IT導入補助金に申請する際、自分で申請を行うのは負担だと思う方も多いでしょう。申請前には書類を揃え、必要な情報を集めておくなどの事前準備も必要になります。時間も手間もかかってしまうかもしれません。
IT導入補助金に申請する際、申請代行は依頼できるのか気になる方も多いかと思います。結論から言うと、完全に代行を依頼することは不可能ですが、申請のサポートを依頼することができます。
本記事では、IT導入補助金の基本情報や申請サポートの内容、申請者が必ずやらなくてはならない手続きについて解説します。
IT導入補助金の申請代行について解説する前に、IT導入補助金の基本的な概要について説明します。
IT導入補助金とは、個人事業主を含む小規模事業者、中小企業が自社の労働生産性を上げるためにDX化や作業効率化につながるITツールの導入費用を補助してくれる補助金です。
基本的に返還する必要のない補助金なので個人事業主等でも使いやすく、業種ごとに指定されている資本金額や従業員数を上回っていない企業であれば申請することができます。
IT導入補助金を活用するには、事務局の審査に通過して採択される必要があります。申請時には様々な手続きが必要で、補助金を活用してどのような事業を行なっていく予定なのかを記した詳細な事業計画等を提出しなくてはなりません。
申請枠は4つあり、それぞれ導入できるものが異なるため、自社にはどの申請枠が一番適切かどうか考えてから申請しましょう。
また、IT導入補助金はIT導入支援事業者と呼ばれる事業者とパートナーシップを結んでサポートを受けながら申請手続きを行なっていきます。導入できるITツールは、事務局に事前に認定され、かつIT導入支援事業者が提供しているものに限られるので注意しましょう。
IT導入補助金は、毎年同じ申請枠が募集されているわけではありません。2024年度は2023年度の申請枠とは内容の異なる以下の4つが募集されています。インボイス枠のみ2つの類型に分かれています。
自社はどのようなITツールを必要としているのかを考えながらどの申請枠を活用するか考えましょう。
IT導入補助金は、先述した通り事務局に採択されなければ活用することができない補助金です。申請した全ての会社が採択されるわけではなく、残念ながら不採択になってしまう会社もあります。
2023年のIT導入補助金の採択率は、おおよそ55〜80%程度でした。人気が高く採択率の低い申請枠もありますが、大体2社に1社は採択されています。2023年募集のIT導入補助金のうち、直近の申請者数、採択率のデータは以下の通りです。
|
申請者数 |
採択者数 |
採択率 |
通常枠(10次締切 A類型) |
3,330 |
2,531 |
76.0% |
通常枠(10次締切 B類型) |
71 |
42 |
59.2% |
セキュリティ対策推進枠(10次締切) |
30 |
20 |
66.7% |
デジタル化基盤導入枠 (17次締切 デジタル化基盤導入類型) |
8,878 |
6,314 |
71.1% |
デジタル化基盤導入枠 (7次締切 商流一括インボイス対応類型) |
0 |
0 |
– |
デジタル化基盤導入枠 (5次締切 複数社連携IT導入類型) |
1 |
1 |
100.0% |
参照:IT導入補助金2024 交付決定事業者一覧及び交付申請件数2023(後期事務局)
2023年の申請枠や類型は2024の申請枠とは異なるため採択率の数値を参考にしにくいかもしれませんが、内容が似ている申請枠等もあります。ぜひ詳しい採択率を確認し、自分の申請したい枠の難易度はどれくらいなのか確かめておきましょう。
自社だけでIT導入補助金の申請手続きをするのは不安、という方も多いでしょう。不採択になる可能性もあり、採択されるにはどのような書類作成が必要なのかわからないという方もいますよね。そんな時、どこかの機関に申請代行を依頼できないかと考えるかもしれません。
以下では、IT導入補助金の申請代行について解説します。
IT導入補助金は、申請を完全に他の機関に代行してもらうことはできません。どうしても自社で対応しなくてはならない手続きがあり、完全に申請代行を依頼することは不可能です。
しかし、申請時にサポートを受けることはできます。申請サポートを受けることによって、必要な手続きを明確にし、採択に向けたポイントを押さえた準備が可能になるでしょう。
申請に関するサポートをお願いできる機関は金融機関や士業などいくつかありますが、最も依頼しやすいのはIT導入支援事業者です。
そもそもIT導入補助金に申請する時点でIT導入支援事業者とパートナーシップを結んで手続きを進めていかなくてはならないので、必ずIT導入支援事業者には支援を依頼することになります。IT導入支援事業者は補助金事務局から認定を受けた事業者なので、確実にサポートしてくれるでしょう。
IT導入支援事業者は、申請者が作成した書類の確認等を行なってくれます。そのため、書類の不備があれば指摘してくれますし、不明点を教えてもらうこともできるでしょう。
IT導入支援事業者のみのチェックでは不安な場合、先述したような金融機関や士業、コンサルタント等にもサポートを依頼することができます。IT導入補助金の申請サポートができる機関を探し、依頼してみるのもおすすめです。サポート内容やかかる費用は会社によって異なるため、事前によく確認しましょう。
以下では、IT導入支援事業者に申請サポートをしてもらう際に具体的に何をしてもらえるのかを解説します。
まず、IT導入補助金に申請することを決めたら、どのITツールを導入するかとIT導入支援事業者はどこに依頼するかを決めなくてはなりません。2024年は以下のページからどちらも検索することができるので、確認してみましょう。
IT導入補助金2024 ITツール・IT導入支援事業者検索
導入するツールとIT導入支援事業者を決めたら、早速IT導入支援事業者と打ち合わせを行いながら手続きを進めていきます。その際、補助金に関して不明点があればIT導入支援事業者に聞くことができます。
IT導入支援事業者は補助金事務局から認定を受けている事業者なので、しっかり補助金に関する情報提供を行ってくれるでしょう。また、導入するITツールはIT導入支援事業者が提供しているものに限られるので、ITツールに関する情報も豊富です。わからないことがあれば積極的に質問してみましょう。
IT導入補助金の申請は全て申請マイページというページから行います。そこにログインするには、IT導入支援事業者から招待してもらわなくてはなりません。
いよいよ手続きを開始する段階になったら、IT導入支援事業者に依頼して申請マイページに招待してもらいましょう。
IT導入支援事業者は、申請手続きのサポートもしてくれます。申請手続きは、基本的に申請書類の準備や作成が主です。どの申請書類を集めるべきか、これは申請書類として通用するのか等様々な疑問に答えてくれるでしょう。
また、最も大切と言っても過言ではない提出書類として、ITツールを活用してどのような事業を今後おこなっていくのかを示した事業計画があります。事業計画の作成に手間取る申請者は多いので、スムーズに事業計画を作成できるようにIT導入支援事業者がサポートしてくれるでしょう。
また、誤字脱字等のミスで不採択になってしまう申請者もいます。誤字脱字のチェックもIT導入支援事業者に依頼することにより、二重のチェック体制をとることができます。
IT導入補助金は、補助金に採択されたら終わりではありません。実際に事業計画で提出したように事業を行い、その後補助金額が確定し、補助金を受け取ることになります。
補助事業が完了した後は、事業実績報告を提出します。事業実績報告の作成時もIT導入支援事業者のサポートを受けることができます。最終的にIT導入支援事業者に確認してもらったあとに提出しましょう。
申請のサポートをしてくれるIT導入支援事業者ですが、申請者自身でどの事業者に依頼するかを選択し、依頼することができます。しかし、どのような基準でIT導入支援事業者を選択すれば良いかわからない方もいるでしょう。
以下ではIT導入支援事業者を選ぶ際のポイントを4つ解説します。
補助金を活用して導入するITツールは、依頼したIT導入支援事業者が提供しているものに限られます。そのため、まずは導入したいITツールを扱っているIT導入支援事業者を選ばなくてはなりません。
みらデジ経営チェック等を活用して自社の課題を洗い出したら、まずはどのITツールを導入するかを決めましょう。その後、そのITツールを扱っているIT導入支援事業者を探してみてください。
補助金申請手続きのサポートを依頼する際、IT導入支援事業者には報酬を支払う必要があります。報酬は一定ではなく、事業者ごとに異なります。費用、報酬形態を確認してから依頼をしましょう。
おおよその費用相場は交付決定される補助金額の10〜20%程と言われています。別途着手金が必要な事業者や、不採択になってしまった場合でも報酬が必要な事業者もいます。そのほかの手数料の有無等もしっかり確認しておきましょう。
これまでにもIT導入支援事業者として活動を行ってきた事業者であれば、過去の実績も確認してみましょう。過去にどれくらいの申請者のサポートを行い、どれくらいの申請者が採択されてきたのか等を確認するのがおすすめです。これまでのサポート経験が豊富な事業者であれば、採択に向けたコツやポイントを踏まえて支援を行ってくれるでしょう。
採択のコツについて知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
どのようなサポートを行なってくれるかはIT導入支援事業者ごとに異なります。採択に向けて徹底的にサポートをして欲しい方は、手厚いサポートを行ってくれる事業者を選ぶのが良いでしょう。
おおよその打ち合わせの回数等をこれまでの実績から確認しておくのがおすすめです。具体的にどのような支援をしてくれるのかもしっかり確認しておきましょう。
上記ではIT導入支援事業者からサポートしてもらえることについて解説しましたが、必ず申請者自身が対応しなくてはならないこともたくさんあります。以下では、必ず申請者自身で行う5つのことについて解説します。
IT導入補助金に申請するときに必ず申請者自身が行う5つのこと
IT導入補助金に申請するとき、必要な書類はいくつかあります。具体的には以下の通りです。
法人の場合 |
履歴事項全部証明書(3か月以内に発行されたもの) |
法人税の直近分の納税証明書(その1もしくはその2) |
個人事業主の場合 |
運転免許証または運転経歴証明書または住民票 |
所得税の直近分の納税証明書(その1もしくはその2) |
確定申告書(令和5年分) |
参照:交付申請の手引き
納税証明書等は税務署にて発行されたものに限られている等、書類にはいくつかの制約があります。上記の書類の準備は申請者がしなくてはならないため、早めに準備を進めておきましょう。
IT導入補助金は電子申請をしなくてはならず、そのためにはgBizIDプライムアカウントを取得しておく必要があります。gBizIDプライムアカウントとは、行政サービスを利用する上で必要なアカウントです。
法人の代表者、個人事業主が取得できるアカウントで、個人情報を郵送もしくはオンラインで提出して申し込むため、補助金申請者本人がアカウント作成を行わなくてはなりません。gBizIDプライムアカウントは申請から取得まで2週間ほどかかるので、こちらも早めの準備がおすすめです。
gBizIDプライムアカウントの取得はこちらから
gBizIDプライムアカウントと同じく必須になるのがSECURITY ACTIONの宣言です。企業自らが情報セキュリティ対策に取り組んでいるということを宣言するためのもので、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営しています。
補助金申請時はSECURITY ACTIONで「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言していることが必須要件となり、宣言済アカウントIDを入力しなくてはなりません。
SECURITY ACTIONの宣言はこちらから
みらデジ経営チェックは、通常枠で申請するなら実施必須なツールです。「みらデジ」サイトにて自社の情報を入れると、現在の経営やデジタル化の状況、課題を把握することができます。
経営課題等を把握することによって、IT導入補助金でどんなITツールを導入するのが適切かも確認することができます。
申請マイページでの自社に関する基本情報入力は、申請者本人が行わなくてはなりません。法人番号や所在地、設立年月日等の入力をします。
基本情報の入力ミスで不採択になってしまうこともあるようです。特に住所等、間違えないように確認しながら入力しましょう。社内の複数人でチェックするのがおすすめです。
株式会社補助金プラスはIT導入支援事業者ではありませんが、IT導入支援事業者とは別の立場からIT導入補助金の申請サポートが可能です。採択に向けて、事業者様の現状を踏まえた実現可能な事業計画の作成をお手伝いします。
株式会社補助金プラスの補助金申請サポートの主な特徴は以下の通りです。
まずは補助金に関する基本的な質問でもお気軽にご相談ください。IT導入補助金に申請したい事業者様からのご連絡をお待ちしております。
IT導入補助金に申請する際、完全に申請を他者に代行してもらうことはできませんが、申請サポートを依頼することは可能です。基本的にはIT導入支援事業者からの申請サポートを受けることができます。
サポート内容等は事業者ごとに異なるため、必ず事前に確認してから選びましょう。また、申請者自身で対応しなくてはならない手続きもあるので、早めに準備しておくのがおすすめです。
デジタル化を目指したい事業者の方は、ぜひIT導入補助金を利用してみてはいかがでしょうか?