【事業再構築補助金】売上高等減少要件について一番分かりやすく解説!
事業再構築補助金の申請に必要な「売上高等減少要件ってなんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?売上高等減少要件は、事業再構築補助金の要件の中でも解釈が難しい要件となっています。この記事ではこの売上高減少要件についてどこよりも分かりやすく解説していきます!
事業再構築補助金の4要件とは?
事業再構築補助金の申請には、4つの要件を少なくとも満たす必要があり、売上高等減少要件はその中の1つの要件です。まずは、この4要件について確認していきましょう。
事業再構築要件
事業再構築要件とは、事業再構築補助金を活用して行う新規事業は以下の5つのいずれかの類型を満たす必要があるという要件のことです。
- 新分野展開
- 事業転換
- 業種転換
- 業態転換
- 事業再編
簡単に言えば今までとは異なる事業を行う必要があるという要件となっています。詳しくは、事業再構築指針の手引きを確認するとよいでしょう。
売上高等減少要件
売上高等減少要件とは、事業再構築補助金で最も重要な要件で新型コロナの影響によって事業者の売上高が減少したことを示す必要があるという要件のことです。
グリーン枠を除く全ての応募枠で売上高等減少要件を満たすことが求められています。売上高等減少要件は、コロナ前とコロナ後の売上を比較する必要がありますが、このような要件が設定されていることにより新設の事業者は事業再構築補助金に申請できなくなっています。
認定支援機関要件
認定支援機関要件とは、事業再構築補助金の事業計画を認定支援機関とともに策定する必要があるという要件のことです。認定支援機関とは、経済産業省の認定を受けた中小企業の経営の支援を行う機関のことで、金融機関や税理士、弁護士やコンサルなどが登録されています。
認定支援機関は、売上高等減少要件を満たしているかといった確認や事業計画書の作成の支援を行なってくれます。
付加価値額要件
売上高等減少要件と並んで数値が関与する要件である付加価値額要件とは、付加価値額が補助事業を完了した基準年度から3〜5年以内の年率平均が3%以上で成長する必要があるという要件のことです。
事業再構築補助金以外の補助金でも同様の要件が課せられることは多いです。なお、付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費の合計で算出することができます。
事業再構築補助金の売上高等減少要件とは?
次に売上高等減少要件の定義と、自社が売上高等減少要件を満たしているかを確認する方法について解説していきます。売上高等減少要件とは、①売上高の減少を示す方法、②付加価値額の減少を示す方法の2通りがあります。
【パターン①】売上高の減少
売上高等減少要件の定義は次のように事業再構築補助金の公募要領に記載されています。
「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」
事業再構築補助金公募要領(第8回)
売上高等減少要件を具体例とともに見ていきましょう。上の図は売上高等減少要件を満たしている例です。この事例では「2020年4月以降の連続する6ヶ月間」として2020年6月〜2020年11月を選択しています。
その6ヶ月間のうち、「任意の3ヶ月」として6月、8月、11月を選択しており、その選択した3ヶ月間の合計売上高は130となっています。一方、コロナ前にあたる2019年の同月の合計売上高は190となっています。
そのため、合計売上高は190から130へと10%以上減少しており、事業再構築補助金の売上高等減少要件を満たしています。
【パターン②】付加価値額の減少
パターン①の売上高によって売上高等減少要件を満たさない場合には、付加価値額によって売上高等減少要件を満たすことも可能です。付加価値額によって売上高等減少要件を満たす定義は次のように記載されています。
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前 (2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること
事業再構築補助金公募要領(第7回)
月の選び方などは変わりませんが、付加価値額となった場合はその減少率が15%以上となっている点に注意しましょう。
売上高等減少要件を満たしているか確認する手順
次に事業再構築補助金への申請を検討した際に、売上高等減少要件を満たしているかを確認する具体的な手順について紹介していきます。
売上高等減少要件を確認するために、月別の売上高がわかる書類を準備しましょう。基本的に、法人の場合は法人事業概況説明書、個人事業主の場合は青色申告決算書が該当書類となります。なお法人の場合は法人事業概況説明書の裏面に以下のような月別売上高の表があります。
2020年4月〜2021年3月の月別の売上高が前年度からどれだけ減少したかを計算していきましょう。
各月の減少額を算出したら、売上高等減少要件を満たすような月の組み合わせを探していきましょう。減少額が大きい月を中心に探していくとよいでしょう。
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売上高等減少要件の特例
売上高等減少要件は基本的に事業再構築補助金に申請する全ての事業者に求められる要件ですが、これから説明するような証明方法が異なる特例が存在します。
【売上高等減少要件の特例①】2020年4月以降創業の事業者
売上高等減少要件は2020年4月以降の売上高をそれ以前の売上高と比較する必要があるため、2020年4月以降創業の事業者は2020年4月以前の売上高が存在せず、比較することができません。
しかし、売上高等減少要件では以下のように特例が定められています。
コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画等しており、2020年4月1日から2020 年12月31日までに創業した場合は、特例的に支援の対象となります。この場合、売上高減少 要件は、2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高を、2020年の 創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して算出してください。
事業再構築補助金公募要領(第7回)
要点をまとめると2020年4月から2020年末までに創業した事業者も次の要件を満たすことによって、売上高等減少要件を満たして事業再構築補助金に申請することが可能です。
- 2020年4月以前より創業を計画していたこと
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高が、2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して10%以上減少していること
【売上高等減少要件の特例②】コロナ以前に罹災の影響を受けた事業者
コロナ以前に罹災の影響を受けた事業者は、2018年の売上高を比較対象として利用することで売上高等減少要件を示すことが可能という特例があります。
売上高等減少要件では、コロナ以降にあたる2020年の売上高を、コロナ以前にあたる2019年の売上高を比較する必要があります。しかし、罹災などの影響によって2019年の売上高が通常よりも落ち込んでしまった場合には、この要件を満たすことが難しくなってしまいます。
そこで、事業再構築補助金では特例として罹災を受けた事業者は、コロナ以降の売上高を1年前の2019年ではなく2年前の2018年と比較することで売上高等減少要件を満たせるとされているのです。
【売上高等減少要件の特例③】法人成りや合併を行なった事業者
申請日までに法人成りや合併を行なった事業者にも売上高等減少要件の特例が認められています。
個人事業主から法人成りした場合には、法人成り後の売上高を法人成り前の個人事業主の売上高と比較することが認められています。合併を行なった事業者は、合併後の売上高を合併前の各法人の合計の売上高と比較することが認められています。
売上高等減少要件の提出書類は?
事業再構築補助金の売上高等減少要件を満たしていることを証明するために提出する必要がある書類について紹介していきます。事業再構築補助金では、書類不備による不採択の事例が多くあるので注意が必要です。
法人の場合
事業再構築補助金に申請する際に、売上高等減少要件を示すために必要な提出書類は次の5つです。
- 申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え(1枚)
- (1)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)
- 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
- 申請に用いる任意の3か月の売上がわかる確定申告書別表一の控え(1枚)
- (4)の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)
e-Taxの受信通知に加え、売上高等減少要件の比較前の年度と比較後の年度の確定申告書別表一の控えと、法人事業概況説明書の控えを提出すればよいということになります。
注意点としては、該当する全ての月の売上高がわかるようにしなければならないため、単に2期分の提出書類を添付すれば良いわけではない点です。例えば、下図のような例では比較する月が決算年度を跨いでいるため、3期分の証明書類の提出が必要となります。
個人事業主の場合
事業再構築補助金に申請する際に、売上高等減少要件を示すために必要な提出書類は次の5つです。
- 申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書第一表の控え(1枚)
- (1)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある 方は、その控え(両面) ※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面そ の他の確定申告の基礎となる書類を提出してください。
- 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
- 申請に用いる任意の3か月の売上がわかる確定申告書第一表の控え(1枚)
- (4)の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある 方は、その控え(両面) ※白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出してください。
個人事業主の場合は、月別の売上高を示す書類が法人事業概況説明書の代わりに青色申告決算書となります。
確定申告が終わっていない月の売上高の証明方法は?
売上高等減少要件を満たすことを示す3カ月間の年度の確定申告が済んでいない場合は、該当する月の売上高がわかる次の書類を提出することによって、売上高等減少要件を示すことができます。
- 売上台帳
- 経理ソフトから抽出した売上データ
- 表計算ソフトで作成した売上のデータ
これらの書類を申請に使用する際には、申請に用いる任意の3ヶ月の月に下線を引く必要があります。
売上高等減少要件の注意点
事業再構築補助金の売上高等減少要件の注意点について解説していきます。
売上高等の減少はコロナの影響である必要がある
注意点の一つ目は、売上高等の減少はコロナの影響でなければならないというものです。公募要領にこのような内容が記載されているため、事業計画書を作成する際にはコロナの影響によって売上が減少したことを説明すると良いでしょう。
グリーン成長枠以外の全ての応募枠で必要
売上高等減少要件は、基本的に事業再構築補助金の全ての応募枠の申請の際に満たす必要のある要件ですが、新設されたグリーン成長枠では、売上高等減少要件は不要となりました。
グリーン成長枠は、売上高等減少要件を満たさなくても申請することが可能であるため新設の事業者でも活用することができる唯一の応募枠となっています。
まとめ
この記事では、事業再構築補助金の売上高等減少要件について解説してきました。売上高等減少要件は、事業再構築補助金の申請要件の中でも難しい要件であり書類不備も多い要件であるため、正しく理解することがとても重要です。
この記事を参考に自社が売上高等減少要件を満たしているかを確認し、申請の際は必要書類を正しく添付するようにしましょう。
売上高等減少要件をあなたが満たしているかどうかわからないという場合には、株式会社補助金プラスの無料相談で判別しますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。