新事業進出補助金事業再構築補助金は中小企業や小規模事業者に向けた補助金なので、大企業は申請することができません。しかし、場合によっては資本金の規模は中小企業並みであるのにも関わらず、新事業進出補助金では大企業とみなされてしまう「みなし大企業」という枠組みが存在します。
事業計画など全て書いた段階で発覚し、申請できない事態に陥ると大変勿体無いことになります。本記事では新事業進出補助金におけるみなし大企業について詳しく解説します。ぜひ、自社が当てはまるかどうか確認してみてください。
この記事の目次
まずは、新事業進出補助金そのものについて説明します。
新事業進出補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象に、新事業に挑戦する際の費用を補助してくれる制度です。個人事業主も対象です。
2025年4月より募集が開始した第一回公募では、最大9,000円の補助上限金額が設定されていて、従業員数にもよりますがかなり大きな金額を受け取ることができる補助金です。
申請時には新規事業の詳細を記した事業計画書を提出し、事務局の審査を受けます。事務局から採択された事業者のみが補助金を受け取ることができます。
補助金を受け取ることができるのは、補助事業が全て終わって実績報告が済んだ後です。そのため、補助金を受け取るまでの融資などを利用する事業者もいます。
では、新事業進出補助金におけるみなし大企業とはどんなものでしょうか。以下で詳しく解説します。
先述したように、新事業進出補助金は中小企業や小規模事業者を支援する目的の補助金であるため、大企業は申請することができません。
しかし、大企業は中小企業の子会社や関連会社を保有している場合があります。これらの企業が申請し、採択されてしまうと、間接的に大企業を支援していることになり、困っている中小企業や中堅企業の採択数が減ってしまいます。
そのような事態を防ぐため、大企業の子会社や関連会社はみなし大企業と定義され、対象から除外されています。
中小企業の定義は業種ごとに以下の表のように定められています。
資本金又は常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人であること
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
中小企業の中には個人事業主も含まれます。
上記を参考に、自社は中小企業に当てはまるのか確認してみてください。
みなし大企業の定義はいくつかあります。新事業進出補助金の公募要領では以下のように記載されています。
(ア) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等
(イ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者等
(ウ) 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等
(エ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額をア~ウに該当する中小企業者が所有している中小企業者等
(オ) ア~ウに該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めて
いる中小企業者等
(カ) 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上をア~オに該当する中小企業者が
所有している中小企業者等
※ 「中小企業基本法(昭和38年法律第154号)」に規定する中小企業者以外の者であり、資本金及び従業
員数がともに「(1)中小企業者」の表の数字を超え、「(3)特定事業者の一部」にも該当しない場
合、大企業に該当します。海外企業についても、資本金及び従業員数がともに「(1)中小企業者」の
表の数字を超え、「(3)特定事業者の一部」にも該当しない場合、大企業とみなします。また、自治
体等の公的機関に関しても、「中小企業基本法(昭和38年法律第154号)」の適用外であり、大企業と
みなします。ただし、以下が株式を保有する場合は、その保有比率等をもって上記のみなし大企業の規
定を適用しません。
・「中小企業投資育成株式会社法(昭和38年法律第101号)」に規定する中小企業投資育成株式会社 「投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成10年法律第90号)」に規定する投資事業有限責任
組合
・ 「銀行法(昭和56年法律第59号)」に規定する特定子会社(以下「投資専門会社」という。)が株
式を保有し、「銀行法(昭和56年法律第59号)」及び「銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10
号)」に規定されている代表者の死亡及び高齢化その他の事由に起因してその事業の承継のために
支援の必要が生じた会社であって、当該事業の承継に係る計画に基づく支援を受けている会社(以
下「事業承継会社」という。)
・ 事業承継会社が株式を保有する法人
※ ただし、投資専門会社の株式を保有する金融機関が「金融機関による確認書」を作成すること
は不可。
※ 本条件の適用は、応募申請日から補助事業の完了までの間にも及びます。補助事業者が応募申請日から
補助事業の完了までの間に株主又は役員を変更することにより、みなし大企業に該当することとなった
場合は、当該補助事業者の交付決定を取り消します。
※ 上記ウの役員には、「会社法(平成17年法律第86号)」第2条第15号に規定する社外取締役及び「会
社法(平成17年法律第86号)」第381条第1項に規定する監査役は含まれません。
※ JV(協同企業体)構成員の申請においては、JV(協同企業体)の出資総額の過半数が大企業又はみなし
大企業である場合は本規定を準用し補助対象外とします。
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
ここでのポイントは、株主だけでなく役員が大企業の役員、職員などを兼ねている場合もみなし大企業とされてしまうということです。
かなり用件が厳しいため、少しでも当てはまる可能性がある場合はしっかり事前に確認しておきましょう。
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最初に述べましたが、みなし大企業の条件に当てはまってしまうと、そもそも新事業進出補助金に申請することができません。
また、中小企業として採択されても、補助事業実施中にみなし大企業の定義に当てはまってしまうことも避けましょう。場合によっては補助金の受け取りができなくなることも考えられます。採択後の資本政策や人事にも注意が必要です。
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実際にどのような企業がみなし大企業と定義されてしまうのでしょうか。以下で具体例をいくつか挙げて解説します。
以下は、みなし大企業とされてしまう例です。
資本金、従業員数は中小、中堅企業としての要件を満たしていても、全役員が属している会社や株主が大企業の場合は、みなし大企業と定義されてしまうので注意しましょう。
以下は、みなし大企業とされない例です。
上記のように、一定の割合以下の役員が大企業に属している場合や、一部の株主が大企業の場合はみなし大企業に該当しません。
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この記事では新事業進出補助金におけるみなし大企業について説明しました。
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