【2024.2】農業に事業再構築補助金の活用できる?採択事例と注意点を紹介

事業再構築補助金 農業

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

「農業でも事業再構築補助金は活用できるのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?事業再構築補助金は多くの農業者の方々でも利用することが可能なのです。

今回は農業者の方々が事業再構築補助金を活用してどのような事業を行えば良いのかについて解説していきたいと思います。

この記事の目次

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金について、まだ知らない人のためにこの章では事業再構築補助金概要について解説していこうと思います。
事業再構築補助金とは、コロナの影響などで、売り上げの低下による資金的な困難に直面した事業者や企業が、事業の再構築や新規事業の立ち上げを支援するプログラムのことです。主に建設費や設備投資がメインですが、製造業、サービス業、飲食業から農業まで幅広く利用されています。

事業再構築補助金の補助率

ここからは、実際にどれくらいの補助の規模感なのかを解説していきます。
以下の表は応募枠に対する事業再構築補助金の補助率を表しています。

応募枠中小企業等中堅企業等
①成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
②グリーン成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
③卒業促進枠1/21/3
④大規模賃金引上促進枠1/21/3
⑤産業構造転換枠2/31/2
最低賃金枠3/42/3
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠2/3※1/2※

応募枠によって補助率に違いがあることが分かりますね。応募枠は補助率の違い以外にも異なる点が多くありますので、よく公募要領を読んで理解してくださいね。また、応募枠によって満たすべき要件が様々なので注意する必要があります。後ほど、農業に事業再構築補助金を活用するために満たすべき要件等を解説します。

事業再構築補助金の補助上限金額

次に、事業再構築補助金の補助上限金額です。

応募枠従業員数
〜5人6〜20人21〜50人51〜100人101人〜
①成長枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中小企業等)4,000万円4,000万円6,000万円6,000万円8,000万円
②-1グリーン成長枠(エントリー)(中堅企業等)1億円
②-2グリーン成長枠(スタンダード)中小企業等:1億円 中堅企業等:1.5億円
③卒業促進枠成長枠・グリーン成長枠に準じる
④大規模賃金引上促進枠3,000万円
⑤産業構造転換枠2,000万円2,000万円4,000万円5,000万円7,000万円
⑥最低賃金枠500万円1,000万円1,500万円1,500万円1,500万円
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠1,000万円1,500万円2,000万円3,000万円3,000万円

上の表の成長枠を見てみると、同じ成長枠でも、従業員が多いとそれだけ補助上限金額も大きくなっています。これらの表は経済産業省が掲載している公募要領を参考にしています。
詳しく知りたい方はこちら

事業再構築補助金の過去の採択率

事業再構築補助金の概要の最後の項目として、過去の採択率を見ていきましょう。
以下の表は過去の全体の採択率です。

公募 応募件数 採択件数 採択率
第1回公募 22,229件 8,015件 36.0%
第2回公募 20,800件 9,336件 44.9%
第3回公募 20,307件 9,021件 44.4%
第4回公募 19,673件 8,810件 44.8%
第5回公募 21,035件 9,707件 46.1%
第6回公募 15,340件 7,669件 49.9%
第7回公募 15,132件 7,745件 51.1%
第8回公募 12,591件 6,456件 51.3%
第9回公募 9,368件 4,259件 45.4%
第10回公募 10,821件 5,205件 48.1%
第11回公募 9,207件 2,437件 26.5%

直近の採択率をみると、第9回、第10回は50%を下回っていますが40%後半に推移しています。決して高い採択率ではありません。2社に1社は採択されません。しかし、しっかりとした事業計画書を作成し、準備をすれば問題ありません。ほかの記事を参考に事業再構築補助金について理解していってくださいね。
事業計画書の書き方についてはこちら

農業は事業再構築補助金の対象となるのか?

さて、事業再構築補助金についての概要は理解できましたか。ここからは、農業に事業再構築補助金を活用するために知っておくべきとを解説していきます。まずは、農業が事業再構築補助金の対象となるかについて見ていきましょう。

多くの農業者は事業再構築補助金の対象

事業再構築補助金には様々な要件がありますが、そもそも事業者が満たしておかなければいけない要件は主に次の3つです。

①資本金が10億円未満であること

基本的には大企業は申請できないということになります。

②事業再構築方針に基いた計画を立て、事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること

事業再構築補助金を活用して行う事業が「新たな商品やサービスの提供を行う」「新たな方法によって商品やサービスの提供を行う」等に該当する必要があります。

③付加価値額を向上させること
それまであった「売上高減少要件」がなくなった代わりに、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる) 以上増加させることが必要となりました。

また、各応募枠によって、下記のような条件もあるため、よく確認しておきましょう。

  • 成長枠:新規事業が拡大市場に属する
  • グリーン枠:グリーン成長戦略の課題の解決に資する取り組みを行う
  • 産業構造転換枠:既存事業が縮小市場に属する
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠:原油価格や物価高騰の影響で売上高が大幅に減少

新規事業として一次産業の農業を行うことは補助対象外

事業再構築補助金は新規事業を行うことを補助する補助金ですが、新規事業として農業や漁業といった一次産業を行うことはできません。既存事業が農業ではない事業者が、新規事業として作物を作るといった事業は事業再構築補助金で認められません。

また農業者の方々が、事業再構築補助金を活用して別の作物を作るといった活用方法も認められていません。事業再構築補助金の公募要領に以下のように説明されているので合わせて確認しておきましょう。

農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む 事業が1次産業(農業、林業、漁業)である事業

※例えば農業に取り組む事業者が、農作物の加工や農作物を用いた料理の提供を行う場合など、 2 次又は 3 次産業分野に取り組む場合に必要な経費は、補助対象となります。2 次又は 3次産業に取り組む場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体に必要な経費は、 補助対象外となります。

事業再構築補助金公募要領(第10回)

農業の事業再構築補助金の採択事例

農業の事業再構築補助金の採択事例

農業が事業再構築補助金に採択された事例についてみていきましょう。過去の採択事例が新規事業のアイデアの源泉となるかもしれません。

カフェの開業

事業者名:フルーツ相山農園
事業計画名:老舗ぶどう農家が手掛けるワイン特区韮崎市初となる農園カフェ事業
事業内容:ワイン特区韮崎市内に初となる農園カフェをオープンし、イートインだけでなくテイクアウトや通販用の商品開発を行い、ワイナリー(契約栽培)とのワインイベントの開催など販路開拓にむけた取り組みをSNSで発信する。

ぶどう農園が栽培しているぶどうを生かしてカフェを開業した事例です。
この事例に代表されるような農業からカフェへと展開する事業再構築補助金におけるメリットは以下の通りです。
・農作物を活用した食事を提供できる
・農作物を活用した商品の店内販売を行える

農作物の加工・販売

事業者名:株式会社本原農園
事業計画名:広大な農地を管理する若い農業従事者が、自らが栽培管理したお米を精米し、白米の量産小売販売に挑戦する
事業内容:福井県坂井市で、今まで法人向けに玄米を出荷していた事業者が、新たに玄米保管設備と精米室を導入し、自ら白米の量産小売販売に挑戦する。平均年齢44歳という若さと約40haの広大な農地を武器に、栽培から生産物の直接販売までを手掛けることで他の商品との差別化をアピールし、収益向上を図る

お米の農家が玄米加工に展開している事例です。多くのお米農家にとって参考となる事例ではないでしょうか。垂直展開を行うことで、付加価値額を増加させることができます。

ECサイトによる農作物の販売

事業者名:株式会社農創会
事業計画名:耕作放棄地の復興による有機農業の展開と有機農産物の販路拡大
事業内容:耕作放棄地の再利用により、有機大豆・麦を生産するとともに、自給率が低い国産有機ごまを栽培し、インターネットモールを活用しながら、全国の有機愛好家や健康志向が高い子育て世代に脱炭素の輪を広げていきます。

ECサイトを活用して農作物の販売を行なっている事例です。生産している農作物がインターネットで販売できるものであれば、ECサイトを構築して直接消費者に届けるというのは、収益性を増大させる良い事業となるかもしれません。

キッチンカーの開業

事業者名:メルシーファーム
事業計画名:農家自らが育てた野菜を使った新鮮ファーストキッチン事業
事業内容:人間にとって必要な食。農業経営をする中で、野菜を出荷するだけではなく、毎日収穫した新鮮な野菜を使用し、コロナ禍による影響で減少傾向にある飲食業に目を向け、消費者に直接提供できるフードトラック。またテイクアウト専門店舗で農業の豊かさを守ります。

農業者が事業再構築補助金を活用してキッチンカーを開業した事例です。カフェや飲食店と比較してキッチンカーは
・開業資金を抑えられる
・固定費が店舗ほどかからない
・密を避けたコロナ禍に対応した形態
といった点ではじめやすい事業であると思います。

事業再構築補助金を活用してキッチンカー事業を始める方法と注意点については以下の記事で説明しているので参考にしてみてくださいね。

加工食品の開発

事業者名:湯原ふぁーむ
事業計画名:「6次産業化」により地方の農業を守る。“干し芋”加工による付加価値の向上
事業内容:コロナ禍によって、販路である百貨店やスーパーへの減販を余儀なくされたが、需要の高まっている干し芋に目を付け、加工まで行う第六次産業に転換し、コロナ禍によって変化した需要を捕捉できる事業に取り組む。

農業者が事業再構築補助金を活用して干し芋の加工を行なっている点です。事業内容で説明されているように、コロナ禍で百貨店やスーパー、飲食店等への出荷量の減少が多くの農業者の方々で生じたでしょう。

地域の農家を守るために加工に展開している点がこの事業が事業再構築補助金に採択されたポイントであると考えられます。

農業が事業再構築補助金を活用する際の注意点

農業が事業再構築補助金を活用する際の注意点

農業が事業再構築補助金を活用する際の注意点をいくつか紹介していきます。

農地転用には許可が必要

農業者が自分の農地を利用して飲食店を行いたいとしても、無断で農地に飲食店を建設してはいけません。農地を農地以外のものにする農地転用を行うには、行政の許認可が必要となります。事業再構築補助金に採択されたとしても農地転用が認められない場合は事業を行えなくなってしまうので注意が必要です。

なお、事業再構築補助金で店舗等を設立したい時は基本的に新築ではなく既存物件を改修して設立するようにしましょう。詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてみてくださいね。

専門家への相談が必要

事業再構築補助金を申請する際には認定経営革新等支援機関と共同で事業計画を策定することが条件として求められています。

とはいえ手続き上は「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出するだけで良いので、自身で事業再構築補助金の事業計画を作成して、認定経営革新等支援機関に事業計画書の確認と確認書の発行のみをしてもらうという方法でも可能です。

合同会社INUでは自身で事業計画書を作成できるように、事業計画書の具体例を合わせて紹介している事業計画書作成マニュアルを配布しています。自身で事業計画書を作成するのは難しそうだと感じる場合は、合同会社INUにお気軽にご相談くださいね。

補助金は後払い

事業再構築補助金は採択されればすぐに受け取れるというものではなく、設備投資などの支払いが全て完了して事業を完了した後に受け取ることができます。

事業再構築補助金は大きな投資金額となることから、補助金が交付されるまでのつなぎ融資の計画も合わせて立案しておく必要があります。

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まとめ

この記事では、農業が事業再構築補助金を活用する方法について解説してきました。ポイントをまとめると次のようになります。

・注意点
単に別の作物を作る等の一次産業への転換は認められない
・事業再構築補助金の活用事例
飲食店、カフェ、キッチンカー、ECサイトでの販売、加工

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