【2025.8】アプリ開発に使えるものづくり補助金とは?採択事例や活用メリットを紹介

DX推進を国が後押しする中、身近なインターネットをビジネスに活用しようと考える企業は少なくありません。デジタル化に舵をきった大胆な新事業としてアプリ開発には、ものづくり補助金が活用できます。
この記事ではものづくり補助金活用のアプリ開発の採択事例もあわせて紹介していきます。
- ものづくり補助金の概要が理解できる
- ものづくり補助金でアプリ開発を行った採択事例がわかる
- ものづくり補助金でアプリ開発を行うときの注意点がわかる


アプリ開発にも使える!ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が将来の制度変更に対応し、競争力を高めるための革新的な製品・サービス開発や海外市場への展開に必要な設備投資を支援する制度です。この補助制度により、中小企業の生産性向上と持続的な賃金アップを後押しし、経済の活性化を図ることを狙いとしています。設備投資等にかかる費用の一部を国が補助することで、中小企業の成長と発展を促進する仕組みとなっています。
企業の経営をサポートする補助金制度はいくつかありますが、ここではアプリ開発にも活用できるものづくり補助金について解説していきます。
アプリ開発にも使える!ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金の対象となる事業者
ものづくり補助金の対象事業者は、中小企業や個人事業主を含む小規模事業者です。
業種等に縛りはなく、NPO法人も対象になります。ものづくり補助金は製造業のみならず、旅行・サービス・ソフトウェアなど業種の対象は幅広いです。新しいサービスや商品開発、生産性向上に取り組む目的であるならば、どの業種でもものづくり補助金を活用でき、アプリ開発も補助金対象になります。
また、以下の基本要件も満たさなくてはなりません。
基本要件
基本要件①:付加価値額の増加要件
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR。以下同じ。)を 3.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値(以下「付加価値額目標値」という。)を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要です。
⚫ 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
基本要件②:賃金の増加要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%(以下「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
又は従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率(以下「1 人あたり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で給与支給総額基準値以上の目標値(以下「給与支給総額目標値」という。)及び 1 人あたり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「1 人あたり給与支給総額目標値」という。)をそれぞれ設定し※1※2、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員(以下「従業員等」という。)に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該給与支給総額目標値及び 1 人あたり給与
支給総額目標値を達成することが必要です。
⚫ 事業計画期間最終年度において、少なくともいずれか一方の目標値を達成する必要があります。いずれも達成できなかった場合、達成度合いの高い目標値の未達成率に応じて補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
⚫ 給与支給総額とは、従業員及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)をいいます。また、1 人あたり給与支給総額とは、給与支給総額を従業員数及び役員数で除したものをいいます。
基本要件③:事業所※内最低賃金水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(補助事業の主たる実施場所で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より 30 円(以下「事業所内最低賃金基準値」という。)以上高い水準にすること。
⚫ 具体的には、申請者自身で事業所内最低賃金基準値以上の目標値(以下「事業所内最低賃金目標値」という。)を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、当該事業所内最低賃金目標値を達成することが必要です。
⚫ 達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
※ ここでいう「事業所」とは、「補助事業の主たる実施場所」を指します。P7 に記載されている補助事業の主たる実施場所の考え方にしたがって目標値を設定し、申請・報告してください。なお、主たる実施場所における従業員の最低賃金を、本要件の達成状況として事業化状況報告において報告してください。
基本要件④:従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数 21 名以上の場合のみ)⚫ 「次世代育成支援対策推進法」(平成 15 年法律第 120 号。以下「次世代法」という。)第 12 条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと。
⚫ 具体的には、申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した、申請締切日時点で有効※な一般事業主行動計画を公表することが必要です。
※ 「申請締切日時点で有効」とは、申請締切日が一般事業主行動計画の計画期間内に入っている必要があります。
⚫ 一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するにあたっては、1~2 週間程度の期間を要しますので、該当事業者はお早めに一般事業主行動計画の策定・公表に向けた準備等を行ってください。また、策定・公表した一般事業主行動計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届出ください。
ものづくり補助金で受け取れる金額
ものづくり補助金で受け取ることができる上限金額と補助率は以下の通りです。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 5人以下 | 750 万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| 6~20人 | 1,000 万円 | |
| 21~50 人 | 1,500 万円 | |
| 51 人以上 | 2,500 万円 |
グローバル枠
| 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 3,000万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
また、特例等を利用した場合は補助上限金額が高くなります。
ものづくり補助金の補助上限額と補助率は企業規模で異なります。ものづくり補助金の補助上限額と補助率は主に「従業員数」で決まるので、申請を検討する飲食店は一度確認しておいた方が良いでしょう。

ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金のこれまでの採択率を見てみましょう。
| 申請者数 | 採択者数 | 採択率 | |
| 1次 | 2,287 | 1,429 | 62.48% |
| 2次 | 5,721 | 3,267 | 57.11% |
| 3次 | 6,923 | 2,637 | 38.09% |
| 4次(一般型) | 10,041 | 3,132 | 31.19% |
| 4次(グローバル展開型) | 271 | 46 | 16.97% |
| 5次(一般型) | 5,139 | 2,291 | 44.58% |
| 5次(グローバル展開型) | 160 | 46 | 28.75% |
| 6次(一般型) | 4,875 | 2326 | 47.71% |
| 6次(グローバル展開型) | 105 | 36 | 34.29% |
| 7次(一般型) | 5,414 | 2,729 | 50.41% |
| 7次(グローバル展開型) | 93 | 39 | 41.94% |
| 8次(一般型) | 4,584 | 2,753 | 60.06% |
| 8次(グローバル展開型) | 69 | 27 | 39.13% |
| 9次(一般型) | 3,552 | 2,223 | 62.58% |
| 9次(グローバル展開型) | 61 | 24 | 39.34% |
| 10次(一般型) | 4,224 | 2,584 | 61.17% |
| 10次(グローバル展開型) | 70 | 28 | 40.00% |
| 11次(一般型) | 4,668 | 2,786 | 59.68% |
| 11次(グローバル展開型) | 76 | 31 | 40.79% |
| 12次(一般型) | 3,200 | 1,885 | 58.91% |
| 12次(グローバル展開型) | 56 | 22 | 39.29% |
| 13次(一般型) | 3,261 | 1,903 | 58.36% |
| 13次(グローバル展開型) | 61 | 24 | 39.34% |
| 14次 | 4,865 | 2,470 | 50.77% |
| 15次 | 5,694 | 2,861 | 50.25% |
| 16次 | 5,608 | 2,738 | 48.82% |
| 17次 | 629 | 185 | 29.41% |
| 18次 | 5,777 | 2,070 | 35.83% |
おおよそ50%程度で推移していた採択率ですが、最近では30%前後にまで落ち込んでしまいました。審査の厳格化やスケジュールの厳しさ等理由はたくさんありますが、ものづくり補助金の採択難易度も高まっていると言えるでしょう。
採択率を上げるポイントや、過去の採択率の推移についてもっと詳しい内容をこちら
ものづくり補助金を活用したアプリの開発がおすすめな理由

自社のアプリ開発というとハードルが高いイメージがありますが、実はものづくり補助金を活用するのにアプリ開発はおすすめです。その理由を2つあげていきます。
ものづくり補助金を活用したアプリの開発がおすすめな理由
デジタル技術を活用した事業は採択されやすい
まず1つ目の理由は、ものづくり補助金ではデジタル技術を活用した補助事業計画は採択されやすいからです。ものづくり補助金の審査項目・加点項目にデジタル技術の記述があります。
先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
引用:ものづくり補助金 公募要領
先端的デジタル技術の活用はものづくり補助金の審査・加点に有利に働きます。そのためデジタル技術を活用するアプリ開発事業は採択されやすい傾向にあるのです。
開発費用は高額となる
アプリ開発は基本エンジニアが在籍している制作会社に外注を依頼することになります。アプリ開発の金額は、人件費と開発期間で決まります。
人件費の月額単価は60万〜160万円、開発期間は3か月から10か月以上と開発するアプリの種類で大きく異なります。それだけアプリ開発は開発の委託先企業、依頼内容や開発期間によって高額になることは確認しておきましょう。
ものづくり補助金でアプリ開発を行った採択事例

ここからアプリ開発のものづくり補助金採択事例をピックアップし3つを紹介していきます。
ものづくり補助金でアプリ開発を行った採択事例
①地域に密着した歴史巡りオリエンテーリングアプリの開発
| 事業者名 | 株式会社ローバルコム |
| 事業計画 | 歴史やルーツに興味を持ち始める中高年及び観光客向けポイント付き歴史巡りオリエンテーリングサービスの開発・提供 |
| 事業計画概要 | ソフトウェア開発会社の同社は、新しくスマートフォンアプリ事業への参入を計画し、地域の埋もれた歴史物語を知るオリエンテーリングサービスができる内容のアプリを開発する。 ユーザーはアプリをダウンロードし、地図や映像を選択しながらゲーム感覚で地域の歴史を学びながら散策できる。 さらにアプリに企業向け登録ツールの開発や、外国人向け翻訳支援技術も搭載しユーザーの拡大を狙う。 加えてアプリを自治体に提案し歴史で町おこしや災害ハザードマップなど更なる活用方法を検討している。 |
②ハンドメイドのための要尺計算アプリの開発
| 事業者名 | ハンドメイド・カンパニー株式会社 |
| 事業計画 | 服作り初心者向けの要尺計算アプリ開発とソーイングサポートサービス |
| 事業計画概要 | 近年のハンドメイドブームのリバイバルにより、服をデザインしたい人や、1点ものを作りたいハンドメイドに興味がある人をターゲットにアプリを開発した。 ミシン初心者が難しいと感じるところに手が届くよう、ミシンの写真から必要な生地の長さを算出することができるアプリを開発し、補助事業期間内では試用段階であるものの、今後は本格的な利用に向けて準備を進めている最中である。 |
③認知症高齢者を地域で支えるシステムを開発
| 事業者名 | 有限会社三進社印刷所 |
| 事業計画 | スマートフォンアプリを利用した外出中の認知症高齢者お声がけシステムの開発 |
| 事業計画概要 | 縮小する印刷業から時代に即した新事業の展開にアプリの開発を選択した同社。医療系印刷物を手がけてきた経験を活かし、認知症高齢者関連のアプリの開発に着手した。 事業内容は、Beaconセンサーとスマートフォンアプリを使用し、地域住民が事前にアプリをダウンロードしておくことでセンサーをもつ認知症高齢者が近づいた際に音やメッセージで知らせ声をかけてもらうシステムである。 今回の事業が、新生児用の見守りセンサーなど新たなシステム開発に繋がり、会社の売り上げ増加にも寄与している。 |
ものづくり補助金でアプリ開発を行うときの注意点

補助事業内容としてアプリ開発を行う経費は、ものづくり補助金を活用することができます。補助事業としてアプリ開発を行う場合には確認しておくべき注意点があります。次の3つの点をおさえていきましょう。
ものづくり補助金でアプリ開発を行うときの注意点
自社で開発したときの人件費は補助対象外になる
1つ目は新しいアプリを自社で開発した経費は、補助金の対象外であるということです。「事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)」は補助金の対象とならないと公募要領に示されているので注意が必要です。
アプリ開発でものづくり補助金を活用するには、企業への外注が基本になります。

補助事業実施期間中に開発を終える必要がある
2つ目に、補助事業内容実施期間中にアプリ開発を終える必要があることです。
ものづくり補助金を活用した補助事業は期間が定められており、期間外の経費が補助金対象外になります。特にアプリ開発は社外の企業に外注するので、開発期間の入念な打ち合わせとスケジューリングを行い、補助事業実施期間内にアプリ開発を終えられるようにしましょう。
補助金の振り込みは事業完了後となる
3つ目の注意点は、補助金という特性上、資金は後払いになることです。
開発段階では、開発経費は自己負担または銀行からの借り入れ状態になるので、開発半ばで資金不足に陥らないようしっかりとした資金調達計画が必要になります。

アプリ開発で補助金の活用をお考えの方、まずは株式会社補助金プラスの無料相談へ!
アプリ開発にものづくり補助金が活用できることは説明した通りです。しかし、いざものづくり補助金に申請しようとしても、なかなか申請手順が分からず、煩雑な手続きに忙殺されてしまう方も多いのです。
株式会社補助金プラスでは、過去の経験を通じて数多くの事業者様の申請支援を行ってまいりました。これまでの実績から得た「採択されるためのポイント」や株式会社補助金プラスの強みであるシステム関連のノウハウを活かし、今後も事業者様の更なる事業拡大をサポートします。
株式会社補助金プラスでは、事業者様向けにものづくり補助金の申請支援を行っております。ものづくり補助金の申請支援サービスは次のような特徴があります。
・90%の高採択率
・全国各地どこでも可能、オンラインで全国対応
・事業計画を通じて、お客様の強みを言語化
無料相談も行っているため、事業者様で「アプリ開発で補助金が使えるか?」「採択率を高めるにはどうしたら良いか?」といった悩みがあるような方がいましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
ものづくり補助金を活用し、アプリ開発をすることは可能です。インターネットやスマートフォンアプリを活用した新しいビジネスは、中小企業の新事業展開につながり売り上げ増加に貢献します。ただしアプリをゼロから開発しようとすると費用が高額になるため、ものづくり補助金の活用がおすすめです。



