【2024.2】ものづくり補助金の不正受給にあたるのはどんな行為?罰則等までわかりやすく解説

ものづくり補助金 不正受給

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金において、どんな行為が不正受給に該当するのか、疑問に思う方も多いでしょう。補助金の不正受給が判明した場合、補助金の全額返還等の罰則が生じていまいます。

今回の記事では、どのような行為が不正受給にあたるのか、罰則等も詳しく解説していきます。

この記事を読むと
  • ものづくり補助金の不正受給の詳しい具体例が分かる
  • 不正受給してしまった場合の処罰が知れる
  • 不正受給しないための対処方法を知れる
この記事の目次

ものづくり補助金の不正受給にあたる行為

コロナ渦の経済影響のせいか、ニュースで補助金・給付金の不正受給の見出しをよく見ることが多くなりました。補助金の申請にあたり、虚偽の申請や元々の目的外への補助金の利用などは不当な行為にあたります。
不当行為によって受け取った補助金は不正受給です。不正受給が判明した場合は、ものづくり補助金の交付規定に基づき交付の決定取り消しとなります。また、既に補助金を交付済みの場合は、加算金を上乗せしたうえで補助金の全額返還の処置となります。
ものづくり補助金の不正受給については、「補助金適正化法」(正式名称:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)に定められた内容に違反すると、補助金の不正受給にあたるとみなされます。

ものづくり補助金の不正受給にあたる行為

申請要件に関する虚偽記載

では具体的にものづくり補助金の不正受給にあたる行為をみていきましょう。具体的には、売上の虚偽報告、従業員数の虚偽報告、不正経費申告、事業の存続状況の虚偽報告などです。また、ものづくり補助金申請の際に提出する様々な必要書類の偽造も申請要件の虚偽記載にあたります。

日付の改ざん

日付の改ざんはものづくり補助金の不正受給にあたる行為です。例えば、設備の発注日を補助金の対象となる期間の日にずらすなどは発注書の日付を改ざんすることになるので、補助金適正化法に違反する行為にあたります。

補助対象経費の水増し

補助対象経費の水増しを行い、実際かかった価格よりも高い値段を記載した場合、法律違反となり不正受給となります。事業者が通常よりも高い金額で領収書を切ってもらい、補助金額を多く請求しようとするケースです。経費の水増し請求自体が詐欺にあたり、領収書を発行した業者側も罪に問われる可能性がでてきます。

補助金の目的外利用

ものづくり補助金申請の際に事業計画として申請した内容とは異なる目的で補助金を利用することは不正受給です。補助金を補助事業とは全く関係のない事業にあてたり、事業計画とは異なる設備投資に利用したり、プライベートのために利用したりする行為は不正受給となり、罰則の対象となります。補助金の目的外の利用は固く禁じられており、目的外利用をした罰則には補助金交付決定の取り消しや補助金の全額返還などがあります。

過失でも不正受給になりうる

上記のものづくり補助金の不正受給行為は、ついうっかりですまされることはなく、不正受給行為とは気づかなかった過失行為であったとしても不正受給に該当します。
なぜなら、補助金の財源が国民の税金であるためです。利用する事業者は常に念頭に置き、注意しておかなければなりません。
実際に起こった虚偽記載による不正受給の例を下記に記載します。会計検査院のHPにて補助金の不正受給により公表されている事業者名と事例を知ることができます。

過去の事例

〈ものづくり補助金不正受給の事例 日付の改ざん〉
事業主体は、地元で発生する水産廃棄物を主原料として肥料を製造するために、高温高圧加水分解装置(以下「分解装置」という。)を24,000,000円(基金補助対象事業費22,222,222円)で製造業者に試作・開発を行わせて、27年9月10日にこれを取得したとする実績報告書を、受託事業者に提出し、28年1月に受託事業者による確定検査を受けた上で、基金補助金14,814,814円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際に分解装置を取得したのは、事業完了期限の27年9月30日を過ぎた同年12月22日であったにもかかわらず、基金補助事業を同年9月30日に終了したとする虚偽の実績報告を行っていた。また、事業主体は、確定検査に当たり、受託事業者に分解装置の試作・開発に係る虚偽の納品書を示すなどしていた。
したがって、本件基金補助事業の実施に要した経費(基金補助対象事業費22,222,222円、基金補助金交付額14,814,814円)は補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金相当額14,814,814円が不当と認められる。

参照:会計検査院 ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金により造成した基金を用いて実施した事業において、基金補助事業を事業完了期限内に終了しておらず補助の対象とならないもの[中小企業庁](251)

補助金の不正受給は、事業者の少しくらい日付を変えたって大丈夫だろうという安易な考えで発生してしまいます。あり得なくない事例だからこそ、書類作成や報告手続きには再度襟を正して誠実に取り掛かるべきです。

不正受給が発覚した場合の処分

前に述べたように、故意に不正受給した場合でも、意図せず結果的に不正受給とみなされてしまった場合にしても事業者には処分対応が行われます。ものづくり補助金の不正受給が発覚した場合、どのような罰則が発生するのでしょうか。

不正受給が発覚した場合の処分

補助金の返還、加算金の支払い

不正な行為が発覚した場合、ものづくり補助金の交付決定は取り消されます。また、すでにものづくり補助金の補助金額が交付され、補助金の受け取りが完了しているケースでは補助金の全額返還という処分になります。補助金の全額返還には、不正行為をしたとして加算金を追加で支払う必要があります。また補助金の返還に応じなかった場合は、国税滞納処分によっての徴収が発生します。

事業者の公表

またものづくり補助金の悪質な不正受給行為が発覚した事業者は、不正内容や事業者名を世間に公表される処分もあります。不正受給した事業者は「補助金交付等停止措置企業」として経済産業省のHPにて事業所名等が公表され、社会的信用も失いかねません。
経済産業省HPにある「補助金交付等停止措置企業」には、とある補助金において不適切な事業費の計上を行い、補助金を不正に 受給していた企業が公表されています。
参照:経済産業省HP 補助金交付等停止措置企業

刑事訴追のおそれも

補助金の不正受給には刑事訴追のリスクもあります。補助金の財源が税金であるため、国や地方自治体に対して詐欺行為を働いたとして詐欺罪で書類送検や起訴される可能性も生じます。罰則もあり、「補助金に係る予算の執行の適正化に関する法律」第29条に基づいた罰則が適用され、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が課されます。さらに刑法に触れる行為があった場合は、刑事告発に至ることが多いです。
ものづくり補助金の不正受給に関しては上記に挙げた内容が、ものづくり補助金総合サイト公募要領にて注意喚起が掲載されています。

補助金の申請にあたって、「虚偽の申請による不正受給」、「補助金の目的外利用」や「補助金受給額を不当に釣り上げ、関係者へ報酬を配賦する」といった不正な行為が判明した場合は、交付規程に基づき交付決定取消となるだけでなく、補助金交付済みの場合、加算金を課した上で当該補助金の返還を求めます。

 上記の不正な行為が判明した場合は、不正内容の公表等を受けることや「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第29条に基づき、5年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金または両方に処せられる可能性があります。

参照:これから申請をされる皆様へ ―補助金の不正受給に関する注意喚起―

不正受給にならないよう気を付けるべきポイント

ものづくり補助金申請から補助金給付にあたって、故意でないにしろ、不正受給とならないよう気をつけるべきポイントがあります。事業者にて書類作成や報告手続きを行う際は特に以下のポイントに注目してみてください。

不正受給にならないよう気を付けるべきポイント

従業員数のチェック

補助金の不正受給とならないようには、補助金活用のルールをしっかり守って嘘偽りない報告を行うことが最善のポイントです。

例えば、ものづくり補助金は経営規模が中小企業の事業者を対象としているため、申請する事業者の業種によって資本金の額と常時使用する従業員数の規定があります。常時使用する従業員には正社員・アルバイト・パート・契約社員が含まれ、会社役員や個人事業主は含まれません。

また申請する補助金の類型によって補助金額が変わってきます。例としてものづくり補助金公募要領の通常枠の一部分を抜粋します。

参照:ものづくり補助金第16次公募要領 通常枠
申請する事業者は、事業計画と従業員数によって交付される金額を正しく理解するためにも、従業員数のチェックを行いましょう。

金額のチェック

ものづくり補助金を活用するために、事業主は様々な提出書類に経費を記入します。また、電子申請の際に経費明細の詳細も記載します。記載する際、内容の数字にミスがあると、誤った情報のまま申請が為される可能性があります。
不正受給を防ぐポイントとしては、正しい金額の情報で申請できるように、社内でのダブルチェックや支援機関にチェックを依頼するなどして、金額の間違いがないか確実にチェックを行いましょう。

申請枠ごとの要件を充足しているか

ものづくり補助金には申請する枠が複数あり、「通常枠」、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」と「グローバル展開型」の合計5種類の枠があります。従業員数のチェックでも挙げた通り、申請枠ごとに従業員数によって補助金額の上限が異なっていたり、申請に必要な要件が異なっています。気をつけるポイントは、公募要領の内容を熟読し正しく情報を得ることです。依頼している認定支援機関や、外部のコンサルティングなどを活用するのも良い方法です。不正受給とみなされてしまってからでは遅いので、ミスを防ぐため最善を尽くしましょう。

まとめ

補助金の不正受給となった場合は補助金の返還だけでなく、事業者名の公表、さらには刑事訴追による厳しい罰則があります。事業の継続だけでなく社会的な信用の低下につながります。ものづくり補助金を活用するにあたり、思いがけず不正受給とならないように申請する事業者は特に注意しましょう。

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