【2025.7】ものづくり補助金はスタートアップや創業したばかりの会社も利用可能!3つの注意点も紹介

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産向上促進補助金)は、創業まもない会社やスタートアップでも利用できます。設立5年目以内であれば採択の面で優遇されるので、創業直後の資金調達手段としておすすめです。
当記事ではスタートアップへものづくり補助金の利用をおすすめする理由や、利用する際の注意点を解説します。
- ものづくり補助金の対象となる事業者が満たすべき要件がわかる
- 創業まもない会社やスタートアップが申請する際の注意点がわかる
- 創業まもない会社やスタートアップにものづくり補助金がおすすめの理由がわかる


創業まもない会社やスタートアップにものづくり補助金がおすすめの理由
創業まもない会社やスタートアップにものづくり補助金がおすすめな理由は、多額の補助金受給が期待できるからです。以下で詳しく紹介します。
巨額の設備投資に対し高い補助率で補助が受けられる
ものづくり補助金の補助率、補助上限金額は以下のようになっています(2025年7月現在)。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 5人以下 | 750 万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| 6~20人 | 1,000 万円 | |
| 21~50 人 | 1,500 万円 | |
| 51 人以上 | 2,500 万円 |
グローバル枠
| 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 3,000万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
補助率は1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者(製造業などは20人以下・サービス業などは5人以下の常勤従業員である企業のこと、または個人事業主のこと)に該当する場合は補助率2/3が適用されます。
つまり、創業まもない会社やスタートアップで従業員が少ない場合は、補助率が優遇される可能性が高いのです。

補助金を1,000万円で申し込んだ場合、補助率1/2だと2,000万円の経費支出が必要です。一方で2/3だと1,500万円の経費支出で済むため、500万円を他の設備投資などに回せます。
このように、数百万円から数千万円の巨額の設備投資に対し、高い補助率で補助が受けられるのがものづくり補助金のメリットです。資金繰りが難しいスタートアップなどにとって、相性がよいおすすめの補助金と言えるでしょう。
創業まもない会社やスタートアップが申請する際の3つの注意点
創業まもない会社やスタートアップがものづくり補助金に申請する際には、提出書類の違いやつなぎ融資実行の難しさなどを理解しておきましょう。それぞれの注意点を解説します。
創業まもない会社やスタートアップが申請する際の注意点
①スタートアップは提出書類が異なる
ものづくり補助金申請時の提出書類の1つに「直近2年間の決算書等(貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)」があります。
しかし、創業から2年経っていない事業者は2年間分の決算書等が存在しません。そのため、提出すべき書類の数や種類が異なります。具体的には次の通りです。
- 創業してから2年に満たない事業者(1年以上2年未満):1期分の決算書等
- 設立まもなく決算書がまだ作成できない事業者:事業計画書および収支予算書
創業まもない会社やスタートアップは、事前に確認しておきましょう。
②つなぎ融資の利用が難しいことがある
ものづくり補助金は、補助事業終了後に交付される後払いの制度です。そのため、補助金が交付されるまでに発生する補助事業の経費・その他運営費をつなぎ融資でまかなう企業も珍しくありません。
しかし、創業まもない会社やスタートアップは事業実績や信頼性が不透明であるため、金融機関からの融資を断られる可能性があります。
つなぎ融資を利用したいときは、日本政策金融公庫の創業融資などスタートアップ向けの融資を利用しましょう。
つなぎ融資について詳しい内容はこちら
③従業員が5人以下の場合、補助金額は750万円以下になる
| 従業員数 | 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 5人以下 | 750 万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| 6~20人 | 1,000 万円 | |
| 21~50 人 | 1,500 万円 | |
| 51 人以上 | 2,500 万円 |
上の表を見れば分かるように、新しく創業した企業やスタートアップは、初期段階では従業員数が少ないことが多いでしょう。例えば、従業員が5人以下の場合、補助上限は750万円になります。
ものづくり補助金の申請に備えて、他の補助金や融資を利用することを検討しても良いかもしれません。
スタートアップも活用できるものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者などを対象に、新製品・サービスの開発や生産プロセス改善などにかかる設備費用等を支援する補助金制度です。事業計画が事務局に採択されれば、数百万円〜数千万円の補助金の交付を受けられます。スタートアップも活用しやすい補助金として人気です。
スタートアップも活用できるものづくり補助金とは?
ものづくり補助金の目的
ものづくり補助金の目的は、「中小企業などが直面する働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの制度変更に対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を行う事業者を支援すること」です。
①Y精螺工業株式会社
全自動システムバンドソーの導入による鋼材の切り出し自動化により、作業時間の大幅短縮やQCDのレベルアップ、その他工作機械との連携強化による体制改善などを実現
②有限会社農業法人K里ジャム
国産スモールフルーツを活用した新飲料などの商品開発や販路拡大事業によって、ペクチン不使用で砂糖の仕様を抑えた糖度37度の超低糖度ジャムを開発し、フード・アクション・ニッポンアワードなどの賞の受賞や知名度アップにつながった
事例の通り、ものづくり補助金は事業規模・業種にかかわらず、さまざまな事業の商品開発や設備導入を支援しています。採択を受けた事業者の中には、スタートアップ・ベンチャー企業や創業まもない会社も見られます。
ものづくり補助金で使える経費
以下は、ものづくり補助金で活用できる補助対象経費です。
対象経費
製品・サービス高付加価値化枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
グローバル枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
- 広告宣伝・販売促進費
(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)
上記のように、ものづくり補助金はさまざまな用途に活用することができます。もし、まだ資金が少ない中で上記の経費を使って行いたい事業がある場合は、ぜひものづくり補助金の活用を検討してみてください。

ものづくり補助金の対象となる事業者が満たすべき要件
ものづくり補助金の対象となる事業者が満たすべき要件
ものづくり補助金の対象となる事業者が満たすべき要件は、スタートアップを含めて原則としてはどの事業者も同じです。満たすべき要件を見ていきましょう。
資本金額または従業員数が規定以下
ものづくり補助金の対象企業は、原則として以下に当てはまる事業者です。
- 中小企業者
- 小規模企業者・小規模事業者
- 特定事業者の一部
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
上記に当てはまるかどうかは、従業員数や資本金額で決まります。特に、中小企業は業種ごとに定められた従業員数が異なるので注意しましょう。
中小企業者に該当する組合・法人や特定事業者、特定非営利活動法人(NPO法人)など、条件を満たした事業者が対象になります。詳細は公募要領にて確認が可能です。
事業規模がまだ小さなスタートアップであれば、問題なく対象になるでしょう。
要件を満たす事業計画書を策定する
ものづくり補助金の採択を受けるには、基本要件に加えて、枠ごとに設定された要件を満たす事業計画書が必要です。事務局は提出された事業計画書を審査し、採択・不採択を決定します。
第21次公募における基本要件は、次の内容をすべて満たす3~5年の事業計画を策定することです。
基本要件
基本要件①:付加価値額の増加要件
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR。以下同じ。)を 3.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値(以下「付加価値額目標値」という。)を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要です。
⚫ 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
基本要件②:賃金の増加要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%(以下「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
又は従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率(以下「1 人あたり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。
⚫ 具体的には、申請者自身で給与支給総額基準値以上の目標値(以下「給与支給総額目標値」という。)及び 1 人あたり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「1 人あたり給与支給総額目標値」という。)をそれぞれ設定し※1※2、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員(以下「従業員等」という。)に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該給与支給総額目標値及び 1 人あたり給与
支給総額目標値を達成することが必要です。
⚫ 事業計画期間最終年度において、少なくともいずれか一方の目標値を達成する必要があります。いずれも達成できなかった場合、達成度合いの高い目標値の未達成率に応じて補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
⚫ 給与支給総額とは、従業員及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)をいいます。また、1 人あたり給与支給総額とは、給与支給総額を従業員数及び役員数で除したものをいいます。
基本要件③:事業所※内最低賃金水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(補助事業の主たる実施場所で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より 30 円(以下「事業所内最低賃金基準値」という。)以上高い水準にすること。
⚫ 具体的には、申請者自身で事業所内最低賃金基準値以上の目標値(以下「事業所内最低賃金目標値」という。)を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、当該事業所内最低賃金目標値を達成することが必要です。
⚫ 達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
※ ここでいう「事業所」とは、「補助事業の主たる実施場所」を指します。P7 に記載されている補助事業の主たる実施場所の考え方にしたがって目標値を設定し、申請・報告してください。なお、主たる実施場所における従業員の最低賃金を、本要件の達成状況として事業化状況報告において報告してください。
基本要件④:従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数 21 名以上の場合のみ)⚫ 「次世代育成支援対策推進法」(平成 15 年法律第 120 号。以下「次世代法」という。)第 12 条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと。
⚫ 具体的には、申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した、申請締切日時点で有効※な一般事業主行動計画を公表することが必要です。
※ 「申請締切日時点で有効」とは、申請締切日が一般事業主行動計画の計画期間内に入っている必要があります。
⚫ 一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するにあたっては、1~2 週間程度の期間を要しますので、該当事業者はお早めに一般事業主行動計画の策定・公表に向けた準備等を行ってください。また、策定・公表した一般事業主行動計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届出ください。
いずれの条件も「給料を上げる」「生産性を上げる」といった目的であり、スタートアップなどが事業拡大や従業員エンゲージメント向上を目指す際の、具体的な目標値として設定しやすい数値です。
事業計画書を作成するときは、ものづくり補助金の採択を目的としたものだけでなく、現状の経営課題の解決につながる内容に仕上げるとより効果的になるでしょう。
ものづくり補助金の通常枠であれば、基本要件のクリアのみで応募が可能です。一方でグローバル枠に申請する場合等は追加要件が定められています。
創業後の経過年数に関する規定はない
ものづくり補助金の要件に、創業後の経過年数に関する規定はありません。創業したばかりの企業から創業10年以上の老舗企業まで、経過年数に関係なく応募できます。むしろ創業・第二創業後まもない企業は、加点措置によって採択を受けやすくなっています。


株式会社補助金プラスでサポートしたスタートアップの採択事例
株式会社補助金プラスでものづくり補助金の申請サポートを行ったスタートアップの採択事例を紹介します。

会社名:株式会社Tleez
業種:AIスタートアップ(システム受託)
金額:7,500,000円
AI搭載広告作成支援システムのために、ものづくり補助金に申請した会社です。AIの開発費、広告支援サービスの構築費にものづくり補助金を利用しました。
お客様の声
「先進的なAI開発を受託するシステム開発企業です。学会にAIに関する論文の発表を行うなど世界からも認められた高い技術力が強みです。より多くの人々、そして企業をご支援していくため、新たに自社の技術を生かした新規事業を行う必要がありました。様々調べる中でものづくり補助金の存在を知りましたが、最新のテクノロジーに精通したコンサルタントがおらず諦めていました。しかし、INUに依頼したところ、弊社の技術的強みや将来の展望などをうまくまとめてくださり、ものづくり補助金が採択されました。INUが事業のための提携先などを紹介してもらい事業進捗まで一貫して支援してもらえました。」
その他ものづくり補助金のスタートアップ採択事例
以下はものづくり補助金に採択されたスタートアップの事例です。
【会社名と内容】
①株式会社StartPass
スタートアップの資金調達及び経営支援をDX化するアプリ開発
②株式会社CYBO
自動細胞ハンドリング用AIの開発
③X-tech
繁殖農家の生産性向上支援AIシステム
④株式会社ZenmuAI
小規模飲食店向けデジタル・アナログ併用型テイクアウト注文システムの開発
⑤Aider lab株式会社
メディカルエコシステム「アイラボ」を実現するためのeMIDシステム開発
⑥エールアカウンティング株式会社
AI搭載クラウドシステムを活用した連結決算代行サービス等
⑦JPI合同会社
生成AIによる会計コンサルティングのSaasシステム
⑧andLLM株式会社
AI技術を活用したパーソナライズドチャットサービスの開発
⑨株式会社カーデミー・ジャパン
AIを活用したパーソナライズ言語アプリの開発
⑩カサナレ株式会社
生成AI活用の顧客対応・マーケティング用チャットシステム開発
まとめ
ものづくり補助金は、創業まもない会社やスタートアップの資金調達手段としておすすめです。数千万円前後の高額な補助金を、業務改善や改善に回せます。設立5年以内のスタートアップ会社などは加点項目によって採択が優遇されるので、事業を始めたばかりの企業こそ、ものづくり補助金への利用を検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社補助金プラスでは、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの補助金に関する相談や事業計画書の作成サポート、その他スタートアップの経営支援を行っています。これまでに多くのお客様のサポートをし、ものづくり補助金に採択された実績もあります。システム関連にも強く、設備導入以外のシステム導入やアプリ開発での補助金申請にも対応可能です。ものづくり補助金の申請でお悩みの方は、ぜひサービスページよりお問い合わせください。
また、資金調達や資金繰りに関する情報は、下記サイトも参考にご覧ください。
資金調達・資金繰りの情報サイト | ウリカケ×カイカケ.com



