中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)の対象経費の一つに、専門家経費というものがあります。何か新事業を始める時に、専門家からアドバイス等をもらう時に発生する費用のことです。
しかし、具体的な利用例がわからず混乱している方も多いでしょう。今回は専門家経費の利用例について解説します。
専門家経費はあまりメジャーではありませんが、やり方次第ではかなり便利に活用できます。ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
専門家経費の解説の前に、まずは新事業進出補助金の概要について説明します。
新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継補助金です。内容は事業再構築補助金と近い部分が多く、中小企業や小規模事業者が思い切った新事業に挑戦する際にかかる費用を支援してくれる制度です。
基本的に、既存事業で培ったノウハウを活かして新規事業にチャレンジすることが想定されています。募集は2025年から始まる予定です。補助金額も多く、たくさんの事業者から人気の補助金になると言われています。
新事業進出補助金には、以下の対象経費があります。
上記から分かる通り、新事業進出補助金は色々な使い道がある補助金と言えるでしょう。本記事で解説していくのは、上記の専門家経費についてです。
新事業進出補助金で補助してもらえる金額について、補助上限金額と補助率は以下のように設定されています。
従業員数 | 補助上限金額 | 補助率 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
参照:中小企業新事業進出補助金
上記からわかるように、事業再構築補助金は補助金額が高めです。そのため人気も高くなり、採択も難しくなると予想されています。
新事業進出補助金の対象経費の一つが専門家経費であることは先述しました。以下では、専門家経費は具体的に何に活用できるのか、金額はどれくらいなのかを解説します。
専門家経費とは、補助事業を行う際に発生するコンサル費用等のことです。
まだ新事業進出補助金では公募要領が発表されていないので詳細はわかりませんが、例として事業再構築補助金の公募要領を確認してみましょう。事業再構築補助金の公募要領によると、具体的なコンサルの役職とは決まっていませんが、一部コンサルの例示はされていました。
専門家経費とは:本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費
対象者(例):大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師、准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等
事業再構築補助金 公募要領
このように、新事業進出補助金においても専門家経費は事業にかかるコンサル業務であれば幅広く対象にすることができると考えられています。また、コンサル費のほかに、コンサルへの交通費も対象に含まれるでしょう。
新事業進出補助金を活用して行う補助事業にかかったコンサル費のみ、専門家経費として申請できると予想されます。事業再構築補助金とは無関係の事業でかかったコンサル費用は対象経費にならないので注意しましょう。
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これから新事業進出補助金に申請したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
事業再構築補助金では、コンサルについては大学教授や弁護士、公認会計士など難関資格や少数人材からのコンサルフィーは1日5万円以下、その他のコンサルタントは1日4万円以下と設定されていました。また、通常の専門家についても複数の見積り書を提出し、上限額を1日5万円まで上げることができました。
コンサルタントの種類 | 日当の上限(消費税抜き) |
大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等 | 1日5万円以下 |
准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等 | 1日4万円以下 |
したがって、事業再構築補助金では資格等を保有していないコンサルタントに依頼をする場合は1日4万円以下の経費になるように申請するのが良いとされていました。
新事業進出補助金も事業再構築補助金と同じようなルールが施行される可能性もあります。その場合、個別の判断を行うのが不安な方は一度事務局に問い合わせてみるのがおすすめです。
新事業進出補助金で専門家経費を申請する時、いくつかの注意点があります。以下でそれぞれ紹介します。
新事業進出補助金の申請サポートやコンサルを公認会計士や中小企業診断士などに依頼した場合の報酬は、専門家経費として計上することはできないでしょう。そもそも、そのような申請サポートにかかる費用は新事業進出補助金の対象外になると考えられています。
くれぐれも、補助金申請にかかった費用を計上することのないように注意しましょう。
また、コンサルが業務を行う上でかかった交通費も専門家経費として計上できると予想されていることは先述した通りです。
しかし、専門家の旅費には以下のような詳細な規定が設定される可能性もあります。
(1)東京起点の場合
北海道、東京都の島しょ、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡
県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(2)名古屋起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、東京都の島しょ、新潟県、愛媛県、長崎
県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(3)大阪起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、東京都の島しょ、新潟県、愛媛県、長崎
県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(4)福岡起点の場合
北海道、青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉
県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、山梨県、静岡県、富山県、石川県、福井
県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、沖縄県
(5)その他
上記(1)~(4)以外で、事務局が認めた場合
3 バス賃、モノレール賃並びに船賃を支給することができる。ただし、用務地が出張者の通勤手当
支給経路にある場合は支給しない。
4 第3条第2項の規定により出張の日数を加えた場合の宿泊料については、片道50キロメートル
を超える出張の場合のみ適用するものとし、宿泊日数に応じて次表の額を限度として支給するこ
とができる。
区 分 宿泊料(日当含む)
専門家(宿泊を伴う場合は、日当は加算しない) 17,000円以内
5 日当は、片道50キロメートルを超える日帰り出張の場合のみ適用するものとし、次表の額を限
度として支給することができる。
区 分 日 当
専門家 5,000円以内
6 航空賃又は鉄道賃と宿泊費がセットになっているパッケージ商品を利用して出張する場合は、
当該パッケージ料金を支給する。
事業再構築補助金 補助事業の旅費支給に関する基準 抜粋
上記は事業再構築補助金で設定されていたことですが、新事業進出補助金でも同じルールが設定される可能性があります。詳しくは新事業進出補助金の公募要領が発表された際に確認してみましょう。
新事業進出補助金の専門家経費には、実績報告の際に専門家就任承諾書と専門家業務報告書が必要になる叶瀬があります。
専門家就任承諾書は、今回の補助金におけるコンサルを受託することを専門家側が承認したことを認めてもらう際の同意書です。
専門家業務報告書は、具体的にコンサルが何を行なったのか、期間はどのくらいだったのかを全てレポートにしてまとめたものです。
それに加えて、海外に渡航した場合は海外渡航計画書、旅費が発生した場合は、旅費明細書、宿泊証明書が必要になるかもしれません。実績報告は申請と同じくらい複雑なので事前に準備しておきましょう。
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新事業進出補助金の専門家経費の利用例について解説します。自社で専門家経費を計上する時の参考にしてみてください。
新たにグループホームを始めるという内容で補助金を申請するケースがあるとします。
グループホームではオペレーションや許認可など多岐にわたる知識が網羅的に必要です。そのため、グループホームの開業コンサルを行っている中小企業診断士等に1日あたり4万円を支払うというケースが想定されます。その費用に新事業進出補助金の専門家経費を活用するという事例が考えられます。
新事業進出補助金を活用して新製品を開発する際に特殊な技術を活用する場合、大学教授などに対してスポット的にコンサルとして入ってもらうことが想定できます。その際は、1日5万円を上限として専門家経費に計上することが可能です。
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これから新事業進出補助金に申請しようと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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この記事では新事業進出補助金における専門家経費ついて説明しました。
専門家経費とはいわゆるコンサル費で、新規事業に関するコンサルを依頼した時にかかる費用のことです。
専門家経費を計上するには、補助金採択後の実績報告が鍵です。株式会社補助金プラスでは不動産のプロである宅建士や税理士、中小企業診断士などが様々な観点から事業計画の立案をサポートします。専門家経費の報告書のポイントや注意点をさらに詳細にアドバイスすることも可能です。無料相談を受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。