【2025.8】ものづくり補助金ではいくら貰える?対象経費や採択事例について徹底解説!

「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者が生産性向上や生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するための補助金です。この記事では、ものづくり補助金はいくら貰えるのか、対象となる経費や採択事例を紹介しながら解説していきます。
この記事では、ものづくり補助金はいくら貰えるのか、対象となる経費や採択事例を紹介しながら解説していきます。
- ものづくり補助金ではいくらもらえるのか分かる
- ものづくり補助金の対象経費やスケジュールなどの概要が分かる

【いくらもらえるかの前に知っておきたい】ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業等に交付される補助金の1つです。ものづくり補助金は、中小企業の総合的な経営力向上を目的としています。
企業の生産性向上に資する革新的なサービスや試作品の開発、生産製造におけるコストの削減やプロセス改善を行うための設備投資等の事業経費を国が支援する制度です。
働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等など、昨今の労働環境の相次ぐ制度改革に対応する事業にも活用することができます。
交付された補助金は原則として返済する必要はなく、銀行融資のように担保・保証人が求められることもありません。よってものづくり補助金は申請に審査がありますが、応募件数の多い人気の補助金です。
【いくらもらえるかの前に知っておきたい】ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金はどんな事業者が対象?
ものづくり補助金の対象事業者は、中小企業や個人事業主、特定非営利活動法人、社会福祉法人が対象となります。日本の全企業数の99%以上が中小企業なのでものづくり補助金の門戸はかなり開かれているといえるでしょう。
ものづくり補助金の申請方法は?
ものづくり補助金の申請は、「公募期間内に事業計画書を電子申請する」という流れで行います。ものづくり補助金の電子申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要で、取得には3週間ほどかかることから早めにアカウントを作成しましょう。
取得したGビズIDでものづくり補助金の電子申請システムにログインし、事業計画書の入力や必要書類のアップロードや添付作業を行い、送信することでものづくり補助金の申請は完了です。
補助金の申請後、事業計画書等の審査が行われ、審査に通ると補助金の採択通知がシステムに送られてきます。
事務局からの採択通知の後、事業申請者は速やかに交付申請を行います。交付申請の後、交付決定を受けることで補助事業実施が可能となります。
このように、ものづくり補助金は申請の手続きから採択結果の通知、補助事業内容の変更届や事業完了の実績報告、補助金の受給など全てのやり取りがインターネット上で行われるので、ネット回線やプリンター環境は整えておいた方がスムーズです。

申請から受給までのスケジュール
ではものづくり補助金の申請から補助金の受給に至るまでのスケジュールを、以下の第20次公募スケジュールを参考にしながら確認していきます。

まずものづくり補助金の申請者は、公募要領を見ながらどの補助金の枠で申請するかを決めます。
<補助事業実施前>
申請には、事業計画書やその他様々な必要書類があるので準備をし、GビズIDにてログイン後電子システムにて申請処理を行います。その後提出した書類を基に補助金事務局が審査を行います(審査の結果がでるまで大体2か月程度要します)。
審査に通過すると「採択通知」が電子システムに届きます。しかしこの採択通知では補助金支払いが認められたということではなく、その後に行う「交付申請」によって具体的な補助金額が決定します。
交付申請では、実際に見積書や明細表等を確認しながら、事業者が行う補助事業内容の経費が補助金額として適切かどうか、ものづくり補助金の趣旨に沿っているかを細かく判断され「交付決定」となりようやく補助事業が実施できるのです。
※注意 交付決定が示される前の機材の発注や支払いにかかった経費は補助金の対象とならない点に留意しましょう。
<補助事業実施期間中>
補助事業実施期間中は、「遂行状況報告書の提出や中間監査」が行われます。
<補助事業完了後>
補助事業が完了した後は、「実績報告書」及び見積書・請求書等などの経費出納帳関連書類・機材の納品場所写真等の提出です。電子システムから返送される書類の不備修正を行うとともに、事務局側からの「確定監査」を受け全ての書類が受理されると「補助金受給」となり、指定の口座に振り込まれます。

ものづくり補助金の採択率はどれくらい?
ものづくり補助金の採択率の推移は以下の通りです。
| 申請者数 | 採択者数 | 採択率 | |
| 1次 | 2,287 | 1,429 | 62.48% |
| 2次 | 5,721 | 3,267 | 57.11% |
| 3次 | 6,923 | 2,637 | 38.09% |
| 4次(一般型) | 10,041 | 3,132 | 31.19% |
| 4次(グローバル展開型) | 271 | 46 | 16.97% |
| 5次(一般型) | 5,139 | 2,291 | 44.58% |
| 5次(グローバル展開型) | 160 | 46 | 28.75% |
| 6次(一般型) | 4,875 | 2326 | 47.71% |
| 6次(グローバル展開型) | 105 | 36 | 34.29% |
| 7次(一般型) | 5,414 | 2,729 | 50.41% |
| 7次(グローバル展開型) | 93 | 39 | 41.94% |
| 8次(一般型) | 4,584 | 2,753 | 60.06% |
| 8次(グローバル展開型) | 69 | 27 | 39.13% |
| 9次(一般型) | 3,552 | 2,223 | 62.58% |
| 9次(グローバル展開型) | 61 | 24 | 39.34% |
| 10次(一般型) | 4,224 | 2,584 | 61.17% |
| 10次(グローバル展開型) | 70 | 28 | 40.00% |
| 11次(一般型) | 4,668 | 2,786 | 59.68% |
| 11次(グローバル展開型) | 76 | 31 | 40.79% |
| 12次(一般型) | 3,200 | 1,885 | 58.91% |
| 12次(グローバル展開型) | 56 | 22 | 39.29% |
| 13次(一般型) | 3,261 | 1,903 | 58.36% |
| 13次(グローバル展開型) | 61 | 24 | 39.34% |
| 14次 | 4,865 | 2,470 | 50.77% |
| 15次 | 5,694 | 2,861 | 50.25% |
| 16次 | 5,608 | 2,738 | 48.82% |
| 17次 | 629 | 185 | 29.41% |
| 18次 | 5,777 | 2,070 | 35.83% |
ものづくり補助金の採択率は大体50%前後で推移していましたが、最近は30%前後にまで落ち込んでいます。申請を検討している事業者は、これまで以上に慎重かつ入念に準備をする必要があるでしょう。このように、スケジュールや採択率を把握することはとても大切です。これからはものづくり補助金がいくらくらいもらえるのか解説していきます。


ものづくり補助金ではいくら貰える?
ものづくり補助金でいくら貰えるかは、公募要領に詳しく記載されています。補助金額や補助率はその都度変更される場合があるので、申請前には最新の公募要領を必ずチェックしておきましょう。
ものづくり補助金ではいくら貰える?
ものづくり補助金の上限額はいくら?
ものづくり補助金は申請すればいくらでももらえる訳ではありません。ものづくり補助金で受け取ることができる補助金の上限金額は以下の通りです(21次公募時点)。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 5人以下 | 750 万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| 6~20人 | 1,000 万円 | |
| 21~50 人 | 1,500 万円 | |
| 51 人以上 | 2,500 万円 |
グローバル枠
| 補助上限金額 (補助下限額100 万円) | 補助率 |
| 3,000万円 | 中小企業 :1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
特例を利用し認められた場合は補助上限金額が上がります。特例については後述します。
その他、他の申請回では複数の枠が設定されたこともありました。今後募集枠が増えた場合はまた補助上限金額も変わってくるでしょう。ぜひ最新情報を常にチェックしておいてください。
ものづくり補助金の補助率はどれくらい?
ものづくり補助金の補助率は、以下のように決められています。
中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は2/3
引用:ものづくり補助金 公募要領
ものづくり補助金の補助率は補助上限額と同様に「従業員数」で決まりますので、申請を検討する事業者は一度確認しておいた方が良いでしょう。

大幅賃上げに関する特例
第14次公募から<大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例>が新たに設けられました。補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に向けて、従業員数に応じて補助上限額の引き上げが行われるという特例です。最大で1,000万円の引き上げが行われます。
| 従業員規模 | 補助上限引上げ額 |
| 従業員数 5 人以下 | 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 100 万円 |
| 6~20 人 | 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 250 万円 |
| 21~50 人 | 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 1,000 万円 |
| 51 人以上 | 各補助対象事業枠の補助上限額から最大 1,000 万円 |
大幅賃上げに関する特例を活用するための追加要件として、以下の全ての要件に該当するものでないといけません。
※追加要件を満たさない場合、大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例を適用しない取扱いとなります。
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件
以下の要件を全て満たすこと。
⚫ 「2.5.1 基本要件②:賃金の増加要件」の給与支給総額基準値に加え、更に年平均成長率+4.0%(合計で年平均成長率+6.0%)以上の目標値(以下「特例給与支給総額目標値」という。)を申請者自身で設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該特例給与支給総額目標値を達成すること。
⚫ 「2.5.1 基本要件③:事業所内最低賃金水準要件」の事業所内最低賃金基準値に加え、更に+20 円(合計で+50 円)以上の目標値(以下「特例事業所内最低賃金目標値」という。)を申請者自身で設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、特例事業所内最低賃金目標値を達成すること。
⚫ いずれか一方でも目標値が達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
→参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領
大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例の活用には、大幅賃上げ達成に向けての手段・方法を具体的に示す必要があります。事業計画書にしっかりと内容を盛り込みましょう。
最低賃金引上げに関する要件
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例というものもあります。この特例を満たすと、補助率が2/3に引き上がります。
要件は以下の通りです。
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件
⚫ 2023 年 10 月から 2024 年 9 月までの間で、3 か月以上、補助事業の主たる実施場所で雇用している全従業員のうち、事業実施都道府県における最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が 30%以上いること。
→参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領
ものづくり補助金の対象経費は?
中小企業の経営革新のための設備投資等に活用できることから、ものづくり補助金の対象は設備投資に限定されると捉えがちです。しかし、ものづくり補助金の対象経費となる区分は意外と幅広く定められています。特に第14次公募からは対象がさらに拡大しました。
ものづくり補助金の対象経費は?
ものづくり補助金で対象となる経費
ではものづくり補助金で対象となる経費の区分としては何があるのか、以下にまとめます。
対象経費
製品・サービス高付加価値化枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
グローバル枠
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
- 広告宣伝・販売促進費
(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)
上記のように設備投資の他に、より効率的なブランディングを行うための知的財産権等関連経費や、海外事業の強化拡大を目的とした広告宣伝費や旅費・通訳・翻訳費などが用意されています。ものづくり補助金は事業者の状況からより最適なものを選んで活用することができるといえます。

ものづくり補助金の具体的な採択事例
これまでものづくり補助金は、のべ7万社以上の中小企業・小規模事業者の「革新的サービス」・「試作品開発」・「生産 プロセス」の改善等を行うための設備投資などに活用されてきました。ここでは実際のものづくり補助金の採択事例を紹介します。
ものづくり補助金の具体的な採択事例
①歯科技工物製作システム一式を更新し、ビジネスモデル転換へ
| 事業者名 | 株式会社スカイテックスラボラトリー |
| 事業計画 | 新規CAD/CAMシステム導入による、歯科技工物製作の非対面化と高精度・高効率化 |
| 事業計画概要 | 歯科技工物の製作にはこれまで患者の「歯型」が必須情報で、石膏模型でモデリングする工程が必要だった。しかし技術革新により、患者の口の中を専用スキャナーで読み取る事で、PC上で口内や歯並びをモデリングし、模型を作ることなく歯科技工物の設計や製作・加工が可能になっている。 このことから同社は、補助金を活用し新規CAD/CAMシステムを導入。コロナ渦において重要視される非対面化とより高精度で高効率の歯科技工物を加工製作する環境を構築することに成功した。 |
②設備投資により最新の製麺機を導入、生産能力向上と質の安定化を実現
| 事業者名 | 株式会社粋屋やす井 |
| 事業計画 | 最新鋭うどん製麺機導入による生産性向上・品質高度化と通販・テイクアウト商品開発による販路開拓 |
| 事業計画概要 | 鰹や昆布出汁にこだわり手間ひまかけた黄金出汁が自慢の日本料理店。人気上々だったが、コロナ渦において通販やお土産の要望が増えるものの対応できない状況だった。 そこでものづくり補助金を用いて最新鋭の製麺機を導入する。生産能力を現在の 2.5倍に増加させることに加え、熟練の職人による技術を数値化し、麺の品質安定化に成功し、さらなる販路開拓を進めている。 |
③地域に根ざしたポイントサービス事業で地域経済の活性化へ
| 事業者名 | 株式会社A-CAST |
| 事業計画 | 事業多角化・地域密着体制の強化を目的とした地域ポイントプラットフォーム事業 |
| 事業計画概要 | コロナ渦において既存事業の売上が激減。事業の多角化を狙って異業種である地域ポイントプラットフォーム事業への進出を行う。 同社が開設したポイントアプリは、様々な機能を搭載するも初期費用、固定費用は無料。加盟店はユーザーの利用分のみ負担する、成功報酬システムを採用しており、加盟店も参加しやすくなっている。 また、ポイントアプリと連動して、大分県内の地域情報をまとめたWebメディア「LOG OITA」を事前に開設、本業である人材派遣業ならではの求人情報を掲載している。月間ページビュー約20万PV、SNS総フォロ ワー約4千人と成果は好調である。 今後さらにマネタイズ化し、地域に提案をしながら地域経済活性化への貢献を目指している。 |

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ものづくり補助金の受給額は事業規模や申請枠によって大きく異なり、正確な金額を把握するには専門知識が必要です。しかし、複雑な計算や申請要件の確認に時間を取られ、本業に支障をきたしている事業者様も多いのではないでしょうか。
株式会社補助金プラスでは、事業者様の具体的な計画に基づいた補助金額のシミュレーションから申請支援まで一貫してサポートしています。経験豊富な専門家が事業内容を詳しくヒアリングし、最適な申請戦略をご提案します。事業計画書作成や書類準備の負担を大幅に軽減し、採択後の実績報告もオプションで対応可能です。
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まとめ
ものづくり補助金は、これから設備投資や事業改革を検討している事業者にとって活用しやすい補助金の1つです。多様な対象経費と、申請枠が用意されているので、検討している事業内容でいくら程度もらえるかも理解しながら照らし合わせて最適な活用方法を検討してみてください。



