【2025.8】ものづくり補助金の要件について徹底解説!申請するための条件はある?

新規事業をお考えの中小企業や個人事業主の方々で、ものづくり補助金の申請に関する要件がいまいちわからない、なんて考えている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、ものづくり補助金の基本要件や申請時の条件について詳細に解説します。これからものづくり補助金に申請する方はぜひ参考にしてください。
- ものづくり補助金の要件がわかる
- ものづくり補助金の申請に条件があるのかどうかがわかる

要件の前に知っておきたい!ものづくり補助金の概要
以下では、ものづくり補助金に関する基本概要を解説します。要件を確認する前に、まずはものづくり補助金についてよく知っておきましょう。
要件の前に知っておきたい!ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主が経営革新を行う際に必要となる様々な設備投資を支援する趣旨で制定された補助金です。
「経営革新」とは、具体的には新製品、新サービスの開発や、生産プロセスおよびサービス提供方法の改善などを指します。DXや環境対策に関連する事業計画の場合はより多くの補助が受けられるなど、事業計画の内容に応じて多様な要件、効果があるのも、ものづくり補助金の大きな特徴です。
受け取れる金額
ものづくり補助金では、事業計画の内容や従業員数によって受け取れる金額が変わります。以下は、第20回公募時点で設定されている補助率と補助上限金額です。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 5人以下 | 750 万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| 6~20人 | 1,000 万円 | |
| 21~50 人 | 1,500 万円 | |
| 51 人以上 | 2,500 万円 |
グローバル枠
| 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 3,000万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
また、特例を活用した場合は上記の補助上限金額が更に高くなります。
ものづくり補助金の基本要件
以下では、ものづくり補助金の基本要件について解説します。
ものづくり補助金の基本要件
基本要件の内容
ものづくり補助金の基本要件は以下のとおりです。
基本要件
基本要件①:付加価値額の増加要件
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR。以下同じ。)を 3.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値(以下「付加価値額目標値」という。)を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要です。
⚫ 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
基本要件②:賃金の増加要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%(以下「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
又は従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率(以下「1 人あたり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で給与支給総額基準値以上の目標値(以下「給与支給総額目標値」という。)及び 1 人あたり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「1 人あたり給与支給総額目標値」という。)をそれぞれ設定し※1※2、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員(以下「従業員等」という。)に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該給与支給総額目標値及び 1 人あたり給与
支給総額目標値を達成することが必要です。
⚫ 事業計画期間最終年度において、少なくともいずれか一方の目標値を達成する必要があります。いずれも達成できなかった場合、達成度合いの高い目標値の未達成率に応じて補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
⚫ 給与支給総額とは、従業員及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)をいいます。また、1 人あたり給与支給総額とは、給与支給総額を従業員数及び役員数で除したものをいいます。
基本要件③:事業所※内最低賃金水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(補助事業の主たる実施場所で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より 30 円(以下「事業所内最低賃金基準値」という。)以上高い水準にすること。
⚫ 具体的には、申請者自身で事業所内最低賃金基準値以上の目標値(以下「事業所内最低賃金目標値」という。)を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、当該事業所内最低賃金目標値を達成することが必要です。
⚫ 達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
※ ここでいう「事業所」とは、「補助事業の主たる実施場所」を指します。P7 に記載されている補助事業の主たる実施場所の考え方にしたがって目標値を設定し、申請・報告してください。なお、主たる実施場所における従業員の最低賃金を、本要件の達成状況として事業化状況報告において報告してください。
基本要件④:従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数 21 名以上の場合のみ)⚫ 「次世代育成支援対策推進法」(平成 15 年法律第 120 号。以下「次世代法」という。)第 12 条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと。
⚫ 具体的には、申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した、申請締切日時点で有効※な一般事業主行動計画を公表することが必要です。
※ 「申請締切日時点で有効」とは、申請締切日が一般事業主行動計画の計画期間内に入っている必要があります。
⚫ 一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するにあたっては、1~2 週間程度の期間を要しますので、該当事業者はお早めに一般事業主行動計画の策定・公表に向けた準備等を行ってください。また、策定・公表した一般事業主行動計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届出ください。
申請時はまず上記の基本要件を満たす3〜5年の事業計画を作成しなくてはなりません。また、要件によっては未達の場合に補助金の返還が求められる要件もあるので、必ず達成できるようにしましょう。

グローバル枠の要件について
ものづくり補助金でグローバル枠に申請する際は、以下のような追加要件が求められています。
グローバル枠の要件
グローバル要件①:海外への直接投資に関する事業
海外への直接投資に関する事業※であって、以下を全て満たすこと。
※ 海外への直接投資等に関する事業とは、例えば、国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業をいいます。
⚫ 国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の 2 分の 1 以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社(発行済株式の総数の半数以上又は出資価格の総額の 2 分の 1 以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定。)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。
⚫ 国内の補助事業実施場所においても、海外事業と一体的な機械装置等(単価 50 万円(税抜き)以上)を取得(設備投資)すること。
⚫ 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること。
⚫ 実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。
グローバル要件②:海外市場開拓(輸出)に関する事業
海外市場開拓(輸出)に関する事業※であって、以下を全て満たすこと。
※ 海外市場開拓(輸出)に関する事業とは、例えば、海外展開を目的とし、製品・サービスの開発・改良、ブランディングや新規販路開拓等に取り組む事業をいいます。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の 2 分の 1 以上が海外顧客となり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
⚫ 応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること。
⚫ 実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を提出すること。
グローバル要件③:インバウンド対応に関する事業
インバウンド対応に関する事業※であって、以下を全て満たすこと。
※ インバウンド対応に関する事業とは、例えば、製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、海外からのインバウンド需要を獲得する事業をいいます。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の 2 分の 1 以上が訪日外国人となり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
⚫ 応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。
⚫ 実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を提出すること。
グローバル要件④:海外企業と共同で行う事業海外企業と共同で行う事業※であって、以下を全て満たすこと。
※ 海外企業と共同で行う事業とは、例えば、外国法人との共同研究・共同事業開発により、新たに成果物を生み出す事業。
⚫ 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)。
⚫ 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること。
⚫ 実績報告時に、当該契約の進捗が分かる実績報告書を提出すること。
特例措置要件について
特例措置要件は、特例を活用して申請した事業者が満たさなくてはならないものです。
特例措置要件
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件
以下の要件を全て満たすこと。
⚫ 「2.5.1 基本要件②:賃金の増加要件」の給与支給総額基準値に加え、更に年平均成長率+4.0%(合計で年平均成長率+6.0%)以上の目標値(以下「特例給与支給総額目標値」という。)を申請者自身で設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該特例給与支給総額目標値を達成すること。
⚫ 「2.5.1 基本要件③:事業所内最低賃金水準要件」の事業所内最低賃金基準値に加え、更に+20 円(合計で+50 円)以上の目標値(以下「特例事業所内最低賃金目標値」という。)を申請者自身で設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、特例事業所内最低賃金目標値を達成すること。
⚫ いずれか一方でも目標値が達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件
⚫ 2023 年 10 月から 2024 年 9 月までの間で、3 か月以上、補助事業の主たる実施場所で雇用している全従業員のうち、事業実施都道府県における最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が 30%以上いること。
引用:ものづくり補助金 公募要領
このように、基本要件以外にも要件が追加になることもあるので、必ず自社が満たさなくてはならない要件はどれなのかを調べておきましょう。
ものづくり補助金に申請するための要件以外の条件は?
ここではものづくり補助金における、上述した要件以外の条件について解説します。
ものづくり補助金に申請するための要件以外の条件は?
対象となる事業者
ものづくり補助金の趣旨は、先ほども述べた通り「中小企業」の経営革新の支援です。したがって、大企業やみなし大企業は対象となりません。その一方で、個人事業主や新設法人は対象に含まれています。
具体的には、以下が対象になります。
- 中小企業者
- 小規模企業者・小規模事業者
- 特定事業者の一部
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
また、中小企業として認められるのは、資本金額と従業員数が以下の表以下の場合です。

※ここでの「サービス業」は、ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除きます。
※ここでの「ゴム製品製造業」は、自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除きます。
なお、これ以外にも組合や特定事業者、特定非営利活動法人等も対象となることがありますが、条件が複雑ですのでここでは省略します。詳しくは公募要領をご覧ください。
対象となる事業や経費
事業計画に関するあらゆる費用が、必ずしもものづくり補助金の対象となるわけではないという点にも注意が必要です。
公募要領によれば、補助対象となる経費は「補助対象となる経費は、本事業の対象として明確に区分できるものであり、その経費の必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる」ことを前提とした上で、以下のいずれかに該当する必要があるとしています。
対象経費
製品・サービス高付加価値化枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
グローバル枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
- 広告宣伝・販売促進費
(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)
また、申請する事業計画は必ず単価50万円(税抜き)以上の設備投資を含む必要がありますので、その点についてもご注意ください。

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ものづくり補助金の申請には複雑な要件があり、事業者様にとって要件を正しく理解し満たすことは容易ではありません。申請書類の準備や事業計画の策定に時間を取られ、本業に支障をきたすケースも少なくありません。
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まとめ
この記事では、ものづくり補助金の概要から、各申請枠に共通する基本要件、そのほかの申請要件について説明し、ものづくり補助金全体について概括的に解説しました。
ものづくり補助金の申請にあたってはチェック事項が多く、また採択を勝ち取るにあたっても意識すべきポイントが多くありますので、申請をお考えの方は一度専門家にご相談されることをおすすめします。



