IT導入補助金は、ITツールの導入費用を補助してくれる制度です。しかし、どんな目的のITツールの導入等に活用できるのかよくわからないという方も多いでしょう。補助対象外の経費で申請してしまうと、不採択にもなりかねません。
本記事では、IT導入補助金の対象経費、注意すべき対象外経費等について解説します。対象経費についてよくわからないと考えている方はぜひ参考にしてください。
IT導入補助金とはどんな補助金制度なのかを解説します。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者(個人事業主を含む)がDX化、業務効率化をして労働生産性を上げることができるよう、ITツールの導入費用を補助してくれる補助金です。申請枠は4つあり、それぞれで申請できるツールや目的等は異なります。
対象となる企業は中小企業、小規模事業者ですが、従業員数や資本金のほか、定められた要件があります。それらの要件に全て当てはまる事業者がIT導入補助金に申請することができます。
複数社連携IT導入枠以外で申請する場合、補助してもらえるツールは事前に事務局が確認し、審査を通過したものに限られます。どんなツールを導入できるのかは補助金のHPで公開されているため、事前に確認しておきましょう。
また、複数社連携IT導入枠以外申請時はIT導入支援事業者と呼ばれる事務局に登録された事業者をパートナーとして、申請や受給後の報告等を行う必要があります。
2024年のIT導入補助金は、以下の4つの申請枠があります。インボイス枠のみ2つ類型があります。
それぞれの申請枠ごとに目的も導入できるツールも異なります。また、対象経費、補助額、補助率も異なるので、必ず事前に申請枠ごとの違いを確認し、適切な申請枠を選択しておきましょう。
IT導入補助金を利用するには、事前に事務局の審査に通過しなくてはなりません。申請した全ての事業者が通過するわけではなく、不採択になってしまう事業者もいます。
2023年募集のIT導入補助金のうち、直近の2024年3月8日に交付が決定した締め切り分の申請者、採択者、採択率は申請枠ごとに以下のとおりです。
申請枠 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
通常枠(A類型) | 3,330 | 2,531 | 76% |
通常枠(B類型) | 71 | 42 | 59% |
セキュリティ対策推進枠 | 30 | 20 | 67% |
デジタル化基盤導入枠 (デジタル化基盤導入類型) | 8,878 | 6,314 | 71% |
デジタル化基盤導入枠 (商流一括インボイス対応類型) | 0 | 0 | – |
デジタル化基盤導入枠 (複数社連携IT導入類型) | 1 | 1 | 100% |
参照:IT導入補助金2024 交付決定事業者一覧及び交付申請件数2023(後期事務局)
※2023年と2024年では一部申請枠の変更あり
上記のように、申請枠にもよりますがだいたい50%以上の事業者は採択されているようです。それでも採択率の低い申請枠と高い申請枠では採択率の数値に大きな開きが出てくるので、自分の申請したい枠はおおよそどれくらいの採択率なのか、確認して対策しておくことが大切です。
IT導入補助金に申請する際は必要な手続きが多くあり、前もって準備を始めなくてはなりません。必要な手続きは以下のとおりです。
手続き | 詳細 |
gBizIDプライムアカウントの取得 | 補助金申請のためには、行政サービスを利用するために必要なgBizIDプライムアカウントを取得しなくてはなりません。取得まで2週間ほどかかるので前もって申請しておきましょう。 |
SECURITY ACTIONの宣言 | 補助金に申請する際は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONで「★一つ星」もしくは「★★二つ星」の取得が必要です。 |
みらデジ経営チェックの実施 | 中小企業庁が実施しているみらデジ経営チェックで、自社のデジタル化への取り組み状況を確認しておく必要があります。みらデジ経営チェックは、通常枠に申請する際は必須です。 |
導入するITツールとIT導入支援事業者を決定 | 事前に事務局に登録されたITツール、IT導入支援事業者一覧からそれぞれを選択し決定します。 |
IT導入支援事業者と共同で申請書類を準備・作成し提出 | 申請マイページから基本情報等を入力し、IT導入支援事業者にも入力、確認をしてもらってから事務局に提出します。 |
採択決定 | 採択が決定します。 |
補助事業を開始 | 事前に予定していた補助事業を開始します。ITツールの発注等の購入手続きを行うのはこのタイミングです。 |
事業実績報告 | 申請マイページより、ツールを購入したことの証明等を行います。 |
補助金の交付 | 補助金が交付されます。交付のタイミングは補助事業完了後なので注意しましょう。 |
事業実施効果報告 | 補助事業によってどれくらいの成果が出たのかを報告します。 |
また、現在(2024年4月3日)募集中のIT導入補助金の次回締切日は以下のとおりです。
申請を考えている方は、スケジュールに遅れないように準備を進めましょう。
IT導入補助金の対象経費は、IT導入支援事業者が提供しているITツールで、事務局から事前に登録されているものの導入費用です。補助金に申請する際は、IT導入支援事業者と相談した上で適切なツールの登録を申請しなくてはなりません。
基本的には上記のように定められたツールの導入費であれば対象経費になりますが、申請枠ごとに詳細は異なります。IT導入補助金は何に使えるか、以下で申請枠ごとに対象経費を詳しく解説します。
通常枠の対象経費は以下の通りです。
ソフトウェア導入費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分) |
導入関連費 (オプション) | 機能拡張やデータ連携ツールの導入、セキュリティ対策実施に係る費用 |
導入関連費 (役務の提供) | 導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポートに係る費用 |
引用:IT導入補助金2024 通常枠
ソフトウェアの導入費はもちろん、それに関する拡張費用や導入のコンサルティングやサポート等に関わる費用も補助してもらうことができます。
インボイス枠のインボイス対応類型の対象経費は以下の通りです。
ソフトウェア導入費 | インボイス制度に対応し、「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するソフトウェア |
オプション | 機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ |
役務 | 導入コンサルティング、導入設定 / マニュアル作成 / 導入研修、保守サポート |
ハードウェア導入費 | PC / タブレット / プリンター / スキャナ / 複合機、POSレジ / モバイルPOSレジ / 券売機 ※ハードウェアを補助対象として申請する場合は、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること。 |
引用:IT導入補助金2024 インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス対応類型の場合、ソフトウェアの購入は必ずしなくてはなりません。ハードウェアの位置付けは、あくまでもソフトウェアを使用するためのものとなり、購入は必須ではありません。
電子取引類型の対象経費は以下のとおりです。
受発注ソフト導入費 | インボイス制度に対応した受発注の機能を有しているものであり、 かつ取引関係における発注側の事業者としてITツールを導入する者が、 当該取引関係における受注側の事業者に対してアカウントを無償で発行し、 利用させることのできる機能を有するクラウド型のソフトウェア クラウド利用料(最大2年分) |
引用:IT導入補助金2024 インボイス枠(電子取引類型)
電子取引類型は、インボイス制度に対応した受発注ソフトを取引関係における発注者が導入し、受注者にも取引時に使用させる際に活用できる類型です。補助対象の金額についても受注側アカウント総数のうち受注者側が使用するアカウントの割合で決定します。いくつアカウントを契約するか等で金額も変わるので注意しましょう。
セキュリティ対策推進枠の対象経費は以下のとおりです。
ITツールの導入費用及びサービス利用料(最大2年分) | サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに登録され、かつ事務局の事前審査に通っているツールの利用料 |
引用:IT導入補助金2024 セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠では、あくまでもサイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているソフトの導入に限られます。必ず事前に導入したいソフトがあるかどうかを公開されているサービスリストを確認してチェックしておきましょう。
複数社連携IT導入枠の対象経費は3つに分かれます。
基盤導入経費 | ITツール:「会計・受発注・決済」の機能を保有するソフトウェアと そのオプション、役務およびそれらの使用に資するハードウェア |
消費動向等分析経費 | 異業種間の連携や地域における人流分析・商取引等の面的なデジタル化に 資するソフトウェアとそのオプション、役務、ハードウェア |
その他経費 | 参画事業者のとりまとめに係る事務費、専門家費 |
引用:IT導入補助金2024 複数社連携IT導入枠
この申請枠では、同じ商圏にいる事業者が協力してITツールの導入やそれによる消費動向分析等を行い、地域全体の生産性向上を図るという目的があります。その目的に沿った経費が対象です。
上記では対象経費について解説してきました。しかし、中には実は対象外経費だったというものもあります。もしも対象外経費で申請してしまうと不採択になることも考えられます。必ず対象外経費についても確認してから申請を行いましょう。
補助金採択決定前にITツールを購入してしまうと、補助金の交付を受けることができずそのITツールに補助金を活用できなくなってしまいます。あくまでも、ITツールの購入や契約作業は補助金の採択が決定してから行いましょう。
実際にIT導入補助金を交付してもらえるのは、先述したとおり事業実績報告をした後です。採択が決まった直後に交付があるわけではありません。採択が決定したら、まずは自社でITツールを契約、購入し、その後補助金を交付してもらうことができます。補助金交付までのスケジュールを社内でよく確認し、ITツールを契約するタイミングを間違わないようにしておきましょう。
リース、レンタル契約のITツールは補助対象にはなりません。必ず新規導入のITツールを契約しましょう。また、中古品のITツールも補助対象外です。
ただし、サイバーセキュリティお助け隊サービスにはリース、レンタル契約のITツールが掲載されている場合もあります。そのようなツールのうち事務局から許可がおりているものについてはセキュリティ対策推進枠にて導入が可能です。
IT導入補助金に申請する際、利用料金が定まっていないITツールは補助対象外になってしまいます。理代料金が定まっていないと結局いくらの補助額になるのか確定することができないためです。
申請するツールは、利用料がはっきり決まっているITツールを必ず選ぶようにしましょう。
2024年より、IT導入補助金ではホームページ(ECサイト含む)の制作は補助対象外になりました。これまであったデジタル基盤導入枠というホームページ制作に活用できる申請枠が廃止されたためです。そのため、ホームページ制作をする目的で補助金を申請しても、補助対象外であるため不採択になってしまいます。
詳しくは以下の記事にも記載しているので、参考にしてみてください。
対象外になってしまう経費は、上記以外にもあります。以下は公募要領に代表的な対象外経費として掲載されているものです。
どのようなITツールが対象になるのか詳しく確認するためには、ITツール登録要領を確認しましょう。
株式会社補助金プラスでは、IT導入補助金に申請したいという方に向けて、支援やサポートのサービスを提供しています。これまでに多くの事業者様の補助金申請のサポートを行なった実績があり、採択率は90%の高水準です。事業者様それぞれの強みを活かし、書類の作成、準備等をお手伝いします。実現可能な事業計画を作成し、採択へと繋げていきます。
株式会社補助金プラスのサポートは基本的にオンラインなので、場所を問わずに対応が可能です。初回は無料の相談も受け付けているので、ぜひお気軽にご連絡ください。
IT導入補助金は会社のDX化のためにITツールの導入費用の一部を補助してくれる便利な補助金です。自社のデジタル化、業務効率化を考えている方はIT導入補助金の利用がおすすめです。
基本的には事務局から認定を受けたITツールの導入費用が対象経費ですが、申請枠ごとに詳細は異なります。自分の申請したい枠では補助金を何に使えるのか、必ず事前確認をしておきましょう。