省力化投資補助金とは、令和5年度の補正予算より新設された、中小企業・小規模事業者の省人化投資を支援する補助金制度です。他の補助金制度と同じく、本補助金の目的に合う事業計画書を作成して提出し、その事業計画書について事務局から採択を受けることで交付対象になります。最大1,500万円です。
「スチームコンベクションオーブン(プログラム機能付き調理器具)」の導入を検討している場合、この省力化投資補助金を活用することで、本体価格や導入費用が補助されます。
本記事では、省力化投資補助金にてスチームコンベクションオーブンを導入する際のさまざまな概要・流れを解説します。
- 省力化投資補助金の概要が分かる
- カタログ掲載されているスチームコンベクションオーブンを知ることができる
- 省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンを導入するメリットを把握できる
監修者
松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。
経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
・UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

中小企業が活用できる省力化投資補助金とは?
中小企業が活用できる省力化投資補助金とは?
中小企業が活用できる省力化投資補助金とは、少子高齢化、働き方改革、働き方の多様化などの影響で人材不足となっている中小企業や小規模事業者を、金銭的に補助する国の制度です。
本補助金の補助対象となるのは、「人手不足に悩んでいる中、ロボットやIoTなどの導入によって省人化を行い、人手不足解消や売上拡大など達成できる事業」です。
公募要領にて規定されたさまざまな要件を満たした事業計画書を作成したうえで審査を行い、その事業計画書について採択を受けられれば補助対象になります。
省力化投資補助金の特徴は、事前に製品カタログに記載されている製品の導入のみが補助の対象になる点です。製品カタログの中には、「スチームコンベクションオーブン」も含まれています。
省力化投資補助金で導入できるスチームコンベクションオーブンは、熱に関する自動調整機能、自動洗浄機機能、焼きムラ抑え、マルチタイマーなど、さまざまな機能や種類の中から選べます。
卓上タイプから業務用高機能のものまで多くの種類を取り揃えているので、自社に合うモデルを選べます。
以下では、省力化投資補助金の概要を解説します。
省力化投資補助金の補助対象事業
省力化投資補助金の交付を受けるための条件の1つに、「人手不足に悩んでいて省力化が必要であり、一定以上の数値目標をクリアするもの」と認められる事業計画書の策定が挙げられます。
具体的には、「人手不足に関する事項」「基本要件」「採択における要件」の3つを満たすことです。スチームコンベクションオーブンの導入によって、人手不足関係の課題を克服できる計画にしましょう。
以下では、省力化投資補助金の補助対象事業の詳細を解説します。
人手不足に関する事項
どのようにして「人手不足の企業であるか」を証明するかと言うと、以下に示した項目のうち1つでも当てはまるかで確認します。。
- 人手不足が原因で従業員の残業時間が平均30時間超となっている
- 自然離職・退職(整理解雇ではないもの)によって、前年度比より5%以上従業員が減少している
- 採用活動の結果が実らず、人手不足の解消には至らなかった
- その他、省力化が必要となっている理由がある
上記のうち4のみに該当するときは、「省力化量計算書にて、導入前後の工数を基に省力化の割合を計算する」「機器配置予定図にて、配膳ロボット導入後の機器配置や作業動線などを説明する」などの作業が必要です。
詳細は公募要領をご確認ください。
基本要件
基本要件とは、事業計画を策定するにあたって、策定した事業計画で達成すべき目標値です。
基本要件には、必須項目である「労働生産性の向上」が設けられています。具体的には「補助事業終了後の3年間、1年ごとに申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3%以上向上させること」という条件です。
また一方で、「賃上げ要件」である事業場内最低賃金を45円以上増加させること」と「給与支給総額を6%以上増加させること」のいずれも満たすことで、補助金額50%の引き上げが可能です。
スチームコンベクションオーブンの導入によって、上記の数値目標が達成できる事業計画書を作成しましょう。
採択における要件
省力化投資補助金の採択を受けるには、申請の前提条件となる「採択における要件」をすべて満たす必要があります。
- 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち少なくとも1つ以上が、補助事業者の営む事業の業種と合致すること
- カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと(なお補助額の範囲外で、自費により経費を追加することは認められる)
- 基本要件の労働生産性の向上目標を設定し、その実現に向けて取り組むこと
- (補助上限額の引き上げを行う場合)基本要件に記載する賃上げの目標を設定し、その計画を従業員に対して表明するとともに、その実現に向けて取り組むこと
- 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に供する事業ではないこと
- 労働生産性の向上にかかる目標を、合理的に達成可能な事業計画に沿って実施されること
- 効果報告期間終了までの間、省力化製品の導入を契機として、自然退職や自己都合退職によらない従業員の解雇を積極的に行わないこと
- (補助額が500万円を超える場合)付保割合が補助率以上である保険または共済への加入を行うこと(支払保険料は補助対象外)
- すでに所有する製品の置き換えを行うものではないこと
- GビズIDプライムを取得していること
上記のすべてを満たしているか否かを、申請前には必ず確認しましょう。
保険に関する要件
もし補助金額が500万円以上になるときは、事業計画期間終了時までは火災などによる財産の損失等に備えて、付保割合が補助率の1/2以上の保険または共済への加入が必須となります。
省力化投資補助金の補助対象者
省力化投資補助金の補助対象者となる中小企業・小規模事業者は、以下の表に示した資本金または常勤の従業員数以下の者です。
出典:公募要領
スチームコンベクションオーブンは、飲食サービス業でよく活用されます。最低ラインは資本金5,000万円以下または従業員数100人以下です。中小規模の飲食店であれば、十分にクリアできる条件だと言えるでしょう
ただし一般社団法人、NPO法人、組合などといった法人形態については、上記の基準とは別の資本金・従業員の規定が存在します。みなし同一法人やみなし大企業に当てはまる場合、補助金の申請ができないケースがあるので、事業規模や株主関係は一度確認しましょう。
詳細は、公募要領をご覧ください。
省力化投資補助金の補助対象経費
省力化投資補助金の補助対象経費は、主に「スチームコンベクションオーブンの本体価格(製品本体価格)」と「スチームコンベクションオーブン導入に要する費用(導入経費)」です。
製品本体価格は、補助事業のためにだけに使用されるスチームコンベクションオーブンの本体や、附随する専用ソフトウェア、情報システムなどの購入に要する経費です。カタログに事前登録されている価格が上限となります。
ただしリース・レンタル、中古品、交付決定前に導入した製品、消費税、無償提供されたものなどは補助対象外です。事業計画書は、必ず購入を前提としたものを作成しましょう。
一方で導入経費は、省力化製品の設置作業、運搬費、動作確認費用、マスタ設定費用などが該当します。
交付決定前にかかったもの、過去に購入したものに対する費用、省力化製品の導入に関係のないデータ作成・データ投入費用、原材料費・光熱費などは対象外です。
省力化投資補助金の補助率と補助金額
省力化投資補助金の補助金額上限は、交付申請時点の補助対象事業者の常勤従業員数ごとに、金額テーブルが設定されています。本補助金の補助率と補助金額は次の通りです。
| 従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
| 5人以下 | 1/2以下 | 200万円(300万円) |
| 6~20人以下 | 500万円以下(750万円) | |
| 21人以上 | 1,000万円以下(1,500万円) |
スチームコンベクションオーブンの相場は、200万~300万円、大型のもので400万~500万円程度です。省力化投資補助金であれば従業員数が5人以下であっても、1台および1台の半額程度の予算を十分にまかなえます。
省力化投資補助金の事業全体の流れ
省力化投資補助金は、補助事業を実施してから交付される後払い方式です。スケジュールを事前に確認し逆算して資金計画を立てておき、スチームコンベクションオーブン導入直後の資金繰りが苦しくなることがなくなるよう注意しましょう。
出典:公募要領
省力化投資補助金が交付されるまでの、大まかな流れは次の通りです。
- スチームコンベクションオーブンを導入し、省人化達成による売上・生産性が向上する事業計画書を作成する
- GビズIDの公式ホームページにて、Gビズプライムアカウントを作成する
- 電子申請受付システムを用いて、事務局へ事業計画書と必要書類を提出する
- 採択通知を受け取ったら、事務局から交付決定の通知を受けて補助事業を開始する
- 補助事業が終了後、実績報告を行い補助金の金額を確定させる
- 確定した金額を事務局へ請求し、確定金額の交付を受け取る
- 毎年の年度初めにて、効果報告を通算5年間行う
上記とは別途実地検査や立入検査が行われるときは、事務局の指示に従いましょう。従わないと、補助金の減額および交付停止になる可能性があります。
省力化投資補助金を活用して導入できるスチームコンベクションオーブンとは?
省力化投資補助金を活用して導入できるスチームコンベクションオーブンとは?
省力化投資補助金を活用して導入できるスチームコンベクションオーブンは、2024年6月現在、数十種類の製品がカタログに登録されています。主なものは次の通りです。
- タニコー株式会社のベ-シックスチームコンベクションオーブン(2/3ホテルパン:5段):スペースが小さく小型店舗から導入が可能かつ、4段階庫内FAN速度調整、双方向回転、自動ダンパー機能を搭載したモデル
- タニコー株式会社の大型スチームコンベクションオーブン(1/1ホテルパン:20段):フル液晶タッチパネルで、5段階庫内FAN速度調整、双方向回転、自動ダンパー機能、最大1,000メニュー、9ステップなどを搭載したモデル
- 北沢産業株式会社のマルチクッカー:調理モード、ベーキング専用モードなどを搭載した、ホテル、レストラン、ベーカリーなあらゆる現場に対応できるモデル
上記の他にも、自動洗浄機能を搭載したものなど、組み込まれたプログラム機能に応じたさまざまな機能が付いたスチームコンベクションオーブンが存在します。
導入をおすすめしたい企業
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンの導入をおすすめしたい企業は、主に次の通りです。
- オーダーメイド調理方法・工程を設定できるオーブンがほしい
- 1台で焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるに対応できるオーブンがほしい
- 調理作業の効率化、自動設定によるヒューマンエラーを防止したい
おおよその価格と導入費用
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンを導入する場合、本体価格・導入費用の目安は数百万円程度です。設置費用は数十万円程度を見込んでおきましょう。詳細な価格は、都度メーカーへお問い合わせください。
活用事例・ポイント
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンであれば、調理現場のさまざまな作業の作業効率化につながります。
「自動調理を活用して調理を行い、その間に他の調理や作業に取り掛かる」「これまでできなかった調理法を行い、料理の品質を向上させる」など、さまざまな活用方法があります。
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンを導入するメリットとは?
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンを導入するメリットは、「業務の自動化」「人材不足への対応」「ヒューマンエラーの削減」「これらによるコスト削減」の4つが挙げられます。
省力化投資補助金を活用してスチームコンベクションオーブンを導入するメリットとは?
業務の自動化
スチームコンベクションオーブンのプログラミングによっては、自社にぴったりの調理方法や調理時間を設定できます。自社にとって最適な設定を行えば、調理時間短縮、調理工数・負担の低減などにつながるでしょう。
人材不足への対応
スチームコンベクションオーブンによって自動調理機能などを使えば、調理関係の作業にかかる人員を削減しやすくなります。また、誰が調理しても品質ムラが発生しづらくなり、調理人材の不足への対応にもつながります。
ヒューマンエラーの削減
自動調理は誰が利用しても一定の品質に仕上がるので、ヒューマンエラーによる品質低下やフードロスを削減できます。
これらによるコスト削減
スチームコンベクションオーブンの導入により業務効率化や人材不足への対応が達成できれば、ランニングコストを大幅に削減できます。例えば残業代の削減、フードロスの削減などが挙げられます。
またスチームコンベクションオーブンによって調理時間のスピードアップや店の回転率向上などにつながれば、売上アップも見込めるでしょう。
省力化投資補助金を利用してスチームコンベクションオーブンを導入する方法とは
省力化投資補助金を利用してスチームコンベクションオーブンを導入するには、ただ好きな製品を購入して申請するだけでは足りません。
必ずカタログの販売事業者に、事業計画書の作成に協力してもらう必要があります。また、販売事業者は事業計画書が要件に合致したことを確認し、事業計画策定後に共同申請を行う必要があります。
採択を受けられる共同申請とするには、販売事業者との連携が必要不可欠です。導入前には、こちらと販売事業者との意見すり合わせや事業計画策定などを進めましょう
また、採択を受けられる事業計画書に仕上げるには、「具体化・数値化した導入効果」「スチームコンベクションオーブン導入後のビジョン」「事務局が確認しやすく、見やすいレイアウト」など、事業計画書作成のコツを確認しておくことをおすすめします。
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他にもオンラインによる全国対応や事業計画書の立案からの一貫したサポートなど、省力化投資補助金に関するさまざまな部分の支援を、専門知識と経験から適切に支援いたします。
スチームコンベクションオーブンの導入でお悩みのときは、まずはお電話やメールでの無料診断などからお気軽にご相談ください。
まとめ
スチームコンベクションオーブンの導入を検討しているのであれば、省力化投資補助金を活用して、返済不要の資金調達とするのがおすすめです。
「調理工程を効率化したい」「自動化できる工程は自動化し、従業員の負担や企業のコストを下げたい」といった事業者様は、ぜひ省力化投資補助金の検品・仕分けシステムをご活用ください。
本補助金の交付を受けるには、事務局の採択を受けられる事業計画書の策定が必要です。
もしも事業計画書の作成や申請関係の全体的なサポートなどが必要であれば、株式会社補助金プラスをぜひご利用ください。補助金のエキスパートである弊社が、交付後の事業発展まで見越した事業計画の立案に協力をいたします。



