度は2か月に1回)
採択予定件数は計120,000件程度と予定されている。

※2024/2/27更新(情報は随時更新していきます。)

省人化・省力化補助金の補助金額

2023年度に閣議決定された以下の補正予算の資料を参考に解説していきます。

補助率は1/2となっており、補助上限金額は従業員数によって変わります。
例えば、従業員が5名以下なら200万円、6~20名なら500万円、21名以上なら1000万円となります。

省力化投資補助枠(カタログ型)とは?

令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)において、「カタログ型」という新たな申請類型が発表されました。この申請類型では、人手不足解消に効果がある製品を取り扱う企業が、まだ公表されていない「カタログ」を参照して製品を選択する形式となります。

現段階では、公表されていないカタログですが、今後、カタログに掲載される製品の認定や登録手続きについての情報が発表され、公募が開始されることが予想されます。この新しい取り組みは、IoTやロボットなどを活用した人手不足の解消に寄与する製品の導入を促進することを目的としています。

省力化・省人化補助金の対象経費・カタログ予想を紹介

「省人化・省力化補助金」は幅広い業種が対象となっているため、業種ごとに使い道や活用方法もさまざまです。

この章では、8つの業種別の省人化・省力化補助金の活用イメージを、それぞれ詳しくご紹介します。

省力化・省人化補助金の対象経費・カタログ予想を紹介

建設業

建設業における省人化・省力化補助金の活用イメージとしては、点検・測量のためのドローンや、運搬ロボットの導入が挙げられます。

これまで人の手によって行われてきた点検や測量といった作業を、ドローンに任せることで、大幅な時間短縮と安全性が実現可能となるでしょう。

また狭い場所や窮屈なスペースでの運搬作業は、車で行うことは難しいのが現状です。こういった場面で活用できる運搬ロボットを導入することで、作業員の手間と労力を大幅に削減できます。

サービス業

サービス業における省人化・省力化補助金の活用イメージは、「清掃や配膳を行ってくれるロボットの導入」などが一例といえます。

清掃や配膳といった、ある程度パターン化された作業をロボットが代替することにより、人的リソースを有効活用できるようになるでしょう。

その結果として省人化が実現でき、従業員がより重要な業務に集中できることで、さらに良質なサービスの提供が実現できます。

飲食業

省人化・省力化補助金を飲食業が活用するのであれば、以下のようなものが代表的な活用イメージとなります。

  • 券売機
  • デジタルオーダーシステム
  • 配膳ロボット
  • 自動調理ロボット
  • 予約管理システム

いずれも「従業員の労力軽減」につながることは間違いないので、省人化・省力化補助金の対象です。

さらに顧客に対して商品を提供するスピードも上げられるので、回転率の観点から売上や集客率の向上も見込めるでしょう。

介護業

介護業における省人化・省力化補助金の活用イメージには、以下のようなものがあります。

  • ロボット技術やIoTを用いたヘルスケアモニタリングシステムの導入
  • 入居者の状況を自動で記録するシステムの採用
  • リスク予測分析ツールの採用

ヘルスケアモニタリングシステムの導入により、入居者の健康状態をリアルタイムで把握できるため、必要なケアの迅速な提供が可能となります。

また自動記録システムや分析ツールの採用で、業務効率化が実現できます。それによりスタッフの人手不足問題解消や労力削減につながるため、サービスの質の向上も期待できるでしょう。

製造業

省人化・省力化補助金を製造業で活用する場合は、次のような例があります。

  • 不良品検知の画像処理システムの導入
  • 製造ロボットやIoTデバイスの導入
  • 全自動生産管理システムの導入

現代の製造業では、不良品検知に画像処理システムが用いられるのが一般的です。これを手作業で行っている企業の場合、従業員の作業時間と労力の削減の観点から、導入する価値は大いにあるでしょう。

また生産管理を自動化することで、最適な受発注管理やヒューマンエラー対策が実現できます。

農業

農業で省人化・省力化補助金の活用を活用するなら、以下のようなものが例として挙げられます。

  • 自動走行トラクターの導入
  • 無人運転コンバインの導入
  • 畑の状況をモニタリングできるシステムの採用

トラクターおよびコンバイン操縦員が行っている作業は、ある程度パターン化された業務といえます。補助金を活用して自動化することで、大幅な作業効率の向上と、ヒューマンエラーの解消が実現できるでしょう。

また、畑の状況をモニタリングできるシステムを採用すれば、生産管理をより効率化でき、人手不足の解消にも大いに役立ちます。

運送業

運送業においては「自動物流管理システムの導入」などで、省人化・省力化補助金を活用できるでしょう。

物流管理システムを導入すれば、これまで従業員が行っていた管理業務を自動化できるため、人手不足問題の解消が期待できます。

また管理業務を最適化することは、輸送効率や顧客サービス品質の向上も実現できる点が、大きなメリットです。

また近い将来、自動運転技術の進化し「運転手が不要な車」などが登場すれば、その技術を導入したトラック購入費としても活用できるでしょう。

省人化・省力化補助金のスケジュールは?

2023年度に補正予算が確定したため、2024年に公募開始は確実であると予想されます。
カタログ情報は2~3月に発表され、4月以降に公募は開始されると予想されます。随時情報が入り次第更新していきます。
省人化・省力化補助金の活用を考えている事業者の方いましたら、INU株式会社にご相談ください。

省人化・省力化補助金の活用のためのポイントは?

省人化・省力化補助金の活用のためのポイントは、「活用を決めたら、なるべく早い段階で行動する」ことです。

補助金を受けるためには、一般的に次のステップを踏む必要があります。

  1. 補助金の条件に該当するか確認
  2. 事業計画の作成および提出
  3. 事業計画に記載の業務を実施
  4. 支給申請を提出

さらに補助金は、支給されるまでの期間が長いことが多いです。事業計画を提出して実施したのちに申請を提出し、そこから数カ月後に支給される流れとなります。

省人化・省力化補助金が、申請からどのくらいの期間で支給されるかはまだ定かではありません。ただ補助金を活用すると決めているなら、1日でも早く動くことが大切になります。

まとめ

以上、省人化・省力化補助金の概要や対象事業者、業界ごとの活用例などについてご紹介しました。

内容をまとめると、以下のようになります。

  • 省人化・省力化補助金は「人手不足への対策」をテーマにした補助金
  • 「人手不足を解消できる設備や機器」が対象になる
  • 建設・製造・農業など幅広い業種が対象となり、とくに縛りはない

省人化・省力化補助金は、幅広い業種が対象になっていることが特徴です。人手不足に悩む企業は少なくないため、多くの事業者にとって朗報となるでしょう。

この制度の導入は2024年に開始されることが確実視されており、詳細な条件や上限金額についてはこれから公表される予定です。

補助金を受けるにはおそらく膨大な準備や申請が必要になるので、早い段階で準備を進めておくことが大切です。

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