【2023.12】事業再構築補助金の採択率はどれくらい?採択率を上げるには?
事業再構築補助金への申請を検討しており、「その採択率はどれくらいなのか」と気になったことはありませんか?
今回は、事業再構築補助金の過去の採択率の推移をまとめて紹介するとともに、採択率を上げるためにできることも解説していきたいと思います。
この記事は、過去の採択結果についてまとめている事業再構築補助金の公式ホームページをもとに作成しているので、より詳しい情報を知りたいと言う場合は参照してみてくださいね。
※この記事は第11回公募の公募要領に対応した内容を掲載しています。
事業再構築補助金の概要
事業再構築補助金の概要
まずは事業再構築補助金の概要を簡単に紹介していきます。
事業再構築補助金の概要についてさらに詳しく知りたい方は事業再構築補助金の公式ホームページを参照すると良いでしょう。
事業再構築補助金の申請支援、コンサルティングの無料相談はこちらから
事業再構築補助金で受け取れる金額
応募枠 | 従業員数 | ||||
〜5人 | 6〜20人 | 21〜50人 | 51〜100人 | 101人〜 | |
①成長枠 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 | 5,000万円 | 7,000万円 |
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中小企業等) | 4,000万円 | 4,000万円 | 6,000万円 | 6,000万円 | 8,000万円 |
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中堅企業等) | 1億円 | ||||
②-2グリーン成長枠(スタンダード) | 中小企業等:1億円 中堅企業等:1.5億円 | ||||
③卒業促進枠 | 成長枠・グリーン成長枠に準じる | ||||
④大規模賃金引上促進枠 | 3,000万円 | ||||
⑤産業構造転換枠 | 2,000万円 | 2,000万円 | 4,000万円 | 5,000万円 | 7,000万円 |
⑥最低賃金枠 | 500万円 | 1,000万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,500万円 |
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠 | 1,000万円 | 1,500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 |
事業再構築補助金は応募枠によって受け取れる金額が決まっています。上記の表に事業再構築補助金で受け取れる最大金額を応募枠毎にまとめました。表からわかるように、事業再構築補助金は従業員数が多いほど受け取れる上限金額も大きくなります。
多くの事業者が応募している成長枠では、最大7000万円受け取ることが可能です。
応募枠 | 中小企業等 | 中堅企業等 |
①成長枠 | 1/2(2/3) | 1/2(2/3) |
②グリーン成長枠 | 1/2(2/3) | 1/2(2/3) |
③卒業促進枠 | 1/2 | 1/3 |
④大規模賃金引上促進枠 | 1/2 | 1/3 |
⑤産業構造転換枠 | 2/3 | 1/2 |
⑦最低賃金枠 | 3/4 | 2/3 |
⑧物価高騰対策・回復再生応援枠 | 2/3※ | 1/2※ |
( ):補助率の引き上げを行なった場合
※:従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万 円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは それぞれ3/4、2/3
事業再構築補助金の採択率は?
公募 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回公募 | 22,229件 | 8,015件 | 36.0% |
第2回公募 | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回公募 | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回公募 | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
第5回公募 | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回公募 | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回公募 | 15,132件 | 7,745件 | 51.1% |
第8回公募 | 12,591件 | 6,456件 | 51.3% |
第9回公募 | 9,368件 | 4,259件 | 45.4% |
第10回公募 | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
過去のデータによると採択率は35〜50%あたりで推移しており、直近の第10回公募では48.1%と概ね50%程度の採択率で安定的に推移しています。そのため、肌感として2事業者に1事業者が採択されると考えていいでしょう。申請の際に必要な書類の質によって採択率は大きく変わってきます。そのため申請代行支援やコンサルティングサービスの利用は採択に最適であるといえます。
上のデータは経済産業省のものを引用しています。(2023年10月時点)
事業再構築補助金の全体の流れ
事業再構築補助金の全体の流れ

事業再構築補助金の全体では主に以下のフェーズに分解することができます。
①GビズIDの取得
事業再構築補助金の申請は、電子申請ポータルから行いますが、電子申請ポータルを使用するにはGビズプライムIDの取得が必要となっています。IDの取得には期間を要することもあるので、早めに取得の申請を行いましょう。
gビズIDの取得についてはこちらから
②事業計画書の作成
事業再構築補助金では、補助金をどのように利用するのかを説明する事業計画書を作成する必要があります。事業計画書は、申請の採択を決める重要な要素となります

③必要書類の準備・申請
事業再構築補助金に申請するには、決算書をはじめとする必要書類を作成して提出する必要があります。



④交付申請
事業再構築補助金に無事採択されたのちは、補助金の支給額を確定される交付申請を行います。事業再構築補助金の申請段階では、補助金の支給額は仮のものであり採択が確定したのちに請求書などをもとに正式に金額を確定させるのです。
この交付申請が認められることで、補助事業に着手することが可能となります。

⑤実績報告
補助事業を完了したら実績報告を行います。実績報告では、補助事業の成果をまとめた資料を作成するとともに支払いの証拠の領収書などを合わせて提出します。
事業再構築補助金の次回公募はいつ?
事業再構築補助金の直近のスケジュールは以下の通りです。
申請を検討している場合は早めに事業計画書や必要書類等を準備しましょう。
申請にあたって疑問点等ございましたら合同会社INUの無料相談へお気軽にお申し込みください。
事業再構築補助金第12回公募期間:
〜令和6年1月末18時予定
公募要領はこちら
事業再構築補助金のスケジュールは?
事業再構築補助金の直近の締め切りである第11回のスケジュールは次のようになっています。申請を検討している場合は、早めに準備を進めましょう。
事業再構築補助金第11回公募期間:
令和5年8月10日〜令和5年10月6日18時
事業再構築補助金に申請するための要件は?
事業再構築補助金では第11回公募より申請の要件に変更が加わりました。
そこで事業再構築補助金の採択率についてみていく前に、事業再構築補助金に申請する事業者が基本的に満たすべき要件について解説していきたいと思います。(卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠は除く)
事業再構築要件

事業再構築要件とは、事業再構築補助金で行う新規事業は事業再構築指針に示されている「事業再構築」に該当するような事業を行う必要があるという要件のことです。
「事業再構築」に該当するような事業とは、新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰の5つの類型の事業のことです。第10回公募より類型に新たに国内回帰が追加されました。
詳しい定義などは事業再構築指針の手引きに記載されているため、事業再構築補助金の申請を検討している場合は一度確認すると良いでしょう。
どの類型を選ぶかによって採択率が変わると一概にいうことはできません。ただ、事業再構築補助金の審査項目には「リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築」を行うものであるかという項目があり、図の5つの類型は基本的に下の類型ほどリスクの高い大胆な取り組みであるので、その点が評価されて採択率が高くなる可能性が考えられます。
認定支援機関要件
認定支援機関要件とは、認定支援機関と事業計画を策定して認定支援機関による確認書を申請時に提出する必要があるという要件のことです。
事業再構築補助金を使って新規事業を行う際には非常に大きな金額の投資となるため、経営に関して専門的な知見を有している支援者と事業計画を策定するという要件を課しているのです。なお、投資金額が3,000万円を超える場合には合わせて金融機関による確認書が必要となるので注意しましょう。
事業再構築補助金の公式ホームページでは、事業計画作成の支援者ごとの採択率も公表しており、中小企業診断士やコンサルティング会社の採択率は高い一方で、税理士や公認会計士の採択率は低いというのが全体的な傾向です。
この記事の下のほうで詳しく紹介しているため参考にしてみてくださいね。

付加価値額要件
付加価値額要件とは、「補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 ○%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 ○%以上増加する見込みの事業計画を策定すること」という要件のことです。
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費の合計のことであるので新規事業によって営業利益が増加したり、人件費が増加したりするような計画を策定することで本要件を満たすことができます。本要件をみたしつつ、根拠のある妥当な収益計画を作成することが事業再構築補助金の採択率を上げるポイントとなっています。
なお必要な伸び率は応募枠ごとに異なります。
売上高等減少要件は撤廃
事業再構築補助金は第10回公募より売上高等減少要件が撤廃されました。そのため、コロナによる売上高等の減少を示すことができない事業者も申請できるようになりました。
参考として過去に要件として課せられていた売上高等減少要件の解説を掲載しておきます。

売上高等減少要件とは、「2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」という要件のことです。図のようなイメージとなり、図の場合は6月、8月、11月の売上高を比較しこの合計が10%以上減少しているため要件を満たしています。
直近の事業再構築補助金の採択率は35%から50%
次に事業再構築補助金の採択率について、応募枠や業種、支援者別にみていきましょう。
全体の採択率は約35%〜50%で推移
公募 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回公募 | 22,229件 | 8,015件 | 36.0% |
第2回公募 | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回公募 | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回公募 | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
第5回公募 | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回公募 | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回公募 | 15,132件 | 7,745件 | 51.1% |
第8回公募 | 12,591件 | 6,456件 | 51.3% |
第9回公募 | 9,368件 | 4,259件 | 45.4% |
第10回公募 | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
先述した通り、事業再構築補助金の全ての応募枠を含めた全体の採択率は35%〜50%程度で推移しています。第一回の採択率は、36.0%で3事業者のうち2事業者が落ちてしまうという比較的低い採択率となっていましたが、第二回以降の採択率は45%程度で安定的に推移しています。
そして、直近で結果が発表された第10回公募では48.1%の採択率となりました。第8回までは少しずつ採択率が上がり、過去最高の51.3%までになりましたが、少し下がった結果になりました。2事業者のうち1事業者が採択されるか否かという採択率ですね。
事業再構築補助金は非常に大きな金額を受け取ることができる分厳密な審査が行われるためどの事業者も提出する事業計画書をしっかりと作り込んで申請を行います。このような競争の激しい補助金であるため、簡単に採択されるわけではないことに注意しましょう。
通常枠の採択率は約30%〜50%で推移

事業再構築補助金の通常枠の採択率は30%〜50%で推移しています。第10回公募では「成長枠」という名前になったのが概ねこの通常枠の後続と言えます。多くの事業者にとってはこちらの採択率のほうが重要となってきます。
事業再構築補助金は、多くの事業者が応募できる通常枠(成長枠)と、いくつかの追加的な条件を満たした事業者だけが申請できる特別な応募枠に大別することができます。応募件数ベースで見ても通常枠(成長枠)でも応募が大半を占めており、これから成長枠で応募することを検討している事業者のかたは全体の採択率ではなく通常枠(成長枠)の採択率で判断するようにしましょう。
通常枠は、第8回公募の採択率が最高の49.1%、直近の第10回の採択率は45.4%となっています。
なお、特別な応募枠の方が通常採択率は高くなっているため、平均を押し上げ、全体の採択率は通常枠の採択率よりも高くなっています。

第10回公募の事業再構築補助金の採択率

直近の第10回公募の事業再構築補助金の採択率について詳しく解説していきます。
応募枠ごとの採択率

直近の事業再構築補助金の第10回公募の全体の採択率は、48.1%でした。
第10回公募では、通常枠のほかに大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠、グリーン成長枠、サプライチェーン強靭化枠といった特別枠が設けられましたが、大規模賃金引上枠、グリーン成長枠以外の特別枠では通常枠の採択率を上回りました。
コロナの影響や原油高等の経済変化の影響で売上を大きく減少させた事業者が申請することができる回復・再生応援枠や緊急対策枠は多くの事業者が応募し、回復・再生応援枠と緊急対策枠では共に採択率49.9%、そして最低賃金枠でも53.7%と、通常枠を上回る採択率となりました。
事業再構築補助金がコロナで経営状況が落ち込んだ事業者を支援するための補助金であるという目的は変わらないため、事業計画書内ではコロナによる経営の影響を示すことが大事であることにも変わりはないと言えるでしょう。
業種別の採択率の特徴

事業再構築補助金の第10回の業種別の採択率の特徴のポイントは以下の通りです。
・製造業の採択率が平均と比較して優位に高い
事業再構築補助金の公式ホームページには公募ごとに応募数などを分析したデータが公表されており、業種ごとの応募件数と採用予定の構成比が公表されています。この構成比を比較することで大まかな業種ごとの採択率をこれまで説明したようにまとめました。
また、製造業の採択率が高い理由としては、事業再構築補助金は大胆な新規事業を高く評価するので、製造業は投資金額が大きくなる傾向にあることで大胆な事業とみなされやすいからであると考えられます。
これまでは飲食業や宿泊業の採択率がやや高いという傾向がみられましたが、第8回・第9回・第10回では製造業の採択率が優位に高いという傾向が見られました。事業再構築補助金の目的がコロナ対策から原油高や円安対策にシフトしていく中で製造業の採択率が高くなったという傾向が見られるようになったと考えられます。
認定支援機関別の採択率
事業再構築補助金の第10回の認定支援機関別の採択率を表にまとめました。認定支援機関とは国の公認の中小企業の事業計画立案などを支援する機関のことで、事業再構築補助金の申請においては認定支援機関の確認書が必要となっています。
そのため、事業計画書作成の支援者といえ、この表は作成支援者が誰だと採択率が高いのかを示しているということができます。
この結果から言える採択率の特徴は次のようにまとめられます。
・地銀や信用金庫の採択率が高い
・中小企業診断士や民間コンサルティング会社といった経営のプロの採択率が高い
・公認会計士や税理士(法人)といった財務のプロの採択率は比較的低い
事業再構築補助金の事業計画書の作成には、もちろん収支計画といった財務的な知識も必要となっていますが、それ以上に経営全般の知識が必要となってくるためこのような結果になっていると言えるでしょう。
認定支援機関別採択率の注意点を一つ挙げておきます。
それは、認定支援機関と実際の事業計画書作成の支援者が異なる場合があることです。よくあるケースが、事業計画書の作成支援を民間のコンサルティング会社に頼み、認定支援機関の確認書を地銀や信用金庫に依頼するケースです。
この場合、認定支援機関は地銀となり地銀の採択実績として発表されますが実際の支援者は民間コンサルティング会社です。地銀や信用金庫の採択率が高くなっていますが、実際の支援者は中小企業診断士や民間コンサルティング会社ということが多いでしょう。
補助金の申請金額が3,000万円を超える場合には金融機関の確認書の発行が必要となり、合わせて金融機関に認定支援機関の確認書を依頼するというケースが多いようです。

おすすめの事業再構築補助金関連の記事も合わせてチェック
・直近公募回のスケジュール
・コンサルの選び方
・採択率の分析
・交付申請の方法
・事前着手の方法
・個人事業主の申請方法
・事業計画書の作成方法
事業再構築補助金の過去の採択率
事業再構築補助金の過去の公募回の応募枠別の採択率は次のようになっています。
特別枠についても採択率は安定的に推移していることがわかります。
特別枠は第6回公募以降再編されましたが、グリーン成長枠と大規模賃金引上枠の採択率は通常枠の採択率よりも低く、その他の特別枠は通常枠の採択率よりも高くなっています。
第1回公募の採択率

第1回公募は、これまでの公募回の中で通常枠の採択率が一番低くなっています。
第2回公募の採択率

第2回公募では、通常枠、緊急事態宣言枠ともに採択率が上昇しました。
第3回公募の採択率

第3回公募では前回に引き続き通常枠の採択率が上昇しました。新たに最低賃金枠が設けられ、最低賃金枠の採択率は80%と高い水準となっています。
第4回公募の採択率

第4回公募も前回に引き続き通常枠の採択率が上昇しました。
第5回公募の採択率

第5回公募の採択率も第4回と同様のトレンドにあるということができます。
第6回公募の採択率

第6回公募からは特別枠の再編が行われ、新たな特別枠が設置されました。その変更と関連性があるのかは不明ですが、通常枠の採択率が45.4%へと大幅に上昇しました。特別な要件を必要とするグリーン成長枠を除いて、ほとんどの特別枠の採択率は通常枠の採択率より高くなっています。
第7回公募の採択率

第7回公募は前回に引き続き、通常枠の採択率は高水準にあります。特別枠についても第6回と同水準の採択率となっていることが確認でき、大きな変化はありません。新たに設置された緊急対策枠の採択率も通常枠の採択率より高くなっているため、要件を満たす事業者は緊急対策枠に応募することで採択の可能性を上げることができるといえます。
第8回公募の採択率

第8回公募では、通常枠が過去最高の49.1%でした。特別枠についても引き続き第7回と同水準の採択率となっていますが、最低賃金枠の採択率は約10%下がりました。
✓第10回公募の採択率

第9回では、通常枠は41.1%と減少してしまいました。また、それだけではなく、全体的に減少していることが分かります。

事業再構築補助金の個人事業主の採択率は低いといった話を聞いたことがあるかもしれません。事業再構築補助金では、法人、個人事業主別の採択率は公表されていないため個人事業主の採択率が低いと断定することはできません。また、個人事業主という理由だけで採択率が下がるということもないでしょう。
しかし、次のような理由で個人事業主の採択率は法人と比べて低くなっている可能性があります。
一つ目の理由が、財務状況が悪いことが多いという点です。事業再構築補助金は大きな金額を受け取れるものの、自己資金の出費も多いためその出費を賄えるような財務状況である必要があります。あまりにも財務状況が良くないと、事業の実現可能性が低いとみなされて、採択率が下がってしまうということがあるでしょう。
二つ目の理由は、実施体制が十分ではないという点です。個人事業主の場合は、新規事業を行なったり補助金を申請したりする人手が足りないといった事例がよくあります。事業再構築補助金の審査項目には、事業の実施体制という項目があるため事業を遂行できる実施体制が十分であることを示せないと採択率が下がってしまいます。
事業再構築補助金が不採択となる理由は?

これまで事業再構築補助金の採択率をみてきましたが、自信が申請する際にはできるだけ採択率を上げたいですよね。最後に、事業再構築補助金が不採択となってしまうよくある理由について紹介していきます。
書類不備
「そんなことで?」と思われるかもしれませんが書類不備によりそもそも審査の段階まで行けずに不採択となってしまうケースは意外と多いです。全体の申請者のうち書類不備による不採択率は約10%となっています。
事業再構築補助金の申請には適切な書類を正しいファイル名で提出する必要があります。また、財務データなどの数値を何度か打ち込みますが、このような数値や提出の様式を間違えてしまうだけで不採択となってしまうこともあるのです。
また、応募枠や従業員数からして補助率が本来は1/2であるのに補助率を2/3として申請してしまうといったミスもあります。これらのミスを防ぐためには、申請前にできれば複数人の目で提出書類を確認したり、もう一度公募要領をよんだりと慎重にチェックしましょう。書類不備があると採択率以前にそもそも審査をしてもらえません。
審査項目を満たした事業計画書を作成できていない
事業再構築補助金に採択率を上げるために一番重要になってくるのが審査項目を網羅した事業計画書を作成できているかです。事業再構築補助金は最大15ページにもなる計画書で多くの内容を論理的に書き進めていく必要があります。
「なぜその事業をするにいたったか?」「どのようにその事業をすすめていくか?」「市場環境や競合の動向かどうか?」といった内容をわかりやすく審査官に伝える必要があり、実際難易度は高いです。
これらの事業計画書は、公募要領に記載されている審査項目にもとづいて総合的に評価されます。初めて書く人はこれらの審査項目をつい落としがちなので、これから事業計画書を作成する際には、審査項目に必ず目を通すようにしましょう。
事業計画書は自身で作成することも可能ですが、ノウハウや経営的な知見を持っている中小企業診断士や、コンサルといった専門家に依頼してブラッシュアップしてもらうことで採択率をより高めることができるでしょう。
事業計画書の作成の書き方について詳しく知りたいと言う人は、次の記事を参考にしてみてくださいね。

採択率を上げる事業計画書のポイントは?

採択率を上げるには事業計画書が重要であることについて説明してきましたが、ここからは具体的な採択率を上げるような事業計画書のポイントについて紹介していきたいと思います。
事業環境分析を丁寧に行う

事業再構築補助金の採択率を上げる事業計画書の書き方のポイントの一つ目が、事業環境分析を丁寧に行うという点です。事業計画書というと、新規事業の計画を中心に作成していくのかと思うかもしれませんが、事業再構築補助金では自社の現在の事業環境を分析した上で、「なぜその新規事業を選択したのか?」を示す必要があります。
そのため、SWOT分析、クロス分析によって自社の強みや弱みなどを第三者にも伝わる形でいくつかの要素などに分けるなどして分かりやすく伝えることが採択率をあげるために重要です。
事業内容の解像度をあげる
採択率を上げる事業計画書の書き方のポイントの二つ目として、事業内容の解像度が高い事業計画書を作成することです。
スケジュールや役割分担、提供する商品やサービスの内容などできるだけ具体的に記載しましょう。建物を改修して新規事業を行う場合には、改修前の建物の写真と改修後の図面を添付したり、新たな商品を開発する場合には商品のイメージ図を添付したりするなど視覚的にも伝わりやすい事業計画書を作成することが採択率を上げるポイントとなります。
競合分析や市場分析を徹底的に行う
競合分析や市場分析についても、重点的に事業計画書に記載することが採択率を高めるポイントです。
事業再構築補助金に不採択となった場合には、不採択理由を事務局から聞くことができますが不採択理由として、市場や競合の分析が不十分といった不採択コメントがとても多いです。統計データを用いるなどして、市場環境や競合の分析を重点的に行うことが採択率を高めるポイントとなっているということができるでしょう。
まとめ
この記事では、事業再構築補助金の採択率についてまとめるとともにその考察について紹介してきました。事業再構築補助金の採択率はそこまで低くないものの、審査項目を押さえた質の高い事業計画書を作成する必要があります。採択率をあげたい場合は専門家への支援も視野に入れながら、様々な情報をもとに事業計画書をブラッシュアップしていけると良いですね。