【2024.2】ものづくり補助金における実績報告とは?実績報告書の作成手順と作成の際の注意点を徹底解説

ものづくり補助金 実績報告

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金の実績報告のフローや必要書類を知っていますか?
中小企業事業者等の設備投資や新規サービス開発経費を国が支援するものづくり補助金は応募件数の多い人気の補助金です。ですが補助事業完了後に提出する実績報告書は煩雑な手続きが多く発生し、事業者が頭を抱える場合も多いようです。この記事では、補助金採択後のフローから実績報告の作成手順、注意点まで解説していきます。

この記事を読むと
  • ものづくり補助金の実績報告について分かる
  • ものづくり補助金の流れが分かる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業等に交付される補助金の1つです。
ものづくり補助金は、中小企業の総合的な経営力向上を目的としています。
昨今のDX改革をはじめ、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等など、労働環境の相次ぐ制度改革に対応する事業内容にも活用することができます。

例えば、革新的なサービスや試作品の開発による新規事業、生産製造におけるコストの削減やプロセス改善を行うための最新機械を導入する設備投資などの事業経費を国が支援する制度です。
ものづくり補助金で交付された補助金は原則として返済する必要はなく、銀行融資のように担保・保証人が求められることもありません。よってものづくり補助金は申請に条件が課され審査に時間を要す側面もありますが、事業者にとって魅力的な補助金制度です。

ものづくり補助金のスケジュール

では、ものづくり補助金の申請を行い実際に補助金が振り込まれるまでのスケジュールの確認です。

以下に、ものづくり補助金支給までの流れを一覧にしています。

  1. 採択通知を受け取る
    ~ここからが採択後~
  2. 交付申請を行う
  3. 交付決定となる
  4. 補助事業実施期間に入る
  5. 補助事業期間中に設備投資した機械や物品などの納品・検収・支払い等の諸手続を全て済ませる
  6. 遂行状況報告書の提出や中間監査が行われる
  7. 実績報告を行う
  8. 確定検査を受ける
  9. 補助金の請求を行う
  10. 補助金が支払われる

では実際に、第16次公募スケジュールを参考にして流れを追っていきます。
事業者はまずものづくり補助金の申請を行い、審査期間を経て採択通知を受け取ります。

*参考:https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html



<ものづくり補助金の動き>
補助金申請で事業計画書等の審査に通過すると「採択通知」が電子システムに届きます。採択通知後に事業者はものづくり補助金の「交付申請」を行います。

交付申請では、実際に見積書や明細表等を確認しながら、事業者が行う補助事業内容の経費が補助金額として適切かどうか、ものづくり補助金の趣旨に沿っているかを細かく判断されます。
交付申請の審査後、補助金事務局より「交付決定」の通知が届き、補助事業の実施が開始されます。
*注意 交付決定が示される前の機材の発注や支払いにかかった経費は補助金の対象とならない点に留意しましょう。

<補助事業実施期間中>
いよいよ補助事業の開始です。事業者が注意しなければならないことは、ものづくり補助金の対象となる事業は、定められた事業実施期間内に、「発注・納品・検収・支払」等の全ての手続きを完了する必要があるという点です。
事業期間外の機械の発注や支払った経費はものづくり補助金の対象外となりますので、事業者は計画的に事業を進めていきましょう。

補助事業実施期間中は、「遂行状況報告書の提出や中間監査」が行われます。

<補助事業完了後>
ものづくり補助金の補助事業が完了した後は、「実績報告書」及び見積書・請求書等などの経費出納帳関連書類・機材の納品場所写真等の提出です。電子システムから返送される書類の不備修正を行うとともに、事務局側からの「確定監査」を受け全ての書類が受理されると「補助金受給」となり、指定の口座に振り込まれます。

実績報告書と遂行状況報告書は異なる

ところで、ものづくり補助金において実績報告書と遂行状況報告書は異なるものです。実績報告書は補助事業が全て完了した後に提出する書類で、遂行状況報告書はものづくり補助金事業の途中経過を報告するものです。
事務局から提出の依頼がない場合もありますが、遂行状況報告書の提出が求められた事業者は速やかに遂行状況報告書を作成し提出するようにしましょう。

実績報告書の作成手順

実績報告書の作成手順!

では実績報告書の作成手順を整理していきます。最終的には、GビズIDでログインした後Jグランツから全国事務局へものづくり補助金の実績報告書を電子システムで提出すると実績報告が完了します。
しかし提出の前段階として、ものづくり補助金を活用した補助事業を行った各地方の地域事務局と実績報告書の事前確認というやりとりを行い、地域事務局から確認完了という許可を貰う必要がでてきます。下記で詳しく説明します。

証拠書類の準備

実績報告書を地域事務局→全国事務局へと提出完了していくには、まずものづくり補助金の実績報告資料に必要な証拠書類の準備から取り掛かりましょう。
ものづくり補助金の証拠書類とは、経理書類全般のことを指しています。
つまり補助事業にて交わした見積依頼書・見積書・相見積書・契約書・受注書・注文書(契約書)・納品書・請求書・振込依頼書などです。それぞれ管理№をつけて整理しておきます。(提出時はPDFの状態です)

金額面を整備

ものづくり補助金の事業計画に沿って支払った機械装置費やクラウドサービス費など費目ごとの経費一覧表を作成します。上記の経理書類の管理№の順番に整理しておきましょう。
また同時に、経費明細表の作成も求められます。ものづくり補助金に限らず他の補助金制度を利用していても、転記ミスや内容の不一致など細かいミスが起こると補助金給付時に支障がでるので慎重に確認をしながら行います。

実績報告書、その他必要書類の作成

ものづくり補助金(様式第6の別紙1)にある補助事業実績報告書を作成していきます。交付申請の際に作成・提出した事業計画書に沿って、実際にものづくり補助金の補助事業期間内に行った事業の取り組み内容、稼働スケジュール、事業中に生じた課題や事業完了による成果などを具体的に表や写真、図を用いて具体的に記述していきます。
例えば、設備投資をしたことによって生産プロセスを改善し生産性を向上したという事業計画であれば、実際にどれだけの生産プロセスが改善されたかを改善前後の数値で定量的に盛り込む必要があります。

またものづくり補助金では、その他の必要書類として、取得財産等管理台帳や出納帳、通帳コピーなども準備しておくほか、発注し納品された機械設備などの設置写真の撮影なども行います。

地域事務局に確認依頼

ものづくり補助金の実績報告書を作成し、経理書類やその他の必要書類が準備・整理できたなら、補助事業を行った地域の事務局に連絡をとり事前確認の依頼をとりましょう。ものづくり補助金の担当者との電子メールでのやりとりが始まります。
報告書内容の細やかな修正から、写真の選定、経理書類の洩れなど綿密な校正が行われ、全国事務局へ提出する実績報告資料へとブラッシュアップされます。

全国事務局へ提出

幾度かの修正作業の後、地域事務局からの確認完了が貰えたならば、いよいよ全国事務局への提出段階です。ものづくり補助金の実績報告資料の全国事務局への提出はJグランツから行います。
事業者は自身のGビズIDからJグランツへログイン後、ものづくり補助金の該当事業のところから実績報告書提出をクリックし、補助対象経費や決定した補助金額等の情報を打ち込みます。そして実績報告書を添付し提出完了となります。

実績報告資料の構成

ものづくり補助金の実績報告資料は、「費目共通」で作成するものと、「費目別」に作成するものと2つの区分があります。

実績報告資料の構成について!

参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金【実績報告資料等作成マニュアル】

費目共通

ものづくり補助金の費目共通のフォルダに提出する資料は、まとめていきます。

A-1 実績報告書

ものづくり補助金においては提出するファイルの形式が定められており、実績報告書と試作品等(成果)受領書がPDF形式、残りの書類はExcel形式と指定がされています。

資料名称主な記載内容
実績報告書補助事業の具体的内容とその成果 ※評価書など検証結果等を別紙とする場合、 別紙を添付資料として提出
経費明細表補助事業に要した経費明細
取得財産等管理台帳取得した財産のうち、単価50万円(税抜 き)以上の機械装置や構築したシステムなど
試作品等(成果) 受領書試作品等の無償譲渡のための目的や用途

A-2 出納帳

資料名称主な記載内容
預金出納帳、現金出納帳補助事業に要した経費の出納状況
通帳コピー(表紙含む)上記経費の出金状況を確認できるもの 

A-3 預り金(専門家経費を個人払いで支払った場合のみ)

資料名称主な記載内容
預り金元帳 源泉徴収の金額
納付書コピー

費目別

続いて、費目別の各フォルダに格納するデータをまとめていきます。
ものづくり補助金の実績報告にて格納するデータは全てPDF化し、指定されたファイル名にしてフォルダに入れます。


例:B-1_機械装置・システム構築費フォルダに必要データを格納していく場合

指定されたファイル名はものづくり補助金で定められています。【R1で始まる受付番号】事業者名_機-1_見積依頼書の様に変更しておきましょう。

資料名称格納データ
経理書類一式①見積依頼書(仕様書)②見積書③相見積書④注文書(契約書)⑤受注書⑥納品書⑦請求書⑧振込依頼書
その他必要書類①費目別支出明細書(機械装置費)②画像データ③受払簿

実績報告資料作成時の注意点

では、ものづくり補助金の実績報告資料一式を作成する際に、事業内容を具体的に記述する以外に注意しておいた方が良い点を示していきます。

実績報告資料作成時の抑えるべき注意点3選!

スケジュールの確認、厳守

ものづくり補助金の実績報告資料には提出期限が設けられています。

補助事業の完了後、その日から起算して30日を経過した日

交付決定通知書記載の補助事業完了期限日

ものづくり補助金の補助事業完了のうち上記のどちらか早い日程が、実績報告書等資料の提出期限となります。ものづくり補助金担当の地域事務局が行う実績報告書修正作業などは思いのほか時間や日数がかかりますので、事業者は余裕をもって作成にあたりましょう。

経理書類の日付ミスに注意

またものづくり補助金の実績報告資料には経理書類も多くあり、経理書類の内容と、見積書・注文書等のデータ内容(文言・数値含め)が完全に一致していないと補助金給付までたどりつけません。日付に関する不一致もよく発生することなので、ものづくり補助金の補助事業期間内に生じた経理関連の書類や原本は全て大切に保管し、実績報告や監査の際に確認ができる状態にしておきましょう。

画像データに関する注意点

ものづくり補助金の実績報告書を作成していく際、設備投資で導入した機材の搬入した設置写真の添付を求められます。
また提出する経理書類データにも、納品・搬入した機材の正確な数量が分かる写真の提出が必要となります。例えば、今回のものづくり補助金にて新しいパソコン一式を導入したとしたら、付属のパソコン、マウス、コード、ヘッドセットなど申請の際に記載した全ての機材も撮影の対象です。
こういった、機材を設置する前後写真や納品時の写真は、ものづくり補助金実績報告書を作成するときでは遅いので、適切な時期に撮影し、早いうちから画像データを整理保管しておくようにしましょう。

まとめ

ものづくり補助金の実績報告は、補助事業が完了した段階で行います。事業者は速やかに実績報告書に加え、経理関連書類など必要書類の準備を進めましょう。実績報告資料の提出が完了したらいよいよ補助金が支払われます。提出期限に注意しながら不備のないようものづくり補助金の実績報告を行いましょう。

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