2025年から新しく募集が始まる新事業進出補助金を活用して不動産業を始めたい方もいるでしょう。しかし、そもそも新事業進出補助金は不動産業に活用できるのかわからない、という方も多いですよね。
本記事では、新事業進出補助金を活用して不動産業を始める際の注意点や補助金の使用例について解説します。「土地取得には使える?」「駐車場事業は?」という疑問にもお答えします。不動産業で新事業進出補助金に申請される方はぜひ参考にしてみてくださいね。
まず、不動産業での活用について説明する前に新事業進出補助金の基本情報について解説します。
新事業進出補助金は、既存事業とは全く違う新たな事業を始める中小企業、小規模し業者に対して設備投資等の支援をしてくれる補助金です。
先日事業再構築補助金の第13回公募が発表されたばかりですが、新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継補助金と言われています。事業再構築補助金と内容が似ているので、同じように人気の補助金になるでしょう。
以下で、補助金の内容について詳しく解説します。
新事業進出補助金で受給できる上限金額と補助率について、現在以下のように発表されています。
従業員数 | 補助上限金額 | 補助率 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
参照:中小企業新事業進出補助金
上記の上限金額は、事業再構築補助金の成長分野進出枠(通常類型)よりも1,000万円高く設定されているため、新事業進出補助金は事業再構築補助金よりもさらに高い補助金額を受け取れる可能性がある補助金制度と言えるでしょう。
また、補助率も1/2と高くなっています。補助下限金額も750万円に定められているため申請者は自社がもらえる金額をシュミレーションしやすくなっているのも特徴です。
新事業進出補助金は、現在以下が対象経費であると発表されています。
- 建物費
- 構築物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
ただし、申請枠ごとに対象経費が異なったり、経費ごとに要件が設けられる可能性もあるので、必ず最新情報をチェックしてから申請しましょう。
新事業進出補助金は不動産業も対象外ではなく、採択されることがあると考えられています。以下では新事業進出補助金で不動産業に採択される際の注意点等について解説します。
経済産業省が公募している補助金の多くは、不動産業でかかる経費を補助対象経費にできないものが多いです。
しかし、新事業進出補助金は事業再構築補助金と同じく建物の建築やリノベーションも補助対象経費になると予想されています。そのため新事業進出補助金は、他の補助金よりも不動産業で活用しやすいかもしれません。
しかし、新事業進出補助金では土地取得に係る不動産の購入は補助対象経費にできないと予想されています。それは、事業再構築補助金でそのように定められていたからです。また、事業再構築補助金では新しく建物を建設する際は建物の建設費だけ申請ができました。
そのため、おそらく新事業進出補助金も土地購入費や仲介手数料などは補助対象経費にできないと予想されます。ただし、基本的には新事業進出補助金の建物費は建物の改築に使われ、建物を新設する場合は新築が不可欠である旨の書類の提出が必要になるのではないかと思われます。
上で述べたように、新事業進出補助金は不動産業でも申請できるでしょう。しかし、土地取得や駐車場経営等、不動産業で採択されないケースも多いです。
以下で新事業進出補助金で不動産業が対象外になってしまうのではないかと思われているケースを2つ紹介します。
不動産業は基本的に新事業進出補助金の補助対象になると思われますが、対象外になることもあるでしょう。予想されるケースを以下で解説します。
新事業進出補助金では、土地取得や駐車場経営のように、資産運用的な面が強い事業は事業再構築補助金の対象外になるのではないかと予想されます。
現在、具体的に資産運用がNGであると定義されているわけではないため、審査員の個別判断になるでしょう。不動産業で申請する場合にあまりにも資産運用としての意味合いが強い事業として事業計画書を書いてしまうと、不採択になるかもしれません。書き方次第で採択にもなれば不採択にもなると言えるでしょう。
不動産を長期的な賃貸に出す事業、すなわち不動産賃貸業は新事業進出補助金の対象外になるかもしれません。事業再構築補助金では、この旨が公募要領にしっかりと記述されていました。
以下は事業再構築補助金の公募要領に明記されていた不採択又は交付取消になる場合についてです。
④不動産賃貸(寮を含む)、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事
業又は専ら資産運用的性格の強い事業
⑤ 会員制ビジネスであって、その会員の募集・入会が公に行われていない事業
⑥ 建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期
間賃貸させるような事業(中小企業等とリース会社が共同申請を行い、リース会社が機械装置
又はシステムを購入する場合は、これに当たりません。詳細は7.補助対象経費(3)リース
会社との共同申請についてを参照してください。)
事業再構築補助金 公募要領
しかし、長期間賃貸の定義ははっきり明記されていません。宿泊の場合は1ヶ月以内の賃貸となっているので、それ以上長い期間だと長期間の賃貸とみなされてしまう可能性がありました。
同じく、新事業進出補助金でも上記のような場合は不採択になるのではと考えられています。
どのような場合に不動産業で新事業進出補助金が対象外になってしまうのか説明してきました。以下の段落では新事業進出補助金で不採択になってしまうと予想される具体的な事例について解説します。
先述しましたが、基本的に1ヶ月以上の賃貸経営を目的とした不動産賃貸業は採択が難しいでしょう。どうしても資産運用としての事業と見られてしまうことが多く、審査員に資産運用と見られないようにするためには事業計画にかなりの独自性が必要だと思われます。
一方で、後述するシェアハウス事業などでは採択されるかもしれません。そのため資産運用としての事業が絶対NGということではなく、運営に自社の強みが必要な事業であれば採択されることもあります。
駐車場経営も、新規事業を始めるというよりも資産運用として見られることが多いです。
駐車場経営も運営に独自性が必要な部分は少ないため、採択されるのはかなり難しいでしょう。しかし、データ連携などの画期的なオペレーションを行う駐車場経営は採択されている事例があるようです。駐車場経営そのものは採択の可能性が低いかもしれませんが、工夫して事業再構築補助金の趣旨に合致する駐車場経営事業を計画することができれば、採択の可能性はあるでしょう。
新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継補助金と言われています。以下では、参考として不動産業で事業再構築補助金に採択された実際の例を4つ紹介します。
1つ目の事例は、飲食店が新規事業として太陽光事業を実施し、不動産業へ転換した事例です。
太陽光発電に関する事業は、一見不動産投資と同じように資産運用として見られやすいですが、一定数採択されている例です。その理由は、太陽光発電を利用した事業は脱炭素的に向けた取り組みとして評価されることが多いからです。事業再構築補助金では現在脱炭素に向けた取り組みの採択を増やしていて、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題を解決する取り組みを支援する成長分野進出枠(GX進出類型)という申請枠もあります。そのような理由から、太陽光に関する事業は今後採択数が増加するでしょう。
コインランドリー開業も不動産賃貸業のように資産運用として捉えられることが多いですが、コインランドリーの開業で採択されている事例はありました。
ただし、コインランドリーを開業する場合は何かしらの独自性が必要になります。この事例は環境に優しいコインランドリーを開業したため、脱炭素に関する取り組みとして認められて採択されたと予想できます。独自性のあるコインランドリーを開業する場合であれば採択される可能性があるでしょう。
資産運用として見られがちな不動産賃貸業ですが、シェアハウスなど独自性があるような事業の場合は採択がされています。
実際に採択された例では、地元の観光業と協力し他社にはないような独自性のあるシェアハウス事業を展開した例があります。採択されるには、しっかり他社との差別化を図る必要があるでしょう。審査員も他社との差別化ができているかをしっかり確認する傾向にあるようです。
元々宿泊業を行っていた雄太郎邸様がコワーキングスペースを改装することで、不動産業の要素を取り込みながら新たな需要を発掘する事業を計画し、採択されました。こちらは株式会社INUで申請支援し、採択された事例です。
この事例では、改装費や広報など多種多様なものが補助対象経費として認められました。シェアオフィス事業もしっかり独自性のある計画を立てれば採択の可能性はあるでしょう。
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株式会社では、新事業進出補助金の申請支援サービスを提供しています。
株式会社補助金プラスの元代表である宮﨑は株式会社ライフワンネクストという不動産業者の取締役も兼任しています。多くの事業者が新規事業を行う過程で不動産購入や売却等の必要が出てくるケースが数多く発生しています。そのため、株式会社補助金プラスでは新事業進出補助金の無料相談とともに不動産に関するご相談も常時受け付けております。
株式会社補助金プラスでは、新事業進出補助金の豊富なノウハウと、不動産業の展開という他社にはない強みを持っています。不動産を活用して新事業進出補助金を活用したい方、不動産を売却して新事業を行いたい方、不動産購入をして土地取得をし新事業進出補助金を申請されたい方など不動産に関することならお気軽にお問い合わせください。
以下は、本記事のまとめです。
ここまで新事業進出補助金を不動産業に活用する方法を確認してきました。全体的に言えるのは、不動産業で新事業進出補助金を申請する場合は、土地取得に関する申請や居住用で長期間貸し出す事業を避けた方が無難でしょう。しかし、シェアハウスなどのような独自性のある事業であれば、不動産業でも新事業進出補助金を活用することができるかもしれません。
株式会社補助金プラスでは、不動産の専門家である宅建士、税理士、中小企業診断士などが様々な観点から事業計画の立案をサポートいたします。加えて、不動産業でも申請ができるかどうかのご相談も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。