【2024.2】ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠とは?目的や類型、要件、採択事例を解説!

ものづくり補助金 グローバル市場開拓枠

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金の申請を検討するなかで、グローバル市場開拓枠について気になっている方も多いのではないでしょうか。ものづくり補助金グローバル市場開拓枠は、ほかの申請枠と目的や補助上限金額などが異なります。

この記事では、ものづくり補助金の概要やグローバル市場開拓枠の詳細、採択事例について解説していきます。

この記事の目次

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者 保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り 組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善をおこない、生産性を向上させるための設備投資等を支援する制度であると公募要領にも記載されています。

これは、グローバル市場開拓枠でも同様です。

グローバル市場開拓枠とは

グローバル市場開拓枠は、ものづくり補助金の申請枠のひとつで、海外での事業展開を促進するための設備やシステムの導入に対して補助金を交付する制度です。グローバル市場開拓枠は、以前まで「グローバル展開型」と呼ばれていましたが、令和4年度の第14次から名称が変更されました。

ものづくり補助金におけるグローバル市場開拓枠を利用するには、海外市場における競争力や付加価値の向上などの目的を明確にした事業計画が必要です。

グローバル市場開拓枠とは

目的

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」または「生産プロ セス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する申請枠であると公募要領にも記載されています。

類型

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠に応募するには、自社の海外事業の目標と戦略を明確にすることが重要です。海外事業の拡大・強化には、以下の4類型の方法があると公募要領にも記載されています。

①海外直接投資類型

国内事業と海外事業を一体化させて、グローバルな市場に対応する製品やサービスを開発・提供することで、国内の生産性を向上させることを目的とした事業です。例えば、海外の優れた技術や人材を活用して、国内で新しい製品やサービスを開発したり、海外の需要に合わせて国内の製品やサービスを改良したりすることが挙げられます。

②海外市場開拓(JAPANブランド)類型

国内で製品等を生産し、海外の顧客に販売することで、日本のブランド力や競争力を高めることを目的とした事業です。例えば、日本の伝統的な技術や文化を活かした製品やサービスを海外に展開したり、日本の高品質や安全性をアピールした製品やサービスを海外に提供したりすることが挙げられます。

③インバウンド市場開拓類型

国内でサービス等を提供し、訪日外国人に販売することで、日本の観光資源や魅力を発信することを目的とした事業です。例えば、訪日外国人のニーズに応えたサービスや体験プログラムを開発したり、訪日外国人に向けた情報発信やマーケティングを行ったりすることが挙げられます。

④海外事業者との共同事業類型

国内で外国法人と共同研究や共同事業開発を行い、その成果物の権利(の一部)を取得することで、新たな技術やビジネスモデルを創出することを目的とした事業です。例えば、外国法人と連携して、新しい技術や製品の研究開発をおこなったり、新しい市場や顧客層にアプローチする事業モデルを構築したりすることが挙げられます。

引用元:ものづくり補助金公募要領(16次締切分)

補助上限金額・補助率

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠の補助金額は、最高3,000万円、最低100万円となっています。これは、以前の最低額が1,000万円から100万円に下がったため、より多くの事業者が申請できるようになったということです。

さらに、この枠では「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」を利用することも可能です。この特例を適用すると、一定の条件を満たす場合には、補助金の上限額を増やすことができます。

なお、基本的な補助率は1/2、小規模企業者・小規模事業者は2/3となっています。

補助対象者

ものづくり補助金の補助対象者については、資本金または従業員数(常勤)が下記の表の数字以下となる会社または個人となっています。

引用元:ものづくり補助金公募要領(16次締切分)

なお、グローバル市場開拓枠のうち、①海外直接投資類型については、事業実施場所が日本国内のほかに海外にも有していることが必要であると公募要領に記載されています。

類型別要件

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠における要件は、以下のいずれか一つの類型の各条件を満たす投資であることという条件が公募要領に記載されています。

①海外直接投資類型

  • 国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの 開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。 
  • 具体的には、国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社(半数以上の発行 済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有してい る、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本補助金の補助対象経 費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にか かる業務等を想定。)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(本補助金 の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。 
  • 国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得(設備投資)すること。 
  • 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、 実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を 追加提出すること。 

②海外市場開拓(JAPANブランド)類型

  • 国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧 客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有 していること。 
  • 応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、具体的な想定顧客がわかる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。

③インバウンド市場開拓類型 

  • 国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外 国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を 有していること。 
  • 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。

④海外事業者との共同事業類型 

  • 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設 備投資等があり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(外国 法人の経費は、補助対象外)
  • 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案件を含む)、実 績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。

引用元:ものづくり補助金公募要領(16次締切分)

類型別の採択事例

類型別の採択事例

海外直接投資類型

事業計画名:エゾ鹿エキスの海外需要拡大に向けた機能性健康食品素材の開発に関する設備投資事業

企業名:日中物産白糠工場株式会社

ものづくり補助金を利用して、中国などへの海外展開も視野に入れて、エゾ鹿エキスの健康成分をパウダー加工して製品化したグローバル市場開拓枠の事例です。

エゾ鹿エキスの健康成分については過去に例を見ない原料だったため、自社で開発・検証をおこなう必要がありました。そこで、製造技術の向上や酵素分解の最適化をおこないながら、エキスの安定化や量産化に成功したのです。

また、さらなる技術開発や中国への提案も検討しています。

海外市場開拓(JAPANブランド)類型

事業計画名:新規市場開拓へ向けた木製商品開発のための高精度・高効率複合加工機の導入

企業名:株式会社山上木工

ものづくり補助金を利用して、自社ブランドの海外展開を目指して、木材加工における複合加工機を導入したグローバル市場開拓枠の事例です。

難易度の高い加工になるほど、現状の人員・設備では生産が追いつかず、生産が遅れてしまうことが課題でした。複合加工機の導入によって、熟練技術者でなくても生産能力を大幅にアップさせることに成功したのです。

また、大幅な作業時間の短縮や高精度の3次元加工も実現しました。

インバウンド市場開拓類型

事業計画名:インバウンドに日本酒の新たな魅力を発信!「スパークリング日本酒」等の新製品の開発・生産に挑戦

企業名:曲イ田中酒造株式会社

ものづくり補助金を利用して、海外でも人気となっている日本酒を、新たに外国人観光客に対してインバウンド向け日本酒として改良・開発したグローバル市場開拓枠の事例です。

発泡性日本酒のニーズに対応するために、耐圧サーマルタンクやガス飲料用充填機を導入しました。それによって、果実リキュールやノンアルコール飲料の新商品開発にも成功したのです。

今後は、日本酒からエンターテイメントへの創出も検討しています。

海外事業者との共同事業類型

事業計画名:世界へ羽ばたく「青森の黒にんにく」ブランド化事業

企業名:有限会社柏崎青果

ものづくり補助金を利用して、黒にんにく製造環境の高度化を図り、米国企業と共同で海外市場向け製品を開発したグローバル市場開拓枠の事例です。

黒にんにくの輸出拡大は必須であるものの、衛生管理にもコストがかかっているため自社で製造業務や開発業務をおこなわなければならないことが課題でした。黒にんにくの製造環境を高度化および少量包材で輸出できるようにすることで、海外市場向け製品の開発に成功したのです。

また、通常商材以外にケータリングやレストランにおけるニーズへの対応も実現しました。

まとめ

この記事では、ものづくり補助金におけるグローバル市場開拓枠について解説しました。

ものづくり補助金におけるグローバル市場開拓枠は、海外への事業拡大を図るためにも必須の補助金制度です。

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠の利用を検討している場合は、この記事を参考にしながらぜひ、申請をおこなってみてください。
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