事業再構築補助金の対象経費の中に建物費というものがあります。この建物費は具体的にどんなことに使えるのか気になる方も多いでしょう。
今回は「建物費の範囲はどこまで?」「新築は対象外?」といった疑問にお答えします。事業再構築補助金で建物費を活用したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
建物費が対象経費に入っている事業再構築補助金とはどんな補助金制度なのでしょうか。
事業再構築補助金とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編をしたいと考えて良いる中小企業、中堅企業(個人事業主を含む)を支援してくれる補助金です。コロナ禍で経営がうまくいかなくなった事業者や、今後ポストコロナに向けて新たに事業再構築を行いたい事業者を対象にしています。
現在募集されている第12回公募では申請枠が4つあり、それぞれ概要や必須要件、補助金額が異なります。
補助金を活用するには審査を受けて採択される必要があります。誰でも活用できる補助金ではないので注意しましょう。
事業再構築補助金の対象経費一覧は以下の通りです。今回解説する建物費も対象経費の中の一つです。
上記の経費は全ての申請枠で対象になるわけではなく、申請枠によって対象になるものとならないものがあります。しっかり確認し、事前に自社が事業再構築補助金を何に使いたいのか考えておきましょう。
事業再構築補助金で受け取れる金額は事業者ごとに異なります。申請枠や従業員数、会社規模によってもらえる金額は変動するのです。
以下はそれぞれの申請枠ごとにもらえる上限金額を表した表です。あくまでも上限金額なので、以下の金額を必ずもらえるとは限らない点に注意しましょう。
成長分野進出枠(通常類型)
従業員数 | 補助上限金額 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合の金額 | 補助率 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合の補助率 |
20人以下 | 1,500万円(2,000万円) | 中小企業:1/2 (2/3) 中堅企業:1/3 (1/2) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51~100人 | 4,000万円(5,000万円) |
101人以上 | 6,000万円(7,000万円) |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
成長分野進出枠(GX進出類型)
企業の種類 | 従業員数 | 補助上限金額 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合の金額 | 補助率 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合の補助率 |
中小企業 | 20人以下 | 3,000万円(4,000万円) | 1/2 (2/3) |
21~50人 | 5,000万円(6,000万円) |
51~100人 | 7,000万円(8,000万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
中堅企業 | – | 1億円(1.5億円) | 1/3(1/2) |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
コロナ回復加速化枠(通常類型)
従業員数 | 補助上限金額
| 補助率 |
5人以下 | 1,000万円 | 中小企業:2/3 (従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは 3/4)
中堅企業:1/2 (従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは 2/3) |
6~20人 | 1,500万円 |
21人~50人 | 2,000万円 |
51人以上 | 3,000万円 |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
従業員数 | 補助上限金額
| 補助率 |
5人以下 | 500万円 | 中小企業:3/4(一部 2/3) 中堅企業:2/3(一部 1/2)
※「コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること」という任意要件を満たさない場合、補助率は()内の数字になる |
6~20人 | 1,000万円 |
21人以上 | 1,500万円 |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
サプライチェーン強靱化枠
従業員数 | 補助上限金額
| 補助率 |
– | 5億円 (建物費がない場合は3億円) | 中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
事業再構築補助金の対象経費の一つである建物費ですが、具体的にどのようなことに使う費用なのでしょうか。以下で解説します。
建物費とは、建物の建築、リフォーム、リノベーション、修繕、撤去にかかる費用です。
対象の建物としては事務所や工場、セントラルキッチン、倉庫などが挙げられるでしょう。事業再構築補助金で建物費を対象経費にしたい場合、事業計画書の中で建物費が必要な理由を記載し、認められれば対象にすることができます。
事業再構築補助金の建物費は第6回公募から変更が入り、新築である合理的な理由がない限り、新築の建設費は原則補助対象外となりました。第6回以降の事業再構築補助金の建物費は、建物のリノベーションやリフォームなどの改修工事が主な用途となっています。新築で申請したい場合は、別途新築の必要性に関する説明書の提出が必要です。
事業再構築補助金の公募要領には建物費について以下のように記載されています。
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
事業再構築補助金 公募要領
対象になるのは専ら補助事業のために使用される建物と記載されているため、事業再構築補助金で申請した建物費は事業計画以外の範囲の用途には活用できないと解釈して良いでしょう。補助事業以外の範疇で建物費を使ってしまうと、事業再構築補助金が受け取れなくなってしまう可能性もあります。
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事業再構築補助金で建物費を利用する際に覚えておきたいポイントはいくつかあります。以下でそれぞれ解説します。
建物費は入札や相見積もりを必ず行わなければいけません。他の対象経費では可能な限り相見積りを取って相見積りの中で最低価格を提示した者を選定をする、すなわち相見積もりができない場合は行わなくても良いと記載されています。
しかし、建物費は最低2社の同一条件での見積もりが必須となっています。理由があって相見積もりを提出できない場合は、選定理由を明らかにした説明書と価格の妥当性を示す書類を用意しなければいけません。
また、補助事業は補助事業実施期間中にすべての手続を完了させなければなりません。特に建物費にあるような建物の建設や改修には時間がかかるため、見積書などはなるべく早めに準備するのが良いでしょう。適切に準備しないと対象外となってしまうので要注意です。
建物費は、設備や店舗の撤去、縮小が伴う非製造業の業態転換における経費として利用することも多い経費です。しかし、先述した通り建物費はあくまでも改修がメインであるため、撤去費用や賃貸契約解除の際の原状回復費用のみの申請は対象外となるため認められていません。
全ての経費項目に該当しますが、資産性を有するもの(建物やシステムなど減価償却を計上する項目)に関しては税抜きで50万円以上の支出をした場合、原則として処分ができないと記載されています。
どうしても処分しなければいけない場合は、事務局に届出を提出することで処分や売却はできますが、その際に残存している減価償却分は国に返還する必要が出てきます。そのため、すぐに売却する予定のものを事業再構築補助金で申請し、付加価値をつけるのはあまりおすすめできません。
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事業再構築補助金の建物費を使って建物の新築をしたい場合はいくつか注意すべきことがあります。
事業再構築補助金の建物費を使って新築する際の注意点
先述した通りですが、建物費は原則建物の改修費用として想定されています。改修の場合、金額も少額になり、自社物件やすでに賃貸している場所をリノベーションする場合は保有しているリソースがバリューアップするため、会社の保有している資産の価値も上がって投資対効果が上がります。そのため、事業計画書を審査される際の点数も高くなりやすいです。建物費を活用する際は、なるべく改修費とするのがおすすめです。
それでも新築する必要がある場合は、審査事務局になぜ新築でなければならないのか「新築の必要性に関する説明書」を提出する必要があります。事業計画書に記載するのはもちろんですが、別途で新築の必要性に関する説明書を作成しましょう。wordファイルが公開されているので下のリンクの中からダウンロードしてみてください。
新築の必要性に関する説明書では、主に建物を新築することが補助事業の実施に必要不可欠であることと、既存の建物等を改築する等の代替手段がないことの2項目について説明をする必要があります。説明書も審査項目の範囲に含まれるので、申請する際は慎重に資料を作成しましょう。
事業再構築補助金 電子申請用資料
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この記事では事業再構築補助金における建物費と申請する際の注意点について説明してきました。対象外とされないように、建物費の範囲を確認し、もし新築に活用したいという場合は「新築の必要性に関する説明書」等が必要であることを覚えておきましょう。
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