【2024.6】省力化投資補助金は自動倉庫導入に活用できます!概要と導入方法などを解説!

自動倉庫

省力化投資補助金とは、2024年より公募が開始された新しい補助金制度です。中小企業・小規模事業者の人手不足を解消するために、最大1,500万円の補助金を受け取れる可能性があります

省力化投資補助金が他の補助金と異なる点として、「事前に登録された製品を、カタログの中から選んで導入する」というシステムが挙げられます。自動倉庫もカタログの中から選べるので、自動倉庫の導入を検討する事業者様は、省力化投資補助金を活用できます

本記事では、省力化投資補助金の概要や交付までの大まかな流れ、省力化投資補助金を活用して導入する自動倉庫などについて解説します。

この記事を読むと
  • 中小企業向けの省力化投資補助金の補助率や補助金額を把握できる
  • 省力化投資補助金を利用して導入できる自動倉庫が分かる
  • 省力化投資補助金を活用した自動倉庫の導入フローが理解できる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次
省人化・省力化補助金

中小企業が活用できる省力化投資補助金とは?

中小企業が活用できる省力化投資補助金とは?

省力化投資補助金とは、中小企業や小規模事業者の省力化投資を促すために、人手不足の企業を支援する補助金制度です。省力化投資によって企業の人手不足を解消し、売上拡大、生産性向上、賃上げを達成するのが目的です。

省力化投資補助金ならではの特徴として挙げられるのは、補助対象になる経費が、「製品カタログに載っている製品の導入」に限定される点です。自分で事業者や製品を選ぶ労力がかからず、即効性のある省力化投資が行えます。

ただし、カタログにはない製品は補助対象外になるので注意しましょう。

2024年6月現在では、自動倉庫も製品カタログの中に入っています。

出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」

製品カタログにある自動倉庫は、数十メートルレベルのシステムと、中小企業規模の倉庫であれば十分に対応できるサイズとなっています。

自動倉庫導入を検討するときは、省力化投資補助金の活用をぜひ検討してみてください。ただし、省力化投資補助金の交付を受けるには、公募要領に定められている要件をクリアした事業計画書を事務局へ提出する必要があります。事務局から不採択となると、交付を受けられないので注意しましょう

以下では、省力化投資補助金の詳細を解説します。

省力化投資補助金の補助対象事業

省力化投資補助金の交付を受けるには、「人手不足に関する事項」「基本要件」「採択における要件」のいずれも満たした事業計画書の作成が必要です。また、補助金額が500万円以上になる見込みがある事業計画の場合だと、付保割合が補助率の2分の1以下となる保険または共済に加入しなければなりません。

売上や生産性向上などを達成することも大切ですが、これら基本となる要件の抜けがないかをしっかりとチェックしておきましょう。

以下では、それぞれの要件の詳細を解説します。

人手不足に関する事項

人手不足に関する事項とは、省力化投資補助金の交付にあたって、本当に人手不足による省力化が必要か否かを証明するための証拠となるものです。以下に示した4つの事項のうち、1つ以上に該当し、それを具体的に説明する必要があります。

  1. 従業員の残業時間が、人手不足によって平均30時間を超えている
  2. 整理解雇ではない自然離職・退職によって、前年度比5%以上の従業員が減少している
  3. 採用活動を実施したが、人手不足解消には足りなかった
  4. その他、省力化が必要な理由が存在する

4のみを選択したときは、「導入前後の工数を基に省力化の割合を計算する(省力化量計算書の作成)」「配膳ロボット導入後の機器配置や作業動線などを説明する(機器配置予定図の作成)」といった作業も追加で必要です。

基本要件

基本要件には、必須要件と追加要件の2種類が存在します。

必須要件は「労働生産性の向上目標」、追加要件は「賃上げ目標」です。

労働生産性の向上目標とは、「補助事業終了後の3年間、1年ごとに申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3%以上向上させること」です。計算方法は、公募要領にて記載されています。

賃上げ目標とは、「事業場内最低賃金を45円以上増加させること」と「給与支給総額を6%以上増加させること」をどちらも満たすことです。

採択における要件

採択における要件とは、省力化投資補助金を申請するための基本的な決まりごとです。事業の具体的な内容というより、申請する際の前提条件というイメージになります。具体的には次の通りです。

  • 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち少なくとも1つ以上が、補助事業者の営む事業の業種と合致すること
  • カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと(なお補助額の範囲外で、自費により経費を追加することは認められる)
  • 基本要件の労働生産性の向上目標を設定し、その実現に向けて取り組むこと
  • (補助上限額の引き上げを行う場合)基本要件に記載する賃上げの目標を設定し、その計画を従業員に対して表明するとともに、その実現に向けて取り組むこと
  • 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に供する事業ではないこと
  • 労働生産性の向上にかかる目標を、合理的に達成可能な事業計画に沿って実施されること
  • 効果報告期間終了までの間、省力化製品の導入を契機として、自然退職や自己都合退職によらない従業員の解雇を積極的に行わないこと
  • (補助額が500万円を超える場合)付保割合が補助率以上である保険または共済への加入を行うこと(支払保険料は補助対象外)
  • すでに所有する製品の置き換えを行うものではないこと
  • GビズIDプライムを取得していること

申請前には上記を最終チェック項目として確認し、問題なく事業計画書や必要書類を提出できるようにしましょう。

省力化投資補助金の補助対象者

省力化投資補助金の交付対象は、中小企業等経営強化法に定められた「中小企業者」に該当する企業です。具体的には、一定の資本金または常勤従業員数以下の事業者に該当すれば、省力化投資補助金の対象になります。

出典:公募要領

自動倉庫であれば、製造業や大型の小売業の倉庫で使える可能性があります。上記の最低ラインが資本金5,000万円・従業員数50人以下であるため、多くの事業者は本補助金の対象になるでしょう

その一方で、一般社団法人、NPO、社会福祉法人、その他組合・法人関連の事業者は、上記表とは、また違った要件が設けられています。

もしも、みなし同一法人やみなし大企業に該当するときは、本補助金の対象外または一部制限となるかもしれません。詳細は、公募要領をご覧ください。

省力化投資補助金の補助対象経費

省力化投資補助金の補助対象は、補助事業内で使われた経費のうち、補助対象経費となっているものです。対象外の経費は、本補助金の対象にはなりません

補助対象経費は、「自動倉庫の本体価格(製品本体価格)」と「自動倉庫の導入に要する費用(導入経費)」です。

製品本体価格は、機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具など)、それに附随する専用ソフトウェア、情報システムなどの購入に要する経費が該当します。申請上限は、カタログに事前登録されている価格です。補助事業外で使われるものは、カタログの自動倉庫であろうと対象外となります。

リース・レンタル、中古品、交付決定前に導入した製品、消費税、無償提供されたものなどは補助対象外です。

一方で導入経費とは、自動倉庫の設置作業、運搬費、動作確認費用、マスタ設定費用などでのことです。

交付決定前に支払った費用、過去に購入したものに対する費用、省力化製品の導入に関係のないデータ作成・データ投入費用、原材料費・光熱費などは対象外になるので注意しましょう。

省力化投資補助金の補助率と補助金額

省力化投資補助金の補助率と補助上限金額は次の通りです。

従業員数補助率補助上限額(大幅な賃上げを行う場合)
5人以下1/2以下200万円(300万円)
6~20人以下500万円以下(750万円)
21人以上1,000万円以下(1,500万円)

自動倉庫の相場は、小型なものでも数千万円かかるほど高額です。そのため、省力化投資補助金による資金調達は、自動倉庫の導入において非常に有用であると言えるでしょう。

省力化投資補助金の事業全体の流れ

省力化投資補助金は、補助事業が終了して金額が確定してから請求する、後払い方式です。実際に補助金が交付されるのは、申請してから1年程度を見込んでおきましょう

出典:公募要領

省力化投資補助金が交付されるまでの大まかな流れは次の通りです。

  • 自動倉庫の導入によって、人手不足を解消し売上や生産性が向上する事業計画書を作成する
  • GビズIDの公式ホームページにて、Gビズプライムアカウントを作成する
  • 電子申請受付システムを用いて、事務局へ事業計画書と必要書類を提出する
  • 採択通知を受け取ったら、事務局から交付決定の通知を受けて補助事業を開始する
  • 補助事業が終了後、実績報告を行い補助金の金額を確定させる
  • 確定した金額を事務局へ請求し、確定金額の交付を受け取る
  • 毎年の年度初めにて、効果報告を通算5年間行う

実地検査や立入検査の実施を事務局から求められたときは、事務局の指示に従いましょう。検査に非協力的だと、交付前後にかかわらず補助金の減額・返還になる可能性があります

省力化投資補助金を活用して導入できる自動倉庫とは?

省力化投資補助金を活用して導入できる自動倉庫とは?

省力化投資補助金を活用してい導入できる自動倉庫は、2024年6月現在だと「計量ラックシステム(倉敷紡績株式会社)」です。

出典:中小企業庁省力化投資補助金「製品カタログ」

この軽量ラックシステムは、軽量の作業性の向上と計り間違い防止に効果を発揮する、トレーサビリティに対応したシステムです。ネットワークを活用したバーコードによる自動呼び出し、自動化による格納ミス・取り違いの防止、倉庫のスペースの有効活用など、製品や原料などの保管・管理にとって非常に便利な機能が揃っています

導入をおすすめしたい企業

省力化投資補助金によって、自動倉庫の導入をおすすめしたい企業は次の通りです。

  • 企業の在庫管理をシステム化したい
  • パレット、ケース、コンテナを自動的に入出庫したい
  • 倉庫のスペースを有効活用したい
  • 加工レポートや在庫管理の実績を収集し管理したい
  • 入出庫時のヒューマンエラーを防止したい
  • 空き状況や在庫数、日付などを正確に管理したい

おおよその価格と導入費用

省力化投資補助金で導入できる自動倉庫は、相場通りに数千万円程度かかると見込んでおきましょう。詳細な金額は導入する現場の大きさや状況などで変化するので、メーカーへ見積りをお願いしてください。

活用事例・ポイント

省力化投資補助金で導入できる自動倉庫はパレットやコンテナなどを格納できるため、製造業や小売業など、倉庫が必要なさまざまな業界で活用できます。

導入の際は、天井付近までの高さをスペースとして有効利用できるよう、自動倉庫の高さや幅を考えておきましょう。入出庫や在庫管理の自動化で効率的に運用できるよう、あらかじめカテゴリー分けやバーコードの指定などを進めておくことを推奨します。

省力化投資補助金を活用して自動倉庫を導入するメリットとは?

省力化投資補助金を活用して自動倉庫を導入するメリットは、「入出庫の自動化」「日付管理の自動化」「コスト削減」の3つです。

省力化投資補助金を活用して自動倉庫を導入するメリットとは?

入出庫作業の自動化

入出庫作業の自動化によるメリットは次の通りです。

  • 入出庫作業時のミスによる怪我の防止
  • フォークリフト操作ミスによる積載物やパレット、倉庫の破損防止
  • 在庫関係の管理のシステム化による業務効率化

日付管理の自動化

自動倉庫であれば、入庫日や出庫予定日などの各種日付も自動管理できます。日付の記録漏れ、出庫日間違いによる先入れ先出しミスなどを未然に防げるでしょう

コスト削減

自動倉庫の導入によって各種の業務効率化やトラブル防止が達成できれば、将来的には大きなコスト削減効果が見込めます。

初期費用に数千万円かかるのが自動倉庫のデメリットであるものの、業務効率化による残業代削減、従業員の負担減による他作業の生産性向上が期待できます。また自動倉庫はシステムであるため、従業員のように気分や疲労で作業効率が左右されることはありません。ミスなどによる余計なコストの発生も防げます。

省力化投資補助金を利用して自動倉庫を導入する方法とは

省力化投資補助金を利用して自動倉庫の導入を進めるには、製品カタログに載っている販売事業者と協力して事業計画書を作成し、共同申請によって応募する必要があります

自動倉庫の導入は販売事業者にとっても売上やブランド力向上につながるため、販売事業者も、事業計画書の作成に積極的に協力してくれると考えられます。

事務局から採択を受けられる事業計画書に仕上げるには、自動倉庫導入に伴う具体的な業務効率化や人手不足解消効果、効果に対する論理的かつ根拠ある解説、数値やエピソードを盛り込んだ解説、見やすいレイアウトなどを意識することが大切です。

もし事業計画の策定で不安があるときは、補助金申請をサポートするコンサルティング会社や地域の商工会議所・商工会などで相談するのがよいでしょう

省力化投資補助金を利用して自動倉庫の導入をお考えの方はINU株式会社へ!

省力化投資補助金を活用して自動倉庫の導入をお考えの事業者様は、補助金申請サービスのINU株式会社へぜひご相談ください。

INU株式会社は、これまでものづくり補助金や事業再構築補助金の申請は採択率90%を誇る、補助金関係のエキスパートです。省力化投資補助金の申請サポートも、事業計画のアイデア出しから一貫して対応いたします。

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まとめ

自動倉庫の導入を検討しているのであれば、省力化投資補助金を活用することで、数千万円もの費用を補助金でまかなえる可能性があります。

自動倉庫を導入して入出庫を正確に管理したい」「入出庫作業の業務効率化したい」といった事業者は、ぜひ本補助金を現場改善に活用してみてください。

ただし省力化投資補助金の交付を受けるには、事務局から採択される事業計画書が必要です。

事業計画書の作成や申請のサポートなどが必要なら、INU株式会社をぜひご相談ください。補助金の専門家である弊社が、交付後の事業発展まで見据えた事業計画立案の協力をいたします。

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